エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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フブキに薩摩ホグワーツしてほしい


148話 2025.3.10 トラッキング

 

2025.3.10 13:40

 

東京都港区六本木

 

 

「1時半過ぎたから今頃トーラスのボス戦中かしらね。わたし達もこっちの攻略するわよ」

ミルローゼことスーツ姿の臼井 舞はスマートウォッチを確認しながら言う。

 

「はい、まお・・・いいえ、室長!」

並んで歩いているカスミこと逢坂 すみれはカジュアルな服装でカバンを持ちながら返事する。

 

 

【挿絵表示】

 

 

二人は巨大な蜘蛛のオブジェの足をくぐり抜け、VRベンチャーが多く入っているビルへ入った。

 

 

 

待ち合わせの階でエレベーターを降りたところ、男性が立っていた。

 

「お待ちしていました。オリジン運営責任者の伊佐田です」

顎髭を蓄えたアラフォーの男性社員が迎える。

 

「臼井証券、VR事業戦略室の臼井 舞です」

舞は実家の証券会社が一族経営であることを利用して新設予定だった部署に入り込み、SAOの頃から補佐をしてくれているかすみも採用させていた。

 

「運営は順調のようですね」

 

「臼井証券さんがVR事業への投資を株主さんに勧めてくれているおかげです。七色博士に紹介してもらって私どもも大変助かりました。」

 

(若いな)

伊佐田が舞を見た第一印象だった。苗字のとおり創業者一族の親族であるにしても成人前とは思えない場慣れを感じていた。

 

 

「立派なオフィスですね、室長」

案内されて歩きながらすみれは壁の少ない開放感のある室内を見渡す。

 

 

伊佐田は二人を応接室に通してソファへ座らせた。

 

「ゲーム面以外でも研究面で多くの団体が参加していて株主の方々からは将来性がとても期待されてます」

 

「SAO事件で一旦冷えたVR事業の起爆剤として注目されていますのでプレッシャーも重いですよ」

 

「そうですね、オリジンが成功するかどうかが業界の分水嶺になるでしょう。なのでトラブルの芽は潰しておきたいなと思いまして今日は訪問させていただきました」

 

「エラーが出る都度対策チームでトラブルシューティングは実施しています」

 

「デジタルドラッグ」

舞がそのワードを出すと伊佐田の眉がわずかに動いた。

 

「オリジン内で一部出回ってるようですね。SAO事件終結後に後継を名乗るゲームで再び人的被害が出る事件が起きるのは次こそ業界全体の信用失墜になりかねません。わたし、こういう肩書きもあるんです」

舞は取り出した名刺を裏返す。そこにはエンドワールドギルドマスター ミルローゼと書かれていた

 

「ゲーム内ではトラブルが複数件出てますよね。わたし達の中でも目撃情報があります。解決に向けて情報交換しませんか。ビジネスパートナーとして」

 

(今日の訪問ってこっちが本命か)「はぁ、いいでしょう」

伊佐田はため息をつくと窓のブラインドを下げた。

 

 

すみれはカバンからタブレットを取り出し、ヴァイリこと興平が提供した証拠写真とデジタルドラッグ使用者の身元データを表示した。

 

 

───

 

 

「やっぱりデジタルドラッグに関わっていたのは志崎か」

レポートを読み終えた伊佐田はファイルを閉じる。かつて働いていた元社員の名前が出てきて納得していた。

 

「接続元も特定してるのでいつでも確保できるよう警察に根回しもしてあります」

舞は志崎が潜伏している住所をマップに表示する。

 

「私たちが対応する前にそこまで進めるとはな」

 

「SAO攻略者としてちやほやされてる身ですが快く思わずに危害を加えようとするのも一定数いますからね。危険の芽はいつでも摘み取れるようにしています」

 

「これを提供するということは何か見返りが欲しいのか?」

 

「志崎以上に危険な因子が存在している場合があります。それを探らせてほしいです」

 

「具体的には?」

 

「エンドワールドから本来現れないボスや通常出現しないはずのモンスターが出ている問い合わせをかけていますよね」

 

「そうだな。別に対応しなかったわけじゃないぞ。再現性を取ろうと試したが目撃情報にあるようなモンスターのデータすら見つからなかった」

 

「外部から持ち込まれたデータの場合もあります。目星はだいたいつけていて、研究参加登録しているパンドラのアクセスログを調べたいのですが」

 

「・・・よし、いいだろう。こっちだ」

伊佐田は二人を招く。

 

フロア移動をして、オリジンのデータが保存されているタワー型サーバーが並ぶサーバールームへと案内される。部屋中に冷却ファンの音が反響していた。

 

舞がUSBポートにスマホを接続して片耳用のワイヤレスイヤホンをかける。

 

「リリエラ、準備できてる?」

 

『いつでも』

舞は興平のパソコンから彼女のスマホに移動していたリリエラを呼び出す。

 

「パンドラの痕跡を探して」

舞のスマホの画面でリリエラが遠隔操作し、いくつものファイルを開いて人並外れたスピードで解析を進める。

 

『パンドラが送り込まれるのにマルウェアが使用されている。何をトリガーにしてるか分かったわ』

 

「それは?」

 

『《MHCP》』

 

「接続元はどこ?」

 

『大阪府都島区 雑居ビルの4階』

 

「敵の場所を突きとめられたわね」

「ですね」

舞とすみれは地図アプリでピンが置かれた大阪の地点を見つめていた。

 

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