『暁紅』第八話になります。
投稿が遅れましたこと、申し訳ありませんでした。
今回、これまでとは少し違った書き方に挑戦してみました。
もし、「この書き方がいい」や「この書き方は読みづらい」といった意見がありましたら、感想のほうに書いていただけたらと思います。
それでは、ごゆっくりどうぞ。
源氏、及びその関係者が川神学園に転入した翌日。海斗と麗華は、川神学園へと向かっていた。
「海斗。あんた、成績のこと考えてる?」
麗華が突然訊ねてきた。
「なんだ? いきなり」
「Sクラスに入ることができるか? ってこと」
「突然どうした? Sクラスに入りたいのか?」
川神学園には定期考査の結果で個人の所属クラスが変わる規則がある。学年50位以内に入るとSクラスに入る権利を得て、逆に50位以下になるとSクラスから文字どうり『落ちる』のである。
麗華ならSクラスに入ることもできるだろうが、そうなれば必然的にボディーガードである海斗もSクラスに入らなければならない。もちろん、学年50位以内の成績でだ。
「転入の話が憐桜学園から来たとき、私がSクラスじゃないことにお父様は少なからず不満を抱いていたわ」
「そういえば、なんで金持ちが多いSクラスへの転入じゃなかったんだ?」
「憐桜学園でのあんたの成績を見て川神学園が決めたの」
「あぁ~、なるほど」
海斗の憐桜学園での成績は下から5番目、つまり『ワースト』の類なのである。
「ま、無理してSクラスに入る必要も無いから、この話はもういいわ」
話を切り上げて歩き出す麗華を海斗は追いかけた。
☆
川神学園に着く直前。海斗は背後から伝わる気配を感じた。
「……麗華」
「何?」
先を行く麗華が振り返る。
「落し物をした。探しに行くから先に行っててくれ」
「落し物? …遅刻しないでよ?」
「ああ」
そう言うと海斗は、麗華をその場に残し来た道を帰って行った。
☆
商店街の路地裏を抜けた先にある空き地に海斗は着いた。
「…なぜ見ていた?」
空き地に立っている木に問いかける。
すると、木の陰から一人の男が姿を現した。
オールバックのヤクザのような風貌の男。
「よくわかったものだな…」
男は海斗との距離を徐々に詰めていく。数歩で間合いが詰まる距離まで来たところで、口を開いた。
「俺の名は内田。お前がどの程度の者か見定めに来た」
「意図は?」
「それを貴様が知る必要はない」
そう言うと内田は一気に踏み込み、海斗に肉薄する。そして、勢いよく拳を突き出した。
「そうかい」
海斗は平然とそれを払い、反撃する。
しかし、内田もそれを防ぎ、海斗へと拳を突き出す。最初に内田が攻撃を食らった。しかし、決定打ではなく、内田を倒すまでは至らなかった。
内田の拳が海斗の腹部にヒットする。しかし海斗も内田の顔面に拳を食らわせる。
「……やるな」
お互い距離を取ったところで、内田がそう言った。
「…合格だ」
そう言い残し、内田はその場を後にした。
「なんだったんだ?」
並みの者ではなかった。海斗は手を抜いていたが、無論相手もそうだっただろう。
(内田、か…。もしかしたらとんでもない奴かもしれないな…)
そう考えたら少し笑いが起こった。
「考えすぎだな。……戻るか」
海斗は首を傾げながら川神学園に戻っていった。
☆
授業には間に合ったが、麗華に小言を言われてしまった海斗。しかし、それ以上は追及してこなかったので良しとした。
授業が終わり、麗華と寮に帰ると。海斗は先日買った、というか麗華に買ってもらった本を読み始めた。
タイトルは『ベルリンの屋根 序章 ~そこに痺れる、憧れるぅ!~』である。以前、暁東市で観た映画『ベルリンの屋根』の前日談にあたる話である。当時、「ダサいタイトルの映画だな~」と思いつつ見た映画だが、その濃い内容に感動し、麗華から『ペットの餌の代金』の為に預かっていたクレジットカードを使って小説版(上下巻)を買ったものだ。もちろん、すぐにバレてこっぴどく怒られたが。
「……いい話だったぜ」
ラーメン屋を営むマサシと、OLのトシ子の成長、恋、挫折、離婚、再婚を描いた感動巨編であった。
ふと時計を見ると、日付が変わっていた。
「……寝るか」
夕食と風呂はちゃんと済ませていたので。あとは歯を磨いて寝るだけだ。
海斗は歯を磨くため、洗面所へと向かった。
いかがだったでしょうか?
『暁紅』第八話をお送りしました。
今回、新キャラが一人登場しましたが、これは完全なオリキャラです。このキャラが今後どう関わってくるのか、どうかご期待ください。
それでは皆さん、ありがとうございました。