【GE作者合同投稿企画】MMOだよ、神喰さん!   作:GE二次作者一同

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【R-15】【捏造設定】【エリナ】【オスカー】

投稿作品「私は偵察班なのだけれど」

リンドウさんの神機がレンとして擬人化してたし、こう言うのもありかなぁ、と思ってかきました。GEOには全く関係ないです。ごめんなさい。


我はオスカー、神機である!【寿々代 様】

 我は神機である。

 

 しかし皆の知る神機とは一味も二味も違う、秀逸にして卓越した神機だ。

 

 我は既存の神機とは違いスマートなフォルム、機能美とその隠されたギミックによる奥深さのある刀身を持つポール型神機、そのプロトタイプなのである。我を振るうものはたちまち国士無双の英傑となろう。

 

 ただ、いまだに我にふさわしい使い手がおらぬ故、極東支部に送られて以来保管庫の埃をかぶるはめになってはいるが……それは仕方あるまい。なにせ我を扱うには相応の資質が問われるからな。

 

 そんな我だが退屈しているかと問われると、そうではない。

 

 我は保管庫にいる間隣人の話を聞いている。

 

 コイツがまた口が達者な奴で、我からしたらもはや型落ちの旧型ブラストタイプのくせに、アサルトもかくやという勢いで喋る。我自身もともと多く話す方ではないため、勝手に話し続けるアイツは嫌いではないが、相槌を打つ暇もないとはいかがなものか。

 

 そんな型落ちの話の内容はもっぱら使い手のエリックの事である。

 

 そう、型落ちは我と違い、すでに戦場で戦っているのだ。その点では、我は型落ちに後れを取っていると認めよう。

 

 ともかく、奴は任務から帰るやいなや、必ずこう言うのだ。

 

 『今日も俺たちは華麗だった』

 

 どうやら型落ちとその使い手は、戦場で華麗に舞うことを重視しているようである。

 

 いかに華麗に敵を葬ったか。いかに華麗に人を救ったか。いかに華麗に任務を遂行したか。

 

 いかに、いかに、いかに……。

 

 型落ちは『華麗』な姿こそが人々に希望を与えると信じているらしい。いつもそうあろうとする姿からは一種憧れのようなものまで感じる。

 

 慣れないうちはかれいかれい煩く、リッカという整備士愛飲の冷やしカレードリンクでも銃口にぶち込んでやろうかと考えもしたが、今では型落ちのウザい武勇伝が楽しみになりつつあった。

 

 さて、こんなたわいもないことを考えているうちに、そろそろ型落ちが返ってくる時間である。

 

 今日の任務はソーマといういけ好かないガキと、カンナギという初々しい新人と合同での任務だと言っていたな。はてさて、今日はどんな武勇伝が語られることやら。新人が交じったことでいつもとは少し違う話が飛び出てくるやもしれぬ。

 

 楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……。

 

 さて、これは困った。さしもの我もどうしようもない。

 

 我は途方に暮れていた。

 

 今、我の隣ではあれほど煩く生気に満ち溢れていた型落ちが、まるで死んでいるかのように静かだった。

 

 原因は分かりきっている。型落ちのパートナー、エリックの死だろう。新人を交えた任務の最中に頭をアラガミにちぎられ即死だったのだと聞いた。

 

 幸いというか型落ちは大した傷もなく帰ってきた。しかし、己のパートナーを守れなかったことが相当に堪えたのだろう。アーティフィシャルCNSの光も弱弱しく、もしかしたらこのまま再起動しないのではと思わせる様子だった。

 

 こういったとき、我はどうしたものだろうか。

 

 勿論型落ちの奴を元気づけてやりたいのは山々なのだが、果たして一度もパートナーを持ったことの無い我の言葉が型落ちに響くだろうか。

 

 「……型落ちよ。落ち込む気持ちは察しないでもないが、いつもの華麗なお前はどうした?」

 

 少し配慮が足りない言葉だったかもしれないが、我はやはり型落ちにはあのエネルギッシュな状態に戻ってほしかった。

 

 「……華麗、か。聞いて呆れるな。パートナー一人守れずして、何が華麗か」

 

 結局型落ちは、そう呟いたっきり何も話さなくなってしまった。

 

 それから数年、我は保管庫で静かに過ごしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おめでとう、やっと君の適合者が決まったよ」

 

 ある日、我にそうつげて来たのは灰色の髪の毛を持つリッカという整備士だった。

 

 ずいぶんと待ったが、やっと我の使い手が見つかったのか。正直、もうこの先一生我は保管庫の肥やしになってしまうのかと心配していたため、少し安心した。

 

 それに、やっとかつての型落ちと同じステージに立てるのかという気持ちも強かった。そうすれば、もしかしたらいまだに口を利かない型落ちに響く言葉が投げかけてやれるやもしれんと思ったのだ。

 

 「型落ちよ、聞いた通りだ。我の使い手が決まったらしい。……今度は我が戦場で華麗に舞って来よう」

 

 型落ちは何も答えず、我は無機質な部屋に連れてゆかれた。

 

 我の適合者は『エリナ』という小娘だった。何の因果か、エリナはエリックの妹なのだという。ゴッドイーターになったのも兄を殺したアラガミを全滅させ、自身のように悲しむ人が出てこないようにしたいからなのだと。

 

 この娘、言うことは立派であるし我の適合者というからどのような傑物かと思えば、とんだイノシシ娘だった。

 

 なんとアラガミの攻撃を何一つ防ごうとしないのだ。我には如何なる矛をも防ぐ素晴らしき装甲が取り付けられているというのに、まるで使おうとしない。かといって動きで相手を翻弄するのかと言えばそうではなく、愚直な猛進を繰り返すのみ。

 

 「このくらいの敵、私一人だって何とか出来るんだから!」

 

 口の橋から垂れ流れる血をぬぐいつつ、エリナはもう一度チャージグライドの溜めに入る。

 

 また突進か……。

 

 我は呆れ、チャージを拒否してやろうとも考えたが、そんな拗ねた子供のようなことは出来まい。

 

 エリナの任務は大体こんな調子で、隊長であるというコウタの叱責を食らうまでがテンプレートとなっていた。

 

 兄の影響か「華麗」「華麗」と口癖のように言うものの、その様は華麗に程遠い。

 

 極東一の業物である我を握っているのだから、猛者豪傑の集う極東でも一際目立ってもらいたいものだ。

 

 これでは型落ちへの土産話にもならん。

 

 我はそんなことを保管庫で呟いた。

 

 「あら、エリナちゃんはそうあろうと努力しているではないですか。まだゴッドイーターになって日も浅いのですし、あなただって実用されたのはつい最近でしょう? そんなに焦るものじゃないわ」

 

 我の愚痴に口を挟む輩がいる。

 

 型落ちとは反対側の我の隣に置かれているポール型神機。金色の輝きを上品にまとったなかなかに美しい神機だ。

 

 彼女はポラーシュターン。我はポーラと呼んでいる。

 

 ポーラはエリナと同じ第一部隊に所属するゴッドイーター、エミールの神機だ。

 

 「私も時々エミールの『騎士道』と言うやつがただの頑固に思えて仕方ない時がありますわ。でも、彼の根本にある気持ちは素敵なものですもの。彼が一人前になるまで支える覚悟はできてましてよ。あなたも男らしくどんと構えたら? オスカーさん」

 

 ポーラは我にイタズラ娘のような、それでいて挑戦的な風に言ってきた。

 

 ちなみにオスカーというのは我の名前だ。

 

 小娘が勝手に我につけたものであるのだが、ポーラは気に入っているようですっかりそう呼んでくる。

 

 「むう、そうは思うが、あまりにも無鉄砲では流石に口を出したくもある」

 

 なにせ兄の前例がある。いまだ黙ったふりをして、ひっそり耳を傾けている型落ちに「我もパートナーを守れなかった」などと情けない報告は出来ぬ。

 

 「エリナちゃんも早く強くならなきゃって焦ってるんでしょうね。あなたが見守ってあげないと」

 

 「……そうだな」

 

 我は頷いた。結局のところ、任務の最中に我が勝手に動く分けにはいかんし、見守ることしかできないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「オスカー、今日はブラッドの副隊長と任務なんだって」

 

 ある日のことである、エリナがどこか不満げに我のグリップを握った。

 

 ブラッドとやらはたしか極地化技術開発局の事だったか。血の力というものを発揮し、従来のゴッドイーターでは太刀打ちできなかった感応種とも互角に渡り合えるのだとか。

 

 別に良いではないか。ここ最近の任務は感応種の横やりを受け敢え無く撤退という場面も多い。それがやっと解消されるというのだから、どこに不満がある。

 

 「なんかさー、急に極東へきて『助けてあげます』って雰囲気、気に入らない」

 

 ……呆れたことを。

 

 この小娘は意地の張りどころを間違えているようだ。

 

 これで任務での動きにまで意地を持ち出すようなら、流石の我も苦言を呈さずにはいられないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「エリナちゃん、大丈夫!?」

 

 「このくらい平気です!」

 

 ブラッドの女副隊長が心配して言葉をかけるも、エリナは食い気味に返答した。

 

 絶対にブラッドには頼らないとの意地があるのだろう。エリナは我から見てもあまり平気そうには見えなかったが、そう答える。

 

 全く、我らは感応種が現れてはずっと逃げて来たのだ。勿論交戦経験などない。ゆえにブラッドには必然的にノウハウの面で劣り、頼ることは恥ではないということがわからんのか。

 

 そもそも、エリナは一人でヴァジュラも倒せない半人前ではないか。意地を張るのも大概にしてほしいものだ。

 

 我は回復もせずにチャージグライドの溜めを始めたエリナにため息をつき、展開していた刀身のギミックを閉じた。

 

 「えっ? 嘘でしょ、こんな時に。オスカー! 動いてよ! ブラッドがいたら私たちも感応種と戦えるんじゃなかったの!?」

 

 「どうしたの!? エリナちゃん!」

 

 「……っ! なんでもないです! 回復しているだけですから、……支援、お願いします」

 

 「それがいいよ、私が時間を稼ぐから、安全な場所で回復に専念してね」

 

 副隊長は矢継ぎ早に言うと、シユウに似た感応種に向かって駆けて行った。

 

 さあ、エリナ、呼吸を整えるのだ。今のお前は対抗心と焦りで冷静ではない。

 

 我はエリナの回復を待った。

 

 が、しかし、エリナが動く気配はない。

 

 訝しんだ我が顔を覗き込むと、エリナは泣いていた。

 

 気丈に表情を引き締めようとしているが、あふれる涙は抑えきれていなかった。まさに、泣くのを我慢しようとしている子供の表情だ。

 

 「なによ……、何が『安全な場所で』よ。あるわけないじゃない、そんなの……」

 

 我にぽたぽたと人肌の滴が落ちてくる。

 

 だが、たったの数滴でそれは止まった。

 

 「情けない……」

 

 エリナはそう呟いた。

 

 乱暴に袖で涙をぬぐい取り、回復錠を鷲掴みにして口に放り込んだ。

 

 我を構えなおし、戦場に踊りでる。

 

 「エリナ復帰しました!」と走り出す彼女の表情はすでにいつもの強気なエリナに戻っていた。

 

 「私だって、華麗に戦えるんだから」

 

 きっと誰にも聞こえていないつもりで口に出したのであろうその言葉、我だけははっきりと聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それで、乙女の独白を盗み聞きしたあげく、同僚に話してしまった無粋なオスカーさんは如何なさるおつもりで?」

 

 保管庫にて、棘のある口調でポーラが問い詰めて来た。

 

 確かに我はあまり他言すべきでないことを話したと思うが、そんなにとげとげしくならんでもよかろうに。

 

 「そうだな、我は今回の任務で我の勘違いに気が付いた。エリナの目指す華麗と我の知っている華麗は別物であったのだ。エリナは本物の華麗を、我は役割としての華麗を目指していた」

 

 「希望になるため華麗であろうとしていたエリックさんとは違って、エリックさんを見て来たエリナちゃんは華麗そのものを目指していたと。……今更それに気が付くなんて鈍感が過ぎますわよ?」

 

 「なに!? ポーラはとっくに気が付いていたと?」

 

 「当然ですわ」

 

 なんと、我は我が思う以上に盆暗であったらしい。

 

 気のせいか、型落ちの奴も頷いたような気がする。

 

 「と、とにかくだ。我はエリナの目標を理解した今。エリナが正しくその道を行けるよう支えるつもりだ」

 

 「具体的にはどうしますの?」

 

 「じゃじゃ馬が早死にしないように手綱を握ってやるのだ、今日のようにな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 我とエリナは順調に腕を伸ばしていった。

 

 エリナはなんだかんだいってブラッドの副隊長の事を気に入り、教えを乞うまでなつき、着実に技をぬすんで実力を挙げていた。

 

 我は我で強くなった。物理的にだ。

 

 神機は変化の激しいアラガミに対抗するために、常に改良と検査を行っている。その際、もっともエリナの癖や欠点を理解している我が自ら改良に要望を出すのだ。

 

 幸いにして、あのリッカとかいう小娘は有能であり、我が言わんとすることをなんとなく察してくれる。

 

 おかげで我はエリナにぴったりとあう神機になったらと言っても過言ではない状態である。

 

 事は悪くない方向に進んでいると思えた。

 

 ただ一つ、いまだに元気を取り戻さない型落ちのことが気がかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「エリナ! Dエリアの避難誘導頼んだ!」

 

 「任せてよね、隊長!」

 

 コウタという隊長に頼まれ、エリナは張り切って外部居住区Dエリアに向かった。蹴った地面から土煙が巻き上がる勢いで走ってゆく。久々に装甲が突破されるという大事態であり、ことは急を要求する。

 

 流石の事態ともあり、普段は単独行動を許さないコウタもエリナに別区域の防衛と避難誘導を任せた。

 

 「むっ! エリナよ、ピンチの時はこの僕の名を呼びたまえ! そのときは、盟友エリックとポラーシュターンに誓って必ず駆けつけ……」

 

 「エミールうるさい!」

 

 通信機越しの二人の会話に、ポーラがふふっとほほえましそうにする声が聞えた。

 

 我とエリナはほどなくしてDに区分されるエリアにたどり着いた。そこはEエリアほど家屋が密集してはいなかったが、やはりそこかしこから人々の悲鳴が聞こえる。建物から上がる炎の赤と飛び散る血の赤が交じり、アラガミの咆哮が響き渡る。ひどいありさまだ。

 

 だがしかし、悲鳴が聞こえるということはまだこの地獄で助けを求める人がいるということ。

 

 エリナは我を力強く握ると、眼前で人を食い散らかそうとしていたオウガテイルに飛びかかる。

 

 短く力のこもった息を吐き出し、オウガテイルの顎を無理やり閉じるように貫く。

 

 まだまだ弱輩ながらも、エリナは訓練に精を出し、副隊長から技をぬすみ、着実に実力をつけてきていた。何より振るう武器は我である。

 

 そこらのオウガテイルやコンゴウなどでは相手にならぬ。

 

 我らはDエリアを駆け回り、視界に入った先から人を助けて回った。

 

 もしかしたら別の場所で人が死んでいるかもしれぬ。誰か助けを求めるものを見逃していたかもしれぬ。

 

 そう言った焦りの気持ちを押し殺し、気丈に振る舞い避難誘導に努める。

 

 人員が決定的に不足している今、エリナは自分が出来る最大限の仕事をこなしていた。

 

 「走って! 止まっちゃダメ! 振り返っちゃダメ! 後ろは私が守るから走って!」

 

 逃げ惑う人々を背に負い、火花散る外部居住区の通路を遮るように立つ。

 

 目の前にはアラガミの波。その中にはいまだエリナが一人で相手取ったことの無いヴァジュラも交じっていた。

 

 エリナの手は汗でじっとりと濡れ、膝は震えている。

 

 疲れもあるだろう。しかし何より、恐怖がエリナを蝕んでいたに違いない。

 

歯をキッと食いしばり、アラガミを気丈に睨みつける。

 

 「オスカー、今の私なら、出来るよね」

 

 エリナは発破をかけるか自らの精神安定のためにそうしたのだろう。よもや我から返事が返ってくるとは思っていなかったに違いない。

 

 我はアーティフィシャルCNSを明滅させてやると、エリナは一瞬驚いたような表情を見せ、そして、いつもの強気な表情に変わった。

 

 「ありがとね、オスカー。私たち二人なら、負けるはずないんだから!」

 

 うむ、我らに勝てぬ敵はおらぬ。

 

 しかし、一つ訂正があるとしたら、『二人』というのは間違いだろうな。

 

 「そこの華麗なお嬢さん。お困りとあらば、華麗な僕が華麗に助太刀しようか?」

 

 背後から投げかけられた声に、エリナはハッとして振り向いた。

 

 「エ……、エリック!?」

 

 そこに立っていたのは、かつての型落ちのパートナーであったエリック、に似たような人物。そして、万年引きこもりをしていた型落ちであった。

 

 顔をオウガテイルのような仮面で隠しているためエリック本人かどうかは完璧な判断がつかない。そもそもエリックは確かに死んだはずであり、型落ちは万年引きこもりをしていたはずである。

 

 本来こんなところにいるはずのない二人なのだがしかし、我には本人であるという確信のようなものがあった。

 

 「エリック? 少し違うな。僕はマスク・ド・オウガ! 世界で最も華麗な神機使いさ!」

 

 自称マスク・ド・オウガはエリナに食らいつこうとしていたオウガテイルをモルターで吹き飛ばし、ついでに珍妙なポーズをとりながら言い放った。一連の流れだけは妙に滑らかである。

 

 エリナは爆風で巻き上げられそうになる帽子を押さえながら、訳が分からないといった顔をした。

 

 丁度我も似たような気持である。

 

 「おい、型落ちよ。我が聞いていた話とイメージが違うのだが」

 

 「型落ちではない、マスク・ド・ブラストだ。……まあなんだ、少し盛ってた、すまん」

 

 呆れたやつだ。そして全身ブラストがマスクとはこれいかに。

 

 しかし、元の調子のいい型落ちが返ってきたようで喜ばしいことだった。

 

 「ふ、ふふっ、ぷくくっ」

 

 突然、呆けていたエリナが噴出した。

 

 「あはははっ! あーおっかし、私怖すぎて幻覚でも見ているのかな? それにしたってこれはないよね、私センスなさす、ぎっ!」

 

 エリナは少し滲んだ涙の粒を人差し指で掬うと、拳を振りかぶっていたコンゴウに我の石突(グリップエンド)を叩きつけ、顔面を割った。

 

 「え、えーっと、エリナ? それはどういうことだい?」

 

 遠回しにセンスを否定されたマスク・ド・オウガは少しショックを受けたようで勢いを失っていた。それでなお四方から加えられる攻撃をいなすのだから、なかなかの実力者らしい。

 

 「何でもないっ! それに今の私にはこれ以上なく心強いよっ。ちゃんと助けてよね、マスク・ド・オウガ!」

 

 エリナはザイゴートに刺さっていた我を引き抜き、ついでに思いっきり踏み切って後退しながら言う。

 

 「ふんっ、背中は華麗な僕に任せたまえ!」

 

 マスク・ド・オウガはサリエルのスカートを吹き飛ばし、ついでに空中でもブラストの推進力を使って無駄に華麗に舞い、エリナと背中合わせになった。

 

 いつの間にかDエリアのアラガミがほとんどエリナとマスク・ド・オウガを囲んでいた。

 

 はたから見ても絶望的な状況。

 

 エリナの白い肌が煤で汚れ。服はそこかしこが破けている。

 

 髪はぼさぼさに乱れ、痣も生々しい傷もある。

 

 しかし、エリナは大地に堂々と直立していた。

 

 マスク・ド・オウガに背中を預けて。

 

 爆風がエリナの髪を巻き上げる。

 

 たなびく前髪から覗く瞳は凛と敵を見据え、家屋の炎がまき散らす火花すらエリナの燃える闘志を表しているようにしか見えなかった。

 

 秀逸にして卓越した神機である我が認めよう。

 

 間違いなく、今のエリナは華麗である。

 

 




GEOの配信おめでとうございます。自分もダウンロードしてやってみましたけど、やっぱりモバイルでアクションは難しいですね。でもストーリーの行く末が気になるのでなんとか頑張ろうと思います。

p,s今回はこのような楽しい企画に参加させていただきありがとうございました。バジルの香草焼きさんにはこの場をお借りしてお礼申し上げます。
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