エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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渡河のイメージ
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歌詞6番の騎兵になぞらえて



108話 2024.12.19 渡河はつらいよ

2024.12.19 6:20

 

アスカ・エンパイア 蛆川南岸

 

早朝の霧が立ち込める川岸に蠢く影がひとつあった。

 

「潜入―、かーらーのー?煙もくもく~」

デスペナから既に復帰していたホタルは隠蔽スキルを使いながら水蜘蛛で川を渡り、発煙玉で白い煙を焚き、霧をさらに深く広げていた。

 

 

 

 

川の北岸

 

霧が濃くなっている間に上流から筏が連なって流されてきていた。弊闇京陣営は霧で川が見えにくくなっているうちに渡河する作戦だった。

 

「アンカー、投下」

筏に縄で繋がれている重しが川底に沈められる。流されていた筏は一列に並びながら定位置で止まった。

 

破壊された時のための予備の筏もキープしておきながら蛆川に3本の浮橋が架かった。

 

 

「待て、本当にこれを渡るのか・・・耐荷重の検証はどうなっている。ヴァイリは?」

ミルローゼは半信半疑で目の前の浮橋を睨む。

橋といっても水面に浮いてるだけなので筏1枚1枚が波でぐらぐらと揺れていた。

 

「剣道の朝練があると定時の5時半にはログアウトしてます」

キーナが答える。

 

「なんでこう肝心な時消えるんだあいつは」

ミルローゼはぐぬぬと歯ぎしりする

 

「どいたどいたぁ!」

後ろから少年の声が聞こえると、橋の前で停止しているエンパイアワールドを掻き分けるように馬に乗ったプレイヤー6人が橋へ突っ込んでいく。先頭のジュンが陸上と変わらないスピードで浮橋を走り抜ける

 

「立ち止まっていても前には進めないよ?」

ユウキはそう言い残して渡り出す。

 

「待ってくださいジュン、ユウキ。突出するのは危ないですよ」

その後ろをシウネーが追いかけていく

 

「おっ先~」

ノリが真っ直ぐとスピードをつけて走っていく。

 

「ひぃっ、これすごいグラグラする!」

タルケンがぐらつくのにビビりながらも渡っていく。

 

「大丈夫かな・・・沈まないでくれ。泳げないんだから」

最後のテッチが鎧と馬との重みで少し沈みながらも浮いている筏を渡っていった。

 

真っ先にスリーピングナイツが渡河に成功した。

 

「アタシ達も行きますか」

アニエスは馬を蹴り出して前進する。

 

「ちょっと、まだ渡河していいって言ってないでしょ」

「単身乗り込んでるホタルを拾うのでお先に失礼」

リリオの制止を聞かずにアニエス達探索班がスリーピングナイツに続いて渡り出す。

 

「ほら、馬で乗っても大丈夫でしょ」

フィリアはわざと馬を筏の上で暴れさせるが沈まないことをアピールしてから渡る。

 

「あの盗賊ども」

ミルローゼの不機嫌が増す。

 

「トトナさん、行きましょう!せっかくのポイント稼ぎ時を逃してはいけません」

「待ってください、ルチア!」

ルチアが渡り出し、それを追うようにトトナ達親衛班が追いかける。

 

「ルチアが心配なので、わたしもいかせてもらいます」

ルチアが飛び出してそわそわしていたアネットは我慢できずに橋を渡る。

 

「なんでこう命令違反する者ばかりなんだ」

ミルローゼは怒って右腕を上下に振る。

 

「まあ、荷重試験として働いてくれたということにしましょう」

アンジェラは苦笑いする。

 

「ううぬ、全員1メートル間隔で進め」

遂にミルローゼが命令し、本格的に橋を渡りだした。

 

エンパイアワールドの騎兵が渡り終わったあとは弊闇京プレイヤーの歩兵たちも後に続いた。

 

 

川の南岸

 

「今日は一段と霧が濃いな」

「川さえ見えない。北からの攻撃止んでるから向こうもこちらが見えてないし、しばらくは大丈夫なんだろう」

キヨミハラ陣営は北岸からの銃撃に警戒して川から距離をとった場所で陣取っていた。

 

「なんか大きな影が見えないか?」

「モンスターでも沸いたのか」

霧の中に大きい影を見つけたプレイヤー達は目を凝らす。

 

しかし、霧の中から彼らの前に現れたのは横一列に並んだエンパイアワールドの騎兵集団だった。

「騎兵だ!」

「おいおい、この時間に攻撃仕掛けてくるのか」

 

キヨミハラ兵が気づいた時にはもう目の前まで迫っていた。

完全なる奇襲であった。

 

「出勤しかけてる連中呼び戻せ。この人数での防衛はやばい」

気が緩んでた南岸のキヨミハラのプレイヤーは焦る。徹夜で川を挟んだ攻防を繰り返していたが、今は社会人プレイヤー達がログアウトしだした時間帯だった。

 

「いや、会社は行かんと。俺はログアウトするぞ」

ガシッ

「今日は休め」

「貴様は戦いから逃げようとしている」

ログアウトボタンを押そうとしたプレイヤーの腕を掴み、留めようとする者もいた。

 

「防衛線を、タンク前へ」

陣営を指揮していたプレイヤーが盾役のプレイヤーを前面に呼び出そうとする。

 

「遅い」

しかし、騎兵は陣営内に到達し、ミルローゼは指揮官を斬り倒した

 

勢いづいた馬の衝突、踏みつけ、槍の串刺し、馬上からの刀の斬りつけでキヨミハラ陣営は混乱に陥る。

 

突進してくる馬の迫力で逃げ出したプレイヤーの背中に容赦なく刀が振り下ろされる。

 

 

「待った、降参する」

 

「知るか、何か装備ドロップしろ」

両手を上げて降伏していたキヨミハラ兵を弊闇京兵は躊躇なくキルする。エンパイアワールドが討ち漏らした分は後続歩兵が掃討していた。

 

 

 

 

 

 

 

キヨミハラが後方に設置していた転移陣はエンパイアワールドの人員で速やかに破壊され、増援は呼び出されなくなった。。

 

 

 

 

 

「うーん、狙って落とすものではないが戦利品良いものでないな」

「アイテム欄の中から1つがドロップするものだし」

「店売りのアイテムかよ、いらね」

キヨミハラ兵の死体漁りをしていた弊闇京のプレイヤーは労力不相応の戦利品に不満げだった。

 

「そう言うだろうと思ってひとつ褒美を用意してやった」

ミルローゼが言う。

 

「キヨミハラに陰陽師を潜入させている。今、こちらから向こうへ転移陣を繋げよう。我々は西のコバヤカワを潰してくるからお前たちは戦闘プレイヤーが減っているキヨミハラで“お楽しみ”を堪能してくるがいい。」

キヨミハラ参戦が決まってから直ぐに陰陽師ジョブのラーミル、他少人数をキヨミハラに潜入させていた。キヨミハラの戦闘プレイヤーが片付けられた今、キヨミハラに主に残っているのは戦闘向きではない生産職プレイヤー達だった。

 

 

「おっし、デスペナで無くした分キヨミハラで獲るぞ」

 

「魔王って身内には優しい?」(錯覚)

元親王派も手のひらを返しだしていた。

 

 

「さて、我々は残る敵を片付けるぞ」

ミルローゼは言う。

元親王派は転移陣で消えていったあと、エンパイアワールドら元々皇太子派だったプレイヤー達は北西へ向かった。

 

 




騎兵突撃のイメージ
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