まずは更新が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。
何度も書き直しをしている内に日にちが段々と過ぎて行き、かなり焦りました…
今回の話はかなり気合を入れました!
今回はかなり重要な回です。今回の話で八幡の過去が少しだけ分かるかも?
では、どうぞ。
「比企谷君が働いてる喫茶店ってどんなお店なの?」
「わ、私の家も喫茶店やってるから今度遊びに来てくれたり……」
「ヒキタニ!アンタのとこのお店より、なのはのところのお店の方が何倍もおいしいんだからね!!」
目の前には顔見知りの少女が三人。三人で和気藹々とお喋りをしている、という訳ではなく、どうやら俺に話しかけているらしい。
「…………………どうしてこうなった?」
◆◆◆
月村邸へ宅配に行ったあの日から数日が経って、今は平日の朝。俺は休日出勤をするサラリーマンの様にのそりのそりと学校へ登校し、机に頬杖をつきながらエリスと念話をしていた。もちろん周りに誰もいない事を確認している。というか、普段から俺の周りには誰もいないからな。
「(あれから、彼奴らの動きは無し。ジュエルシードが集まっている感じも無し、かぁ……)」
『(動きはあったかもしれませんが、魔力の痕跡を残しているとは思えませんわ)』
宅配のあったあの日から数日、俺は特に何事もなく普通に過ごしていた。この間にジュエルシードが回収された気配はなく、本当に何もなかった。
……いや、マジで何もなかったよ?学校から帰った後に、宅配があって観れなかった日朝の戦隊ものやライダーさんの録画を観てたぐらい何もなかった。個人的な意見だが最近ライダーさんの後にやってる、プリプリでキュアキュアしてる番組がどうも気になるんだよなぁ。今度見てみるとするかな。
まぁ冗談は置いといて、これといって何もなかったのだ。
………というか、あの日が色々とあり過ぎたのだ。宅配に行ったこと自体俺からしたら驚きものなのだが、宅配先が(エリスが言うには)クラスメイトの家で、三人の少女と遭遇(内一人は魔導師)。そして狙ったかの様なタイミングでジュエルシードの反応。ジュエルシードの反応を追っていくと、そこにいたのは先に行った魔導師の高町と“アリシア”にそっくりな「フェイト」と呼ばれていた少女。それに竜ヶ崎の奴までいやがった。
まぁ、あの少女のこともそうだが、特に驚いたのは高町のデバイスが「レイジングハート」だったってことだな…。
「(……マジで色々あり過ぎだろ。休日の筈だったのにスゲェ疲れた。一年分ぐらい働いたな、休暇が必要だ。ということで学校休んでいいよね?)」
『(全く…呆れますわ。駄目に決まっているでしょう。それに休んだらマスターさんに何を言われるか分かりませんわよ?)』
「(………うん、止めた。後が怖すぎる)」
マスターさんが怖いので学校を休むことを諦め、いつもの如く机に突っ伏してグダグダとしているのだが、この数日間、実は俺の周囲には多少なりの変化があった。
一つは、休み開けから竜ヶ崎が学校を休んでいる事だ。理由は体調不良と担任が言っていたが十中八九嘘だろうな。
恐らくだがあの「フェイト」呼ばれる少女とともにジュエルシードを探している、もしくは何か別の目的で動いているかもしれない。本当に竜ヶ崎の動きが読めないな……。
高町側についているのか、向こう側についているのか、それに何が目的なのかも。
もしかすると、俺のことを狙ってくるかもしれないんだよな…。こんな目の腐ったぼっちなんてほっといてくれて全然かまわない、むしろほっといてくれた方がいいのだが。まぁ頭の隅にでも置いておこう……。
結局、竜ヶ崎がどんな目的があったとしても、現段階では情報が少な過ぎて、こっちから動くと逆に怪しまれてしまう可能性があって下手に動けないのだ。
竜ヶ崎は現在、俺の中で最も警戒するべき人物になっている。まぁ当たり前だろう。
あのタイミングで現れたということは、高町には自分の存在を明かさない為だと考えられる。つまり、高町に敵対していたあの「フェイト」と呼ばれている魔導師とともに行動しているが、暗に彼女の味方、という訳でもないのかもしれない。
……どちらにも味方の可能性をチラつかせる。俺からしたら非常に厄介な立ち位置にいるな。
こういう状況で一番厄介になるのは、目的や立ち位置がはっきりしていない奴だ。そいつの立ち位置次第で一気に状況が変化する。そいつがどちら側につくのか、味方になったとして本当に信用できるのか、いきなり後ろから刺されたりしないのだろうか。まぁそういう人間は大体裏切りが濃厚だがな。
……話しが逸れたが、竜ヶ崎自身、相当な魔力を持っている厄介な奴だ。ハーレムが目的と言っていたが、それすら本当の事かどうか怪しくなってきている。
今後も竜ヶ崎には細心の注意を払わなければいけないな。
一つ目はそんな感じなのだが、二つ目はな………
「お、おはよう!比企谷君!」
「…………………うっす」
高町があの日以降、俺に話しかけてくるようになったことだ。高町が話しかけてくる。すると当然のように……
「おはよう。比企谷君」
「ヒキタニ!アンタ、なのはの挨拶無視してんじゃないわよ!」
この二人も俺に話しかけてくる。…つーか俺、高町のこと無視してないよね?
正直に言って、とても面倒臭いしやめて頂きたい。俺としてはこの学校生活ではあまり目立ちたくない。むしろいつもの俺なら目立たなすぎて、クラスの人間に認識されなくなるまであるのだが、生憎転校初日に眼鏡を掛けて行った所為なのか転校数日は目立ってしまった。
後日、眼鏡を外していくと「えっ?誰?あの目の腐った人?」「あんな奴クラスに居たっけ?」等に言われた。
俺だと分かると「あれってコンタクトなのかな?」とか「近づかない方がいいのかな?」と言われ、一人にしてほしい為に腐った目のコンタクトをしている。という解釈をされた。
確かに一人にしてほしいが……なんというか複雑な気分になった。
つまり俺は、“クラス公認で一人でいる生徒”となってしまったのだ。これでは俺の考えとは真逆だ。どうにかしてこの状態を変えたいのだが、今の所いい案が浮かんでいない。
一人でいられることは良い事なのだが、目立っていることが良くないのだ。俺自身ぼっちであることから目立つことが嫌いだし、学校外で行動している時に(まず見つかることは無いが)万が一見つかることも頭に入れると学校内で目立つことは避けたい。
閑話休題
そんな中でこの三人は俺に話しかけて来る。因みにオレンジさんことバーニングが「ヒキタニ」と呼ぶことにツッコミはいれない。高町や月村が注意したら、俺が「オレンジさん」や「バーニングさん」と呼んでいる限りは呼び続けるそうだ。
………すまん、正直本当の名前が思い出せん。比企谷と呼ばれるのは諦めた方がいいかもしれんな。別にどうでもいいし。
前も言ったかもしれんが、この三人は一般的に美少女の部類にあたると思う。そして、三人はこのクラスでもそれなりに発言力のある中心的な人間達、所謂「カースト上位」のグループに位置する。もしかするとトップカーストなのかもしれんという事が、ここ最近人間観察をしていて分かってきた。
そんな高町や月村達は基本三人で集まっている。他の男子どもが近寄っていないのは、バーニングさんの気の強さもあるだろうが、一番はやはり竜ヶ崎の存在だろうな。転校初日から高町を見ただけで俺に突っかかって来た奴だ。下手に声を掛けたりしたら何をやられるか分からない。
だがしかし、今はその竜ヶ崎がいない。
つまりどういうことになるかというと、ここぞとばかりにクラスの男子どもが三人に次々と声を掛けに行く事態が発生したのだ。
……まぁ結果としては、竜ヶ崎がいなくても三人がクラスの男子どもに対する対応は変わらなかったようだ。むしろ前より酷くなった奴もいるらしく、肩を落としてる奴を見かけたこともある。…うん、何と言うか…ドンマイ。
彼奴らは休み時間の度に声を掛けに行く。俺の席は高町の隣だ。高町達は基本高町の席に集まるため、必然的にクラスの連中が無残に散っていく様子を机に突っ伏してやり過ごすことになった。
そんな三人だが、彼女達の方から男子に声を掛けにいったことはほとんどない様だ。それは竜ヶ崎も例外ではなく、彼奴も毎回自分から声を掛けにいっているらしい。
因みにこの情報は無残に散ったモブAとモブBの会話から得たものだ。
いや、聞く気はなかったし別にいらない情報だったんだが。
色々と言ったが、その三人が俺に話しかけてきているのだ。つまりどうなるかは一目瞭然だろう。
………メチャクチャ目立ってます。クラス中の視線が集まってる。やめて!ぼっちは視線に敏感なんです!晒し者にしないでください!
男子からは嫉妬の視線と謎の黒い怨念らしき何かが、女子からは興味や期待?の視線を感じる。いや、怨念らしき何かって何だよ。自分で言ってておかしいと思ったわ。
後は、何故か一部の女子が俺ではなく高町へ向けられている何か見守るような優しい視線。……人間観察をしていく内に何となく視線の意図、嫉妬や妬みなどが少しだけ分かる様になったが何だあれは?
俺としてはさっきも言ったが一人の方が楽だし、目立ちたくない。三人に対して完全に関わりを断つことは可能だ。しかし高町がレイジングハートのマスターである事がそれに待ったをかける。
どう対応すればいいかと悩んでいると、俺が無視していると感じたのかバーニングさんが詰め寄ってきた。って近い近い!!
「アンタ、さっきから話し聞いてんの!?」
「おー。ちゃんと聞いてたさ。………で、何?」
「なっ!アンタって奴は……!」
バーニングさんが更に俺に詰め寄ろうとしたら高町と月村が止めに入った。良かった。これ以上詰め寄られたらどうしようかと思ったぞ。
「まぁまぁ、アリサちゃん。落ち着いて?」
「ア、アリサちゃん。比企谷君はちゃんと返事してくれたから。大丈夫だよ!」
ちゃんと高町には聞こえてたんだな。その後三人が何か言い合ってるとチャイムが鳴り、周りの生徒は席に着いていく。俺の前にいる三人も会話を中断し席に移動する。
席に行く前にバーニングさんが俺に何か言っていた気がするが聞こえていなかった為スルーした。
何で三人が俺に話しかけて来るようになったのかは分からない。レイジングハートは俺の事を高町に話してはいないと思うし……………本当に理由が分からない。
◆◆◆
そして今は昼休み。昼休みのチャイムと同時に教室を出て、転校初日から訪れている俺のベストプレイス、校舎の端ある校庭と廊下を繋ぐ空きスペースへと足を運んでいた。この隠れスポットは転校初日こそ色々あったが、割と気に入っており昼休みは毎回訪れている。
今ものんびりマスターさん特製の昼ご飯を食べていたのだが……
「……あっ!比企谷君!なのはちゃん、やっぱりここだったよ!」
遂に月村に、いや、例の三人に見つかった。三人はそれぞれにお弁当を持ち近づいて、俺の隣に順番に座った。
確かにさ、前に俺が別にここ座るのに俺の許可は必要ないっていったけどさ。何か一言くらい言ってもいいじゃん?確かにそう言った俺が悪いんだけどさ?くそぅ、あの時の俺に教えてやりたいぜ。
俺の右側に座り奥から月村、バーニングさん、高町の順に座った。
……数日間逃げられたのは、運が良かったのかもしれない。この時俺はそう思った。
–––––そして間が長かったが冒頭に至るという訳だ。
三人はどうやら俺を探していた様で、昼ご飯を食べ終えるとしきりに俺に話しかけて来る。俺は既に食べ終えていたので速攻席を外そうとしたのだが、月村に呼び止められてしまい渋々と話しを聞くことになった。
趣味の話やスポーツの話、好きな食べ物など様々な話しを一方的に俺に話してきた。
俺は「あぁ」とか「はぁ」とかしか返していなかった(そもそも俺がスムーズに誰かと話しすること自体無理がある)が、高町と月村には十分だったようだ。
しかし、納得がいかない人間もいる。そう、バーニングさんだ。バーニングさんは俺に怒った様子で言ってきた。
「アンタ!さっきっから何なのよ!なのはやすずかが話しかけてるのに適当な返事しかしないじゃない!それじゃあ納得いかないわよ!ちゃんと答えなさいよ!!」
バーニングさんにそう言われ、俺の中でふつふつと
「………返事はちゃんとしてるだろ。それに納得したかどうかは高町と月村に関係あるが、お前には関係のないことだ。どうして二人の質問に対してあんたが納得のいく答えを答えなければならないんだ?」
「うっ、それは……」
…あぁ…こいつは
「自分が納得いかないから、この二人も納得がいってないんじゃないか、とでも思ったのか」
「そ、そうよ!だから…」
「だから、何だ?」
バーニングさんは俺の問いに言葉を詰まらせて少したじろぐ。
「一つ言っておく。自分の考えを勝手に相手に押し付けるんじゃねえ。二人に直接聞いたのか?聞いてる筈がねえよな?お前が思ってるからって二人がそう思ってるかなんて直接聞いてみねえと分かんねえだろうが。“友達だから”、“仲が良いから”なんて浅はかなもんで、不確定要素だらけのもんで相手の考えが分かるなんて考えてんじゃねえぞ?例えどれだけ親密な関係だったとしても、相手は自分自身じゃない」
月村や高町も俺の方を向いて話しを聞いている。
「お前のやってることは唯の自己満足だ。勝手に自分の考えを押し付けて、理解した気になって、自分の行動は相手の為だと自分を正当化する。相手がどう思っているのかも知らずにな」
……まるで、
俺は自分の行動に疑問を抱き考えていると、高町が俺に質問をしてきた。
「じゃ、じゃあ相手を理解しようと、仲良くなろうとしたらどうすればいいの?」
「そんなもん、友達のいない俺に聞くな。高町が今までどうやってきたのかを考えればいいだけの話だろうが。仲良くもない人間のことなんて分かりもしないだろ?仲良くなりたいのなら直接気持ちを聞くために何度もぶつかるしかないんじゃねえの?」
イライラしていた為か適当にそう言うと、高町は「…やっぱり何度もぶつかるだよね」とブツブツ言い始めた。因みにバーニングさんは高町が質問した辺りから元気なく俯いたままだ。彼女なりに何か思う節があったのかもしれん。まぁ俺にはどうでもいい話だが…。
すると、いつの間に近づいたのか、月村が俺の隣に座って話しかけてきた。
「比企谷君の気持ちを聞くことはできないの?」
「無理だな」
「そこで即答しないでよ、比企谷君………」
「当たり前だ。俺は一人の方が楽なんだよ」
月村は俺の返答を予想していたのか「あはは」と苦笑していた。
「…………俺からも一つ質問していいか?」
「えっ!?…うん!良いよ」
質問をしたのは好奇心や期待からの質問ではない。これは一種の
月村は最初こそ驚いていたが、直ぐにいつも通りに落ち着いた雰囲気に戻った。月村の驚きに気付いたのか知らないが、高町とバーニングさんも俺の方を向いて真剣な雰囲気になっていた。
……そうこれは、ここ最近で思っていた事で俺が唯一分からなかった事だった。それを確認したかったのだ。
「……どうして俺に話しかけて来るんだ?罰ゲームか何かか?」
「「友達になりたいから!!」」
「ア、アタシは別に?アンタと、な、仲良くなんて「アリサちゃんもだよ!」あ!すずか!!うぅ~~…あーもう!そうよ!アタシもアンタと仲良くなりたいわよ!」
–––––即答だった。
俺みたいな捻くれた白髪ぼっちに、カースト上位の人間、ましてや彼女達の様な美少女が話しかけて来るなんて普通ありえない。罰ゲームか何かだと考えるものだ。そう思い質問をした。しかし、彼女達から返ってきた答えは予想とは違うものだった。
高町とバーニングさんが何やら話しをしていると、月村がこちらを向いてニコリと笑った。
「これが私達が比企谷君に話しかける理由だよ。変だったかな…?」
「大いに変だな。俺と仲良くする意味も必要もお前たちにはない。逆に俺なんかと仲良くするとお前らにはデメリットしかないだろう。こんな目の腐ったぼっちなんかより別の男子と仲良くすれば、俺は一人になれる。お前らは男子と仲良くなれる。どうだ?win-winの関係だろう?」
すると月村は途端に哀しげな表情をする。うっすら目に涙を浮かべてるようにも見えた。
「比企谷君。誰かと仲良くなるのに理由なんて必要あるのかな……。私達はメリットデメリットなんて考えないで、比企谷君と純粋に友達になりたいの。そこに理由なんてない。これはちゃんと二人にも確認してる。他の男の子じゃなくて、比企谷君がいいんだよ」
月村が真っ直ぐ俺を見る。その眼差しは目を背けることが出来ない力強い眼差しだった。
………やめろ……やめてくれ………
「比企谷君が一人でいたいってことも知ってるし、雰囲気を見れば何となく分かる。だからこれは私たちの勝手な、一方的な思い。比企谷君がどう思ってるか分からないからね。でも、ほんの少しだけでも、考えてくれたら嬉しいなって思ってる。…………それと……」
………これ以上……来るな……来るんじゃねえよ………
「これは私からのお願い。私たちの事を信じられなくても、これだけはちゃんと分かっててほしいの。この間のことは比企谷君に凄い感謝してるよ、でも私達が比企谷君と仲良くなりたいと思ったのはもっと前から。この間のことが切っ掛けとかじゃない。純粋に友達になりたいって思ってる。…だから…せめて、なのはちゃんの事だけでもいいからちゃんと見てあげて?」
「…………………何故、高町なんだ」
自分でも恐ろしいくらいに低い声が出た。月村も驚き、身体がビクッとなったが、その瞳は迷いはない。
「なのはちゃんはね、比企谷君と仲良くなりたいって誰よりも思ってるからだよ。もちろん気を使ってるとか、あの時のことに負い目を感じてるとかじゃなくて、純粋に真っ直ぐにだよ?それになのはちゃんは心がとっても強い子なんだよ。……優しくて真っ直ぐで……だから比企谷君と仲良くなれると思うんだ」
「高町の奴がそんなこと思ってるか分からないだろ?それに自分じゃなくて他人を優先するとか…自己犠牲でもして優越感にでも浸ってんのか?」
「ちゃんとなのはちゃんに直接聞いたよ♪私はただ、友達を応援したいだけだよ♪」
月村は「ふふっ」と微笑んだ。しかし、
……これ以上…踏み込んでくるな…!!
「そうか。だが…俺からしたら迷惑でしかない。寧ろ邪魔だ。話しかけて来るのやめてくれねえか?」
月村は目を見開き「えっ…?」と声を漏らしていた。高町とバーニングさんも何かを察したのか、会話を止めこちらを向き俺の態度が急変したことに驚いていた。
「聞こえなかったか?そうやって話しかけて来るのはいらねえっつったんだよ!お前らの勝手な考えに俺を巻き込むんじゃねえよ!はっ!大方“
–––––パチィィン!!–––––
乾いた音が校舎の端の空きスペースに鳴り響く。
いつの間にか俺の目の前には高町がいて、
高町は目に涙を浮かべ、今にも泣きだしそうな顔で、俺に必死に訴えていた。
「違う!!私達は親友なの!今の比企谷君の痛みより、友達を悪く言われた痛みの方がもっと痛いの!私達三人のことも知らないで……勝手なこと言わないで!!!私達は友達ごっこなんかじゃない……私達は『本物』の友達なんだよ!!!」
「………………悪かったな。俺戻るわ」
俺は高町達に背を向け、逃げる様に教室へと続く廊下を歩き出した。
バニングスの奴は怒りの表情だったが、月村は哀しい表情を……何より、高町が一筋の涙を零している姿が、特に頭に残った。
「……………『本物』………か……」
俺の呟きは誰にも聞こえることなく、只々広い廊下に静かに響き渡って消えていくだけだった。
***
社会において、人間とは貶し蔑み他人を騙す黒い部分が溢れている。
これは俺の持論だが、人間とは騙し騙され生きている生き物だ。利用するだけ利用し、必要がなくなると簡単に切り捨てる。酷く汚いものだ。この世界はそんな人間の醜い部分で成り立っている、嘘と欺瞞が溢れている世界だ。
これはこの地球に限った事ではない。どちらかと言うと、ミッドチルダの方が酷いのかもしれない。管理局なんてその象徴といえるかもな。
そんな人間と俺は仲良くなんて以ての外だ。信用も信頼もしない。
今の俺はある意味人間不信と言えるかもしれん。俺からしたら「だからどうした?ぼっちは常に一人でいる孤高の存在だ。誰かを信用する?周りから信頼を集める?そんなもん考えてる暇あったら、一人で生きる術を考えてるわ」といった感じでしかないがな…。
俺が信じられるのは自分自身と相棒のエリスのみ。それでいい、それだけでいいんだ。
……おっと、レイジングハートとマスターさんは別枠だ。レイジングハートは俺の「子」であり、マスターさんは俺の命の恩人で、醜い部分のない本当に優しい人だ。俺の数少ない信頼できる人の一人である。
マスターさんは最初こそ他人であったが、一緒に過ごすにつれ俺の中で“大切な人”になっていた。
話しを戻すが、俺は信用している人は極少数のみだ。その人達以外は興味はないし、どうでもいいと考えている。
仲良くなるなんて以ての外だ。敵意があるなら全力をもって排除するし、近寄って来るなら疑い、どういった思惑があるか探りを入れる。
俺は今まで、人間の醜い部分を沢山見てきた。ミッドチルダにいた頃も。地球に来てからも。
特に地球に来てからエリスに違法アクセスまでして「あの事件」についての記事を見た時は、ミッドにどうにか戻れないかと鬼気迫る勢いで探したものだ。
結果、良い方法が見つからなかったんでどうすることも出来なかったんだがな…。
地球に来てからは酷かったものだ。
地球に来たばかりで右も左も分からずに途方に暮れていると、周りからは奇妙な物を見る視線や軽蔑した視線を感じた。何か話しかけようとすると「化け物」と悲鳴をあげ逃げられる。髪の毛や目の色が珍しいからと売り飛ばされそうになったこともある。
人間の汚い部分を直接身を持って体感する事となった。その頃から俺の目は腐っていった。
そして、肉体的にも精神的にも限界が来ていた時に、俺はマスターさんに出会った。
最初は警戒心剥き出しでマスターさんを睨みつけていたが、マスターさんは俺が拒絶したり無視をしているのに何度も俺に声を掛けてきた。そんなマスターさんに、俺は“興味”を持つようになった。
人にとって興味や関心を持つことはとても重要なことである。
興味や関心を持つことでその人物に対しての“認識度”が急激に上がる。そしてその人物に話しかける、話しかけられる、つまり会話をすることで知り合いとなるのだ。興味や関心が無ければただの他人だ。
クラスでもいるだろ?「あーアイツつまんねぇよな」とか「あんな奴クラスにいたっけ?」と言われる人物は存在感をなくしていき、クラスの一員として認識されなくなる。モブAがモブAなのはそう言う事だ。
相手の事を見る必要、関わる必要が無いのだから、そんなもの他人としか呼ばないだろ。
当時の俺、というか今もだが、俺は殆どの人に対し無関心、もしくは敵意しかない。やるべきことがあるからか、それ以外のことに興味をもっている余裕がなかった。だからこそ俺が、マスターさんに興味を持ったことは奇跡に近かったのかもしれない。
あの頃は、ここの人間はどいつも一緒で屑ばっかだって思って、敵意剥き出しの狂犬みたいだったからな。
マスターさんに出会って、俺は心に多少なりの余裕を持つことができた。だからといって友達が出来た訳じゃない。
余裕が出来たことによって俺は、俺に話しかけてくる人達がどんな人間なのかを観察する余裕が出来たのだ。俺の趣味が人間観察なのはこれが理由だ。
この人は俺を格下と見て話しをしてるな、とか、優しく話しかけてるが目は笑っていない、俺の事を利用するつもりか?とかが何となくだが分かる様になったのだ。
まぁこのおかげもあってか竜ヶ崎のことは危険だと分かったんだ。
さて、色々と言葉を並べたが何が言いたいかを簡単に纏めると、俺はマスターさんや他数人の本当の意味で優しい人以外は基本嫌いで信用をしていない。
自分や俺の周囲の人達に脅威があるのなら敵意を持って相手をする。それ以外の人間は知り合いという部類にすら入らない唯の他人だ。
そんな俺に声をかけ、友達になりたいと言ってきた俺からしたら知り合いにあたる三人の少女。
優しく声をかけてきた人なんて沢山いた。
マスターさんの様に本当の意味で優しい人間もいるかもしれない。そう思って信用しようと何度もした。だが、最終的にその殆どに裏切られた。
だから俺は、優しく接して来る人は嫌いだ。
平気で嘘を吐き人を騙す。信用なんてできない。大抵の人が屑な思考しか持っていないからだ。
あの三人は他とは違うことは会話をしていれば分かる。本心で俺に語りかけてきた。
だが、三人の会話を聞いていて、三人の関係を見ていて、
この感覚はどこか
–––あの時と…
–––彼奴らとアリシアを重ねた?ふざけるな!!
–––比企谷八幡!お前は何を経験したんだ!何を身を持って体感したのだ!!
–––あの日々は、お前にとってどんな日々だった!!!
これ以上、
これ以上踏み込まれると、
これ以上踏み込まれると、
––––それは!それだけは嫌だった!!!
あの日々は…俺にとって……かけがえのない『本物』の日々だったのだから……
––––あぁ、そうか……俺は彼奴に嫉妬をしていたのかもしれない––––
––––無意識のうちに彼奴らの関係とあの日々を重ねていたのかもしれない––––
––––だからこそ、バニングスの考えに反発をしたのかもしれない––––
––––だからこそ……
彼奴らは……あの三人なら…『本物』の関係を築けると思ったからだ。
もちろん、そこに
そう……だからこれでいいんだ……。
この選択は間違ってはいない……。
俺は高町に叩かれた頬がヒリヒリと痛むのを無視していた–––––
『ソウダ、ソレデイイ、ヒキガヤハチマン』
如何でしたでしょうか?
最後まで読んで頂きありがとうございました。
書き直したのに一万字を超えてしまいました…。
文章を上手く小さく纏められません…はぁ…。
今回の話で八幡が八幡らしい場面が書けていたでしょうか?
正直かなり不安です。
ここはちびたぬの技量次第で大きく変わってしまう場面なので細心の注意を払い、考え、書いていました。
評価・感想・ご指摘等頂けると幸いです。
次回も読んで頂けるとちびたぬは嬉しいです。