伝説のハンターになるぜ‼︎えっ?俺アイルー⁉︎   作:黝 証呂

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気紛れアイルー

太陽ポカポカ、湿地帯モヤモヤ、暑いけど汗は出ない。

猫って発汗しないんだっけ?

 

「ベタつかないのは利点なのかニャア…前世は代謝良くて大変だったニャー」

 

ランポス達の声がした方に向かうと、道中で嗅覚を刺激されて辺りを見渡す。その僅かな刺激臭を頼りに探すと、木々の生い茂るエリアの中に薬草が育っていた。多分薬草だよな……

 

「ニャンだっけニャ…サバイバル術かなんかで……まぁ試してみるニャ」

 

薬草と思われる植物の葉を千切り、自分の肌に擦り付けてみる。免疫力の低い、首や二の腕にだ。それで毒だったら肌が腫れたりするらしい。が……

 

「…肌がニャい……鼻しかニャい」

 

アイルーは全身毛で覆われている為、それができない。

剃るにしても道具が無いし、体温調整機能が崩れる可能性もある。

ならば人化と思ったが人化どころか、ランポス声真似でも体力を使う。アレから暫くランポス声で遊んでいたが異様に疲れたのだ。

 

「擬態の特典は体力が必要みたいニャね」

 

深く調べてはいないのでまだ仮説の段階だ。今やるべき事…というか興味を示しているのはランポスの群れだ………って、だったら薬草見てないでさっさと進めって話だよな…

 

「怪我はしてニャいし、ポーチに入れるだけ入れとくニャ」

 

根元から引き抜きポーチに詰めると、ふと特典の事を思い出す。

 

「結局特典って、回復力は優先してくれたのかニャア?」

 

ゲームではその場で潜って回復のイメージがあったが、良く良く思い返してみればクエスト中に復活しなくなった事もあったな。

普通のアイルーって回復力優れてんのか?ベットで熟睡するだけで全回復するハンターの方が回復力あるんじゃ………

 

「まぁそのうち調べるニャア〜」

 

ブチブチと薬草っぽい物を採取してまた歩き出す。良い加減に急がないと、ランポスの群れが移動してしまう。

 

「…くぅ………」

 

「んニャ?」

 

茂みの奥から苦しそうな声が聞こえてくる。更には血の匂いも……

恐る恐る近づいて見ると、そこには1人の少女がいた。

防具を纏い、背中に太刀を背負っているところを見るとハンターのようだ。しかし防具の質は悪く太刀は骨でできている。パッと見たところ下位ハンターだろう。

 

「凄い血ニャ…」

 

「誰ッ⁉︎…なんだ……アイルーか……ウッ…」

 

右肩を抑えて少女は蹲る。見て見ると止めどなく血は流れ、防具の隙間を爪か何かに裂かれたようだった。

 

「…ランポスにやられたのかニャ?」

 

「……うん…」

 

「………応急薬も尽きたならリタイアした方が良いニャ」

 

「嫌だ‼︎ それはダメ‼︎」

 

足元に転がった空の瓶を手に取り、俺は諦める事を推奨した。

すると強い声で却下される。

 

「………ニャ」

 

「……野良アイルーにはわからないだろうけど…アタシはやらないといけない事があるの……ならないと………ハンターにならないと…アタシは……」

 

悔しそうにそう言う少女は俯き黙り込む。

今のセリフからして少女はハンターにまだなってない。今は試験か何かでここに居るんだろう。

 

「……ニャンでハンターになりたいんだニャ?」

 

「………兄が今のアタシの歳でハンターになって島を出て行った。それで…………訳あってアタシは今年中にハンターにならないといけないの。わかったらどっか行って」

 

「話せない事があるニャるね」

 

「うるさい」

 

「今日は止めるべきニャ」

 

「うるさい」

 

「次頑張れば良いニャ」

 

「うるさいうるさい…五月蝿い‼︎」

 

「ニャ⁉︎」ギンッ!

 

無傷の左手で太刀を振るってくる。

俺はそれを剥ぎ取りナイフで受け流し距離を置く。

 

彼女は恐らく右利き…太刀筋がブレてたし遅い。それに気付ける辺り、動体視力も向上しているようだ。

 

それはそうと……

 

「ぅ…ぅ……あんまりダァ…… あぁんまりだぁぁあ‼︎ ニャヒヤヒニャヒィ〜〜〜‼︎ うぅー、俺のナイフがぁ〜〜‼︎」

 

どっかの誰かさんが捨てたお古だし、壊れて当然か……ランポス切った時にもうガタが来てたし。

ひとまずノリで泣き喚いとこ。

 

「…君もアタシをバカにするの?」

 

「フゥー、スッとしたぜぇー……何がニャ?」スッキリ

 

「……どうせアタシは何もできない役立たずよ…どうせ…アタシなんか……」

 

「ニャニャ⁉︎」

 

なんか会話できないし泣き出しそうだな…訳あり?結局諦めそうなの?

聞かないにしろどうやって慰めたら……そうだ。

 

「コレあげるニャ」

 

「……薬草?」

 

薬草だった!ビンゴ‼︎

 

それを右肩に押し当てて止血する。

みるみるうちに血は止まり、手を離すと既に傷口は閉じかけていた。

何それ、やっぱりハンターの方が回復力あるだろ。それとも薬草が凄いの?…………ってあまり人の肌はマジマジ見るもんじゃ無いな。

歳の差的にお巡りさん来ちゃう。

 

「ひとまず傷を治すニャ。その後は治ってから考えるニャ!訳は知らニャいけど、大切な事なら諦めちゃダメニャ‼︎」

(↑大事な大学受験を面倒と言ってスッポかした36歳)

 

「………でも…この傷は薬草ぐらいじゃ…」

 

「チョット待ってるニャ」

 

少女を置いて辺りを走り回る。湿地帯って確かあいつがいたはず……あ、いた‼︎ ナイフは壊れてたから……人化!

 

「シャァァアオラァア‼︎」

 

「……………」ゴキ…プギ---!!

 

「お待たせニャ!」

 

「さっきの野太い声何?子豚の悲鳴聞こえたよ?」

 

アッハッハ‼︎ 企業秘密のノーコメントです‼︎

茂みの中からじゃ蹲ってるし見えなかったんだね。俺は首をネジネジした苔の生えた豚を引き摺って来る。

 

《個体名称:モス》

 

背中からキノコ類を生やした豚だ。

 

「モス‼︎…素手で仕留めたの⁉︎」

 

「ニャ。それよりキノコにゃ!」

 

「う、うん」

 

腰から剥ぎ取りナイフを取り出し、少女はモスから素材を剥ぎ取る。

アオキノコと薬草は調合で回復薬になる。これで傷は薬草以上に回復するだろう。

 

「……どうニャ?」

 

「…コレならもう少し頑張れそう」

 

「それは良かったニャ」

 

「ありがとねアイルーちゃん。出会ったばかりのアタシを助けてくれて………何で諦める様に促したのに助けてくれたの?」

 

「……君なら大物になれる…そう思ったからニャ!」

 

嘘です。ただの善行ポイント集めです。転生して以降、助けたらいい事ありそうでね。人間との面識も作らないといけないし。

ひとまず励ます系のポジティブ発言を…

 

「無責任だね」

 

「ニャニャ⁉︎なら俺がオトモになってあげるニャ‼︎」

 

「ハハッ、君なら頼もしいね。会ったばかりだけどそんな気がする」

 

「なら早く行くニャー‼︎一緒に討伐するニャー‼︎」

 

「ありがと。でもコレは試験でもあるから、アタシ1人でやらないと」

 

「(´・ω・`)」

 

お兄さん心配です。ランポスにやられたこの子が無事討伐てきるでしょうか…………え?36歳はお兄さんじゃない?細けぇ事は良いんだよ‼︎

 

「お礼になるかわからないけど、これあげる」

 

「キノコにゃ。紫キノコにゃ」

 

「毒テングダケだよ、モスから一緒に取れた」

 

「いいのかニャ?」

 

「うん。それはもう君のキノコだ。好きに使って」

 

「俺のキノコ♂w」

 

「じゃあね」

 

「ニャ……バイバイ」

 

行ってしまわれた………よし!善行かわからないが、是非ともあの子には合格してもらいたい‼︎ 今やる事は特にないし、やっぱりドスランポス討伐を手伝っちゃおう‼︎

 

「善は急げニャ‼︎」

 

俺はまたキャンプ跡地に向かって駆け出した。

 

「キシャーー!」

 

…相変わらずランポスには、声しか擬態できない…と。

 

ハンターのダッシュと同じでスタミナ使うな、やっぱり。

鬼神モードみたいなスキルなのかな?鬼神つーか奇人だけど。

 

 

 

 

 

さてさてさてさて、俺は今…何処へいるでしょーか‼︎

 

さぁ本日初コーナー‼︎ 時雨を探せ。3,2,1……

こっこでーす。ココ、ココ、ココ‼︎ ココでございます‼︎

 

正解は「ランポスの巣穴の天井にへばりついていた」でした‼︎

はい、現在進行系でスッゴイ威嚇されてます。

 

『何だあいつは‼︎』←ランポス達

『侵入‼︎侵入者‼︎』

 

『俺は時雨!仲良くやろう』←声真似

 

『……………』

 

あらら〜?声真似したら黙っちゃった。

でも一応大人しくなったし降りてみよう。

 

「キシャーーーー‼︎」

 

「ニャ⁉︎」

 

普通に攻撃してくんじゃんMA☆ZI☆KA‼︎

どうすっかなぁ…いっぱいいるからなぁ……

 

武器と呼べる手持ちの道具はキャンプ跡地で手に入れた投げナイフ7本だけ。火薬草とニトロダケも見つけたから、小タル大タルも欲しかったな。

 

『我々に声を真似る怪しいアイルーめ…ヤレお前達‼︎』

 

《個体名称:ドスランポス》

 

少々威厳のあるドスランポスの声。

キシャーキシャー五月蝿いけど、何となく何言ってるか分かる。どうも擬態は会話程度の力しか発揮しないのかな。面白いから良いけど。聞く分には特典使わないし。

 

「やれやれ……まぁ仕方ないか。ドスランに危害くわえようとしてる身だ。仲良くはやれんか……」

 

『⁉︎』

 

人化して戦闘態勢に入る。

もちろん姿を変えればランポスもビックリ。少しばかり俺と距離を作る。

 

「最後に運動したのはいつだったか……顔も思い出せない先生の元で、ボクシングの授業を受けたくらいだな」

 

『か、かかれ‼︎』

 

ランポスの群れが一斉に飛び掛かってくる。

ひとまず1番近い奴の牙を避けて頭を掴み、力任せに右の奴に投げつける。それと同時に空いてた右手で投げナイフを左の奴に投げる…が、外れて後ろの奴に当たった。無駄にはなってなくて良かった。

ナイフが当たらなかったランポスには、投げたモーションで下に下げた腕をアッパーの容量で振り上げる。それは偶然アゴを打ち上げ、ランポスはピヨる。

 

この間僅か数秒…身体能力向上をかなり実感した。

 

まだまだ飛び掛かってくるランポス達……それと向き合う全裸の俺‼︎

嬢ちゃん…まだコッチに来ないでくれよ………

 

「全速前進ダァ‼︎」

 

『奴を止めろ‼︎』

 

ドスランポスに向けて前進すると、分かりやすくランポスが立ちはだかる。

 

「前に三体…飛び掛かってくるのが4体…左1、前1、右2…」

 

まず正面の奴にカウンターで蹴り、左手の奴の首根っこを掴み、右の奴に叩きつける。残った一体は投げナイフで対処…そしてもう一本を前で道を阻む三体の左の奴に当てる。

 

「残り5本……」

 

接近して跳躍し真ん中の奴を足蹴に更に跳び、同時に右にいた奴に上からナイフを投げつける。

 

「4本……」

 

ランポスの壁を越えドスランポスと対面。跳び蹴りをかますがランポスとは違う強靭な肉体でピヨらない。それでもチッとは効いたか?

 

「3本‼︎」

 

ドスランポスの胸筋に投げナイフが突き刺さり、悶えた隙に顔面ストレート。

 

「キシャーーッ‼︎」

 

「イッテェ‼︎」

 

ストレートを食らって尚、俺の拳に喰らいつくドスランポス。

牙が腕を食い込んでいき無理に引けば引き千切れるな…どうする⁉︎

 

あ……そうだ。

 

『コレをやろう。俺のキノコだ♂』

 

……毒テングダケ eat in☆

 

『貴様⁉︎』

 

吐き出そうと口を開けたドスランポス。俺は噛まれた手で口から溢れる毒テングダケを掴み喉に押し込む。

 

「押してダメなら引いてみな………逆か‼︎ ゴフッ⁉︎」

 

後ろ足で思い切り蹴られ、俺はランポスの群れに吹っ飛ばされる。ランポスが追撃してくるが、すぐに立ち上がって回避する。

 

『一旦引くぞ‼︎』

 

ドスランポスのその声でランポス達は追撃を止めて逃げ出す。だが飲ませたぞ、毒テングダケを‼︎

 

「吐かれたらどうするか……まぁ、ダメージもある程度はいったし、結果オーライにゃ」

 

アイルーに戻り腕の傷を見てみる。かなり深いが流血は止まっていた。回復力は確かに特典で得らたらしい。

 

「でも……エネルギーが足りないニャ……」

 

仕留めたランポスは2匹……あとは手負いにこそしたが逃げられてしまった。

ひとまず泉に戻ってこいつら食うか。

 

 

 

 

 

血抜きしてる間に採取だ採取。

泉には魚もいたので釣りミミズとか見つかれば……

 

「見つけはしたけど、竿が無いニャ…」

 

確かに「釣りミミズ」なんて名前でも、釣竿とセットで野生にいるわけじゃ無いか……竿は多分、ハンターの標準装備なんだろうな。

いっそ俺の竿♂を………やめとこう。下ネタに走りすぎだ。

 

「どうするかニャ〜」

 

「…アレ?アイルーちゃん?」

 

「ニャ、ハンターのお嬢」

 

「見習いハンターだよ。何してるの?」

 

先程助けた少女が草むらを掻き分けて近付いてくる。

良かった、無事か…

 

「そっちこそ。クエストは完了したかにゃ?」

 

「ううん。まだターゲットの飛ぶ影すら見てない。そう遠くにはいないと思うけど」

 

「そうニャか……()()()?」

 

「うん。アイルーさんは見なかった?アタシが追ってるのは怪鳥何だけど…」

 

怪鳥と言ったらあれか…先生か。

 

「…ランポスは?」

 

「ランポス?あぁ…君と出くわす前に群れとぶつかったね。まったく災難だよ。数が異常だったし、お陰様で応急薬無くなった。だから今、回復薬を作り回っていたところさ」

 

「ニャア………」

 

討伐対象ってドスランポスじゃねぇの?

見習いハンターはドスランポス討伐が卒業試験じゃねぇのか⁉︎俺が持ってたのは2Gと4Gだが、2Gの訓練クエストは雪山でドスギアノスだったぞ。

 

「見習いハンターにゃのに大丈夫かニャ?まずはドスランポスとかじゃ…」

 

「ドスランポスは討伐した。本来なら今頃ハンターなのに教官ったら…「お前はまだ未熟だ。ハンターになるのは諦めろ」ってさ…で、怪鳥を討伐できたら考えてやるって」

 

「ニャ…」

 

「………ん?…風が変わった?」

 

この子厨二病か………いや、本当に風が変わったな。

風向きと風速、耳を澄ませれば風が音として鼓膜を振動させる。

 

「…どうやら近くを飛んでるみたいだ。アタシは行くね」

 

「ニャ。また縁があれば…」

 

「うん、またね」

 

彼女はまた来た道とは別の方へ歩いて行った。

だが先生をあの子が討伐できるのか?俺は転生特典で戦闘のセンスも1.75倍で得ているようで、それなりの力量もわかる。でなければランポスの群れに全裸特攻なんて不可能だ。

 

「備えも有るようだし……倒す見込みもあるニャけど…」

 

そもそも骨刀で狩れる程のモンスターだったか?

 

「お、血抜きは終わったかニャ?」

 

ポーチから携帯肉焼きセット(古)を取り出して組み立てる。

腹が減ってはなんとやらだ!

 

「こんがりコンガリこんがりと〜♪」

 

…今更だが、ランポスの肉は生肉と同じ要領で焼けるのか?

一度成功してるし気にすること無いか。

 

「上手に焼けましたー………南無三南無三…いただきます」

 

ランポスの群れに特攻したのも無駄だったなぁ……てっきりドスランポス討伐のテストか何かをしにきた見習いハンターだと思ったぜ。

それはともかく、俺は自分の性能を確認するか。

 

 

 

 

 

えぇー、アレから数十分後……人化や声真似をしてわかった事が1つ。

予想通り擬態による行動はゲームで言う「スタミナ」を消費する。

人化はその状態でアクションをすれば…声真似は声を発する度にスタミナを使う。オマケにこの擬態でスタミナを消費すると、少しずつ()()まで減るようだ。

今まで休めば回復していたが、繰り返す内に自然回復の効き目が薄くなってきた。そこでランポスの肉食ったらまた元気出たしこの推測はあっているはず………

 

「人化で暮らすには、毎日定期的に強走薬飲まないとニャ〜」

 

ランポスの骨を前に再度合掌して命の恵みに感謝して立ち上がる。

にしても相変わらず擬態は声のみだな……それもランポスであってドスランポスではない……人になれるのは前世が人だからと特例だとして…食したのが原因か?ドスランポスは食ってないからな。

次出会ったモンスターを食ってみるか。

 

『おい…』

 

「んニャ?」

 

声が聞こえて振り返ると、そこには大きめのランポスが……

トサカの色からしてドスでは無いな。差し詰め副リーダーか…そのランポスの後ろには5体のランポスが構えている。

まずは声真似で会話をしてみるか。

 

『……何の用だ?』

 

『ッ⁉︎…やはり聞き間違いでは無かったか…我々と会話ができるアイルーがいるとは………人に化けたのも見間違いではあるまい』

 

って事はさっきは無視されただけか。

 

『ん…まぁ俺が特別なだけだがな。で、何の用だ?』

 

『親父が死んだ』ザッザッ

 

その一言をキッカケに、副リーダーの後ろにいた5体が横に広がる。泉を背にした俺は、計6体のランポスに囲まれる形になった。

んー…毒テングダケの毒で逝ったか……俺としても意味のない事をしてしまったし、少し申し訳ないな。食料調達の為だとしておこう。

 

『……復讐か…ランポスにもそういった概念があるのか?』

 

『無い。だが俺は親父の後を継ぎ、群れを導かなければならない。縄張り(テリトリー)に現れた危険因子には、消さなければならない……俺の命や多少の犠牲を払おうとな』ザッ

 

遠くで聞こえた土を踏む音……どうやら目の前にいるのが全てでは無いようだ。

だがどうする?この数を切り抜けられるかもしれんが面倒臭い…倒しても食うつもりは無いし面倒臭いんだよな。計3体のランポス食ったけど声真似が上手くなるわけでもなかったし面倒臭いし………何より面倒臭い。

そもそも此奴ら、俺を今仕留める事に何のメリットが? 危険因子排除ってのはあるだろうが、群れが更に傷付きデメリットの方がでかいぞ。

それを理由に和解とかできないかな。

 

『俺は生きる為に行動をした。弱肉強食が自然界の掟……それでもお前らのリーダーを殺したのは申し訳ないとも思ってる』

 

『可笑しな事を言う……弱肉強食の理を前に、正義も罪人も無かろう‼︎」

 

あんたの方が可笑しな事言ってるけどね。人じゃないのに罪人とか言ってるし。似た言葉で翻訳されてるだけか?

 

『縄張りから排除させてもらう‼︎』

 

『ならお前らに危害を加えない。だからお前らも俺に手を出すな』

 

『………?』

 

あ、「何言ってんだコイツ」見たいな顔してる……

まぁこの数なら倒せるって自信もあるんだろ。俺の命を諦める理由が今のところは思い当たらないようだな。所詮はランポス、ドスではない。

 

『…そんな顔すんなよ。互いに利点のある話じゃ無いのか?お前んとこのリーダーは死にお前が後を継いだ。そしてお前はまだランポス(子供)だ、ドスランポス(大人)では無い。少なくとも今は群れの体制を立て直し成長した方が良いんじゃないか?』

 

ドスランポスはランポスより知能が高く強い個体だ。故に群れを統率する事ができるのだが、この2代目はまだそんな器ではない。

周囲のランポスが従ってるあたり、ドスランポスになる技量は有るようだが時間がかかる。

 

『今やりあったら俺もタダじゃ済まない。そしてお前達も何体か倒れる。互いにメリットは無いんだ』

 

『だが俺は…群れを導かなければ……むむ…俺はどうすれば』

 

おうおう悩んでますなぁ〜

 

『少なくとも今は引け……そしてそれが良い選択だったかどうか判断できるようになってから出直せ。俺がお前らにとって危害有る者だったら、どうせまた戦う事になるだろ。なら始末はその時でもいいだろ?』

 

『………』

 

しばらくの静寂の後に、ランポス達は帰っていった。何だ……話せばわかる輩じゃん。面倒な事に何なくてよかった。

だが俺に流された感があるな…今の群れ大丈夫かなー

さてと………ん?

 

「ニャ?………アレは」

 

日光下にいた俺を一瞬影が覆う。上を見上げてみると、大空を滑空して飛ぶ怪鳥の姿があった。

 

《個体名称:イャンクック》

 

………絶対アレは骨刀じゃ苦戦する。ましてや見習いハンターじゃねぇ…

乗りかかった船だ…様子を見に行くか。

 

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