【GE作者合同投稿企画】MMOだよ、神喰さん! 作:GE二次作者一同
投稿作品「狩人様は神喰いに。」
どうもzakuzakuと申します。本企画に参加できて光栄ここに極まれり。しがないブラボ好きの作品ですが、良ければどうぞ。
「おやおや新人君。何処へ行こうというのだね」
「私の勝手です。有給休暇中なので話し掛けないでもらえますか?」
「これは手厳しい」
方針は決まった。とにかく此処を出ることだけを考えよう。私ことエヴェリン・ニュートランゼはそう頑なに決意を固めるのであった。理由は至極単純。職場の雰囲気が合わない、以上。
「だが、話だけでも聞いてくれたまえ。以前より開発を行っていたものが実現しそうでね!神機の
「ああああ~~~~ッッッ!もうッ!!なんで研究員でもない私にその話を振るんですかアーチボルトさん!?」
私、エヴェリン・ニュートランゼはフェンリル中央支部のゴッドイーター。部隊に就いてから1ヶ月も経っていない新人神機使いである。中央支部と呼称されるこの場所は、かつてイギリスという世界の標準となる国だったらしい。その名残で中央支部という名が付けられたが、実際は辺境の地もいいところだ。辺境過ぎるがゆえに本部からの補給物資は極僅か。アーコロジーで自給自足は可能だが、いつまでたっても支部の改修も行われず建物はボロボロ。
「もう嫌ッ!絶対私は異動しますからね!」
「あらら、何故だい?君は此処に適している人材だと私は思うが・・・それに君は私の研究に興味を示してくれた数少ない友人。君がいなくなったら私は寂しいよ」
「知りませんよ!大体、私よりも特殊研究チーム『火薬庫』の人たちの方が話ができるでしょう!?」
これが『職場の雰囲気が合わない』という理由のひとつ。今、私と話している30代半ばの男はアーチボルトというフェンリルの研究員だ。一重に言って、『変人』である。ある日、フィールドワークのために支部外に出ていたアーチボルトは運悪くアラガミと遭遇してしまう。そこで、ヴァジュラの雷撃を目の当たりにしたことからすべてが始まった。本人曰く「私の人生を捧げる研究対象が見つかった」とのこと。研究者としての腕は申し分ないのだが、その才能は何故か雷にしか注がれない。不毛もいいところだ。
「火薬庫の人たちは嫌いじゃないけど・・・どっちかっていうとライバルだよねぇ。爆発よりも雷の方が優れていることを彼らには分からせる必要がある」
「・・・とは言いながらも、彼らの扱う複雑技巧は利用しているじゃないですか」
「い、いやぁ・・・利用というか参考にしているだけだって」
―――特殊研究チーム「火薬庫」。
アーチボルトとは違い、支部からきちんと容認を受けている研究者たちだ。主に神機の銃形態の開発を行っている。こう聞くとまともに感じるかもしれないが、実はここも研究に偏りがある。彼らの開発するものはいつもやたら構造や機構が複雑であるかつ、無駄に高火力なのだ。当然、この支部でも自作のバレットの作成は認められている。が、そんな素人が作れる代物とはわけが違う。とにかく凄まじい火力と複雑さが彼らの売りである。これだけ聞いて「欠点なんてないじゃないか」と思うかもしれない。大丈夫、安心してほしい。問題点はしっかりと存在する。
「まあ、彼らの作るバレットのOP消費量考えたら・・・電撃武器の方がマシかもしれませんね」
「うむ、そうだろう?実用性では僕の研究成果の方が勝っているんだ。いつかフェンリルも僕の研究が優れていることに気付くはずさ!」
「・・・いや、それはないでしょ」
「えぇッ!?な、何故だい?」
「だって、アーチボルトさんの武器・・・めちゃくちゃ脆いし」
「はぅあッ!?」
以上が両研究チームの問題点。OPを全く考慮しない開発を行う火薬庫と開発物のほとんどが脆すぎて使い物にならないアーチボルト。一体どうしてこんな局所的にポンコツな連中ばかりが集まっているのだろうか。
「ま、どうせ私は異動するつもりですし、関係ありませ―――」
『アッハハハ、おお、素晴らしい!支部の中でもアラガミとは・・・!けれど、けれどね・・・オラクルは巡り、そして終わらないものだろう!?』
『ミコラーシュさん!?なんで勝手に人の神機にサリエル系のコア埋め込もうとしてんです!?』
『ああ、アイテール、あるいはゼウス・・・混沌の覇者にもそうしたように、
『サリエル系とウロボロス系の邪眼に関係性は無いっつってんでしょうが!!誰かー!!誰か止めて下さ―――』ピーガガッ…ブッ
「・・・うん、いたよそういえば。とびきり頭のネジがぶっ飛んだ研究員が」
放送の内容を聞いたのであれば、説明する必要もあるまい。アーチボルトや火薬庫はまだ良識がある分マシかと思ってしまうレベルの研究員がこの支部には数え切れないほどいる。なんで、本部はこんな場所黙認しているのか・・・うん、もういいや、疲れたし移動しよう。
「うんうん、ミコラーシュ君はいつも元気だねぇ・・・ってあれ?おーい新人君、何処に行ったんだーい」
◇ ◇ ◇
―――エレベーターで上階へと昇り中央支部ロビーへと進む。まるで中世に造られた教会の様な内装は気持ちを落ち着かせてくれる。正直、古臭いがここの雰囲気は嫌いではない。
「あんた・・・いい加減にしなよ。これで何回目だと思ってるんだい?隊長の命令も聞かず、勝手に行動するなって何度も言ってるだろう!」
「フン・・・」
・・・今は落ち着けそうにないけどね。エントランスホールの入り口付近で、口論し合う二人を見つめながら私は項垂れた。
「おい、アイリーン・・・ガスコインを責めないでやってくれ。こいつにはこいつなりの戦い方があるんだ」
「ヘンリック・・・あんたは甘すぎるんだよ。あたしは自分から死にに行く様な戦い方をする奴が大嫌いでね、ほっといたらいつか死んじまうんだよ、こいつは」
口論する2人に加え仲裁を試みている者が1人。この3人はこの中央支部で前線を張っている第二部隊の面々である。その実力は折り紙付きで、例え支部が大型アラガミ数体に襲撃されたとしても彼らにかかれば数分で片が付く。正直、私はその強さには少し憧れている。
「はぁ・・・ん?エヴェリンじゃないか」
「あ、どうも」
仲裁している1人がこちらに気付く。彼の名はヘンリック、この第2部隊の隊長を務めている物静かな人だ。神機で使う得物はロングブレードとアサルトというオーソドックスなもの。戦い方に派手さはないが、常に冷静で黙々と獲物を狩るその姿を見れば『沈黙のヘンリック』の二つ名にも頷ける。ただ、本当に何も喋らないでアラガミをミンチにする姿は割とマジで怖い。
「えっと・・・皆さん今日はもう任務ないんですか?」
「いいや、あるさ。けど、その前に
口論していた1人もこちらに気付いたようだ。アイリーン・・・鴉を彷彿とさせる黒い羽が装飾のマントを身に纏う女性ゴッドイーター。だが、特徴的なのは服装だけではない。なんと彼女の腕には2つの腕輪が付いている。右手と左との両方に一つずつだ。話によれば、世にも珍しい2つの神機の適合者らしい。さらにその神機は中央支部で創られた特注品であり、かなり小型化が成されている代物なのだそう。その小ささを彼女自身も活かし、得物には独特に歪んだ刃のショートブレードを用いている。
「って、何処へ行くんだいガスコイン!」
「・・・お前に説教垂れられる謂れはない。時間まで自由にさせてもらう」
そう言ってさっさと歩いて行ってしまうもう1人、ガスコイン。神機使いになる以前は教会の神父だったらしい。かといって信心深いのかと聞かれればそうでもない。まず自分の手で触れ、感じたものを信じる直感的な人だと私は思う・・・まあ、それは盲目の彼にとって仕方のないことなのだろう。そう、神機使いなのにもかかわらず目が見えない。彼はゴッドイーターになったことによって研ぎ澄まされた視覚以外の五感だけで戦っているのだ。そんな彼の戦い方はまさに圧巻。近寄ったアラガミをショットガンで吹き飛ばし、斧状のバスターブレードを叩き付け、粉砕する。その合間を縫ってアイリーンが敵の動きを封じ、ヘンリックはそんな彼らの露払いを優先して戦う。初めて彼らの連携を見たときは、全身に鳥肌が立つほど打ち震えた。
「また、逃げられちまったね・・・エヴェリン、あんたもあいつに言いたいことあったら言うんだよ?」
「え?私ですか?」
「そうさね、あいついつもは他人に興味は湧かない癖に・・・あんたには少し関心を抱いているみたいなんだよ。なんかされたら嫌なものは嫌って言うんだよ」
いや、そんな話初めて聞いたんだけど・・・えぇ、なんでだろう?自分から神父に何かしたことなんてあった?全然身に覚えがない。ついでに言うと此処の人は皆、彼を『神父』と呼ぶ。私もそれに倣って呼ばせてもらっているけど・・・怖い雰囲気あるしあんまり近づいたことないしなぁ。
「もしかすると・・・娘さんと重ねているのかもしれないな」
「え?」
「あいつは・・・アラガミに妻子を奪われて、それを境に神機使いになったんだ」
ヘンリックが呟くような小さな声で、そう言った。何のことは無い普通の一日を過ごし、帰路についたガスコイン。だが、彼の帰る場所は跡形もなく消えていた。愛する妻も、娘も、思い出の詰まった家さえも・・・全てをアラガミに奪われた。それからは憎悪を滾らせ、ただ躊躇なくアラガミを狩り続ける日々が続いた。旧友であるヘンリックの声さえ彼には届かなかった。だが、ある日から彼の身の振る舞いが変わったという。
「それが・・・私が初めて神父と会った日・・・」
「そう、君を気にかけることで、亡くなった自分の娘さんを弔っているんじゃないかなって。昔よりも無茶することも少なくなったしな」
なんだか、知らない方がいい事実を聞いてしまった気がする。確かに、神父と普通に会話しているとき周りがざわついていたが・・・そういう意味だったのか。
「・・・初めて聞いたよ、ヘンリック」
「まあ、憶測の話だ。アイリーン、お前は気にせずいつも通り接したらいいさ」
「言われなくてもそうするよ。どの道、暴走した奴を止めるのはあたしの役目だからね。面倒ごとを増やされたら堪ったもんじゃない」
口論していても、それが気にかけていることの裏返しであるとヘンリックは気づいている。なんだかんだ言っても、凄くバランスのいい部隊なのだろう。が、そんな話を聞かされては―――。
「・・・異動しづらいな」
「ん?なんだい、あんた異動するのかい?」
「あ、いやそうじゃなくて・・・個人的な希望というか・・・」
そう言った瞬間苦々しい顔をする二人。え?私なんか不味い事でも言った?確かに神父の話が本当なら、私がいなくなるのは芳しくないと思うけど・・・。
「まあ、この支部は少し特殊だから気持ちはわかるさ」
「でも、大事なことだからね・・・しっかり考えてから決めるんだよ」
「あ、はい・・・ありがとうございます。あの、私はこれで失礼します」
意外と肯定的な意見を返されて内心ほっとする。気が付けばもう昼時。そろそろ昼食を取るために私はロビーを後にした。
「・・・あの子、他の支部に移れると思うかい?」
「いや・・・『アレ』のこと考えれば、此処以外で受け入れてくれる場所なんてないと思うけどねぇ・・・」
「・・・だろうなぁ」
◇ ◇ ◇
現在時刻、12時15分。食堂が多くの人間で賑わう時間帯・・・普通の支部の話なら。この中央支部には食堂が存在しない。では、どうやって食事を摂るのか。簡単だ、自販機で買えばいい。カ〇リーメイトやウ〇ダーを始めとする携帯食料や栄養食品は支部各所に設置されている自販機で売られている。当然、そんなものだけでやっていける訳がない。では、どうするのかというと―――。
「ねえ、いつもの売ってる?」
「・・・・・」コクコク
目の前のその子は喋りはしなかったが、頷きで確かな意思を示した。支部の至る所にいる小さな子供たち、この子たちはフェンリル側の許可を得てを色々なものの販売を行っており、皆からは『使者』と呼ばれている。今私の目の前にいる子は、主に食品を売っている。
「はいありがと。これ御代ね。お釣りは好きにしていいよ」
「・・・!」パァァ
凄く嬉しそうに頭を下げお礼をする使者。うん、癒しだわ。こんな頭がおかしい連中しかいない支部に唯一残された癒し。あぁ^~使者たんの面倒見たいんじゃぁ^~。
「休暇とはいえそんなに緩み切った表情をしているとは・・・感心しないな」
「へ?」
唐突に後ろから話しかけられた。その声の通り、相当緩んでいたのだろう。だらしない声と共に私は声の方向に振り返った。
「ひぇッ!?あ、マリアさん!!?」
「だが、分かるよ。任務とは辛いものだ・・・だからこそ、甘美な癒しが必要なのさ」
そこには中世を思わせる装束を着た麗人がいた。私のその人物をよく知っている。この中央支部の精鋭、第一部隊副隊長のマリアである。彼女もアイリーンと同じく、特殊な神機を振るう1人だ。通常のロングブレードに加え、柄の先端にもショートブレードほどの刃が付いている。驚くことに、その柄は二つに分かれるという変形機構を持っており、一本の剣と双刀の二種類で使い分けることが出来る。神機使いとしての腕は語るまでもない。強いていうなら『人間卒業』といったところだろうか。彼女の目の前でアラガミが10秒以上立っていたことは見たことが無い。
先ほども麗人と言ったが、読んで字の如くめちゃくちゃ美人です羨まけしからん。
「ふむ、また干し肉を買ったのか・・・女性としてどうなんだそれは」
「だ、だって好きなものは好きなんですもん・・・」
「・・・まあ、別に構わないが。そうだな・・・私はこれを頂こう」
そうやって手に取ったのは野菜ジュース(トマト果汁100%)。何この人めっちゃ健康的なんですけど。やはりあれか、すべすべの肌とか、抜群のプロポーションとかの秘訣は食生活にあるのか。何処からみても完璧とかズル過ぎるだろう。
「てか、マリアさんどうしたんですか?ここで買い物するなんて珍しいですね」
「ああ、ちょっとな・・・最近、師の食が細くて・・・それで私が何か振舞おうかと思ったんだが」
師というのは彼女の上司であり師匠のゲールマンの事だ。第一部隊の隊長でかなり年配の男性なのだが、一度アラガミと対峙すれば凄まじい戦闘能力を発揮する。もはや残像が見える速度でアラガミとの間合いを詰め、ヴァリアントサイズで相手の急所を一気に刈り取る。さらには散弾と単発の切り替えが可能な特殊な銃を扱い、的確に使い分け獲物を追い詰める姿はまさに狩人。極めつけは、
「え?じゃあ、野菜ジュースだけじゃなく食料品買わないと・・・」
「いや、そうなのだが・・・その・・・」
少し困ったような表情をするマリア。私はその様子に首を傾げる。そして少しの間の後、小さな声で彼女は言った。
「料理は・・・馴染みが無くて、どうすればいいのか・・・」
・・・・・え、めっちゃ可愛いこの人。え?何?何なの?男どころか女も惚れそうになるほどの凛とした佇まいは何処に行った?いや、残念とかそういうんじゃないよ?寧ろ心を打たれたというか全部持っていかれたというか・・・ってちょっと待って、相手が師って事はまさか―――。
「・・・な、なんだ?いったい何を考えて私を見ている?」
「マリアさん・・・枯れ専だったんですね」
「か、枯れ専?それは一体・・・」
「いや、何でもないです。気にしないでください」
「???」
いや、うん・・・愛に年の差は関係ないんだよきっと。出来ればただの師弟愛であって欲しいけど・・・多分違うんだろうなぁ。
「ま、まあ、私でよければ手伝いますよ。第一部隊の皆さんにはお世話になってますし」
「む・・・では、今度暇があれば頼めるか?私もそれまでには出来る限り勉強しておく所存だ」
生真面目な彼女のことだから、その日が来るまでに私の腕なんて抜いていそうで怖い。まあ、案外戦闘以外の事には疎いから分からないけど。あ、そう言えば―――。
「その、ゲールマンさんのこと支部長は知っているんですか?」
「ん・・・ローレンス殿か。そういえば彼には言っていなかったな」
このフェンリル中央支部の支部長であり、尚且つゴッドイーター、それが支部長ローレンスである。昔は第一部隊隊長を務め、ゲールマンの相棒として戦っていたが、本人の強い意向もあり今は支部長として職務を全うしている。話によると、中央支部の研究チームを立ち上げた張本人、つまりフェンリル中央支部技術開発統括責任者なのだそう。よくもあんな変人共の巣窟を作ってくれたものだ。当時の統率力は素晴らしかったらしいが、やはり歳なのだろう。今ではエミーリア支部長代理をいつも困らせていると聞いている。
「まあ、根はいい人ですし・・・一応相談したらどうですか?」
「うむ・・・そうだな。そうとなればルドウイーク殿にも話してみるとしよう」
ルドウイーク・・・この人も第一部隊所属のゴッドイーターである。この支部が創設されてから初めて見つかった神機の適合候補者であり、今もなお現役である。強さは・・・もう此処まで来ればお察しだろう。前線でアラガミをシールドで受けつつも絶対に倒れず、バスターソードのチャージクラッシュをアラガミに叩き込む様はまるで動く要塞。しかもチャージクラッシュする度に碧い衝撃波が周囲のアラガミを巻き込んで殲滅していく。なんでも、極東支部に駐在している特殊部隊と合同任務した時以来出来るようになってしまったらしい。あな恐ろしや、フェンリル極東支部。
「ありがとう、エヴェリン。話してみて気が楽になったよ。だが、休暇が終わったら直ぐに任務に就いてもらう予定だ」
「え"・・・そうなんですか」
「ああ、鈍らない程度に体を温めておくんだな」
「うぇ・・・了解です」
現実は非常である。また明日から任務尽くしの日々が始まると思うと憂鬱だ。今日の様な休暇とは違い、心の余裕はない状態でアーチボルトとかに絡まられるのを考えると身の毛がよだつ。エミーリア支部長代理の胃にこれ以上穴をあけたくはないけれど、早めに異動願いを出させてもらうしか・・・。
「あぁ、そうだ。まだ発表はされていないのだが・・・先日の会議で―――
―――エヴェリン、お前が第一部隊に転属することが決まったらしい」
「・・・・・・・・・・・はい?」
◇ ◇ ◇
方針は決まっていた。とにかく此処を出ることだけを考えていた。私ことエヴェリン・ニュートランゼはそう頑なに決意を固めたはずであった。だが、どうして・・・何故私は此処に残っているのだろう。私は移動用のヘリで頭を抱えていた。
「今は何も分からないだろうが、難しく考えることはない君は、ただ、獣を狩ればよい。それが、結局は君の目的にかなう。
ゲールマン隊長の包み込むような声は安心感があって、非常に心地が良い。が、今の私には毒以外の何物でも無い。ともかく、第一部隊の一員になってしまった私だが、絶対此処から異動してみせる・・・絶対にだ。
「そうだね・・・今の鬱憤は目の前のアラガミにぶつけようそうしよう」
頭を上げ、神機を担ぐ。そして、ランディングゾーンに入ったことを確認し、思い切りヘリから飛び降りた。急降下する先には一体のヴァジュラの姿が。
「ウラァァァッッ!!!」
女とは思えない雄叫びを上げながら、弱点の背中部分に捕食形態で攻撃を喰らわせる。上がる血飛沫を肌で受けつつも、気にせず体内のコアを引き抜いた。当然、動力部を奪われたヴァジュラは地に伏せ、動かなくなった。立ち膝の状態から死体の上でゆっくりと立ち上がり、周りを見渡せばそこにいるのはアラガミ、アラガミ、アラガミ・・・。普通の人間なら心中絶望で塗りつぶされていることだろう。頬の血糊を袖で拭うと、少量の血が口の中へと広がった。
「・・・ッあはは!」
私は嗤った。楽しくて仕方がない。こんなにも昂らせてくれる相手が目の前に無数といるのだ。自然と笑みも漏れるというものだろう。
「次はぁ・・・君かな?」
眼をを爛々とさせ、私は向かってくるアラガミを切り裂いた。もう、目の前のアラガミの以外の事は考えられなくなっていた。私は歪んだ笑みを浮かべたまま、次の標的へと駆けだした―――。
◇ ◇ ◇
「・・・いつ見ても圧巻だね」
「あぁ、あれが俗にいう・・・『血に酔う』ってやつなのかもしれないねぇ」
アイリーンとヘンリックはそう呟いた。彼らの瞳にはアラガミを屠り、狂ったように笑う1人の少女が映っている。
「やっぱり、他の支部にあの子はやれないな。間違いなく浮いた存在になる」
「
「あぁ、そうだな」
本人には黙っていようと決心する2人。そんなことも知らず、少女は今日も血に酔い、アラガミを屠るのであった―――。
読んでいただき、有難うございました。気に入っていただけたら幸いです。