エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
3層へ来て、講習会のメンバーもボス戦勝利の勢いがありギルド設立の雰囲気ができた。しかし、エリスに対してドラゴンナイツと解放隊の両方から〔講習会(仮)は今後、抜けがけをしない〕という覚書を書かされたそうだ。2つのチームは今でも人数は約20人ずつしか集まっておらず、対して講習会は暫定70人以上の関係者がいた。両チームは脅威を感じて牽制をするようにしたわけだ。これで攻略チーム2組が3層でギルド創設クエストが終わるまでギルドは作れなくなってしまった。よってメンバーは1層の街に戻ってくることとなった。
1層 広場
2層ボス攻略レイドがギルドを作るという噂が広がり、入団志願者が押し寄せるようになった。中には美少女が多いからという目的での男性プレイヤーも現れたことから、始まりの街広場での模擬戦も男子禁制となってしまった。
「俺は残ってて大丈夫なの?」
エリスに尋ねる。
「ヴァイリさんはクロンさんの許嫁という扱いなのでしょうがないとみなさんから言われてますよ。クロンさん、デュエルで負け知らずですから誰も意見できないのでしょう。」
「許嫁って?いつの間にそうなった?」
「ノエルがそう広めました」
「あいつ・・・」
まじか、まあノエルのいたずらがなければ俺も他の男性プレイヤーと同じく追い出されてたかもしれないから結果オーライだけど。師範の耳に入ったら切り捨てられる。女子のなかに一人だけ男子が混じってるのも目立つので俺はしばらくフードをかぶり続けることになるだろう。
9時からの広場での模擬戦が始まって数分後、広場の一角に人だかりができた。
「何があった?」
「私と稽古をつけていた者が突然倒れてしまって。まだ数回打ち合っただけでダメージは入ってなかったんだが」
クロンが俺に説明をする。
ゴシック調の服を着たプレイヤーが目を瞑って倒れていた。プレイヤー名にはラーミルと表示されていた。HPバーは減っておらず、特にデバフも付与されていない。
「回線切断の可能性がある。誰か宿屋まで運んでくれ。」
運ぼうとしてた矢先に彼女は目を覚ました。本人は問題ないと言ったが大事をみて休ませることにした。何が起きたかを解明するために彼女に事情を聞かせてもらった。
「クロンと模擬戦をしていたら何か大量の数式が頭の中に入ってきて酔った感覚になったのよ」
クロンが普段から計算しながら戦うことは知っているが、その計算が彼女の頭にも飛んできたらしい。
「同じようなことはこれまでにもあったかい?」
「このゲームが始まってからたまに他の人の感情が聞こえてくることがあるの。」
まるでニュータイプや超能力の類と言える。VR環境に慣れない障害があるなら逆に普段ヒトにはない感覚が覚醒したりするのもおかしくはない。
「ニュータイプって何?」
「うん、俺の感情も読めてるね。言葉交えずに想いを伝え合うことができる新しい人類のこと。」
「ふふっ。私、他の人にはない感覚を持ってて自分が変になっちゃったんじゃないかなと思ってたのよ。なのに貴方はおかしくないなんて思うのね。」
「時には人の想像では起こりえないようなことも起きることがある。それを実感しているからね。」
「これまで誰にも打ち明けることができなかったんだけど初めて言うことができてすっきりしたわ。」
そう言うとラーミルは両腕を上に挙げ、伸びをした。
ラーミルは自分の宿へ行き、俺は広場へ戻る。クロンにはラーミルが情報酔いしない程度に慣れるまで二人で模擬戦はしないよう言っておいた。クロンが言うところラーミルと手合わせしている時、剣筋が読まれていたそうだ。ハイパーセンス持ちとなればボスの攻撃範囲も読めて回避できるまでに成長したらとても強力な戦力となるだろう。新たな英雄の芽を発見して今後の成長に期待した。
午後になり、ノエルとともにアイテムの買い出しをしていく。
「うーん、どうしましょうか」
薬草店の前で白人っぽい少女が悩んだ顔をしていた。
「ん?どうしたの?あの子をみて」
「なんかあの子困ってるようだったから」
「おお!本当だね!お人形さんみたい。声をかけてみよう。もしもし、どうかしたの?」
「ええっと、あなた方は?」
「あたしはノエル!こっちはねヴァイリだよ!」
「…わたくしはベティと言いますの」
「ベティちゃんだね。なにかお困り事?よかったら相談に乗るよ」
「…実はほしい食材がありまして。紅茶の葉なのですけど。とある場所で入手可能らしいのですがわたくしのレベルでは難しくて。」
「紅茶なら宿の部屋に備え付けてあるんじゃないのか?」
「足りないのですわ。」
「え?」
「1日に支給される分では半日で使い切ってしまいますの。」
茶葉は1日につき20杯分は補充されてるはずなんだけど…
「そうなの?じゃああたしたちが手伝ってあげるよ!」
「え?でも……モンスターも出るエリアですわよ?報酬もありませんし…そんな簡単に決めて大丈夫なんですの?」
「困ってる子は見捨てておけないよ。報酬なんて気にしなくていいから。さぁ行こう、ベティちゃん!」
「は、はぁ……よろしくお願いしますわ」
「まあまだ安全なエリアだし大丈夫だろう。よろしく。」
1層 草原
俺とノエルは2層攻略済のレベルなので街近郊のモンスターを一撃で仕留められる。ベティを護衛しながら目的地へ進む。
「はぁはぁ…冒険は疲れますわね…」
「ベティちゃん大丈夫?少し休憩する?」
「だ、大丈夫ですわ。フフ…普段からフィールドへ出ずにのんびりし過ぎた報いですわね」
「ベティちゃんは小さいんだから気にしなくていいよ。モンスターはあたしたちに任せて」
「……ええ。お願いしますわ。ですが、せめて紅茶の葉を一人で採りに行けるようにはなりたいですわね…」
「ここまでソロで行くには10レベルまでは上げないとキツいな。行って帰ってくるわけだし」
「今が1レベル…10倍ですわね…」
「強い人達のパーティーに護衛されるようにして戦闘繰り返せば経験値それなりに取れて今なら4レベルまではなんとか上げられるとは思うけど」
「先が長そうですわ…」
「ベティちゃんは紅茶が好きなの?」
「ええ、家にいる時は、庭の花壇を見ながら紅茶を頂くのが日課でしたの。紅茶の葉が手に入ったらお茶会を開きますわ。ぜひいらしてください」
やっぱジョン・ブルなのか?
「うん、楽しみにしてるよ」
「紅茶好きな連中それなりに知ってるから声かけてみるよ」
「よーし、それじゃあたくさん素材を集めちゃおう!」
「ええ、がんばりますわ。お世話になりますがよろしくお願いしますわ」
花畑のようなところまで着いた。
俺とノエルでネペントの亜種を狩っていき、ベティの茶葉採取は無事に終わった。
始まりの街の外周が大きくなってきたあたりでベティが声をかけてきた。
「お二人のようにわたくしも、やる気になれば、戦えるようになるのでしょうか。」
「誰でも戦えるようになる。少し戦闘をしてみようか」
一頭だけでいるフレンジー・ボアを見つけたのでベティが戦闘をしてみることにした。ベティの武器は片手斧だった。ボアの横へ刃を当てた。
「なかなかダメージを与えられませんわ」
「ベティの場合、斧をモンスターに垂直に当ててるからね。木こりの両手斧とかならそういう当て方なんだけどゲームだと横方向へ斬り刻むようにするのが片手斧の使い方なんだ。」
「まあ、そうなんですか」
「ベティの当て方だと斧よりハンマーの方がダメージ大きくなるだろうね。」
始まりの街 宿場通り
「お二人とも今日はありがとうございましたわ」
「お役に立ててよかったよ。」
「わたくしも、ヴァイリさんやノエルさんのように戦えるようになれるのでしょうか?」
「できるできる!あたしが保証するよ。まぁ特訓はきついけどね…」
「…決めましたわ。わたくしに戦闘を教えてくれませんか?」
「構わないぞ。明日朝9時に街の中央の広場に集合で」
「足を引っ張るのは重々承知です。それでも、わたくしもあなた方の…って、え?よろしいんですの?わたくし、相当弱いですわよ?」
「少しいない時があったんだけど中央の広場で武器の使い方とかレクチャーしてるんだよ。」
「…知りませんでしたわ。」
ほんと、テレビも無え、パソコンも無え、携帯も無え、通信手段少ないこんな世界嫌だ。
「大丈夫、強くなりたいと思ってるならベティちゃんは強くなれるよ。私もしごかれたから・・・」
「……ありがとうございます。これから、よろしくお願いしますわ!わたくし、頑張りますわ。あなたの力になれるように精一杯。それでその……よければこのあと、お礼も兼ねてお茶会を開きたいのですが…」
「今日採ってきた素材を使うんだね。楽しみだよっ」
「せっかくだし頂こうかな。」
「フフ、お任せを。お二人を驚かせて差し上げますわ!」
お茶会の後、宿屋に戻って買い出しが終わってないことがエリスにバレてめちゃくちゃ怒られた。
ベティは初登場時斧装備だったのでゲームのパートナーストーリーをちょっと変えてみました