リリカルぼっち   作:ちびたぬ

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お久しぶりです。ちびたぬです。

色々あったのですが頑張って続けております。
かなりの間、更新できていなかったため誤字等多々あるかもしれませんが
よろしくお願いします。

では、どうぞ。


第10話 ぼっちはセカンドコンタクトをとる。

【竜ヶ崎龍牙からの手紙】

 

一見普通の手紙と何も変わらない。それを見て八幡の頭の中に真っ先にある疑問が思い浮かんだ。

 

(……まず始めに、竜ヶ崎から手紙が送られたってことは、住所が奴に割れているってことだ。いつ奴に情報が漏れた?学校に来ていれば職員室などで住所を知る事はできるかもしれないが、竜ヶ崎の奴はここ最近学校には来ていない。最初から探りを入れていたのか?まさかないと思うが尾行されていたか?)

 

尾行されていた可能性を八幡はエリスに確認してみるが、エリスは反応をみせていない。

 

(……いや、魔力の痕跡がない。エリスも反応していないところを見るに尾行はされてないだろう。魔力は意図的に抑えることはできるが、完全に消すことは不可能。だからどうしてもデバイスにはばれちまうからな。まぁ、そういった類のレアスキルを所持しているのなら別だが、竜ヶ崎はもってないだろうな。もしもってれば魔力を消して背後から俺を殺してしまえば済むことだ)

 

尾行された可能性が低くなっていくと、八幡の頭の中に最初に出た疑問が再び浮かび上がる。

 

(……じゃあ、一体いつ竜ヶ崎は俺の住所を知ることができた?)

 

思考を重ねていった結果、ある可能性が八幡の中で浮かび上がる。

 

「………高町達が情報を渡したか?」

 

(…尾行されていた可能性は低く、竜ヶ崎は学校には来ていない。となると、学校外で俺の情報を得ることができたのは高町達から聞いた可能性がある。可能性としては高くはないが、低くもない。俺が喫茶Erisの店員であることを彼奴らは知ってるからそこから俺の住所を知る事はできる。俺との関係を隠している以上レイジングハートも言わないからな)

 

「……まぁいいか。俺はぼっちだからな…俺は一人でやるべきことをやるだけだ」

 

『一人ではありませんわ。私もいますの』

 

「そうだな。エリス」

 

『……やっぱり八幡は捻デレですわね』

 

「おい、それは違う」

 

はぁ、と息を吐きながら八幡は封筒を開ける。この手紙は魔法などの技術は全く使用されておらず、本当に唯の手紙だ。

封筒を開くと、何かのノートの切れ端を使用したのだろう普通の紙に、龍牙の直筆で字が書かれていた。洒落た封筒にしては用紙が些か残念だった。

 

『ヒキタニ!テメェ、俺が学校に行ってねェ間に俺の嫁たちと仲良くなってねェだろうなァ?白髪のくせにそんな舐めたことしてたら、タダじゃおかねェから覚悟しておくことだな!!–––––––』

 

(……うん、何処から突っ込んでいいか分からんな…。俺はヒキタニじゃないし、手紙でも俺の嫁とか言ってるし、白髪は関係ねぇだろ……)

 

八幡は最初の数行を読んだだけで、この手紙を読む気を失くしてしまいそうになりげんなりしていたが、その後は割と真面目に書かれていたため、真剣な表情になる。

 

手紙の内容はザックリ纏めると以下の内容だった。

 

・竜ヶ崎龍牙は比企谷八幡の秘密を知っている。

・知られたくなければ今週末に街の外れの廃ビルに来い。

・もし来なかった場合は比企谷八幡、若しくはその周囲の人間に不幸なことが起こるだろう。

 

手紙には地図が同封してあり、内容にあった街外れの廃ビルの場所が書かれていた。八幡はこの手紙の内容を見て、面倒臭そうに溜め息を吐いた。そして目を瞑り考える。

 

(明らかに誘っていやがる。それにこの手紙の内容…呼び出し場所の廃ビルもジュエルシードが感知出来た場所だったし、この“秘密を知っている”って言葉は俺が魔導師であることを確認するためなのか、それとも確信をもって言っているのか、はたまた全く別のことなのか。そして最後の“俺、若しくは周囲の人間に不幸なことが起きる”ってのは恐らく、この近辺でジュエルシードを覚醒させることだろう。竜ヶ崎の場合、やるからには徹底的に潰しにくるだろうからな……マスターさんに迷惑が掛かることはやはり避けたい。そうなると竜ヶ崎の誘いに乗るしかないだろう……)

 

八幡は考える為に瞑っていた目を開ける。開けた八幡の目はいつもの淀んで腐りきった目では無く、濁ってはいるがどこか決意を固めた目をしていた。

 

(竜ヶ崎の呼び出しに馬鹿正直に応じる必要はない。竜ヶ崎は恐らく俺を潰しに来るだろう。なら俺もそれ相応の覚悟をして迎え撃つだけだ。幸いまだ時間はある、万全の準備をして臨むべきだ。竜ヶ崎の奴がどんな魔法を使うのか分からないからな)

 

「話し合いは………無理だよなぁ……相手竜ヶ崎だし…」

 

八幡は龍牙との話し合いは恐らく無理だろうと判断し、龍牙との会合の準備を進めていった。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

街外れに位置する廃ビルが立ち並ぶ工業地帯。街の中心部へと人々が進出していったことで、ビルや工場といった建物が自然と取り残されていった。年季の入った建物ばかりで半壊している建物や、木々や蔓などが張り巡らされている建物もある。もちろん人など立ち寄らず、完全な無法地帯となっている。そんな一世代前の建物ばかり建っているような雰囲気からか、この地帯だけ時が止まっているかの様に感じる場所だ。

 

そんな埃っぽい場所の中心部に建っている一つの廃ビル。そのかつては大勢の人々が通り抜けていたであろう大きな入口に、一人の少年が佇んでいた。

 

少年は、この埃くさい場所に似合わない程に綺麗に整っている銀髪を靡かせ、己こそが絶対的強者であると主張するかの様な、百獣の王を連想させる金色の瞳を鋭く光らせ『その時』を静かに待っていた。

 

(もうすぐだ…もうすぐで、あの【邪魔者(イレギュラー)】を排除できる!!野郎は“原作”にはいねェ人間だ。つまり俺にとって完全な邪魔者でしかねェ!ヒキタニの奴がどんな野郎だろうが関係ねェ。“()()()()()()”“()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()”この二つが揃ってんなら排除しねェ訳にはいかねェからな!……ヒキタニの野郎自身が魔法の関係者であることは確実………なんたってフェイトとなのはの初対面の場にあの野郎はいたんだからなァ!!)

 

少年は口元をニヤリとさせ獰猛な笑みを浮かべる。

 

(ヒキタニの奴に魔力がねェのか、それとも意図的に魔力を消しているのかは分からねェ。だが、そんなもん俺には関係ねェ。ヒキタニが魔力を俺に隠したってことは、俺には敵わないって分かったからに違いねェ!ヒキタニの野郎の転校初日に俺の魔力をぶつけて格の違いを教えてやったからなァ!!ありえねェ話だが、奴の方が強いんだったら魔力を隠す意味がねェ。自身の方が強いと敵に分からせて黙らせちまえばいい話だからな、そうすれば敵の行動も制限できて良い事づくしだぜ)

 

刻一刻と迫ってくる『その時』を待ちきれないのか、興奮している少年の身体は震えている。

 

(ヒキタニの野郎は後々厄介になりそうだからなァ。早めに潰しておくに越したことはねェ…まぁどんな奴が相手であろうと、俺のハーレムへの道は誰にも邪魔させねェけどなァ!!!)

 

少年「竜ヶ崎龍牙」は、もうすぐ訪れる『その時』を今か今かと待ち続けていた。

自身の身体から禍々しい魔力が溢れんばかり高まっている事を感じながら–––––––

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「………さてと…あの辺りか?」

 

俺は竜ヶ崎に指定された廃ビルのある街外れの工業地帯にいた。この工業地帯の中心部あたりに竜ヶ崎らしき魔力が感じられる。

竜ヶ崎は隠す気が無いのだろう、奴の禍々しい魔力がはっきりと感知できる。それと同時に近くには微かにだがジュエルシードの反応も感知出来た。竜ヶ崎が既に手に入れているのだろう。

 

「今から帰っちゃだめか…?竜ヶ崎の奴隠す気ねぇじゃねぇか…まぁ奴からしたら隠す意味なんてないんだろうが…マジで行かなきゃいけねぇのかよ……」

 

『当たり前ですの。マスターさんに被害が出てしまいますわ。そのために色々と準備をしてきたではありませんの』

 

「まぁ…そりゃそうなんだがな……」

 

ここに来るまでにある程度準備をしてきた。それらは俺が今背負っているバッグの中に用意してある。竜ヶ崎相手だからある程度は戦う事になることは予想していたからな。

 

だがまぁ、こうも魔力をビンビンに出してるとは思わなかったぞ。

全く、これじゃあ俺が竜ヶ崎と真っ向正面から戦いに来たみたいじゃないか。…え?違うのかって?当たり前じゃん。戦うと痛いじゃん?八幡痛いの嫌いじゃん?ほら違うじゃん。

 

じゃんじゃん言い過ぎておかしくなったが話しを戻すと、俺は竜ヶ崎とは戦う事に恐らくなるだろうができるだけ戦いたくないし穏便に済ませたい。理由としては二つ。

一つ目は、俺があまり戦闘向きではないからだ。ちゃんと鍛えてはいるし戦闘が出来ない訳では無いが、俺の魔法が魔法なんでな。

二つ目は、俺がこの場でやる事はジュエルシードの回収と竜ヶ崎から情報を得る事だ。あくまで竜ヶ崎を倒すと言う事は、できたらラッキー程度の事で本来の目的ではない。穏便に情報を得られればいんだがな…

 

本来の予定だと月村邸の時のように隠れて情報を集め、戦わずして漁夫の利を得るつもりだったんだが、竜ヶ崎に先手を打たれた。彼奴を侮っていた訳では無いが先手を打たれた以上ここからの巻き返しが重要になってくる。

竜ヶ崎が魔力を見せびらかす様に出しているからって、なにも真っ正面から行く必要はない。後ろから寝首をかくように相手を叩くのが俺には合ってるしな。だがまぁ、今回はこちらから先に戦う意志を見せるのはあまりよくない。今後の事も考えると竜ヶ崎に攻撃させ、正当防衛の形を取った方がこちらの有利に事が運べる。

 

「はぁ…とりあえず、念には念を入れておくとするかな……」

 

そう言い、俺は持って来ていたバッグを背負い直し、竜ヶ崎の魔力の感じる中心部とは少し離れた別の方向へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

それから数十分後、手荷物を何も持っていない八幡が中心部へと辿り着いた。そこは少し開けた場所になっていて、中心には噴水の様な物がありどこか広場の様な場所だった。勿論、現在は水は通っていない為噴水は干からびている。

その広場の奥にそびえ立つ一際目を引く建物。他のビルなどに比べ一回りも二回りも大きく、この工業地帯の中心であることを象徴するかの様な雰囲気のある廃ビル。その入口に“猛獣”はいた。

 

(なにあれ…今すぐにでも飛び掛かってきそうなんですけど?どこの戦闘民族だよ、俺のこと叩き潰す気満々じゃねぇかよ)

 

廃ビルの入口に腕を組んで佇んでいる龍牙は、禍々しく気味の悪い魔力が身体から漏れ出していた。獰猛な笑みを浮かべ魔力を隠す気もなく、今すぐにでもこちらに噛みつこうという雰囲気がひしひしと感じられる。

 

(何とか情報を引き出せればいいんだがなぁ……)

 

そんなことを考えている八幡に龍牙が喋りかけてきた。

 

「よォヒキタニ。面と向かって喋るのは二回目かァ?……何で此処に呼ばれたか分かってるんだろうなァ?」

 

「……“俺の秘密を知っている”……だったか?俺はそこらへんにいる普通の人間だぞ?そりゃあ秘密の一つや二つはあるが、それくらい誰にでもあるだろ。俺なんかの秘密が––––

 

 

 

「魔法」

 

 

 

龍牙の魔力がより一層濃くなる。龍牙は八幡の言葉を遮ると腕を組んだまま、一歩ずつゆっくりと八幡の方に歩き出した。

 

「テメェが魔法について関わりがあるのは分かってんだよ。テメェが魔導師なのか魔法について知ってるだけなのかは関係ねェ!俺のハーレムルートの邪魔者であることには変わりねェんだからな!!」

 

数歩歩いて龍牙は足を止める。八幡との距離は約二十メートル。相変わらず腕を組んでいるが、そこに油断も隙もなく、余裕の笑みを浮かべながらも八幡の動き一つ一つに目を光らせている。

 

対する八幡も龍牙の行動に目を見張らせながらも、思考回路を猛スピードで巡らせていた。

 

(……さて……この場面、予想はしていたが俺の目的を達成するために取るべき選択は何だ?このままシラを切る?違うな…竜ヶ崎の奴は俺が魔法について関わりがあることを確信を持って言っている。となると、ここで変に誤魔化すと奴をイラつかせそのまま戦闘、なんてことになりかねない。だったら……)

 

八幡は一つ息を吐く。先ほどと雰囲気が変化したのか龍牙は「あァ?」と怪訝そうに八幡を見る。

 

「…なんだ魔法のことかよ。てっきり俺は絶対に許さないリストの事や黒歴史ノートの事をばれされるんじゃないかとヒヤヒヤしたぜ。焦って損したじゃねえかよ。…で、何だっけ?魔法だったか?詳しい訳じゃないが少しなら知ってるな。つっても魔法ってもんが存在するくらいのことしか知らんが」

 

「……へェ…意外だぜ。知ってるってこと認めんだな」

 

「だって俺が魔法について関わりがあるってことお前さっき言ってたじゃねえかよ。隠してた気はないが、知られてるんだったら認めるしかねえだろ。つーか逆にこっちが聞きたいんだが、何で俺が魔法について知ってるって分かったんだ?」

 

龍牙は八幡の返答が予想していなかったのか、少し驚いた表情をして八幡を見る。

 

「ハッ!今から消されるテメェが聞いたところで意味ねェと思うがなァ?だがまぁ今は機嫌が良いんでな、答えてやるよ。テメェを警戒したのは最初からだ。原作には転校してくる奴なんていなかったからな。それに俺にビビらなかったのもそうだ。大体の奴は俺が脅しに掛かればビビるからなァ。だがテメェは普通に対応しやがった、その雰囲気、佇まいは普通じゃありえねェよ」

 

「そして極めつけが、ヒキタニ!!テメェがなのはとフェイトが戦闘している場所にいたことだなァ!!フェイト達やなのは達は気が付かなかったようだが、フェイトの方をぼーっと見て突っ立ってたのが俺にはバレバレだったぜ?あの中には普通の人間は入れねェんだよ、魔力を持っている奴以外はなァ!!」

 

「フェイト」という単語を聞き、八幡の呼吸が少しだけ早くなる。些細な変化すぎたのか龍牙は気にする素振りを見せなかった。

 

(あの時に竜ヶ崎の奴に見つかってたのか…あのフェイトという魔導師が衝撃的すぎて見つかる危険性とか言ってる状況じゃなかったからな。だが、幸いにも見つかったのは竜ヶ崎だけか。まぁ一番見つかってはいけなかった奴だが…竜ヶ崎の奴が他の奴に言っている可能性はあるが、そこまで気にしていたらキリがない)

 

「………あの時、高町と戦っていたもう一人の魔法を使っていた少女はお前の仲間なのか…?」

 

「あァ?フェイトのことか?あァ知らねェのも当然か。いいぜェ教えてやる!俺のハーレムメンバーの一人だ!!名前はフェイト・テスタロッサ。アリシアの代わりとしてプレシアのババァが生み出したっつうクローンだがその辺はテメェには関係ねェ話だ。小学生のロリボディも最高だが、フェイトが大人になった時のあのエロボディがたまんねェんだよ!!原作を知ってればフェイトを惚れさせることは簡単だからなァ!俺のハーレムメンバーにしてたっぷり可愛がってやるぜェ!!」

 

「……………ッ!」

 

今度は先程よりも大きく八幡は龍牙の言葉に反応を見せた。八幡の反応を見ていた龍牙が二度も見逃すことは無く、龍牙はすぐさま八幡に突っかかった。

 

「何だァ?フェイトのことが気になんのかァ?あん時もぼーっと突っ立って見てたしなァ………ン?…テメェ、まさか……そうか…そうだな…そうだろ!……ハハハッ…アーッハハハハッ!!!」

 

龍牙は少し思案顔をした後、突然大声で笑い出した。八幡が訝しそうに龍牙を見ていると、龍牙はニヤリと効果音が付きそうな嫌らしい笑みを浮かべていた。

 

「あの時のアホ面と言い、今の反応と言い間違いねェ!……テメェ、さてはフェイトに惚れたなァ?」

 

「…………は?」

 

「そうかそうか!!分かるぜェ?よく分かるぜェ!その気持ちィィ!!」

 

「……何言ってんだ?」

 

「そうだよなァ!今のフェイトもメチャクチャ可愛いもんなァ!!テメェ目は腐ってるが目の付け所は良いじゃねえか!!」

 

(何だか分からんが、勝手に勘違いしてくれてるみたいだな…。上手くこのままフェイト・テスタロッサの情報を少しでも引き出せればいいんだが…)

 

 

「だがなァ!良かったのは目の付け所だけだ!!フェイトを含めて原作キャラは全員俺の嫁なんだよ!テメェはフェイトに片想いしたまま俺に殺されやがれェ!!!」

 

 

(そう上手くは……)

 

 

「行くぜェ!!霊装【アドルフ】!!!」

 

 

(行かねぇよなぁ……)

 

 

 

 

龍牙の魔力が急激に膨れ上がっていく。身体から魔力が更に漏れ出し段々と龍牙を覆っていく。龍牙の魔力光が金色であることも相まって、漏れ出した魔力が龍牙の全身を覆う頃には龍牙の方を向いていられない程輝いていた。

全身が光り輝くと同時に龍牙を覆っていた魔力が徐々に形を成していく。

 

「この姿を見せるのはテメェが初なんだぜ?光栄に思いながら叩き潰されやがれ!!」

 

金色の光が治まっていく。怒声と共に現れた龍牙の姿は「王」と言う言葉が一番合っているだろう。全身金色のフルプレートを身に纏い、銀色だった髪は魔力光でもある金色に変わっている。黄金の甲冑、金色の瞳、金色の逆立った髪と何処をどう見ても龍牙は全身が金ピカとなっていた。

龍牙は胸の前で両腕を組み悠然と立ち尽くしている。その姿からは威厳や威圧といったプレッシャーが放たれており、訓練を受けている管理局の魔導師でも今の龍牙の前では平静を保つのは難しいかもしれない。

 

(あれが竜ヶ崎のバリアジャケットってことでいいのか?奴の能力が分からない以上、下手に動く訳にはいかないな。能力が分からないのは竜ヶ崎にも言える事だが、奴がそこまで慎重になるとは思えねぇな。いきなり全力で掛かってくる可能性もあるしこっちは慎重になるに越したことはないな。ギリギリまで情報を引き出したいんだが、今の奴からどれだけ引き出せるか…)

 

「……なぁ、竜ヶ崎」

 

「あァ?」

 

「お前の目的は前に聞いたが、高町やその…テスタロッサの目的は何なんだよ?魔法なんて非日常的なものまで使って何をしようとしているんだ?お前なら知っているんじゃないか?」

 

「…たとえ知っていたとしてもテメェに教える俺へのメリットがねェな」

 

「確かに今の状態だとお前にメリットは無い。だが無いんだったら作ればいい。“それぞれの目的を聞いてお前に協力をする、若しくはこれ以上魔法に関わらない様にする”これならお前にメリットはあるだろ?」

 

八幡が龍牙に対し取引をしようと促したが、龍牙は「ハッ!!」と鼻で笑い呆れた表情を見せた。

 

「生憎、テメェが魔導師で無くても魔力を持っているなら“原作”に関わることは間違いねェんだよ!!地球には魔導師はおろか魔力を持った奴はまずいねェ。もしそんな奴がいたとしてもこれから来る管理局の人間か後々出て来る魔力を収集していた()()()()が気付かねェ筈がねェからなァ!!」

 

それからなァ!と龍牙は続ける。

 

「テメェが俺に協力をするゥ?バカも休み休み言いやがれ!!!テメェみたいな奴はなァ!途中で裏切るって相場が決まってんだよ!そしてなにより俺はテメェが嫌いだ!!だから殺す!!」

 

龍牙は右手を上に挙げ、魔力を収束させる。

 

 

 

 

「開きやがれ!!【使い魔の門(ゲートオブサーヴァント)】!!!」

 

 

 

 

 

 

龍牙がそう叫ぶと、龍牙が挙げた右手の魔力に反応し龍牙の後方に巨大な金色の“渦”の様なものが地面や空中といった様々な場所から計五つ現れた。

 

(何だよ…あれ…?奴の足元に魔法陣はないがあれは間違いなく奴の魔法だ。あの渦自体に魔力がある訳ではないようだが、一体何が起きるってんだよ……)

 

「俺の計画に邪魔者はいらねェ!!ここでテメェをぶっ潰す!出てきやがれェ!使い魔(サーヴァント)共!!!」

 

龍牙が右手を前へと突出し声をあげる。その声に答えるかの様に渦はより一層金色に輝きだし徐々にその渦から“生物”が姿を現す。地上の渦から現れたのは「狼」、空中の渦から現れたのは「鷹」と呼ばれる生物だった。現れたどちらの生物も牙や爪、そもそもの体格が通常の個体の二倍も三倍も大きくなっており凶暴性が増している。そして更に、通常の生物には無いと大きく異なる点が二つある。一つが現れた全ての生物の前肢や後肢に金属の装甲が付いており、その凶暴性を更に増幅させていること。二つ目が全ての生物の頭上に『20』と数字が浮かび上がっていることだ。

八幡は出現した生物に驚きつつも召喚された魔法陣をジッと見つめる。

 

(……召喚魔法みたいなものなのか?だが召喚魔法なら奴の足元に“召喚魔法陣”が現れる筈だし“詠唱”も必要だ。なら転移魔法か何かか?……何にしろ今まで見たこと無いものには変わりない。レアスキルの一種なんだろうが現代魔法のどれにも当てはまりそうにないぞ?それにあの数字は何なんだ?何を意味するんだ?その辺りを解析できれば何らかの対策が取れそうではあるが……)

 

「おいおい…何だよその動物たちは?物騒な装甲ついてるし、随分と凶暴そうじゃねぇかよ。やめてくれよ、俺あんまり動物に好かれないんだから…ちゃんと躾られてんだろうな?」

 

「アーハッハッハッハハァ!!!驚きを通り越して呆れちまうぜェ?ヒキタニィ!まさか【使い魔】のことも知らねェなんてなァ?」

 

「使い魔…だと…?」

 

「そうだ!つってもこの俺様の【使い魔の門(ゲートオブサーヴァント)】から生成される使い魔は本来の使い魔とは全然違ェけどなァ!!本来の使い魔との契約云々を全部スッ飛ばして【使い魔の門(ゲートオブサーヴァント)】から召喚するときに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!召喚する使い魔は何だろうと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

龍牙が狂気を含んだ邪悪な笑みを浮かべる。

 

「ヒキタニィ?俺様の【使い魔の軍勢(サーヴァントレギオン)】をテメェはどこまで見ることができるか楽しみだぜェ?」

 

(マジかよ……。それって簡単に言えば“使()()()()()()()()()”ってことだろ?奴自身がSランク程度の魔力を持ってるし、魔力消費は召喚時のみの維持コスト無しとかチートにも程があんだろうが…)

 

「さぁヒキタニィ、小手調べだ…ブッ殺せ!!【ウルフ】!!」

 

「…チッ!」

 

龍牙の声に応じるように渦より現れた使い魔が八幡に向かって飛び掛かってくる。爪や牙が鋭く強化されているため掠るだけでも致命傷になりかねない。

八幡はウルフが飛び掛かって来たところを身体を捻り躱しつつバク転でウルフと距離を取る。

その動きに龍牙はどこか納得といった表情をしていた。

 

「その動き…やっぱテメェただの一般人じゃねェなァ。だが所詮その程度だ、その余裕が何時まで持つか見物だなァ?」

 

(こいつ等自体はそこまで強くないみたいだが…魔力もBランク魔導師に届かない位か?数がこれ以上多くなると面倒だが今の状態なら対処できないことはないが……さてここらが潮時だが、後一手何か情報を得られねぇかな……)

 

「竜ヶ崎、最後に教えてくれねぇか?お前の行動は大方“原作”を知っているが故の行動なんだろうが、腑に落ちえねぇことがある。なんで高町にも…テスタロッサにも協力をしている?あいつ等は敵対関係なんだろ?それに俺というイレギュラーや言ってしまえばお前もイレギュラーである筈だ。それなのに原作通りに進むと思うのか?」

 

「ハッ!そんなことで俺様の動揺を誘おうと思ってるならくだらねェにも程があるぜェ?いいぜェ教えてやるよ…俺が二人に協力してるのはモチロン原作も関係している。どちらにもある程度は信頼関係を持ってねェとこの後が面倒だからなァ。それに、俺やテメェがいた所で原作はそうそう変わらねェ!原作通りにプレシア=テスタロッサが自殺して、傷ついたフェイトを慰めてフェイトを惚れさせる!!そしてその俺様の男らしい場面を見ればなのはの奴も俺に惚れる!!そうやって俺はハーレムルートを一直線に突っ切るんだよォ!!!」

 

「…………!!」

 

八幡は龍牙の言葉にどこか思うことがあるのか顔を俯かせてしまう。龍牙はそれを好機と判断し、足元に戻らせていた使い魔(サーヴァント)に命令を下す。

 

「テメェがどんなイレギュラーでもいくら原作について聞いたところで答えは全部同じなんだよ!ここで死ぬテメェは原作を変えることはできねェし、そもそも原作に関わることもできねェんだよ!!大人しく俺様のハーレムをあの世で指咥えて見てるんだなァ!!!行け!使い魔(サーヴァント)共!!!」

 

 

***

 

 

主の命令に従い、使い魔達は前方にいる主の敵へ飛び掛かろうとする。

敵との距離は多少あったが、顔を俯かせ棒立ちしているため敵が避けられる筈がない。

ましてや自分たちは使い魔である。通常個体よりパワーもスピードも全然違う。仕留められない筈がない。

召喚された五体の使い魔達が同時に飛び掛かり、自身の獰猛な爪や牙、鋭利な嘴で敵は切り裂かれ勝敗は決していた筈だった。……そう、()()()()、のだ。

 

使い魔達が飛び掛かる寸前。彼等の耳に声が聞こえた。

 

 

 

 

「…()()()……()()()()()()

 

『Set up』

 

 

 

 

八幡の身体を空色の光が包み込み光り出す。五体の使い魔達はその光に触れると自身の主の付近まで吹き飛ばされる。龍牙は怪我を負った使い魔達には目もくれず、一心に八幡を凝視している。龍牙の口元は酷く歪んでいた。

 

「やっぱデバイス持ってんじゃねェかよ…!ふざけんのもいい加減にしろよなァ!!()()()()()!!!」

 

やがて光は段々と収まっていき八幡の姿が現れていく。現れた八幡の顔は無表情、しかしその瞳には確かな闘志が静かに燃えていた。

 

 

「竜ヶ崎……俺には俺の目的がある。そのために俺はお前をこのままにしておく訳にはいかない」

 

 

 

 

お互いに会う前から最終的にこうなることは分かりきっていたことだった–––––

 

 

「ハッ!理由なんてどうでもいいんだよ!!俺にとってテメェが邪魔なだけだ!!」

 

「……あぁそうだな。はっきり言っちまえば俺にとってもお前は邪魔だ」

 

 

 

 

お互いに理由なんて関係なくただ純粋に–––––

 

 

「だからテメェを殺す!!!」

 

「だからお前を倒す…!!」

 

 

 

 

お互いに目の前の邪魔者(イレギュラー)を潰すことになることを–––––

 




如何でしたでしょうか?

最後まで読んで頂きありがとうございました。

久しぶり過ぎてボロボロです(泣)
出来るだけ早い更新ができるようこれから頑張ります!

次回はついに戦闘に入りますので頑張りたいです。

評価・感想・ご指摘等頂けると幸いです。




早く竜ヶ崎をボコボコにしたい……
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