貴方だけの歌 ~ラブライブ! School idol IF~ 作:貫咲賢希
ヾ(*`Д´*)ノ"彡☆「お客さんめちゃくちゃ少ないじゃんっ!」
ε=┏(゚ロ゚)┛ダダッ!!「もういいよ……私、アイドル辞める!」
「では、こちらになります。少々お待ちください」
346プロ所属シンデレラプロジェクトのプロデューサーは一行くを案内した楽屋のノックをした。
「失礼します。いま入ってもよろしいですか?
「プロデューサーさん? はい、どうぞ」
扉の向こう側から声を確認してからプロデューサーは一度楽屋内に入る。
「お邪魔ます。是非、お二人にお会いしたいといった方々がいらっしゃいましたので案内しました」
プロデューサーはそのまま廊下に出た後、変装を解いて待機していた色明に入室を促す。
彼は礼を言った後、紙袋から花束を二つ取り出して部屋の中に入室した。
「お疲れ様」
「いっくん!? うわぁ、もしかして見に来てくれたの!?」
色明の姉であり先程ステージで歌を披露したLOVE LAIKAの一人、新田美波は既にステージドレスから私服に着替えて終わっており、弟の来訪に驚く。
いっくんというのは家族間での愛称なのだろうと、廊下で様子を窺っている海未が微笑ましく思う。
「美波、誰ですか?」
その傍で同じくLOVE LAIKAの一人であるアナスタシアが、仰天する相方と突然やって来た人間を交互に見ていた。
「話したと思うけど、この子は私の弟よ」
「オトウト? Ой! брат! 前に言っていた歌手の!」
「初めまして、ご紹介に預かりました歌手の弟です。まぁ、俺のことはどうでもいい。今回の主役は二人だ。改めてライブお疲れ様。初ライブおめでとう」
にこやかに笑いながら色明は準備していた花束二つをそれぞれに手渡すと、彼女たちは花に溶け合うような朗らかな笑顔を浮かべる。
「ありがとう、いっくん!」
「спасибо! ありがとう、ございます」
「残ったこの土産はうちの両親から。プロジェクトのみんなにお姉ちゃんから渡してくれるか?」
「わかったわ」
何気ない姉弟の会話だが、そこに予想外な言葉があった。
お姉ちゃん! 色明は姉を自然体でそのように呼んでいる。
これに音乃木坂メンバーは驚きだった。
今までの接した彼の雰囲気を考えれば、ぞんざいに姉貴。もしくは茶化してお姉さまなど言っているイメージだったのだが、思いがけない普通さに逆に衝撃を受けている。
海未の場合はなんだか可愛いと感じる始末だ。
自分たちやファン。そして旧知の間柄であるあおいとも違う雰囲気がとても新鮮だったようである。
「それでお姉ちゃんたちはこの後で打ち上げでもするのか? 一応、お母さんが家で料理を作ってるから少し余裕を残しててほしいんだが」
「え、そうなの? 特にはそういう話は聞いてないけど、あったとしても今日はちゃんと帰って頂くわ。もしかして、いっくんも今日は家に帰るの?」
「まぁ、お祝いだからな。アナスタシアさんもよかったら如何ですか?」
「いいのですか? 折角の家族団欒では?」
遠慮しようとするアナスタシアに色明は気にした様子なく頷いた。
「むしろ、うちの両親が是非招待するように言われましてね。姉の口からではなく、別の人間から我が家の長女がいかにアイカツに勤しんでいるか家族一同興味津々な訳でして」
「えぇ!? ち、ちょっと恥かしいんだけどっ!」
「わかりました。私で良ければお話しますね」
「あ、アーニャちゃん? あまり、変なことは言わなくていいからね?」
「大丈夫です! 如何に美波がアイカツしているのか説明しますので心配しないでください!」
「うぅ、私が恥かしい思いをしそうなのは変わりないような……」
美波は困ったように口をもにょもにょさせていると、話題を逸らすように扉の向こう側からこちらを見ている団体に目を向けてる。
「そ、そういえばいっくん! さっきからコッチを見ているのは──」
「やっほ! 美波お姉ちゃん久しぶりだね!」
此処が出所だと見計らったあおいが元気な掛け声と共に美波のもとへやって来た。
「やっぱり、あおいちゃんだ! 久しぶりね。ライブ見に来てくれたの?」
「もちろん! 美波お姉ちゃんまで芸能界入りするんだから、その門出を見逃すわけにはいかないわ!」
「うふふ、ありがとう。なら、後ろの子達はもしかしてスターライトの?」
「違うよ、お姉ちゃん。あいつ等は俺の連れだ」
「いっくんの?」
「ほら、お前たちも入ったらどうだ?」
意外そうな顔浮かべる美波の傍で色明が海未たち呼びかけた。
彼女たちは少し躊躇いがち入室する。
「は、初めまして。クラスメートの園田海未と申します。弟様にはいつもご懇意していただいております。そしてこの度は初のご講演、真におめでとうございます!」
「海未ちゃん……なんだか仰々しいよう。あっ、私もクラスメートで高阪穂乃果です!」
「同じくクラスメートの南ことりです。よろしくお願いします」
「こ、後輩の小泉花陽と申します! LOVE LAIKさん、すっごくステージ良かったです!」
「星空凛です! かよちんと一緒で後輩です!」
「……同じく後輩の西木野真姫です。……ライブでは素敵な音楽を聞かせていただき、ありがとうございました」
「えっと、高阪の妹の雪穂です。今日は姉たちと共にライブを見に来ました」
「雪穂の友達の亜里沙です!」
「あ、貴女は確か──」
最後の亜里沙が自己紹介し終えたところでアナスタシアが反応した。
彼女は亜里沙を見ると嬉しそうに微笑む。
「ロシア語で声援をくれた人、ですね?」
「え!? 聞いてくれたんですか!? 覚えてくれてたんですか!?」
「もちろん。綺麗なロシア語だったので、びっくりしました。そして、それ以上に嬉しかったです」
「うわぁ、なんだか照れるなぁ……」
「亜里沙はロシアのクォーターなんですよ。それでロシアハーフであるアナスタシアさんを見に今日はやって来たんです」
雪穂の説明を受けたアナスタシアは目を見開きながら顔を綻ばせた。
「Oh! そうだったのですか! 似たような境遇の人に見てもらって嬉しいです! よかったら色々をお話を聞かせてください」
「え!? ど、どうしよう雪穂?」
「好きに話したらいいんじゃあない?」
「じ、じゃあ、アナスタシアさんはどうしてアイドルに──」
そうやって相方が会話を弾ませる横で、美波は自分の弟が連れてきた少女たちをまじまじと見つめる。
「いっくんのクラスメートと後輩……。同じ学校ということは女子高の?」
「ええ、そうです」
頷く海未を見て、美波は神妙な顔つきを浮かべた。
「話には聞いてたけど本当にいっくんは女子高に通ってるんだね。最初に話を聞いたたときはびっくりしていっくんて実は妹だったのとか、でも一緒にお風呂に入ってたときは──」
「お姉ちゃん、小学校上がる前の話をついこの間のことのように話すのは止めてもらえませんかねぇ! ドン引きされてるんですけど!」
「あっ! ごめんね! つい、動揺しちゃって。えっと、見本生だったかしら? 私の弟が沢山の女の子とたちに男を教えるとか不思議な気分で」
「間違っちゃいないが誤解を生むような発言は止めていただきたいんですけど!」
「でも、お姉ちゃん心配で──」
「自分でも妙な話を引き受けたとは思うが、少しは信頼してくれよ」
「けど──」
「お姉様、落ちついてください」
見かねた海未が口を挟む。
突然呼びかけられて驚いてる美波に海未はしっかりとした言葉を送った。
「確かに弟様が女子高に通うことは私たちも最初は戸惑いました。
ですか、実際彼が通うことで良かった部分はあります。女の手では大変な力仕事を率先してやってくれますし、異性である彼を意識して身嗜みを正す生徒も増えてきました」
「ん? どういうこと?」
「それはね……」
意味が解ってない一年生たちにことりがそっと説明をする。
「一年生の頃はそうじゃないけど、周りが女の子ばかりだと別に見られてもいいやって気の抜く子が増えるんだよ。でも近くに男の子、しかも新田くんみたいなカッコいい人の前でそうするのは恥かしいから、だらしなくする子が減ったってお話」
『なるほど』
納得する一年生一同。
そういえば、一年生の教室にも色明が顔を出すのをしばし見かける。
自分たちに会うためだけだと思っていたが、彼なりに役目を全うするため他の学年も気にかけているかもしれないと一年生たちは考えた。
「見本生という制度に抵抗を感じる生徒もいなくはないでしょうが、彼を通して異性に忌避を抱くのを止める女性もいます。少なくとも、私は彼を信頼してます。
だからお姉様はご安心を。貴女の弟は信頼に足る人物なのですから」
「……そうね」
海未の言葉を聞いた美波は静かに頷いた。
「いっくんは自慢の弟だもの。なら、信じてあげないとね。でも、多分いっくんでも困るときはあるから、そのときは助けてくれるかな?」
「それこそ無論です。困っている人を助けるのに、理由なんて必要ないですよ」
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その後、ほんの少ししてから廊下で待機していたプロデューサーにそろそろ移動と言い渡されたため、一行はLOVE LAIKAの二人と別れる。
また、あおいはこの後仕事があるため離脱。
人気アイドの一人だけあって多忙であり、今日も無理して来たらしい。
残る少女たちを惜しみながら、彼女はまたねと去っていた。
色明は一日オフのようであり、夕方には実家に戻る予定。それまでは少女たちに付き添うことにしたようだ
今はついでなのでショッピングモールの中を満喫する一行。色んな物が溢れているだけあって、ウインドショッピングだけでも少女たちには厭きさせない場所だった。
「そういえば、まだ礼を言ってなかったな」
「? 何がですか?」
急に色明に話しかけられた海未は歩きながら不思議そうにする。
「お姉ちゃんにフォローしてくれただろ?」
「あぁ、さっきの──」
わざわざ礼を言うなんて律儀だと思いつつ、ふと海未は思い出した。
そういえば自分は彼を褒めちぎってなかったか?
嘘偽りはないのだが、改めて考えると彼女は急に恥かしくなってきた。
「え、えっと、あのときはああ言わないと収集つかないと思いましたので、だからと言って出鱈目を言ったわけではなくってですね」
「どうあれ」
しどろもどろ答える海未に色明はくすりと笑った。
些細な表情だったが、海未の心臓が一瞬高く跳ね上がる。
「嬉しかったよ。ありがとさん」
「ど、どういたしまして……」
頭が熱くなった海未は、赤くなった顔を隠すように俯く。
馴染んだつもりではあったが、優しい顔を見せられると気恥ずかしい気持ちで一杯になる。
(もうすぐ二ヶ月に経つのに。まだまだ、異性には不慣れですか)
と、的外れな答えを胸に秘めた海未の隣で色明が表情を切り替えていた。
「だが、お姉ちゃんたちのライブを見たおかげでμ'sに足りないものが解ったな」
「μ'sに足りないもの? え、なにそれ?」
ことがスクールアイドルの内容だったゆえ、真っ先に穂乃果が反応する。
彼女が過剰にリアクションしたことで他の面子も色明に集中した。
「新人とはいえプロのアイドルと私たちスクールアイドルを比べるのはどうなんでしょうか」
「違うな」
ちゃっかりLOVE LAIKAの二人からもサインを入手した花陽の疑問を色明が切り捨てる。
「準備期間も含めても、お姉ちゃんたちがアイカツを始めたのは今年の春からだ。その際、パフォーマンスの向上以外にも仕事や色々してたから実際の練習期間はお前たちと大差ない」
選材写真の撮影やプロモ映像の撮影。インタビューに番組の出演世に売り出したすためには技術を高める他にも様々な仕事を行わなければならない。それがアイカツなのだ。
「宣伝規模は関係ない。個人の能力で不足しているものがあるんだよ。なんだと思う?」
「えーと、歌のとか?」
「なるほどね。西木野、お前は自分たちの歌と比べて差を感じたか?」
花陽の発言を聞いた色明が真姫に尋ねる。
すると彼女は悩む素振りも見せずに即答した。
「ないわね。自惚れているつもりはないけど、新田先輩のおかげで歌に関してはかなり力をつけているわ。なんなら同等以上で言ってもいいくらい」
「俺も同意見だな。付け加えるなら西木野の音楽に対する姿勢も影響してるぜ」
「それはどうも」
自分たちの歌は新人とはいえプロのアイドルに引けを取らない。
その豪語に他のμ'sのメンバーは何も言い返せなかった。
音楽に関しては二人の領域。意見をする口はない持てないのだが、いきなり自分たちの歌を賞賛されても当人たちは実感が持てない。
替わりに、違う疑問をことりがぶつみる。
「なら、着ている衣装の問題?」
「──ミナミは自分ではあの衣装を作れないと思うのか? 俺の感ではそうじゃないと思うけどね」
「? …………う~ん」
悩むだすことり。すぐに否定しないあたり、自分でも可能性を感じてるかもしれない。
「まぁ、ドレスに関しては素人なので口を挟めないが、俺が言いたいのはそこじゃない。誰か分からないか? LOVE LAIKA、そしてnew generations。この二つにあってμ'sにないもは解るか?」
「色気?」
「しらん! が、それじゃない」
「資金力?」
「西木野、個人の能力だとい俺は言ったぞ」
「解った! ダンスにゃあ!」
「……当てずっぽうに聞こえたが、正解だ」
「やった!」
喜ぶ凛を他所に言われて納得した他のメンバーたち。
音楽に関してはプロの色明と真姫が引き伸ばしているが、踊りに関しては手探りでやっている状態だった。
振り付けも意見を出し合って作り上げてるが、それが素晴らしいものと断言は絶対出来ない。
「すみません。私が力不足で」
「何故そこで園田が謝る。確かにお前は踊りの指導もしているがそれは園田が日本舞踊をしているからだろ。本来は畑違いのことを無理やりしてもらってるんだ。気にしたなら謝るぞ」
「いえ、大丈夫です」
「けど、ダンスがまだまだって解ってもこれ以上どうすればいいの? 学校には踊りを教えてくれる先生なんていないよ」
ことりの疑問は尤もである。
足りないものが解ったところでそれが補えるかは別問題なのだ。
問題を浮き彫りにした色明も解決策は思いついてなかったため苦い顔で考え出した。
「流石にジョニー別府とはまでとは言わないが、専門家に教えてもらうのが一番。だか……」
「ジョニー別府!?」
「知ってるの、かよちん!?」
「ジョニー別府といえばアイドル界でもダ超有名な人だよ! 数々の人気アイドルたちにダンス指導をしたことがあって、今はあおいさんも通っているスターライト学園の教師をしてるんだよ!」
「じゃあ、その人に頼めば」
「特別な理由がない限り、他校の生徒にわざわざ教えるわけないだろ。正式な部活ならばダンス講師を雇える糸口はあるが……」
「そういえば凛たち、実は非公式だったね」
「そうだね。あれ? 何か忘れているような」
「あ、あの!」
穂乃果が何かを考え出そうとした瞬間、それまで話を聞いていた亜里沙が声をかけていた。
「あっ、ごめんね、亜里沙ちゃん。 雪穂もいるのに私たち勝手に話合っちゃって」
「いえ、それはいいんです。それよりも私、ダンスがすごく上手い人知ってます!
その人は私のお姉ちゃんで、しかも皆さんと同じ音乃木坂に通ってるので頼めばきっと引き受けてくれると思います!」
「え! それは本当ですか!?」
「これなら、何とかなるかも!」
思いがけないところから出た僥倖に喜ぶ一同。
今日間近でプロのアイドルのライブを見たことにより向上心が高まっていたμ'sたちは、次なる挑戦に思いを馳せた。
「それで、亜里沙ちゃんのお姉さんの名前は?」
「はい!」
穂乃果の問いかけに亜里沙は力になれて嬉しいのか、にっこりと答える。
「音乃木坂の生徒会長、絢瀬絵里です!」
一瞬、その場の空気が凍りついたかのように思えた。
絢瀬絵里。それはμ'sのメンバーや色明も知っていた。
当然が生徒会長だからなのだが。
彼女はμ'sのアイカツを、スクールアイドルを快く思ってない。
「お姉ちゃんはすごいんですよ! 昔、バレエをやっててですね! 賞を幾つも取ってたり! 当時の動画もまだ残ってるんです!」
しかし、嬉しそうに姉の話をする亜里沙。彼女は姉のことが好きなのだろう。
そんな彼女の前では誰も何も言えなかった。
さて、どうしたものか。
μ'sのアイカツ、どうなる?
というわけで次からえりち編です。
原作どおりの順番で仲間にならず、少し変えてました。
そのためのLOVE LAIKAだったりします。
まぁ、LOVE LAIKAは他にも色んな理由で起用してるんですけど。
そして、ようやく色つき評価! 無色のゲージを見るたびに気力をなくす日々にさよならです!Rausさん、柿Pさん、暁祈雨さん、ケチャップの伝道師さん、評価ありがとうございます! 無記入で0評価、虐めか。これを励みに執筆頑張ります!