まず始めに、遅れてすみませんでした!
仕事が忙しい時期に入ったことと、ストックが尽きたことで遅くなってしまいました。
これからも週一更新は難しいかもしれませんが頑張っていきますのでよろしくお願いします!
今回は賛否両論あるかもしれません。前回同様に重要な回になります。
では、どうぞ。
「………あれ?此処は……」
気が付くと、俺は自分の家の前にいた。人通りの少ない路地裏に佇んでいて俺の自宅でもある、喫茶Erisの前にいた。ふむふむ……あるぇ?おかしいなぁ?
「………………はぁ?」
………いやいやいや!ちょっと待て、ちょっと待て!!何で俺は家に帰ってきてんだ!!??というかいつの間に家に着いていた!?今何時だ!?……昼過ぎ!?マジでちょっと待て………落ち着いて数時間前の行動をよく思い出すんだ。俺は何をしていた…?
現時刻は昼の二時過ぎ。本来なら午後の授業が開始している時間だ。だがこの通り、俺は家の前にいる。もしかすると学校を無断で早退したのかもしれない。数時間前の記憶を思い出そうと、心を落ち着かせる為に深呼吸をする。
「………そうだ、俺は昼休みの時間に……」
深呼吸をしたことによって、ある程度の事を思い出すことができた。
––––俺は昼休みの時間に、月村達三人と会話をし、拒絶して、そして高町に頬を叩かれた。
……そう言えばまだヒリヒリするんだけど…彼奴は手加減をしらない脳筋少女か何かか?
その後俺は、ベストプレイスから立ち去り教室へと戻ろうとした。…この辺りまではしっかりと記憶していた。
ここからが少し記憶が曖昧なのだが、俺は教室へ戻ろうとしたが昼休みの件もあり気分が優れなかった。だから俺は教室へと戻らずに保健室に行った筈だ。しかし保健室は教師が丁度席を外したところだったのか、不在で保健室が閉まっていた。そうなると本来職員室に行くべきだったのだが、行くのが面倒だったのか俺は保健室の前に「体調不良の為、早退します」と書置きをして、そのまま帰宅した気がする––––
……あぁ…。明日確実に呼び出しをくらうだろうな…。まぁ書置きをしているだけマシだろうな。書置きが無かったらどこに行ったか分からなくて騒ぎにでもなっていたかもしれん。騒ぎが出るほど認知されてないって?そういやそうだったわ。
と、まぁ家に帰ってくるまでの経緯を思い出したので、俺は自宅に入ることにした。家に入るとマスターさんは休憩中なのか店の奥の方で洗い物をしていた。
「……ただいま」
仕事の邪魔をしてはいけない気持ちと、早退をして何とも言えない気持ちとで、声が小さくなってしまった。マスターさんは洗い物をしている為、どうせ聞こえていないだろうと思い、返事も待たずに逃げる様に二階に上がっていると、洗い物をしている音が止み、
「おかえりである」
と、マスターさんの声が聞こえた。俺の声が聞こえていたことに驚いたが、何よりもこの時間に俺が帰ってきていることを追及されなかったことに驚いた。
***
二階の自室へ着いた途端、ベッドに横になる。するとタイミングを見計らっていたのか、エリスが声を掛けてきた。
『………八幡、あの……』
「悪いが、今は静かにしといてくれるか」
『………………分かりましたわ』
エリスが声を掛けて来てくれたが、正直申し訳ないが、今は相手をしている余裕がない。気分が悪い為、ベッドに横になって今すぐにでも睡眠をとりたいのだ。本来その為に保健室に行き、早退までしたのだから。
エリスに心の中で謝りつつ、俺は眠りの海に沈んでいった。
◇◇◇
昼休みの一件の後、私はすずかちゃんとアリサちゃんに謝った。心配を掛けちゃったこと、色々と内緒にしていること。魔法の事については話せないけど、私はちゃんと向き合って私なりの思いを伝えて、直ぐかどうか分からないけど、全部解決してちゃんと二人の元に戻ってくることを伝えた。
話せない内容の方が多かったから、具体的に何をしているかとかほとんど言えてないけど、二人はなんとなく分かってくれたみたい。
二人の為にも、早く解決できるように頑張ろうってさらに気持ちを強く持つことができた。
「………はぁ…どうしよう」
だけど今の私は、昼休みからずっとこんな感じに溜め息を吐いていた。理由はもちろん、昼休みの件だ。
……比企谷八幡君。彼があんな事を言う人じゃないってことは分かっている。本人に確認したわけじゃない。でも、何でだろう…根拠は無いけれど、
だからこそ、
こんなことを比企谷君に言うと、お前らの為じゃない。とか、目的なんて無くて本当に思っただけだ。とか言ってはぐらかすと思うの。
私達と比企谷君が会ってまだ一か月も経ってない。それなのに比企谷君の考えが分かるなんて、大それた事は言わない。
だけど「分かりたい」と思う事はできる。比企谷君が何であの発言をしたのか、どう思ってあの発言をしたのか、考えることはできる。
そうすると
私が二人に心配を掛けていて、私達三人の仲が上手くいっていない事は、あのお茶会の時に比企谷君にも気づかれてたと思うから。
「………それに、あの時の比企谷君の眼……」
そして、何よりも私の印象に残ったのは、私達に“友達ごっこ”と言っていた時の比企谷君の眼が、とても悲しそうな眼だったことだ。私達のことを拒絶しているのに、どうしてこんなにも悲しそうな眼をしているの?どうしてこんなにも辛そうにしているの?そう思い考えた結果、行き着いた答えが
「…………『本物』…かぁ…」
比企谷君が帰り際にボソッと呟いていた言葉。その言葉の意味が、比企谷君にとってどんなものなのかは分からない。私も『本物の友達』と言ったけど、それとは意味が違うのかもしれない。
……比企谷君の言う『本物』って何なのかな……?
「………はぁ……」
私は何度目か分からない溜め息を吐いて、午後の授業を迎えることになる。比企谷君が早退をしていて騒ぎ出すのはもう少し後のことだ。
◇◇◇
「…………此処は…どこだ…?」
見渡す限り続く闇。自分を確認できる以外何もない世界が広がっている。
「目が覚めた……って訳じゃないよな…」
俺はさっき眠りについた筈だ。それに俺は自室のベッドで睡眠をしていた。となるとここは……
「俺の夢の中…精神世界か何かか?………ッ!!」
そう結論付けた途端に辺りが急に光り出す。急にまぶしくなり俺は目を瞑る。そして、段々と光が治まって来たのでゆっくりとだが目を開いていく。
そうして目を開けた先に映し出された光景は、地球に来てからマスターさんに会うまで、行く当てが無くてよく訪れていた公園で、小さな子供が同年代の子供たちに石や砂を投げかけられている場面だった。と言うか石や砂を投げられている子供は、よく見ると小さい頃の俺だった。まぁ今も小さい子供なんですけどね。
「何だってこんなもんを見せる……っく!!」
またも急に辺りが光だし目を瞑ることになる。光が治まり目を開けると、先ほどとは異なる光景になっていた。次に映し出された光景は、俺が醜い考えをしている大人に人身売買されそうになった場面だ。今見てもこういう人間を見ると吐き気を覚える。そうこうしている内に次々と場面が入れ替わる。しかしどの場面もさっきの二つの場面との共通点があった。
「…どれも少なからず、
俺はある程度の事なら、我慢というか大したこと無いと思っている。もちろん全く感じていない訳では無く、多少は嫌だとか辛いとは思っている。先ほどから映し出されている様々な場面は、俺がそういった少しでも嫌だとか辛いと思った場面ばかりだった。
さっきも言ったが、誰が何で俺にこんなものを見せているのだろうか。まぁ、何となく予想はついているんだが…もし俺が予想している通りだと、この後見る場面は……
「………高町……」
今日の昼休みの場面……俺が三人を拒絶した場面だ。予想をしてはいたが、やはりあまり見ていて気分が良いもんじゃない。高町の奴にビンタをされ、高町の『本物』と言う単語を聞き、胸の奥が痛むのを感じた。
胸に痛みを感じた途端、頭の中で負の声が次々と鳴り響く。俺の中の“何か”が激しく俺に訴えて来る。
–––人間なんて醜い生き物だ!
–––信じるだけ無駄だぞ!
–––また騙されるのか!
–––最後に裏切られるに決まっている!
–––所詮口だけだ!
–––嘘と偽りだらけだ!
–––また何もかも失うぞ!!
「…………そろそろ出て来いよ」
頭に響く負の声に顔を顰めつつ、そう言うと、最初の時の様に辺り一面が黒一色に染まる。俺以外何もない世界になる。
少しすると、スゥー。と俺の目の前に一人の人物が現れる。
現れた人物は、真っ白な色の抜けた髪に特徴的なぴょこんと跳ねたアホ毛があり、それなりに整っている顔で俺に似ている、というか俺そっくりな人物だった。
しかし、俺とは
いつもの俺の淀んだ腐った眼ではなく、
オッドアイの“俺”は溜め息を一つ吐き、やれやれと言った表情をしていた。
『せっかちな奴だぜ。これからが面白いっつうのに』
「………あれだけ揺さぶった後に、あの時の事を見せることがか?」
『ああ、そうだ。そしてテメェの狂っていくザマをじっくりと眺めるのさ』
奴は俺に“あの時”の場面、アリシアが死ぬ瞬間を見せようとしていた。俺はその場面を見るのを避けるため、場面が映し出される前に此奴に声を掛けた。…正直今の状態であの場面を見せられたら本当に狂っていただろう。いや…今の状態でなくても狂っていたかもしれん…。あの出来事は俺にとってそれほどの事だ。
「………何故、こんなもんを俺に見せた?」
『さっきも言っただろう?テメェが狂っていくのを見るためだ。それからテメェから身体を乗っ取るのさ。狂ったテメェなら簡単に乗っ取れる…まぁ、テメェのデバイスの所為で、こうやってこの場所に引きずり込むのもやっとなんだがな』
そう、
『それにしてもテメェ、テメェの中から見ていたが…いいぜぇ。徐々にだが確実に負の感情が高まって来てるじゃねぇか。さっさと
「………まだ俺はそこまで腐っちゃいねぇ。それに俺には
『…アリシアのとの約束…ねぇ……』
「お前がアリシアの名前を口にするんじゃねぇ!」
此奴がアリシアの名前を口にすることは許せなかった。特に理由なんてない。ただ此奴が、さも当然の様にアリシアの名前を呼んでいる事が俺には耐えられなかった。
『おいおい…それはねぇだろ。前にも言っただろ?
「っ!!……俺の名前は比企谷八幡だ。それ以外に名前なんてない…」
『ハハ!ほんっとテメェは
俺は顔を俯かせる。奴の言葉に反論をしたいが、上手く言葉が出てこない。考えあぐねていると、奴の足元がうっすらと透けて来ている事が分かった。
『チッ……もう時間かよ…。つまんねぇな…』
どうやら奴曰く
『テメェがどう思っていようと勝手だが、これだけは言っておく……』
奴は消えかけている口元をニヤリとさせ、薄気味悪い笑みを浮かべてこう言った。
『
***
「………此処は……俺の部屋…か…」
どうやら、ちゃんと目を覚ますことができたようだ。気分が悪くて睡眠をとった筈なのに、睡眠をとる前より気分が悪くなってる気がするが、そこはどうしようもないだろう。
俺はどれくらい眠っていたのだろうと、時計を確認しようとした時、時計の隣に置いていたペンダントが光りだした。
『八幡!大丈夫でしたの!?酷くうなされていましたわよ!?…それに……』
「なんとか大丈夫だ。まぁ彼奴とは会ったけどな……」
エリスが俺の事を心配して声を掛けて来てくれた。彼奴に会った所為なのか、俺は酷くうなされていたらしい。それに、彼奴に会うと言う事は彼奴がエリスの制御を少しばかり抜け出した事だ。エリスが気が付かない筈がない。
『すみませんでしたわ…。私が抑えきれなかったばかりに……』
「気にすんなって。あの魔力は
『ですが……!』
「あー彼奴はエリスの所為で上手く動けないって言ってたんだよ。お前のおかげで、ある程度のことじゃ彼奴のとこに引きずり込まれないで済んでるんだ。エリスは十分頑張ってくれてるんだよ」
エリスはこれ以上は言っても仕方ないと判断したのか『……はい』と小さく返事をした。
「さてと…今何時だ?」
『今は六時前になりますわ。もうすぐ夕ご飯の支度が整うと思いますわね』
「そうか…かなり寝てたんだな」
『夕ご飯まではどうしますの?』
俺は少し考え、今後の方針を決めた。よし!と声を出し、身体をベッドから起こす。
「そうだな……エリス、現時点である程度場所が推測できるジュエルシードはあるか?」
するとエリスは、少し戸惑った様子で答えた。
『え、ええ。現時点で九個のジュエルシードが封印されていますので、残りは十二個になりますわ。場所が推測できているものについては二か所程ありますの。一か所は街外れの方の温泉施設がある辺りに、もう一か所はその反対方向の工場地帯の跡地の辺りに反応がありますわ。ここからですと二か所目の方が距離は近いですわね。……でも急にどうしましたの?』
まぁ、確かに今まではジュエルシードの回収には積極的じゃなかったからな。休日に少し周りをふらついて探していた程度だったし。そりゃエリスも驚くか。
「まぁ…何だ、今はジュエルシードを集めることが、目的への近道なんじゃないかって思っただけだ。ジュエルシードを集めていればあの“フェイト”と呼ばれている魔導師の情報も入るかもしれないしな。」
さてと、と俺は息を一つ吐く。
「行き先は決まりだな。工場地帯跡地の方だ。距離がこっちの方が近いからな。……それに、高町達が今週末の連休に温泉施設の方に行くって言ってた気がしたから、態々俺がそっちに行く必要はない」
別に本人達から聞いたわけではない。隣の高町の席でわいわい話していた内容が聞こえてしまっただけだ。…決して聞く気はなかった。ホントだよ?
高町達が温泉施設に行く前に、さっさとジュエルシードを回収しに行ってしまえばいいとも思ったが、エリスに確認したところ、どちらのジュエルシードも覚醒が同時期にきてしまいそうで、覚醒までに二か所とも回収するのは不可能なのだ。
「ま、あっちは何とかなるだろ。高町にはレイジングハートもついていることだし」
『…………………そうですわね』
「エ、エリス?どうしたんだよ?急に…」
『何でもありませんわ!』
エリスの機嫌が急に悪くなったんだが、何でだ?レイジングハートの事はエリスも認めていると思っていたんだが…?
まぁいいかと思い、俺は天井を見上げた。
……奴が今回、俺と接触して結局何がしたかったのか正直分からなかった。だが…奴の最後の言葉がどうも頭から離れないのだ。
『
「………いつか……向き合わなきゃいけない日が来るのかもしれないな……」
俺は「ふぅぅ~」と少し長く息を吐きベッドから立ち上がった。
すると、ちょうど下の階からマスターさんの声が聞こえた。
「…八幡。八幡宛てに手紙が来ているである」
「……俺宛てに…?誰だ?嫌がらせや罰ゲームか何かか?」
普段俺宛てに手紙や贈り物が届くことはない。何故なら俺自身と関わりのある人が少なすぎること。それと、もし俺と関わりを持っていて住所等を知っている人だとしても大体マスターさん宛てに来るからだ。だからこそ、俺宛てに来たと言う部分がとても気になった。
……だとすると、小学校関連の人間か?だが、俺の宛先を知ってるのは教師くらいの筈だ。後は月村あたりか?………なんだかすごく嫌な感じがするな。
俺はマスターさんに返事をして一階に行き、手紙の入った少し洒落た封筒を受け取り、もう一度自室へと戻る。
自室に戻り封筒を見た、いや、正確には封筒の送り主の名前を見た時、俺とエリスは言葉を失った。
送り主の名は–––––「
如何でしたでしょうか?
最後まで読んで頂きありがとうございました。
八幡にはもう一つの名が!?父親の方の性ですね。
一体どんな名前なのでしょうか(無駄にハードルを自ら上げていくスタイル)。
八幡が八幡じゃなくならないようにこれから頑張って書いていきたいと思っています。
評価・感想・ご指摘等頂けると幸いです。
次回も読んで頂けるとちびたぬは嬉しいです。