「あなた、他人を傷つけるのは好き?」
艦政本部第九部、通称『情報部』。
表向きは諜報を生業としているこの機関は、重大な軍規違反を犯す鎮守府を殲滅する、内偵・督戦部隊としての一面も持ち合わせていた。
そのはずだった。
2009年12月。
夏が過ぎ、秋を越え、冬に至っても龍驤の「お礼参り」は続いていた。
太平洋沿岸の鎮守府を潰して回り、横須賀へ帰還した龍驤は『最初の五隻』である五月雨を訪ねる。何気ない世間話を装って『コード・ソロモン』に関する情報を引き出そうとした龍驤は、想像を超える現実を目の当たりにするーー
転落するオカルティック・ハードボイルド、第六話。
二〇〇九年。
九月末に血みどろの九州巡りを終えた龍驤は、三ヶ月をかけて中国、四国、近畿、中部と、太平洋沿岸の鎮守府を潰して回った。
終わらない黄色の台風は提督業従事者を震え上がらせた。
日本海沿岸および北陸はスナッチャーズ他、叢雲の手の者によりひそやかに処分されていった。
そして十二月。
久しぶりに横須賀へ帰還した龍驤は三日の休暇を取った。
最初の一日は
次の一日は体内の霊脈を調整することに充てた。
最終日。龍驤は赤煉瓦の別棟、巨大な倉庫群に隣接する部署を訪ねた。
軍需局。
艦娘や人間が入り乱れてせわしなく駆け回り、あるいは端末に向けてひたすらタイプし、あるいは電話でひたすらがなりたてている、騒々しい部署。
「ですから舞鶴の第八十七分所です! 燃料は七十八分所! どうして取り違えて……はあ? それじゃあ伝言ゲームじゃないですか! ちゃんと書類にしてください! 責任問題ですよ!」
「あなたは今週の必須任務をこなしていないでしょう。それで
「テヤンデイ ベラボウメ」
「オウ アタボウヨ」
「オイヤニ ムスメ イレテコイ」
人間と艦娘の数に比例してか、妖精さんも他の部署より多い。情報部に至っては妖精さんの姿を見かけることがないから、龍驤にとっては訪れるたびに、違う国の組織を訪問したかのような気分になる。
忙しそうな連中を横目に階段を上る。
踊り場で、指人形程度の矮躯にはとても不釣り合いな煙管を咥えた、はっぴ姿の妖精さんが龍驤を呼び止めた。階段に腰掛けていた。
「タイショウ シー クレンカ シー」
「しー? ああ、火ィかいな。ほい」
龍驤はコリブリのキックスターターレバーを弾き、煙管の先に近づけてやった。
妖精さんはぷかりと一服。軽く煙管を上げて礼を示した。
龍驤も何となくバットを一本抜き、コリブリで火を灯した。
「タイショウ ゴールデン ダネイ」
バットが粋だ、と言いたいようだ。確かに、きょうびゴールデンバットを愛飲している若人は少ない。龍驤とて、好きで吸っているわけではないが。
「
「オッソロシ ユウメイジン ダネイ」
龍驤は肩をすくめ、煙を深々と肺へ入れた。喉と肺がびりびりと痺れる。遅れて脳髄も。
ふう、と分量の減った煙を吹いた。階段の一角がたちまち煙たくなった。
妖精さんは、ぱか、と口を開けて煙を輪っかにした。
「器用やねえ。ウチそれできひんわ」
感心していたところ、頭上から叱責の声が落ちてきた。
「こらー! ここは禁煙ですよ! 書類に火が移ったらどうするんですか!」
見上げると、両脇にわんさと書類を抱えた五月雨が仁王立ちになっていた。
「おう、
「ダメです! 今すぐ消してください!」
龍驤は後頭部を掻き、もう一服つけてからバットの先端を踊り場の隅で落として火を消した。
「
「ご覧の通り、両手ともに塞がってますっ! 吸い殻はご自分で処分なさってくださいね!」
「すまへん、すまへんて」
龍驤はつまんだままの吸い殻を見て、少し思案した。炭化した部分とフィルタをちぎり取り、煙管持ちの妖精さんに差し出した。
「シケモクやけど」
「イイッテコトヨ」
妖精さんは煙管の先に吸いさしのバットを詰めた。龍驤がコリブリで火を点けると、妖精さんは旨そうに煙を吸い、吐いた。
見れば、五月雨はこめかみに青筋を浮かせ、笑顔になっていた。
「……それで処分したとでも?」
「これは
言いつつ、炭化した部分を指先で揉み、踊り場へ散らした。
「ほんで、こっちは持って帰るわ。ポイ捨てはアカンもんな?」
フィルタを黒い革ジャンのポケットに突っこんだ。
五月雨はこつこつと踵で床を蹴って苛立ちを示した。
「これだから喫煙者は……浪花節は大阪で歌ってください」
「せやかて、ウチ大阪生まれと違うしな」
「だったらどうして関西弁なんですか」
「知らんがな。艦娘になったらこないなっとった。そんだけのこっちゃ。設計者がノータリンやったんやろ。知らんけど」
龍驤はコキコキと首を鳴らしてから尋ねた。
「ほんで、忙しいことは忙しいけんど、ウチと駄弁っとるくらいの暇はあるっちゅうことでええか?」
五月雨は鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。
「……ええ、まあ、この書類は私の執務室に運ぶだけですから」
五月雨は嘆息し、階段を降りてきた。
「情報部の方々は人が悪いですね」
「艦娘やけどな」
「慣用表現です」
「あのクソウサギの下で働いとるさかいな。タチ悪うなるのも詮ないこっちゃ。堪忍な」
二隻並んで階段を降りる。五月雨の執務室は一階にある。龍驤が階段を上っていたのは、まず軍需局を走り回っている五月雨を捕まえないことには話が始まらないからだった。
「……龍驤さん、最近は有名になられたようで。情報部として問題ないんですか?」
「目立つのんが仕事やさかいな。裏方はもっと働いとるで」
「叢雲ちゃんは、元気ですか?」
「元気も何も。相も変わらず、スカーフェイスのびっこ引きや」
「……そうですか。まだ手術を受けるつもりはないんですね」
龍驤の上司である叢雲は、左眼から頬にかけて深い傷を負っており、また右足が不自由なため、常に杖を持ち歩いている。彼女は前線で負傷したのち、高速修復剤による治療ではなく、自然治癒を選んだということになる。
一階まで降りた。
五月雨の執務室が一階に置かれているのは、内外からひっきりなしに人間や艦娘が訪れるためだ。軍需局の最上階、七階まで足労させるのは忍びない、という五月雨らしい判断による。
五月雨は両手が塞がっていたため、龍驤が執務室の扉を引き開けた。
「どうも……あら?」
「電ちゃん、ご機嫌よう」
電が、光沢のない鋭い視線を向けた。
「待っていたのです、五月雨。そっちのは……情報部の軽空母ですか」
龍驤は軽く手を挙げた。
「ぷらずまはん、久しいな」
「い、な、づ、ま、なのです。上官に対する口の利き方がなってないのです」
「堅いこと言いなや。古株同士、仲良うしてえな」
電が食ってかかりそうになったところへ、執務机へ座り書類の束を置いた五月雨が割って入った。
「電ちゃん、私に何か用事?」
「ああ、はい。軍令部の方針で、兵站関連の軍規が修正されたのです。少し込み入っているので、対面で説明しておこうと思ったのです」
「ありがとう。でもごめんなさい、先約があるから、その後でいい?」
軍需局の五月雨といえば、頑固者で知られている。先約があれば、たとえ司令官であろうと譲らない。一方で、道理を認めれば融通も利く。ある面では叢雲以上に、龍驤が頭を上げられない存在である。
電もそのことは理解しており、龍驤をじろりとねめつけた。
「手っ取り早く終わらせるのです」
「はいな」
五月雨が手で促し、龍驤は執務机の向かいに置かれたソファへ座った。
「ちょうどええ。お二方に訊きたいことあんねやけど」
「私も、なのです?」
「せや。ちと内緒の相談が、な」
龍驤は視線をちらりとさまよわせた。
意図を察した五月雨が電話を取り、何やら小声で話した。
「十五分、誰も来ません。どうぞ」
「おおきに」
龍驤は声を低くし、慎重に尋ねた。
「コード・ソロモンて言葉、聞き覚えないか?」
二隻を信頼して尋ねたわけではない。反応を引き出すため、虎穴に飛びこんだ。
軍需局の間取りは全て頭に入っている。
二隻はそれぞれ左右に首を傾げた。
「コード・ソロモン?」
「なんなのです? そのセンスの欠片もないワードは」
二隻の反応は予想通りだった。
「要らんこと教える奴がぎょうさんおってな。甲一の情報らしいんやけど、どうもきな臭い。こっちのクソウサギは知らん、というか、気にしてへんようやけど、あからさまに厄ネタや。正義の味方気取りやないけど、知らんうちに妙なことに巻き込まれるのはご免やさかい」
龍驤は視界の端に五月雨と電の二隻を捉えながら、頭を下げた。
二隻は困惑した面持ちでお互いを見やり、それから答えた。
「と、言われてもですね……」
「艦娘の
龍驤は言葉を失った。
馬鹿な。
龍驤はバットを一本抜き、口の端に咥えた。五月雨が咎めるように視線を厳しくしたが、龍驤はコリブリをひらひらと振って火を点ける意図は無いと示した。
何か咥えていないと、表情に出そうだった。
「あー、すまへん。ウチの勘違いやったか。念のため訊いときたいんやけど、あの外務省に行った『耳欠け』の漣はんもアレか、
五月雨は首を傾げた。
「当然ですよ。吹雪ちゃんだってそうです」
吹雪。軍令部次官の、剃刀とあだ名される吹雪でさえ、だと。
「艦娘が甲種情報に触接すること自体が軍規違反なのです。あなたは任務上仕方ないのかもしれませんが、おいそれと言葉にすることではないのです。叢雲に免じて、今日の話は聞かなかったことにしといてやるのです」
にわかに急増した提督と艦娘による軍規違反は、法務局が取り締まるにはあまりにも多すぎた。軍規が機能していない、などと世間に知られては海軍の面子は丸潰れである。
ゆえに、情報部の督戦部隊は、法務局が表立って動けない案件を担っているという側面もある。今このときばかりは、龍驤は己の立場に感謝した。
「おおきに、おおきに。気ィつけるわ。ああ、
わざと話題を逸らした。事実、ここ数ヶ月は出ずっぱりだったため銃と弾の予備は尽きかけている。電話で済むことを、わざわざ出向いたのは誠意を示す、というパフォーマンスになる。
五月雨は頷き、承諾した。
「分かりました。後で書類を提出してください。最優先で決済します。弾数はこちらで記入しますから空欄で」
三年半の付き合いともなれば、このあたりの融通は利かせてくれる。
「いつもおおきにな」
「龍驤さんも、お気を付けて。危ないことに首を突っこむのはよした方がいいですよ」
「そら無茶な相談や。
電が溜め息をついた。
「必要悪とはいえ、情報部はちょっとやり過ぎなのです」
「ぷらずまはんにも気苦労かけとるのはすまへんて思うとる。クソウサギにゃあまり無理言わんよう言うとくさかい、堪忍や」
「必要ないのです。目に余るようならわたしから言うのです」
龍驤はソファから立ち上がり、首根を指先で掻いた。鳥肌が立ち、うずいて仕方がなかった。
「ほな。ホンマ、つまらんこと訊いてすまへんかった。今後ともよろしゅうな」
「お気遣いなく。叢雲ちゃんによろしく言っておいてください」
五月雨の気遣いが、空恐ろしかった。
執務室を出た。
階段の踊り場では、艦娘と人間が入り交じった、決裁待ちの行列ができていた。恨めしげな視線を向けられた。龍驤は苦笑してサンバイザーを下げ、軽く会釈して軍需局を後にした。
外へ出ると、寒々しい空っ風が龍驤の頬を刺した。
咥えていたバットのフィルタから、紙巻きの部分がころりと落ちた。湿りすぎ、また噛みすぎて、接合部が脆くなっていた。
龍驤はフィルタをぺっと吐き捨て、胸元からもう一本、バットを抜いてコリブリのキックスターターレバーを弾いた。手が震え、火を点けるのにいささか難儀した。
「タチ悪い冗談やで、ホンマ。何を
叢雲を除く
バットの煙が喉と肺を刺した。どれだけ深く煙を吸い込んでも、脳は痺れてくれなかった。
駐輪場へ行き、スーパーグライドを暖機した。
エンジンが十分に温まった後、龍驤は黒い革ジャンに刺繍されている肩の徽章を素手でちぎり取った。残りをその場に脱ぎ捨て、スーパーグライドに乗り、走り去った。
【RJ】
その日のうちに、小さな体に不釣り合いなスーパーグライドを走らせ、龍驤は鎌倉へ向かった。
目的地は鎌倉海浜公園の西方、ホテルを借り上げた鎮守府。国道一六号、神奈川県道二三号、神奈川県道二〇三号、国道一三四号を経由して五〇分弱。二五分程度で到達できるルートも存在するが、有料道路を利用するため足が付く。
夕刻。ホテルのロビーに立ち入ると、警備に立っていた那智と足柄が制止し、所属と要件を尋ねてきた。
臨時で支給されている、菊の御紋が入った手帳を見せた。
「軍令部次官、吹雪直属の調査員、龍驤四四号や。ここの提督はんにちょいと用事あってな。なに、大したことやないで。
今年に入ってから情報部による鎮守府の大粛清が始まり、龍驤は西日本を担当した。休息を得る際、龍驤は吹雪直属の調査員を名乗ることで全国各地の鎮守府に間借りすることを認められている。
那智が手帳を検分し、頷いた。
「承知した。提督は執務室だ。案内しよう」
「おおきに。ああ、足柄はん。手間かけてすまへんけど、ここの雪風ちゃんも呼んでくれるか?」
「ええ、了解したわ」
何故、とは尋ねないあたり、弁えている。ここは殲滅対象とはなっていない、ごく真っ当な鎮守府だ。
エレベーターで最上階の二十七階へ。那智は視界の端に龍驤を捉えながらも無言を貫き通した。龍驤もまた同様にした。
那智は執務室の扉を三度ノックし、呼びかけた。
「提督。那智です。軍令部より調査員が参りました」
「入って貰って」
くぐもった、若い女の声が返された。
那智が扉を引き開け、龍驤を通した。
「邪魔すんで」
スイートルームとして設計され内装が施されたのであろうその部屋は、壁面に並ぶ鉄のキャビネット、中央に鎮座する無骨な執務机、ならびに米の字にテープが貼られた窓によって、本来持っていたであろう優雅さを一切削ぎ落とされていた。
提督は二十代後半と思しき女性で、髪を肩口で切り揃えていた。立ち上がった姿はすらりと細く、黒の第一種軍装は襟元のボタンをひとつ解いて着崩していた。腰に佩いていた軍刀を抜き、椅子に立てかけた。
「どうぞ、おかけになって」
「おおきに」
上等な椅子が執務机の対面に置かれていた。龍驤は深く腰掛け、女性提督が立てかけた刀を見やった。
軍刀は反りが浅く、鍔は装飾のない丸型、
「豊川の
いまどき、刀を常に佩いている士官など時代錯誤にもほどがある。美人顔にも似合わない。
「ご明察。子供の頃から居合をしていてね。手元に無いと落ち着かないの」
提督は気さくに答え、執務机に腰を預けた。
「そら難儀やな。お上がええ顔せんやろ」
「それがそうでもないんだな。飲みの席で型を披露するとね、案外受けがいいの」
「さいで」
ポンと手を叩き、世間話はここまで、と女性提督が示した。
「それで、剃刀吹雪さんがうちに何用? 痛くない腹を探られたくはないんだけどな」
「ああ、軍令部の調査員ちゅうのは半分本当やけど半分嘘や。ウチ、艦政本部第九部がホンマの所属でな。ワケあって軍令部の
龍驤は黒い革ジャンの肩からちぎり取った情報部の徽章、二条の炎に囲われた勅令の二文字を示して見せた。
提督は机から腰を離し、半歩下がった。
「……もう一度尋ねるよ。情報部がうちに何用?」
「そう怖い顔せんといてや。おまはんが真っ白なんは分かっとる。戦果は上々、那智と足柄見ても、おまはん相当信頼されとる。さすが、元帥やっとるだけあるわ」
女性提督は龍驤の褒め言葉を一蹴した。
「うそ寒いな」
「せやからそう警戒せんと。ちとな、ここの雪風ちゃんに聞きたいことあんねや」
提督は整った細い眉の根を寄せ、怪訝そうな顔になった。
「うちのユキ坊に? なおさら分からないな」
「すまへんけど
一般の提督には丙、艦娘には丁までの
提督は苦々しい顔になり、なおも拒絶の意向を示した。
「……あなたが言った通り、うちは堅気も堅気。真っ当にやってる鎮守府よ。変ないざこざに巻き込まれるのはまっぴら。元帥の肩書きは、単にやるべきことをやっていたら勝手に付いてきたもの。
「せやさかい、おまはんに頼んどる」
「頼むも何も……」
女性提督が言いかけたとき、ノックもせずに雪風が執務室へ飛びこんできた。
「すみません、遅くなりました!」
「すまへんな。もう呼んどるんや」
女性提督は顔を片手で覆った。
「しれぇ?」
「いえ。本日いらっしゃったそちらの龍驤さんが、あなたにお話を聞きたいんだって」
「そーですかあ」
龍驤は席を雪風へ譲った。雪風は何が何だかよく分からない様子だったが、龍驤が促すまま、素直に椅子へ座った。
次いで、龍驤はスティックタイプのICレコーダーをポケットから取り出し、女性提督へ放った。顎をしゃくり、録音スイッチを押すよう促した。
女性提督は眉をひそめつつ、言われるがままに押した。
「横須賀鎮守府鎌倉第一二支部司令官・
女性提督がハッと目を見開いた。
「……はい、同意します」
「本件は
龍驤は再び顎をしゃくり、録音スイッチを止めさせた。
「
言いつつ、龍驤は髪の両脇を留めている飾り付きの髪ゴムを外し、長髪を背に流した。
髪ゴムを雪風の頭部から飛び出ている伝声管に括り付け、雪風の艦霊との間に霊脈を繋いだ。
「それは?」
「対攻性防壁用の身代わり防壁や」
「攻性防壁……!? あなた、いったい何を――」
「これ以上はホンマのホンマに知らへんほうがええで」
龍驤は雪風の正面に回り、かがんで視線を合わせた。
「雪風ちゃん、自分が繋がっとる、て自覚、あるか?」
「へ? 何にですか?」
「ええ。無いなら無いでええんよ。ほんなら、ちょいとおねむしててな」
龍驤は青白い霊力の炎を灯した指先で雪風の広い額に触れた。
途端、溌剌としていた雪風の表情がうろんげになり、目の焦点が合わなくなった。一種の催眠状態に陥らせ、脳機能は働かせたまま、自我には眠ってもらった。
「ほんならウチも
女性提督が何かを言う前に、龍驤は雪風の脳に侵入した。
全身の感覚が消失した。龍驤は慌てて自身の
(にしても、ホンマに別の生き物やなコレ)
龍驤の
元がヒトである『改造艦』と異なり、『合成艦』の構造はメンテナンスを容易にするため合理的に作られている。脳も例外ではなく、組成こそヒトの脳細胞に模して作られてはいるが、疑似脳と呼ばれるように、内部構造はヒトとは似て非なるものとなっている。
(さて、と。まずはユキカゼネットワークへのアクセスモジュールやな)
龍驤が
全周を流れていくシステムログをざっと読み取る。各モジュールが吐き出した処理結果が双方向に共有されながらも、プライオリティに応じて、ある特定のモジュールへログを送信していた。
(コレ、モデルは多元的草稿理論か)
ヒトの意識を説明するモデルは様々に存在するが、こと実装が比較的容易なのは多元的草稿理論である。身体の各部から得られた情報はモジュールごとに処理され、重要度の高いものが制御対象となる。統一された意識というものは実装上存在しないが、外見上は統一された意識が
(ほいっと)
頻繁に行き来するシステムログの中から、プライオリティの高いパケットを掴んでぶらさがった。言語野へ向かう途中でログを解析したところ、海馬に該当する部位の隣にあるアニーリング法計算モジュールの計算結果であると知れた。
(アニーリング法やと……? 何をさせとんねや、コレ……)
アニーリング法は主に、組み合わせ最適化問題のような、数理解析では解析困難な問題に適用される手法で、量子コンピュータや電子スピン状態を利用したコンピュータによって実装される。量子状態にせよ電子スピンにせよ、全体が問題の解を表現した状態に落ち着く、すなわち定常状態をもって解とする。
少なくとも、普通の艦娘には不要な機能だ。弾道計算のような、数値解析にリソースを費やすべきだ。
パケットの内容は平文で記述されていたため解析を試みたが、計算結果が意味するところは分からなかった。バイト平面が無秩序に並んでいるだけだった。
体感時間では一分程度、現実時間では数十ナノ秒で、言語処理を担うウェルニッケ野へ到達した。
ウェルニッケ野はパケットのヘッダだけを読み、言語を発するブローカ野へとパケットを送り返した。
(おん? 前頭前野と違うんか)
処理された言語を解釈するのは前頭前野の役割であるはずだが。
龍驤が訝しんでいる間に、ブローカ野から頭表部へ。
(そうか伝声管か)
雪風モデルが例外なく頭部に持つ部品、一対の伝声管。思い返せば、あの伝声管はヒトでいうブローカ野の直上にある。何らかの計算処理を行い、主である雪風の知らぬ間にどこかへ送信するのだ。
じきに、魔法陣めいた紋様の
(こっから先には入られへんな)
これまでの様子を見るに、個々の雪風が計算した結果をネットワークへ返しているようだ。雪風モデルは日本に数百万隻存在することから、グリッドコンピューティングシステムが実装されている公算が高い。ネットワークの巨大さおよび雪風が戦没する可能性を考慮すると、管理者と従事者とで役割を分担するマスタースレーブ方式では具合が悪い。
(ほんならクエリ投げてみよか。通ればええけど)
龍驤は上司である叢雲の権限を参考に『耳欠け』の漣が本来持っていたであろう権限を偽装し、データをくれという
必須キーワードは“コード・ソロモン”、検索対象は甲一ないし甲二に該当するタグ付き。
結果は
これが電子ネットワークであれば手も足も出なかったが、幸いなことにユキカゼネットワークは
データグリッドへ
エクサビットデータリンクという叢雲の言に偽りはなく、一パケットに百京ビットの情報が詰められ、
(おわ、おわわわわわわ!)
龍驤は慌ててプロセス
わずか数十ナノ秒で、雪風の
試しにデータサイズを問い合わせたところ、これでも僅か五パーセントのデータしか取得できなかったと知れた。
(どんだけデカいねや……)
ひとまず集まったデータをIDで並べ替え、先頭から順に見ていくことにした。
データテーブルは複数存在し、また属性も多様だった。
まず鎮守府に関するデータテーブル。鎮守府名、所在地、設立年、提督名、秘書艦、所属艦。
提督名には履歴、心理特性、階級、功績、ケッコン艦数、出撃記録、
といったデータが紐付けられていた。
秘書艦および所属艦には建造年、心理特性、身元、練度、出撃記録、
が紐付けられていた
また、軍規違反に該当するデータテーブルも得られた。
人身売買、艦娘売春、虐待行為、軍機漏洩、物資流出、出撃記録改竄、
これらは既に発生したが取り締まられたもの、発生は確認しているが取り締まりの手が回っていないもの、発生を確認しているが情報収集のために泳がされているものといった分類がなされていた。
そして、コード・ソロモン。これは鎮守府と軍規違反行為のデータテーブルを紐付けるためのタグであり、IDが振られていた。
IDに基づきデータを突き合わせ、龍驤は
(どういうことや、コレ……)
軍規違反行為は提督
共通項はひとつ。秘書艦が全て『改造艦』であるということだった。
他方、タグ付けされた艦娘たちのうち、八割が既に処分、除籍されていた。
龍驤の思考が急速にピースを組み上げていった。
艦政本部第九部佐世保支部、フォークロアの雪風は言っていた。
――あらゆるケースにおいて、主犯は精神に異常をきたした『改造艦』の艦娘なんですよ。
と。
だが、データを突き合わせた龍驤の結論はいささか異なる。
主犯はあくまでも提督だ。艦隊の責任を取る者として提督が存在する。艦娘は兵器であって人間ではなく、したがって責任を取ることは不可能だ。
だが、雪風の言も的外れというわけではない。
おそらくは、一部の『改造艦』が提督を軍規違反行為に誘った。
スナッフムービーを撮影・販売していた鎮守府の秘書艦、赤城は言っていた。
――私が 導いたのよ
と。
そういえば、
――情報、部……どうして……
と。
情報部を名指しで。
思い返せば、
だが、叢雲が漣へ『改造艦』の販路を提供したのであれば、あの驚愕にも説明がつく。漣は叢雲に裏切られたのだ。
案の定、データグリッドへ
(待てや)
はっと気がつき、龍驤はデータグリッドへ
必須キーワードは“強い朝潮”。機密指定区分は設定しなかった。
データは数ナノ秒で提供された。
紐付けられた軍規違反に該当するデータテーブルには、陸軍から朝潮の村への物資供給と、朝潮の村を攻囲していた提督たちへの陸軍からの兵器供給が、ほぼ同時期になされた旨が記録されていた。
加えて、あの攻囲戦が開始される以前の数ヶ月間、物資・兵器ともに供給が止まっていたことも知れた。
さらにデータを
検索を駆使し、記録を発見した。あの攻囲戦が開始される四ヶ月前、法務局の電が陸軍経理局へ出向いて抗議していた。用件は海軍への陸戦兵器横流しの嫌疑について。監査が入り、供給が止まった。
裏が取れた。立場上、情報部長の叢雲と法務局次官の電は密に連絡を取り合っている。そも、叢雲は情報操作にかけては海軍内で右に出る者がいない。電は知らぬままに役割を果たし、陸軍経理局は知らぬままに役割を果たし、結果として燻った熾火へいっきに風を吹きかけて燃え上がらせた。
結果が、朝潮の村そのものの水没と、多数の提督事業者の一網打尽である。
だが、叢雲の真なる目的は、提督を軍規違反行為へ誘う『改造艦』を抹殺することにあるようにも思える。朝潮たちは確かに被害者ではあったが、
(分からへんな。どないに悪どいことやろが、責任取るんは人間サマの特権や。
加えて、かの神通、片足片腕になってもなお十全に戦闘を継続した暴力そのもの。あの軽巡が相生洋一とかいう提督を軍規違反行為に誘う可能性はあったか。否だ。何せ神通が無許可で出撃していた最中に、
そしてあの提督は、功績もぱっとしなければ、副業に熱心でもなかった。
(何なんや。何がしたいねや、クソウサギ)
龍驤はこれまで、督戦の任務に疑問を抱いたことはついぞ無かった。
まこと、不条理にして不幸きわまりないことではあるが、虐待は往々にして新たな虐待を生む。貧困は往々にして新たな貧困を生む。被害者は往々にして新たな加害者となる。
であれば、善悪を問わず、関係者は皆殺しにする。腐ったミカンは箱ごと焼き捨てる。
善良な艦娘を一隻殺害することで他の善良な艦娘十隻分の未来が約束されるなら、龍驤は任務の遂行をためらわない。
目的は、日本の国土から、悪逆非道の輩の餌食となる不幸な艦娘をいつか生み出さないようにするため。
不可能ではないと、龍驤は現実的に判断している。
不断の努力と徹底的な除染が、いつかは病魔を駆逐する。かつて幾度も猛威を振るい、数多の人命を奪い、数多の人生を破壊した天然痘が、現代では一切見られなくなったように。
実態はともかく、かつて絶対不変であり正当とされていた階級社会が悪と見なされ、少なくとも現代の制度上は全ての国民に等しく富む権利と機会が与えられたように。
現代は艦娘というヒト以外の知性体が地球に出現して間もない過渡期だ。歪みは不可避な現象であり、手を尽くし続ければ、いつか収まるべきところに収まる。
竿竹を炙って何度も曲げ、真っ直ぐな竹竿と化すように、歪みが消えるまでは龍驤たちが何度も矯正を続ける。
そのためにこそ、法執行者としての督戦が存在する。
(違うっちゅうんか、クソウサギ)
コード・ソロモン。特定の『改造艦』に付与される、死神の烙印。
最後にワンフレーズ、データグリッドへ
必須キーワードは“艦政本部第九部”および“コード・ソロモン”。検索対象は甲種に該当するタグ付き。
該当する七十二隻の艦娘が抽出された。
龍驤は、当然のごとく含まれていた。
スナッチャーズ、シスターズ、フォークロアも含まれていた。他、龍驤が知らない部隊も含まれていた。
そして七十二隻目として、叢雲も。
龍驤は
見返しても見返しても、紛れもなく
(アカン。ホンマにわけ分からんようなってきた)
叢雲にもタグが付与されている。仮に艦政本部第九部佐世保支部、フォークロアの雪風が言っていたように、叢雲がこのタグを付与して回っているのだとしたら、そして抹殺対象を意味するのだとしたら、自身に付与している理由がまるで分からなかった。
あるいは、雪風の推測が的を外していて、叢雲でさえ
(……ここで考えんのは
目的は情報収集だ。思索は後で巡らせればいい。
龍驤は雪風の
雪風との霊脈を切断すると視界が切り替わり、元の執務室へ戻った。
「終わったで。ご苦労さん」
「は、い……」
雪風は顔にびっしりと生汗をかき、肩で息をしていた。
「何をしたの?」
「言うたやろ。知らんほうがええて。ま、助かったで」
言った、その瞬間だった。雪風の伝声管に結んでおいた髪ゴムの飾りが、チリチリと金属粉がくすぶるような音を立て、爆発した。
「な、何!?」
遅効性の攻勢防壁が雪風を襲ったのだ。
「仕込んどったか……!」
この手口には覚えがある。かつてフォークロアの雪風を殺したのもこの攻勢防壁だった。
どこから悟られていたか、などと考える余裕は無い。
次に到来する
龍驤は両の腰に吊ったホルスターから
「吾妻桜子、刀を取れ!」
陰陽師に
行動を取ってから、ハッと我に返った。
「ちょっとあなた、どういう――」
つもりなの、と続く言葉は、執務室の扉が蹴破られる轟音でかき消された。
ずかずかと侵入してきた艦娘は四席。天龍、龍田、伊勢、日向。
皆、黒い革ジャンを着ていた。血まみれだった。
スナッチャーズ。龍驤の動向が読まれていたのか、それともユキカゼネットワークへの不正アクセスが露呈したか。
ともあれ彼女たちは来た。
意味することはひとつ。この鎮守府は殲滅される。彼女たちは善悪の彼岸を越えて、その場にいる者全てを分け隔てなく平等に鏖殺する。龍驤が常にそうしているように。
幅広の刀を担いだ天龍が一歩踏み出し、からかうように尋ねた。
「ようクソメス提督、いま何時か分かるか? 足柄と那智は刻んでおいたぜ?」
それから、龍驤を見やった。
「おう龍驤、久しぶりだなあ。叢雲がよお、
「冥土で何年待たすつもりや」
クハ、と天龍が嗤った。
「ったく、テメェはほんっとうにクソ真面目だよな――!」
言い終わらないうちに、雲耀のごとき踏み込み。肩に担いだ幅広の刀が袈裟に振り下ろされた。龍驤は反応できなかった。引き金を絞る前に斬られる。
ぱっ、と龍驤の肩口から棒状の何かが突き出された。鞘に収められたままの刀の柄だった。
柄は天龍が振るった刀の
「ん?」
疑念の声を発しながらも、天龍は龍驤の右脚元へ落ちた切っ先を床と水平に凪いだ。
これもまた不可避。その場にいては足首を切断され、宙に飛べばすかさず上段からの斬撃が見舞われる。
すっ、と鞘の先端、
「お?」
ようやく龍驤が反応、銃口を天龍へ照準したが、天龍は素早く飛びすさった。
舌打ちひとつ。龍驤はとっさに椅子に座ったままだった雪風の腹を抱え、執務机の後方へと跳躍した。
案の定、龍田が入れ替わりに薙刀を横薙ぎに振るったらしく、ぴゅうんと鋭く甲高い風切り音が鳴った。
龍田が不思議そうな声を上げた。
「あらぁ?」
見れば、鞘へ納刀したままの軍刀を持った女性提督、が執務机の前方でスナッチャーズと対峙していた。
ハ、と天龍が嗤った。
「オイオイ、人間サマは大人しくしてなって。手元が狂ったら――」
隻眼を背後の三隻に向け、愉悦交じりの声音で言った。
「
女性提督は軍刀をベルトに差し直した。右手を刀の柄にかけ、短く龍驤へ告げた。
「龍驤。ユキ坊を頼むね」
「ドアホ、そないな――」
天龍と龍田が同時に襲いかかった。
天龍は低い姿勢からの心臓を目がけた刺突。
龍田は刺突を避けた姿勢を想定しての、左脇腹を狙う横薙ぎ。
回避不可能な軌跡。なにせ女性提督の背後には執務机がある。
だが、女性提督――吾妻桜子元帥は、目を見張る行動に出た。
左腰から丹田へ向けて斜めに鞘を払った。その最中で、心臓目がけて伸びてくる天龍の切っ先を柄頭で弾いて肩口へと流した。
龍田の横薙ぎは、斜め上に抜かれた軍刀の刃部を滑り、鍔だけを切り取るに留まった。
吾妻桜子元帥は切っ先までを払った軍刀の柄を両手で握り、すかさず龍田と天龍を両断できる軌道、すなわち大上段からの切り下ろしを放った。
天龍はとっさに横転、龍田は石突きで強引に軍刀を払い、刃筋から逃れた。
吾妻桜子元帥は何事もなかったかのように、ゆるりと正眼に構えた。ちらりと手元を見た。すっぱりと切断された鍔を見て嘆息した。
「やれやれ。鍔がもうダメか。艦娘ってのはやっぱりとんでもない馬鹿力だね」
艦娘がヒトと切り結ぶ。ヒトが艦娘と切り結ぶ。それも二合。
前者は倫理としてあってはならず、後者は道理としてありえなかった。
天龍が口をへの字に曲げて不機嫌そうに問うた。
「何モンだ、テメェ」
吾妻桜子元帥は切っ先をゆらゆらと揺らしながら、こともなげに言った。
「キミが言った通り、人間サマさ」
天龍と龍田の間を縫って日向が突進。野太刀自顕流の抜刀法、体をぐんと沈めてから跳ね上げ、股間から鎖骨までを逆袈裟に断ち切る一閃が放たれ、なかった。
「ぐ……」
鋭い小手打ちが、日向の前腕、背側に位置する前腕伸筋群を斬った。野太刀を跳ね上げられなかった日向はとっさに体当たりを試みたが、吾妻桜子元帥は踊るように左脚を引いてかわし、露わになった日向のうなじへ軍刀を小さく鋭く振り下ろした。
切っ先がめり込んだが、脛骨に当たって止まった。日向は頭蓋を執務机にぶつけ、床に倒れ伏した。
「うん。やっぱり首は難しいな」
難しいな、どころの騒ぎではない。新撰組の近藤勇をして「薩摩藩士の初太刀は外せ」と言わしめたのが野太刀自顕流である。その剣術を修めた戦艦の
吾妻桜子元帥が、飄々とした様子で答えた。
「艦娘がヒトの姿で助かったよ。さすがに虎を斬ったことはないからね」
それから、低い声で四隻を恫喝した。
「人間を、舐めるな」
伊勢、天龍、龍田が得物を改めて構えた。
日向も床を転がり、すぐさま高速修復剤のアンプルを自身へ投与して体制を整えた。野太刀を払ってトンボの姿勢となり、体を沈めた。
まさに四面楚歌。それも、ヒトが艦娘を相手取っている。
「し、しれぇ……逃げて、逃げてください!」
雪風が震え声で、必死に訴えた。
だというのに、吾妻桜子元帥はなおも気楽な声音で背後の龍驤へ告げた。
「龍驤。とっとと窓からユキ坊と一緒に行きな。ここは
龍驤は奥歯を噛み締め、一言だけ手向けの言葉を残した。
「……ご武運を」
龍驤は雪風の腹を右腕で改めて抱え直し、左手に持った
全力で跳躍。背をぶつけて窓ガラスをぶち破り、二十七階から自由落下した。
「しれええええぇ――!」
龍驤に腹を抱かれた雪風の悲痛な叫びが、宵の空に儚く消えた。
いくら剣術が達者とはいえ、四隻の、それも近接戦闘に特化した艦娘を相手取って、無事で済むはずがない。意外性が幸いして斬られずに済んでいたが、本気を出したスナッチャーズを相手にしたのなら、一分も持たせれば超人の域である。
着地姿勢を整えながら、龍驤は喉まで出かかっている言葉を必死で抑え込んでいた。嘔吐感にも似ていた。
――堪忍や。
己がいかな非道を行おうとも、己の非道をいかに咎められようとも、絶対に言い訳をしない。
督戦に所属すると決めたとき、龍驤が己に定めた格率だ。
今このときばかりは、それを破りたくて仕方がなかった。
落下の最中、龍驤の頭上から甲高い剣戟の連鎖が聞こえてきた。
夜が始まる。
とてもとても長い夜が。
※以降のエピソードについて
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