Fate/false protagonist   作:破月

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少し短い、そして内容も薄いというか意味が分からないというか
まとめきれない自分の落ち度というか……文才が欲しい






Kapitel 6-2

(side:Lancer)

 

 

 

 

「あ?」

 

 

気が付けば、とんでもねぇ場所にいた。一面の荒野に果てはなく、地平の向こうはどうあっても見渡せない。格好はいつもの甲冑、槍も出そうと思えば直ぐに出せる。自己分析を終えたところで、もう一度周囲を見渡す。乱立する剣はどれもこれも錆びていて、しかし、よく使い込まれているのが見て取れた。それらをしげしげと見詰めていると、絶え間なく吹く風が黄砂を運んでくる。

 

 

「――――――――」

 

 

そのただ中にいて、ぼんやりと立ちつくす。灰色と茜色が混じった不思議な色合いの空には、巨大な歯車が軋みながら廻っている。明らかに現実場馴れした世界だが、別に慌てる必要もない。この風景は知っている。なにしろ以前、意図的ではないにしろ、()という形で見た覚えがあるからだ。ならばこれも夢なのだろうと納得して、目が覚めるのを待つことにした。

 

 

「――――まさか、こんな所に客人がやって来るとはな」

 

 

不意にそんな声が聞こえてくる。かちん、という鉄の音。反射的に槍を顕現して振り返ると、そこに、今にも折れそうなボロボロの剣で体を支える、いけ好かない男(アーチャー)がいた。あまりに不躾な視線を向けていたせいだろうか、居心地悪そうに肩を竦めたそいつは、ある一点を見つめて鼻で笑う。しかし、その仕草には嫌味がない。

 

 

「ああ、なるほど。あの人とまぐわったのか」

「あ゛?」

「はは、そう威嚇するな。しかし……ふむ、なるほど。それならば、ここに紛れ込むのも納得がいく、か……」

 

 

ただ、少しの違和感がある。初めて相対して以降、直ぐに戦闘に移行したこともあって、マシな会話をした記憶がない。そのためはっきりとは言えないが、この弓兵はオレが知る弓兵とは別人のような気がする。なんつうか、こう、穏やかというか、棘がないというか。なんにせよ、この勘は外れてはいないだろう。

 

 

「さて。君は、ここがどこだか判っているのかね?」

 

 

ピン、と空気が張り詰める。穏やかだった気配が引き締まり、支えにしていた剣から手を放してそいつはオレに尋ねた。赤い外套ではなく、薄汚れた灰色の外套を翻し、色のない空を見上げて。

 

 

「異世界、いや異空間、か?座……にしちゃあ、ちーと寂れてる気もするが」

君が御座す所(ティル・ナ・ノーグ)とは、天と地ほどの差があるだろうさ。しかし、それが判っているのなら、きっと直ぐに帰ることが出来るだろう」

 

 

何でもないことのようにそう口にして、男はオレに向き直る。

 

 

「不要かもしれないが、一応助言はしておこう。あの人には彼がついているだろうから、公平(フェア)にいかなければな。さて……決断の時は迫っている。選択を間違えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それは()の望むところではないし、おそらく、君にも都合はよくないだろう」

 

 

だから、と。黄金と灰色が混じった不思議な色合いの瞳を細め、男は言った。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()、光の御子殿」

 

 

――――意識が覚醒する。

 

 

― ―

 

 

微睡みから抜け出した時、目の前にはマスターの顔があった。慈しむような視線に耐え切れず、存外居心地のいい腕の中から抜け出して洗面所に向かう。途中、道場に向かうセイバーとすれ違い、軽く挨拶をすれば微笑まれた。

 

 

「昨夜は、お楽しみでしたね」

「ぐっ、」

 

 

それはもう、ほのぼのと。悪意の欠片は一つもなく、純粋にその結果を喜んでいるかのように。美少女が惜しげもなくその笑顔を晒し、居た堪れなくなった。たぶん、オレ、今、めっちゃ顔赤い。

 

 

 

 

 

― ― ― ― ―

 

 

 

 

 

そわそわとどうにも落ち着きのないランサーを隣に、朝食を絶賛するセイバーの声を聞く。それから昨夜の出来事の顛末を大まかに聞いた。先にこの話を聞いていたらしい遠坂嬢は、例にもれず士郎を殺そうとしたアーチャーに対して令呪を切ったらしい。まったく、予想通りの展開過ぎて、この後の作戦が立てやすくて助かる。そう思いつつ、どうにかこうにか記憶を引っ張り出す。色々と差異はあるが、この世界は"UBWルート"を基準にして進んでいるらしい。とすると、話の流れ的に、今日は士郎達の学校に張られた結界が作動すると思われる。その騒動に乗じて、キャスターとそのマスターである葛木がライダーを倒すのも今日だったか。引き出した記憶を整理しながら、言葉を選ぶ。

 

 

「……取り合えず、二人はいつも通り学校に行きなさい」

 

 

そもそもな話、そうしなければ()()は進まない。素直に頷く二人に頷き返し、次いでセイバーに視線を投げる。

 

 

「では私は、屋敷の警備と貴方の護衛を。霊体化出来ぬ身ですから、シロウやリンと共に行くのは愚策でしょう」

 

 

俺が何を言うまでもなく、心得たとばかりに彼女は言った。その横でランサーは、今日もオレが坊主の護衛な、と屈託なく笑って言う。ハサンとバゼットには情報収集に回ってもらう旨を伝えれば、異を唱えるでもなく首肯し、二人は素早く食事を済ませると席を立った。

 

 

「おじ様は今日もここに待機ですか?」

「いや……今日は外に出ようと思っている。少し、やりたいことがあってな」

「判りました」

「それじゃあ、セイバー。叔父貴のことよろしくな」

「はい、シロウもお気をつけて」

 

 

ごちそうさまでした、と声を揃え、少年と少女は席を立つ。お粗末様と返して、一向に減る気配のない手元の茶碗を一瞥する。食欲がわいてこない、というよりは、そもそも食事の必要性を感じない。空腹感はあるのだろうが、それは何をおいても腹を満たしたいというものではなく、ただ人としての生理現象のようなもので。

 

 

「―――食わねぇなら、オレにくれや」

 

 

どうしようか、と悩んでいるうちに横から茶碗が攫われていく。あ、と思う間もなく流れるようにそれを口にしたランサーに苦笑を禁じ得ず、ついでに主菜や副菜などもやると言えば微かに頬が上気した。

 

 

「アンタの飯は美味いからな。"腹が減っては~"とも言うし……んじゃ、遠慮なく!」

 

 

少しだけ口早に告げられた言葉に、食べすぎない様にと注意して席を立つ。セイバーが恨めしそうにこちらを見てきたが、見なかったことにした。

 

 

『あはは、アルトリアは相変わらず食い意地が張っているねえ』

「うぐっ」

「あ?どうした、セイバー?」

「なっ、なんでもありません、ランサー!」

 

 

居間を後にする際、そんな会話聞こえたが気のせいという事にしておこう。しかし……、やはり、セイバーには魔術師の姿が見えているか、声が聞こえているのだろうか。

 

 

― ―

 

 

時刻は昼を少し過ぎた頃。午前中いっぱいを使って装備の点検等を済ませ、昼食の準備に取り掛かろうとした時、ランサーから学校の結界が発動した旨の連絡がきた。内心舌を打ちながら、思考を巡らせる。

 

 

「(士郎に、令呪でセイバーを呼び出せと伝えてくれ。それから、君はどこかに潜伏しているだろうライダーを探せ。見つけ次第拘束し、結界を解除させろ)」

 

 

了解と手短に返答があり、ぶつりと通話が切れるような音が耳奥で聞こえた。やや不満げだったのは、指示内容が始末ではなく、拘束だったからだろう。出たばかりの自室に戻り、極秘ルートを使用して日本に持ち込んだ武器類の中から拳銃を一丁取り出す。ベレッタ・モデル92。弾丸は十分、予備は恐らく必要ない。久しぶりに身に着けたスーツの下にそれをしまい込み、部屋を後にする。

 

 

「セイバー」

「はい」

 

 

既に戦闘態勢を整えたセイバーは、俺の部屋の近くに立っていた。青と銀の甲冑姿は、やはり彼女に似合っている。

 

 

「俺は、俺のやり方で、この戦いを終わらせる」

 

 

そう言った俺に、セイバーはやや寂し気な笑みを浮かべて頷いた。

 

 

「それでこそ、貴方でしょう。貴方が貴方の道を貫き通したからこそ、()殿()()()()

 

 

その言葉の真意を、俺は知らない。いや、知らないのではなく、思い出せないのだろう。ちりちりと、いつかに黄金の王と会った時の様に、項が痛みとも痒みともとれる違和感を訴えてくる。シャツの襟に爪を立てるようにそこを撫でつけ、彼女の視線を振り切って歩き出した。

 

 

「ご武運を」

 

 

背後で強大な魔力の流れが巻き起こる。応える前に彼女は消えた。俺の言葉通り、士郎が彼女を呼び出したのだろう。もっとも、俺が指示せずとも、あいつはそうしたのだろうが。

 

 

『動き出すよ、()()が』

「ああ」

 

 

こいつの存在にも、随分と慣れてきた。ふわり、と花の香りと共に現れた魔術師は、俺の肩に手を添えて儚げな笑みを浮かべる。その顔を横目に、自分自身の意識を切り替える呪文(ことば)を口にする。

 

 

「――――The desire of my heart.(願いは心に)

 

 

その言葉を聞いて、魔術師は泣きそうな顔をした。

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