エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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歌詞8番の衛生兵になぞらえて



エリーゼ様まじ聖女



103話 2024.12.17 AMEN

2024.12.17 11:38

アスカ・エンパイア 弊闇京 吉田地区

 

ギルドホールの法翔寺を失った毘沙門天は補給など絶たれ、形勢の立て直しができていなかった。エンパイアワールドはその隙を逃すことなく生産職プレイヤーを徴用して補給拠点と化した愧園から他の皇太子派のギルドと連携をとりながら北上し、吉田地区の親王派プレイヤー掃討を計っていた。

 

 

「皇太子派選んだ時は選択ミスったと思ったが美味しいイベントになったな」

「まさかこうやって戦利品漁りできる側になれるとは思わなかったぜ。エンパイアワールド様々だ」

表通りではエンパイアワールドと同盟を結んでいたギルドのプレイヤー達がデスペナになった敵プレイヤーのドロップ品を拾っていた。

 

 

 

「はあ、こりゃ死に戻りか」

背中に矢が刺さったままの毘沙門天の侍プレイヤーが小路に息を潜めていた。周辺には皇太子派のプレイヤーばかりが行き来していて孤立無援状態だった。

 

「あのう、どうされましたか?」

「誰だ!」

背中側から声がかかり、侍プレイヤーは咄嗟に刀を向ける。

 

「大丈夫ですか?今回復しますね」

人畜無害を絵に書いたような少女が手負いの侍プレイヤーに駆け寄る。袈裟帽をかぶっていたが胸には十字架を下げていた。

 

 

イベント開始間際にログインできるようになったプリエルはキヨミハラからの道中を護衛付きでレベリングし、治癒術に長けた切支丹(キリシタン)のジョブについていた。

 

 

プリエルが傷のある場所に手をあてるとその場所が光り、侍プレイヤーのHPは回復していく。

 

「何だお前、皇太子派のプレイヤーじゃないのか」

 

「はい、エンド・・・エンパイアワールド所属です。しかし、神のもとに人は平等。困ったときはお互い様です」

プリエルはニコッと微笑む。

 

「お、おう。そうか」

これまで度々戦闘をしたエンパイアワールドの女性プレイヤーと同じ所属とは到底思えない女子だった。

 

「あと、お願いがあるのですが」

プリエルは上目遣いで尋ねる。

 

「うん?どうした」

 

「私もまだアスカエンパイアを始めたばかりで事情はよくわからないのですが、魔王さまは此度の凄惨な戦いに心を痛めており、早期終結のために敵対している皆様と和平を望んでいます。その条件が鞍替えなのですがよろしければしていただけないでしょうか?」

 

「は?」

(やっぱエンパイアはろくでもねえ。隙ありゃ鞍替えさせようとする)

 

「その手には乗らんぞ」

 

「この地の決着はほぼついてるのにまだ戦うんですか?」

プリエルは困った顔をする

 

「当たり前だろ。」

(なんか調子狂うなあ。エンパイアにもこんな甘ちゃんがいるんか)

 

「うーんどうしましょうか」

プリエルは考え込んで侍プレイヤーに背を向ける。

 

 

(こいつもエンパイアなら何かいいアイテムを持っていそうだ)

 

毘沙門天もやられっぱなしというわけではなく数件のエンパイアワールドプレイヤーのキルには成功していた。メイン武器として使用されている銃は暴発したようだがデスペナのドロップ品はレアアイテムが落ちたと報告もあり、侍プレイヤーもあわよくば手に入れたいと思っていた。

 

(悪く思うなよ)

彼女が目を離した隙を逃さず侍プレイヤーはプリエルの背中に斬りかかった

 

聖域結界(サンクチュアリ)

プリエルが呪文を唱えると彼女の周囲に透明なバリアが張られる。刀の刃はバリアに阻まれて届くことはなかった。

 

「おいおい、後衛の術士系統だろ。防御術を使ったからといってこれしかダメージ入らないのか」

プリエルのHPバーの減少は微々たるものだった

侍プレイヤーは知る由もなかったが数万円分の課金で経験値ブーストを重ね掛けしてレベリングをしたプリエルは短期間ながらも既にダメージを受け付けないステータスまで上がっていた

 

「残念ですね。まだ刃を向けるようでしたら潰しませんと」

プリエルは悲しそうに言うと背負っていた十字架型の鈍器を持ち出す

 

「へ?」

侍プレイヤーは急な空気の変化に狼狽する。

 

「神よ、彼の罪をお許し下さい、Amen。恥ずかしながらこれは“恩師”の受け売りなんですが・・・泣いたほうが痛みが和らぐと言われていますよ」

プリエルは鈍器を振り上げてニコッと笑う。そこに悪意は全くないことが侍プレイヤーには恐ろしかった。

 

「分かった、お前の言うとおり鞍替えするから」

侍プレイヤーは手で制しながら慌てて返事を変える。

 

「あら、そうですか。祈りが通じてよかったです。天におられるわたしたちの父と、内におられる我らが王に感謝を」

プリエルは振り上げていた鈍器を背負いなおすと十字架を切った。

 

(やっぱこいつもエンパイアのプレイヤーだ・・・)

侍プレイヤーは青ざめながら鞍替えの操作をした。

 

 

 

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