エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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「浅見さんもお人が悪い!」なパロディあります。

h ttps://www.youtube.com/watch?v=z74C7rQWmck
(御母堂同伴の応用的模範解答)



113話 2024.12.24 港の横

2024.12.24

────横浜駅

 

クリスマスで混雑する駅に二人の若いカップルがいた。

 

「ほい、瑠希の分」

ヴァイリこと興平は券売機で買ってきたフリーパスをクロンこと瑠希に渡す。興平はクリスマスに合わせて瑠希をデートに誘っていた。二人は新宿から直通で横浜まで来ていた。

 

「ありがとう」

瑠希はフリーチケットを受け取る。

 

「デートなのに瑠希はなんで竹刀持ってきてるんだ?」

興平は瑠希の背中の竹刀袋を指差す。

 

「何事も傍らに置きたいものはある。武具店で普段握っているものと見比べたいし。それに、あなたもジャケットの裏に警棒を隠し持っている」

「む、これは護身用だ」

瑠希に指摘された興平は持ち物がバレたことが気になって服に不自然な膨らみが出てないか確認する。

 

『二人とも仲良しさんね』

興平の胸ポケットのスマホからリリエラの声がする。

 

「周りに怪しまれるからあまり声を出すなよ。レンズは外見えるようにしておくから」

興平はスマホのマイクにこそこそと言う。

 

リリエラは彼のスマホをクラッキングしてカメラから現実世界を見ることができていた。

ALOをログアウトしている間もリリエラはアミュスフィアからパソコンへ移ってインターネットを通して四六時中この世界の情報を収集していた。もともとファイアウォールプログラムの彼女はその性質上逆にプロテクト突破も容易なことだった。

 

「瑠希の行きたい武具店は地下鉄乗ってひと駅だな」

「そのくらいなら歩いていく」

二人は目当てのお店まで歩き始めた。

 

 

 

横浜駅から少し歩いたところにある南幸橋を渡った先の家電量販店でテレビが放映されている。

『今日はアメリカ有数の有名大学、MITに来ています。私の隣には近日来日予定の七色・アルシャービン博士がいらっしゃってます。』

『プリヴィエート、日本の皆さん。あたしはVR発祥の地である日本で全く新しい実験を予定しています。応援よろしくね』

『キャーッ、ちっちゃくてかわいー』

アメリカからの中継で、暴走気味の若手女性キャスターのインタビューに12歳の子ども博士、七色・アルシャービンが答えている映像が興平の目に入り立ち止まる。

 

「ロスト・ソングも始まるか」

「彼女がレインの妹か?」

「ああ、そうだ」

興平のボヤキに瑠希は以前聞いていた人の確認をする。

 

「むぅ、今日は普段の事を忘れてデートを楽しむということだったはずだ。行くぞ」

「おい、引っ張るなって。自分で歩けるから」

デートに集中しない興平に不機嫌になった瑠希は彼の腕を組むと引っ張るようにして歩いて行った。

 

 

 

───戸部町 剣道武具店

 

「やはりオーダーメイドのように手になじむものを既製品で見つけるのは難しい。」

入店した瑠希は端から立ててある竹刀を1本1本手にとって振ってみたがしっくりくるものはなかった。

 

「お、カーボンの最新型だ。どうだ?こういうのは」

興平は目玉商品として掛けてあるカーボン竹刀を手に取る。

 

「あまり家では好まれないが、一本くらいは持っていてもいいだろう」

瑠希は女子用の竹刀を掴み、試し振りをする。

 

「気に入ったのがあればクリスマスプレゼントっていうわけでもないが買うぞ」

「じゃあこれがいい」

瑠希は一本を選び、興平が会計をした。

 

「早速明日の稽古に使いたい」

興平に買ってもらったカーボン竹刀を元々持ってきた竹刀と共に背負う。

 

「クリスマスで混むから12時前に昼取っちゃおうか」

「そうしよう」

店を出た二人は昼食をとることにした。

 

 

 

──中華街

 

高島町駅から関内駅で乗り換え石川町駅で降りた二人は中華街へ向かい、メインエリアの入口である善隣門をくぐる。

 

「中華街は初めて来た」

瑠希は頭上の連なった提灯や中国語の看板を物珍しそうに見る。

 

「よっ、ほっ。お、ヴァイリにクロンじゃないか」

包々という店の前に冬ながらチャイナドレス姿でカンフー茶を披露していた少女が歩いていた二人を呼び止める。

 

「お前パウだろ、何をやってんだこんなとこで」

興平も体術戦闘を得意とするギルドメンバー、パウだと気づく。

 

「こんなとこもなにも我の親の店だぞ。寄ってくカ?二人ならサービスするぞ」

パウは二人を店内へ招いた。

 

パウは二人がSAOの時の戦友であることを店主である父に伝えると、彼は普段以上に気合を入れて料理をし、飲茶コースを二人に振舞った。

 

 

 

 

────商業施設ワールドハーバーズ

 

昼食後、二人は元町通りの店を巡ってから電車で馬車道駅に向かい、万国橋を渡って人工島の商業地区まで辿り着いていた。

 

「服まで買ってくれて良かったのか?」

「俺も着飾った瑠希を見たいし。宅配依頼したから届くのは明日になるだろうけど」

(ライトアップする日暮れまではちょっと早く着いてしまったな。どうしようか──)

興平の予定よりも早めにスケジュールが進んでいて思案していた。

 

 

「きゃああぁ!」

「逃げろー!」

「わぁぁ」

二人がショッピングモール内を歩いていると、来た方向と反対側から叫び声が聞こえてきて大勢の客が一目散に駆けてくる。

 

「通り魔だ、逃げろー」

大声を出しながら逃げていく男性とすれ違った。

 

「どうする?」

「背中を見せるほうが危ない。無力化したほうが確実だ」

興平が聞くと瑠希は当たり前のように答えた。二人にとっては取りおさえるのが確実に安全だった

 

「そうだな。後必要なのは─────」

興平はちょうどそばにあった100円ショップで結束バンドを手に取り、従業員が逃げて無人になったレジに110円を置いた。

 

「それに、買ってもらった竹刀の試し振りをしたい」

「おい本音漏れてるぞ」

 

 

─────

 

「うおらやああ」

吹き抜けになっているイベントステージ広場に返り血をつけた中年の男がナイフを振り回していた。

 

「やめてー!」

女性がベビーカーを抱きかかえたままうずくまっているのが見えた。

興平は咄嗟にリュックから水筒を取り出して男に投げつけた

 

「いってえな、この野郎!」

水筒が背中に当たり、振り向いた男は標的を二人に変える。

 

「殺してやる!」

刃物男は二人に突進してきた。

 

興平は伸縮警棒を取り出しざま伸ばし、瑠希は背負っていた竹刀を構えた。

 

 

その時、吹き抜けのイベント用プロジェクションマッピングの装置が勝手に動き出す。

 

興平と瑠希の前に立体映像で映し出されたリリエラが出現した。

「わたしのご主人様に刃を向けるとはいい度胸ね」

リリエラは目をぎらつかせながら剣を男につきつけていた

 

「ひ、ひいぃぃ」

男はその気迫におののき、腰を抜かす。

 

 

「斬り捨て御免」

「ゴフッ」

男がひるんでいる隙に瑠希は竹刀で胴打ちし、興平は警棒でナイフをはたき落した。

 

 

うずくまってる通り魔の両手を後ろに回し、左右の親指を持っていた結束バンドで縛る。

「確保!」

興平と瑠希は男にのしかかり、組み伏せた。

 

「はなしやがれぇ!」

男はもがき抵抗していたところ、瑠希は更に竹刀を後頭部に打ち付けた。男は首がだらんとなって昏倒した。当たり所が悪いと死に至るがそこは彼女も考えて加減はしていた。

 

 

「ナイスアシスト、リリエラ」

「当然のことをしたまでよ。ご主人様」

興平は立体映像のリリエラに言うと、彼女は表情一つ変えずに言った。

 

 

「助けていただきありがとうございます」

逃げ遅れていた母親はベビーカーを抱きかかえながらお礼を二人に言った。

 

「この子も怪我なくてよかった」

瑠希はベビーカーの赤ちゃんへ微笑む

 

ウウー

そうこうしているうちに複数のパトカーのサイレンが聞こえ始める。

 

───────

 

「負傷者7名、いずれも軽傷で済んだのはまあ不幸中の幸いだったか。で?君らが暴れてた男を取り押さえてたってのか」

警察が現場検証を始め、40代くらいのだぼだぼのコートを着た刑事が現場にいた二人に聞き込みをする。

 

「坊主、身元証明できるものは?」

「名刺ならありますよ」

高圧的な刑事に興平は他人行儀になってケースから1枚取り出す。

 

「不動産屋?須崎興産 非常勤社員、須崎興平。かーっ!土地持ちのボンクラ息子ってことじゃん。いいご身分だこと」

 

(ムカッ)

興平は刑事にケチをつけられて頭にきたが、現状学生の身分でもなく父の配慮で会社に籍を置かせてもらっていた。波風を立てることは避けたいため黙っておいた。

 

「それとそっちのお嬢ちゃんも、竹刀で殴りつけるなんてどこの昭和ヤンキーだ。名前は?」

「九龍 瑠希」

刑事の質問に瑠希は答える。

 

「あのね、いくら通り魔だからって過剰防衛にひっかかることもあるんだからね」

「九龍…あれ、何処かで聞き覚えあるな」

刑事の後ろの若い警官が九龍の名前に記憶があり呟く。

 

「誰か保護者に連絡できる?」

「家に祖父がいる」

刑事は続けて聴取を取ると、彼女は正直に答える。

 

「電話番号教えてくれる?」

「あ」

刑事の言葉に興平は問い合わせるのはやばいと思って声が漏れるが、妨害すると余計怪しまれるので口元を手で覆って事の成り行きを見守る。

 

瑠希は素直に自宅電話番号を伝えると、刑事はスマホを取り出して掛ける。

 

『はい、こちら九龍です。』

刑事の耳に初老と思われる男性の声が聞こえる。

 

「あ、どうもこちら神奈川県警横浜署の柊木と申します。」

 

『横浜ですか?瑠希がそちらに出かけてるはずですがどうしてうちに』

 

「お宅のお孫さんがショッピングモールで通り魔相手に竹刀で頭叩いちゃいましてねえ。正当防衛を超えちゃってるんじゃないんですかこれ?」

 

『それはそれは、とてもご迷惑おかけして申し訳ない』

 

「困るんですよねえ。いったいどういう教育をすればこんな無茶するんですか。家庭環境は大丈夫なんですか?」

 

『一般的な家ではないかもしれませんな。一族同じ職に就いてるもんで。わたしも元がつきますが、最終は警察庁官房で警視監でした』

 

「ほ?」

刑事は耳に入った予想しない言葉の意味がすぐ分からず、呆けた声が漏れる。

 

『ちなみにせがれは現職で警視正だったりする。まあそろそろ警視長になるでしょうが』

 

「お、おぉ」

刑事の顔に冷や汗がだらだらと流れる。

 

『何か、孫娘が罪に問われることをしてしまったので?』

電話の声は含みを持って問いかける。

 

「いえ、とんでもございません。犯人逮捕のご協力感謝します!」

スマホを切ると刑事はうってかわってニヤニヤとした顔をする。

 

「いやー、瑠希さん、いや、瑠希お嬢様もお人が悪い!本庁お勤めの御父兄様がいらっしゃるなら早く言って頂かないと」

手をモミモミしながら刑事は瑠希のご機嫌取りを始める。

 

「父達は父達、私は私だ。逆に身内がそういう職であるにも関わらず勝手な行動を取ったことを申し訳なく思っている」

瑠希は刑事の態度の変わりように引いている。

 

「いえ、いえいえいえいえ。凶悪犯を取り押さえたその勇気、誇っていいものです。」

先ほどまでの高圧的な態度から一気に低姿勢へ変わる。

 

「ああ、思い出した!もしかして九龍校長のお孫さん?警察学校でお世話になりました」

「馬鹿!そういうのはもっと早く気づけ。恥かいたろうが」

警官が呑気に言うと刑事が怒る。

 

「九龍警視正の娘さんってSAO事件で攻略ギルド、エンドワールドにいたって噂なかったか?」

「先週出版された“魔王軍浮遊城解放綺譚”読んだけどそういえば」

他の警官達が話し出す。

魔王軍浮遊城解放綺譚は世間一般ではノンフィクション小説として受け止められていてゲーマーの中ではエンドワールドを英雄視する信者まで出始めている。

 

「“黒の武士”と呼ばれた最強のプレイヤーとか」

本の中でクロンはラスボスを仕留めた英雄として綴られていた。黒いコートを好んで羽織っていたことから著者のアルシエは黒の剣士キリトに対抗して黒の武士と二つ名をつけている。

 

「もしかして本物のクロン!貴方のファンなんです、握手お願いします!」

「この前アスカエンパイアのイベントで個人2位だったでしょ、すげえなあ」

瑠希はファンの警官たちに囲まれた。

 

「コウ、助けてくれ」

「すまん、無理」

この状況に瑠希は珍しく困ってる様相で興平に助けを求めたが、彼は群がる警官たちの間に入れず合掌していた。

 

 

 

───

 

しばらく瑠希がサインや握手に一通り対応すると警官達も職務を思い出したようで現場検証に戻り始める。

 

「フィアンセ様とデート中とのことでどうぞ、ごゆるりと続きをお楽しみください。このフロアは現場検証で封鎖されますがここ以外にもデートスポットはたくさんありますので。ご苦労様です!」

刑事は二人にビシッと敬礼すると去っていった。

 

「やっと解放された」

「お疲れさま」

くたびれた瑠希に興平はポンと肩を叩く。

 

「やべぇ、タワーのレストランの予約過ぎちまった。」

興平は腕時計を見て頭を抱える。瑠希の門限に合わせて早めに予約を入れていたことが騒動で大幅な時間ロスとなり逆に仇となった。

 

「食事はここでいいのではないか?レストランは開いているし。そことか」

瑠希が指さした方向にはワグナリアの看板があった。

 

「横浜まできてファミレス?」

男気を発揮しようと気合を入れてきていた彼にはそれでいいのか納得いかない。

 

「しかし夜景は文句なしのようだ」

瑠希は中を覗き込むと、窓から汽車道、タワーのライトアップが見えた。

 

───ワグナリア ワールドハーバーズ店

 

レストランは現場検証の規制線から外れていて営業は続いていたが、事件から数時間ほどしか経ってないこともあってまだ客足は多くはなかった。

 

「同じ階のもっと良いレストラン入っても良かったのに」

「未成人なのだから身の丈にあったところで充分だ。」

「じゃあサイドの注文を増やして───」

 

二人はそれぞれメインのハンバーグプレートの他、カマンベールチーズ&クラッカーの盛り合わせ、ボイルエスカルゴなどサイドメニューを充実させてディナーとした。

 

 

 

 

─────九龍家前

 

大きな和風家屋の門の前、九龍家の玄関まで興平は瑠希を送り届けた。

 

(うーん、門限ぎりぎりになったからいつも通りな感じでこれといった進展なかったな。イルミネーションの中でひとつくらいカップルぽいことしたかった)

帰りは汽車道を渡ったが、他のカップルでスペースは埋め尽くされており立ち止まって夜景に浸る暇もなかった。

 

がくっとしている興平に瑠希がこつんと頭を彼の胸にぶつける

「今日は楽しかった。帰ったこのあともVRログインできるなら一緒にいたい」

頬を染めて瑠希は視線を逸らし照れながら言う。その言葉に興平の気落ちしていた表情がぱぁっと明るくなる。

 

「うしっ!それなら前にフィンランドのホテル会社で販売してたガラスイグルーのVRデータがあるんだ」

 

「うむ」

 

「オーロラ機能あるから二人でベッド寝転がって観賞しよう!」

 

「うむ」

 

「そんでエッむぐっ」

興平のふしだらな言動を瑠希は手で塞ぐ

 

「それはちゃんとしたムードを作るかあなたの努力による」

瑠希は顔を赤くし、むすっとした目で言う。

 

「うん、努力する!じゃあまた後で」

舞い上がって変なテンションに達した興平は手を挙げてくるりと振り向き自宅へ向かった。

 

「また後で」

帰っていく彼の後ろ姿に手を振る。

 

『快楽と戯れる夜になるといいわね』

スマホから聞こえるリリエラのからかいも無視して興平は急ぎ走って帰っていった。

 

 




マリンアンド○ォーク入れたほうが良かったかもしれんけど尺の都合で割愛


この話のワグナリアのモデルは同テナントのサイゼ〇ヤ
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