エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
2025.1.19 11:13
プライベートVRルーム クレムリン
降雪の気候設定が施された赤い城塞の上空で空中戦が行われていた。
『aaaaaaaaa』
巨大イカの頭部が割れた中に人体がついたようなモンスターが叫び声を空に震わせる。
「魔法攻撃パターン確認。攻撃軌道をマークするわ」
高度から見下ろしているラーミルが伝える。
「敵の直線魔法来ます。回避、回避!」
トトナ達が避けたすぐ横を大きな氷のレーザーが投射される。
「ああ、また突進で移動した!」
大きく移動したボスをヴィーニャ達は飛んで追いかける。
「ゲソのタゲはこちらで取る。そのうちに人型の弱点を」
エルミラが触手のラッシュ攻撃を盾で受け止めきる。
「「そーれっ!」」
動きを止めたモンスター、ウィークポイントの人体部に大きい打撃が2つクリーンヒットする。
「やったね、エヴェイユちゃん、大ダメージ」
「うん、お姉ちゃん達の役に立ったよぉ」
エヴェイユと大きなメイスを持ったフリーデがハイタッチする。
「残りバー1本、ゴリ押しましょう」
エリスが言うと、人体部に攻撃が集中する。
HPバーを全損したモンスターは光り、砕けちった。
「戦闘時間43分、1時間超えてた初回よりはだいぶ短縮できてるな」
元老院のドーム屋根の上に座って観戦していたヴァイリはストップウォッチを止める。
「大勢の子羊ちゃんと戯れるのも悪くないわね」
モンスターの3Dグラフィックが崩れると中からリリエラが現れる。ALO管理サーバーからハッキングの痕跡を残さず抜き取ったヘイズルーンのデータをそのままトレースしていた。
模擬戦参加者にもALOに似せてビジュアル、飛行、魔法システムが再現されていた。
「総評といこうかしら。まず魔法範囲以上に大きく避けすぎている。無駄な動きが多いわ。本体がスタン状態に攻撃していない子が出る。これも時間の無駄な消費。リーゼロッテ班は後方での補助魔法が主なのに魔法の流れ弾に当たるわね。ポジショニングを考えなさい。エリー班は──」
リリエラは全体の問題と判別の問題を列挙していく。
「ムキーッ!いちいち癇に障るAIですわね。主人と似て性格が捻くれてるんじゃありませんこと?」
セレンは空中で地団駄を踏む。
「ぐだぐだ言うな。これで高度制限解除後のヘイズルーン初討伐失敗したらせっかく攻略分担したシャムロックの信用失うぞ」
ヴァイリが新聞の紙面を開きながら拡声器を使って言う。
「一度休憩を入れましょう」
トトナは皆に言ってから汗を拭ってヴァイリのいる屋根に着地する。
「まだボスに振り回されてる感は歪めないな。デスペナ受けないよう“いのちだいじに”戦うのは分かるがその分攻撃が減衰するぞ」
ヴァイリが言う。
「この世界では死なないし多少の損耗は覚悟で攻撃に優先したらどうかしら?侍の子羊ちゃんなら躊躇わないわ」
屋根の上に降りてきたリリエラが言う。
「世界樹の雫のストックも余裕あるし数度HP全損したとこで蘇生すればデスペナはなくなる。」
ヴァイリが付け足す。
「それはそうですが・・・検討します」
トトナは理論上は理解していても心緒ではゲーム上の死亡が受け入れられなかった。
「リリエラと組んでダメ出しするのどうなのさ」
上空から降りてきたエンジュがヴァイリに文句を言う。
「トトナさんはみんなのこと思って作戦立ててくれてるんです。そんな責めないでください」
普段静かなスザナもヴァイリを非難する。二人はSAO時代に危ないところをトトナに救われた経験があった。
「隊員にはよく慕われてるな。羨ましい限り」
ヴァイリは両手を上げて降参のポーズをとる。
「皆の期待は裏切れません。作戦を立て直します。班長集合!」
トトナは再び飛び立つと各班のリーダーを集めて次の模擬戦のための作戦会議を始めた。
「ところでご主人様は何を読んでるのかしら?」
リリエラは後ろからヴァイリの首に腕を回して紙面を覗き込む。
彼の読むMMO新聞には先日サラマンダーとレネゲイドで大規模な衝突があったことが載っていた
《SAOサバイバー恐るるに足りん。アスカを荒らしてきたそうだがアルヴヘイムは我々の地だ。余所者に好き勝手させん》
サラマンダー将軍のユージーンのインタビューもある
「随分と偏向した記事を書かれたもんだ。」
「私が全部壊してきてもいいのよ?」
「報いは受けさせるが今はそういう時期じゃない。ひとまずシンカーあたりにSAO時代の軍の悪行で揺すって対立記事MMOトゥモローに書かせるか」
ヴァイリは新聞をくしゃくしゃにすると屋根の上から投げ捨てた。
───同刻 ALO 砂丘峡谷ヴェルグンデ ゴンドゥル遺跡
シャムロックと攻略レースをしているキリト一行はヴェルグンデ攻略の佳境に入っていた。
「フィリアはエン・・・アインワールドのほうは行かずにこっちに来てていいのか?」
「今日はわたしの班オフだから大丈夫だよ」
キリトは気になってたことをフィリアに聞くが、フィリアは気にする素振りもなく答える。
ふと、キリトは違和感を感じた方を見る。
「レイン、来てるのか?」
キリトは視線を感じてカマをかけてみる
「えへへ~、やっぱりバレちゃうね」
紆余曲折あってキリト一向の一員に加わっていたレインは気まずそうにハインディングを解いて出てくる
「へぇ~、この子がレインかぁ」
フィリアは既にギルド内で面識があったが、本部からレインがエンドワールドに在籍してることを隠すよう指示がきてたので初対面を装う。
「ア、 アナタハ?」
レインは少し声が上ずって聞く。フィリアと同じく初対面を装っているが、演技に緊張して台本を読み上げるようになってしまっている。
「わたしはフィリア。よろしくね」
フィリアは気にした素振りをせず自己紹介する。
「フィ、フィリアチャンカー。コチラコソヨロシクネ」
レインは元に戻そうとするも完全に声が強ばって言っていた。冷や汗を流していて笑顔も不自然に口角がつり上がってる。
「どうしたんだ、レイン。人見知りか?フィリアもいいやつだぞ。そんな固くならなくても大丈夫だ」
いつもと違う反応をするレインにキリトが訝しむ
「う、うん」
レインはボロが出まいと徐々に口数が減っていく
《ちょっとレイン、嘘つくの下手すぎ!》
あまりにも演技下手なレインにフィリアはムッとしてメッセで怒る。
《ごめーん》
レインはメッセで謝る。
「あ、そうだ。レプラコーンって聞いてるけど、何か欲しい素材とかあるの?わたしトレジャーハンターだから何かあれば相談に乗れるかも!」
フィリアは話題を普段ギルド内でするような世間話に持っていってレインの緊張をほぐす。
「そうなんだ!わたし前から欲しいものがあるの!今度聞いてくれる?」
レインも普段鍛冶場で素材調達を依頼するときのように口調が戻る。
「もちろん!」
フィリアはキリトに見えない位置で親指を立てる。
(話しが合いそうだしこれなら心配ないな)
二人のやり取りを見てキリトは安心した。