伝説のハンターになるぜ‼︎えっ?俺アイルー⁉︎   作:黝 証呂

1 / 2
プロローグ

カチャ………カチャカチャカチャン…カチャ。

 

 

「……ホッ………」ヘイッ!ハァ!!……ドゥア!?

 

「チッ………」ギャォォオ!!

 

「……肉切れた…エリチェンして焼くか…」カチカチカチ

 

「…生肉はあるな……………」……ジョウズニヤケマシタ-!

 

「ペイントボールはまだ機能してる…なッ!」テレン!! グギャァァァア!!

 

 

カチャカチャカチャカチャ‼︎

 

 

「あ………」ゴゴゴゴゴッ!!

 

 

《力尽きました》

 

 

「………………あぁー、クソッ」ポイッ

 

5.6年は使っていると思われる3DS(マイフレンド)をベットの上に投げ、男は椅子の背凭れに身体を預けた。その状態で両足を軽く踏ん張り、四つ足の椅子の前二本が浮く。

バランス力を使った誰しもがやる座り方をして見慣れた天井を見上げる。そして目を瞑れば先程見た光景が瞼の裏側に映った。

 

「……乱入モンスターがラージャンとか聞いてない……しかも障害物の奥からいきなり貫通ブレスとか………」

 

六畳程のスペースのあるリビング。

その部屋にあるのはベット、ローテーブル、テレビ、PCの乗ったデスク、そのデスクとセットで買ったクッション付きチェアー……そしてそれに座る男性……この6畳の世界にあるのは、小物を除けばそれだけだ。

 

「……もう一回行くか」

 

不自然な態勢のまま腕を伸ばし3DS(相棒)を手に取る。

ロード画面は既に済んでいたようで、画面の 中央には操作可能状態のプレイキャラクターが棒立ちしていた。

 

「ま、ず、は………」カチャカチャ

 

そこから無言でまた、ゲームプレイに没頭し始める。

そんな彼の名前は雨塚 時雨(あまつか しぐれ) 36歳。地元の工房で働いてる至極普通な男性。アパートに1人で住んでいる。

 

一日の流れは起床、朝食、出勤、仕事、昼食、仕事、帰宅、夕食、風呂、寝る。その流れの何処かの合間に、娯楽としてゲームを挟むくらいの平凡な人生だ。

 

仕事の関係で工具や制作系の知恵があるだけの特徴の無い男…強いて言うなら30超えてから魔法使い……ただそれだけだった。

 

「……腹減ったな。クエストやる前に何か食うか」

 

キッチンに向かい冷蔵庫を開け、炊飯器の中身も確認する。

 

「米はある……オカズは……これでいいか」

 

皿の上にラップしてあった物を取り出してテーブルに並べ、ついでに缶ビールもそこに置く。

茶碗にライスを盛り、箸を持って即席の食卓についた。

 

「頂きますっと……あむ」

 

そして急な話なのだが、この男の平凡な人生……

 

「モグモグ……ふぐっ⁉︎」

 

……本日をもって幕を下ろします。

 

「ッエ‼︎…オエッ‼︎……な…何…ゲェエ⁉︎」

 

吐きたいが吐けない。最悪の喉越しと共に感じた最悪の悪寒。

喉を潰すほどに掴み、歯を剥き出しにして濁点塗れの奇声を漏らす。

 

(ヤベェ…吐けない……気持ち悪いし目も回る。食ったもんが腐ってた?にしてもこんな即効性があるのか?)

 

眼に映る背景は変色して景色が大きく歪む。意識を保つのも難しくなり、走馬灯が脳内を駆け巡る。

 

(あぁ……苦しいのに慣れてきた。でも助かる気がしない。これが「死ぬ」って事なのか……でもアレだ…心残りが無い人生で良かった)

 

平凡な人生が食中毒と思われる原因で終わると思い、死を受け入れながらも「くだらない」と自分に呆れ笑いを浮かべる。

やがて抵抗するのも億劫になり動かなくなる…意識はプツリと切れた。

 

(………クエ……)

 

…………が…………

 

(クエスト終わってない‼︎‼︎‼︎)

 

死に体で腕を伸ばし、ネイビー色のゲーム機の上に力無く右手が覆い被さった。

 

(………ク……エス……)

 

 

 

 

 

「………ってなわけで死んだんだけど、呆れるのう。ゲームの為に数秒生き返るとか、珍妙な根性見せおって…」

 

(……あん?……あ?…どこだここ)

 

場所は変わって暗闇の中……と言っても闇の無い不可思議な所。

気がつくと時雨(しぐれ)はそこに居た。目の前には白いローブのような物を身に纏った老人がいた。

 

「ここは……あぁー、人間の言葉で言う……何じゃ?まぁ良いか、どうでもいい」

 

(おいおい、いい加減だな)

 

そう言った所で時雨は違和感を感じる

言葉を発したが口を動かした感覚が無い。口元に手を当てようとすると、両手どころか足を含んだ四肢が無い事に気づく。そもそも自分が何を言ったのかは理解したが鼓膜が振動したとも思えない…ここまでくると、()()()()()()()()すら怪しくなっている。

 

「ちゃんと言えては無いよ、今の君口無いし。でも聞こえてるから安心しなさいな」

 

(は?え?…会話は……できてるのか。ひとまず落ち着け…)

 

「その調子じゃ…落ち着け落ち着け」

 

(爺さん五月蝿い)

 

「ヒドッ⁉︎ 神様にそれ言っちゃう?」

 

(あん?爺さん神様なのか?)

 

「そうじゃよ。神に寿命はないからのう。永遠に進行形で少子高齢化じゃ」

 

そう言った(自称)神は手元の手記の様な物に目を移した。

 

「えぇー 36歳 独身 童貞…両親は他界済み、身寄り無しだが人付き合いは悪くない…良くもないけど……」

 

(…何読み上げてんだ?)

 

「君のデータ。前世の行いで死後どうするか決めるんじゃよ」

 

(………本当に俺は死んだのか?)

 

「うむ。明太子食ってな……うーむ、微妙なラインじゃ」

 

(どうした?)

 

「悪行はしとらんが……善行も……」

 

(何?なら俺は地獄行きか?)

 

「いんや……転生じゃな」

 

(…転生⁉︎ アレか!チート能力とか主人公補正とか選ばれし者とか‼︎)

 

「…まぁ少しはあっとるが……」

 

(……少し?)

 

「まずお前さんの現状を教えてやろう」

 

神が空いてる方の手を振るうと、時雨の目の前に青い炎が現れた。メラメラと衰える事の無いその炎は、鈍く輝いていて目に優しい光源の様だった。そして間も無く、中心に灰色の核の様な球体がある事に気付く。

 

(何だこれ)

 

「今のお前さんじゃよ」

 

(俺ッ⁉︎)

 

そう言われ、時雨は見つめていた物が炎でなく姿鏡だった事が今わかった。この姿なら四肢が無いのも会話に違和感あるのにも納得がいく。現在の時雨の姿は、まさに「魂そのもの」といった容姿だからだ。

 

「真ん中の球体が見えるじゃろ?それが魂の核。善行を積めば積む程白く輝き、悪行を行えば黒くなる」

 

(……で、俺はどっち側?)

 

「ギリ黒よりの灰色じゃな。54%黒い」

 

(はぁ?俺が何をした!)

 

「原因は主に二つ。一つは善行を余り積んでいない。付き合いが悪いわけではないが、誘われたら行く程度で昔から積極性に欠けていた。学力は上の下…努力すれば良い大学にも行けたが、面倒で理由も無く高卒で就職………努力すれば政治家やらになって政治も変えれたというのに……」

 

(いやいや……死後にそんなパラレル語られても……)

 

「まぁそれはよい。問題は二つ目……コッチの悪行が主な原因じゃな」

 

(悪行?本当に覚えが無いんだが……俺が一体何をした?)

 

「……童貞」

 

(……は?)

 

「君の身内は両親のみで兄弟姉妹無し、従兄弟無し、叔父叔母無し……これがどういう意味かわかるかの?」

 

(…………?)

 

「君が末代なんじゃよ。君の積極性の無さが、一つの一族を滅ぼした」

 

(……それ俺のせい?家柄のせい?)

 

「とにかく、それが原因で黒よりじゃ。」

 

(黒よりだとどうなる?地獄行きか?)

 

「地獄行きになるのは極悪畜生共……地獄は人間で言う更生施設じゃな」

 

(そんなもんなのか……)

 

「ちなみに天国行きは、途中下車可能の期限無し旅行の様なものじゃな。永遠と遊び、好きなタイミングで転生できる。善行を積みに積んだ者は自分の世界を持ち神になったりもする」

 

(何それ羨ましい)

 

「そうなりたいなら来世で善行を積むんじゃな」

 

(……その来世ってどんな所?転生の特典とか貰える?)

 

「まず後者の答えから。特典は得られるが、善行が少ないからあまり良いのは得られんかな……で、転生先じゃが現世だと記憶を含め特典は持ち込めない…………そこで、コレなんかどうじゃ?」

 

神はそう言って二つ折のゲーム機を掲げる。

それは生前まで手にしていた時雨の3DSだった。それに今入っているソフトといえば…………

 

(モンハン?)

 

「そうじゃ。転生させる世界に執着があれば二次元でも転生しやすい」

 

(チョロっとやったぐらいなんだが……執着ったって、まだクリアしてないだけだし………他の世界じゃダメなのか?)

 

「できなくも無いが、転生先の世界によって善行ポイント消費するぞい」

 

(成る程……じゃあモンハンでいい。その代わり特典くれ)

 

「よし。ポイント内で要望に沿ってやろう」

 

ーー

ーーー

 

「こんなもんかの……それじゃ早速転生するかの」

 

(だいぶ妥協してしまった…)

 

「善行を積まぬお前さんの自業自得じゃ。それじゃ始めるぞい」

 

時間の概念がこの場所にあるかわからないが、俺は神に要望を伝え、妥協しながら特典を決めていった。

転生先がモンハンという事もあり、面白そうなものを要望してみたさ。

 

それがこの二つ↓

 

・通常ハンター1.75倍の身体能力と五感

・知っているモンスターへの擬態

 

本当はもっと頼みたかったが、ポイントが足りないってさ。

そして気付いていると思うが、「1.75」という微妙な数字……何故こんな中途半端な数字なのかと言うと、これも善行が足りなくて減った数値だ。

 

こんな事になるならコンビニでお釣りの下2桁くらい募金すれば良かった。

 

ちなみに「独身」という罪を除けば俺は、70%白(30%黒)だったらしい。兄弟姉妹がいたら状況も変わるので同じく70%……おのれ両親、俺に気を使わずもっと営んどけよ。

 

「はぁ……もっとポイントがアレば、全武器所持とか………ん?」

 

お……独り言ができた。

という事は転生と肉体生成が無事終わり、この世に産まれたのだな。

ゆっくりと目を開けると、産まれて初めての眩い朝日に目が眩む。

 

ちょっと蒸し暑いな……と思ったら密林スタートか。蔓とか生い茂ってるし……にしても目線が低いな。

 

「まさかの子供スタートかニャ?…………()()?」

 

何だ?無意識に変な語尾が付いたな。

記憶継承にもポイントを使うから、工房で培った製作技術と知ってる数少ないモンハン知識以外の記憶は捨てたからなぁ…(少しばかり前世の記憶も残ってるらしいが)

それが影響して性格や口調にも変化が……

 

「ありえるニャ…」

 

………いや、流石に「ニャ」は無いだろう。

 

にしても喉乾いたな……お、丁度いい所に泉が。

近付いて屈み水を掬う…しかし上手く掬えず顔を近付けて直飲みする。

まったく…何だよ「ニャ」って…無い無い、マジで無い。

 

猫かよ!

 

「………猫だニャ」

 

猫かよ。

 

水面に映った姿を見て俺は目を丸くし、その瞳の中にある瞳孔は、驚いた拍子に縦に伸びる。

 

「アイルーにゃ……野生だからメラルーかニャ?」

 

改めて自分の状況を確認する。

金色の瞳とネイビー色の毛並み…切耳で模様は無い。

 

「何でニャ?何故アイルー何だニャ⁉︎」

 

思い出せ!思い出すんだ‼︎

俺は神に何を願った⁉︎

 

確か………

 

 

 

(身体能力と五感は通常のハンターより優れたものをクレ。人離れするくらいの)

 

『君のポイントでできるかのう』

 

(じゃあ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……それ以外は妥協する)

 

『そう言うなら……身体能力はざっと1.75倍程度だけど』

 

(…まぁ良い……()()()()()()()()()は欲しかったが。()()()()()()()()()()()くらいの)

 

『そうじゃのぉ〜。完全にそうとはいかないが、極力希望に答えよう。ポイントが足りなかったら、似た劣化版を得る程度じゃが』

 

(できるのか?)

 

『色々と誤算が生まれるかもしれんがの』

 

(誤算…嫌な響きだがここは欲張ろう。いざ産まれたら異形な人間とか止めろよ?最低ても人里で暮らせるくらいがいい)

 

『わかったわい。()()()()()()()()()()()、更には()()()()()()()()()()()()()を持った人里の住民と同種族にしてやろう。もし他の能力と相性か悪くて誤算があっても自己責任で頼むよ」

 

 

 

………回想終了

 

 

 

それでアイルーかぁ〜〜〜‼︎

確かに条件に当てはまってるけど……身軽に動けて地面潜って回復できるし移動もできる。人里の住民と同種族って言うから、精々人外でも龍人(だっけ?)とかだと思ってた………

 

「…まぁ過ぎた事は仕方ないニャ」

 

自己責任だしな…OKしたしな…最後に確認はする間も無く転生させられたしな。

目立たない外見……筋肉のないスラッとした人の姿でモンスター狩って噂になるのを実感したかったんだが………くそう。

 

「ん?待てよ……もう一つの特典を使えば…」

 

神から貰った「他のモンスターへの擬態」を使えば人にもなれるか?いざという時に上位モンスターに擬態して狩ろうと考え得た特典だが………

 

「試しに……こうかニャ?」ズズッ

 

感覚で擬態を発動させてみる。

するとどうだろう……霧のような白いモヤに包まれ目線が高くなる。数秒してモヤが晴れると、俺は人間に戻っていた。

 

「おぉ、無事になれた!語尾も戻ってる‼︎」

 

良かった良かった。これで人として活動できる。

そういえば………転生した場所は湿地帯。村ではない。この世界に俺の家族や肉親は恐らくいないだろう。

 

「この場合、子孫繁栄させたら善行ポイント加算されるのか?」

 

まぁ良いか………ひとまず………

 

「……戻るかニャ」

 

全裸で突っ立ったって待ってて誰かに見られたら一大事だ。

さて…これからどうするか。

モンスターハンター、通称モンハン。この世界で生きるにはクエストを受けてモンスターを狩って報酬金を貰い生活する事になるだろう。

 

「……オトモアイルー?」

 

まぁそうなるな、もしくはCMで見た噂のニャンターか。

って事は、どの道 主人を探して雇われなければならないのか?

 

「クルル…」

 

「ニャ?」

 

何やら小さな声だったが聞き取れたぞ。成る程…五感は確かに良いようだ。普段は聞こえないであろう小音もこの通り!

 

「そこかニャ!」

 

勢い良く振り向き草むらの奥を指差す。

そこにいたのは黄色の瞳を輝かせる青い皮膚に黒いラインの入った小ちゃい恐竜みたいな奴だった。

 

《個体名称:ランポス》

 

「……こ、こんにちは〜……あはは…逃げるニャ‼︎」

 

掘るんだ‼︎掘るんだオレェェェェエ‼︎‼︎

 

フハハハハ‼︎流石アイルー‼︎掘りやすいぞ‼︎

 

「掘り掘り掘り、イダッ‼︎な、何ニャ⁉︎ アァーーーッ♂」

 

ヤベェェェェエ‼︎尻尾噛まれて引き摺り出されたァァァア‼︎

掘り始めが遅かった?それとも初めてだから手と爪を使いこなせてなかった?

 

「キシャーーーッ‼︎」

 

「ギャー‼︎転生したてなのにーー‼︎まだ…まだ死にたく無いニャーーー‼︎」ドンッ

 

無我夢中でジタバタしていると、偶然 俺の右足がランポスの顔面に当たった。結果としては俺が顔面を蹴った事になるな。

それを食らったランポスは首を後ろへ仰け反らせ千鳥足を披露する。どうやらスタンしてるようだ。

 

「ニャ?効いた?イヤイヤ、アイルーの蹴りなんて雀の涙程度のイメージしか………」

 

まさか…特典、「通常ハンターの1.75倍の身体能力と五感」の影響か?アイルー状態でハンターの1.75倍の力が出せるのか?

 

「だとしたら……」

 

擬態の特典は本来、強力なモンスターに化けてその力を使い戦う為に得た特典だ。アイルーの時点でこの力…アイルーよりハンターの方が腕力やらは高いだろ……となると。

 

「アイルー状態で1.75倍、ハンターの力がアイルーの2,3倍だと仮定して1.75×2or3=3.5or5.25倍。大剣を振り回せるんだ…普通のハンターの腕力を低く見積もっても」ブツブツ…ズズッ

 

口頭で述べ計算しながらハンターに擬態していく。

脳を並列で使い、仮定と結果を求める。ランポスはまだスタン状態。

 

「隙だらけだ…試しに」

 

頭を片手で掴んで足を払い、宙に浮いたランポスを地面に叩きつけてみる。その衝撃がダメージとしてカウントされたのか、ランポスは必死に暴れる。

 

「わわわっ…大人しく……死ろ」ゴキ

 

ランポスの首が300度程回転しそれは意識なく悶える。そして動かなくなるのには、そう時間はかからなかった。

 

「うぇ〜…死肉だ死肉……な、慣れないとな……ニャ」

 

全裸待機は上級者紳士の所業。レベルが違う。そこまで達して無い俺はアイルーに戻りランポスの死肉を観察する。

ルートとか日常使わない数式は覚えてないが、掛け算や大体勘で数値化するのは得意だ。これでも高校では復習無しでクラス内7位くらいだったし簡単だ。

 

「ランポスの身長約140cm体重は約45kg…それを軽々持てるアイルー()の腕力はいったい………逆にハンターの腕力を計算してみるニャ…ガノトトスを釣りカエルで一本釣りするハンター……魚は体積と同等の量の水と同じ重さだったはず…ガノトトスを魚と仮定し体積と同等の量の水が90000Lだとすれば、勿論体重も90000kg……」

 

やめとこう。非現実的で頭が痛くなってきた。

 

……でもここで計算して投げ出すのは気持ち悪いな。

 

「そもそもゲームとまんま同じじゃないかもしれないニャ。ちなみにハンターの腕力が90000kgだとしたら、1.75倍の俺は157500kgニャ。でも暴れるガノトトスを釣り上げるんニャからもっとあるかニャ……でももしかしたら釣りカエルの方に仕掛けがあるのかもニャ。麻酔とか睡眠薬とかで暴れる力を落としてたり…でもどの道157500kg以上………」ブツブツ

 

計算式を展開させながら、俺はランポスの死体を片手に泉へ向かい血抜きをする。

サバイバル知識は無いが、血抜いて焼けば多分いけるだろ。

 

「ニャ?ランポスってそもそも食えるのかニャ?」

 

慣れない手つきでオドオドと首を切り落とす。幸運な事に、近くにはキャンプ跡地らしき人工物があったので、そこで砥石と剥ぎ取りナイフを拝借した。ボロボロだかポーチと焼き肉セットもあったのでそれも拝借。

 

「こんがりこんがりコンガリとー、ウルトラ上手に焼けるかニャー♪」

 

上手に焼けましたー!テッテレー‼︎

いざ試食……うん。不味くない…寧ろ良い。調味料が無いのは残念だけど、引き締まった鶏肉みたいな味だ。

 

そんな事を考えていると、遠くから複数の鳴き声が聞こえた。

複数のランポスと、それに似た逞しい声。

 

「もしや、このランポスの親玉かニャ?」

 

腹八分目で食事を終え、俺は様子を見に行こうとする。

どうせならランポスに擬態してみるか。

 

早速ランポスの擬態を開始する。

しかし俺の身体に変化無し……

 

クルル(あれ)クルルクルクル(なんともないぞ)……キ、キシャーーー(って、何だこの声)⁉︎」

 

ハッ…そう言えば神の爺さん……『ポイントが足りなかったら似た劣化版』がどうこう言ってたな。

まさか……声だけ⁉︎いや、人間にはなれたんだ。「知っているモンスターへの擬態」という特典は、熟知度によって変わるのかも知れない…ひとまず今は声だけ………

 

クルクルル(まぁ仕方ない)クククキシャー(ひとまず行くか)

 

だが面白そうだ。コレでランポスと会話出来ないかな。

 




雨塚(あまつか) 時雨(しぐれ) 36歳 男性。
これと言った特徴の無い魔法使いである。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。