エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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COD CWのComradeききながら会議シーン書いてた
h ttps://www.youtube.com/watch?v=HqoEeIYtUQs

グリーンホール(Green Hall of guest annexe)の正式な名称は知りません。検索したら出てきただけなので



156話 2025.3.20 守りたかったもの

 

2025.3.20 9:20

 

埼玉県さいたま市岩槻区

 

「な、なんだよこれ」

明かりをつけていない暗い部屋の中、オリジンではジェネシスというプレイヤー名を名乗っていた眼鏡の青年が自分のパソコンの画面で起こった異常に声を荒げていた。遠隔操作をうけて自身のパソコンからデジタルドラッグ《クリムゾン・ハイ》とアミュスフィアの改造設計図のデータが外部へ送信されていた。マウスやキーボードを触ってもなんの操作もパソコンは受けつけなかった。

 

『ケケケケケ』ブツン

アップロードが終わり、デスクトップにスーパーデフォルメされたリリエラが現れるとあざ笑うようなモーションをしてからパソコンの画面は強制的に遮断された。

 

「返せよちくしょう。俺が作ったものだぞ!」

パソコンを再起動しようとするも電源が入らず、青年はモニターをガタガタと揺すっていた。彼のリアルはろくでもないものだった。学校でいじめられるようになってから家に引きこもり、唯一の居場所はオンラインゲームだけだった。ハードウェアの知識はあったので改造してゲーム内でチートにより他プレイヤーを圧倒してきた。いつの間にかゴッド・オブ・チートという二つ名も付き、一部崇拝してくるプレイヤーもいて優越感を感じることが出来ていた。チートプレイヤーとしての名声こそ彼の守るべき地位だった。

 

ピンポーン

「警察ですー、息子さんにちょっとお伺いしたいことがあります」

家の外でインターホンが鳴り、男性の声が聞こえてきた。

 

「たけしー、あなたいったい何をしたの?」

玄関から母親の呼びかける声が聞こえる。

 

「あ…あ…なんで俺がこんな目に…」

これまでしがみついてきたものが全て失われていく感覚に襲われ髪をくしゃくしゃと搔きむしり、パソコンが置いてあるテーブルの下にうずくまるようにしてしゃがんだ。

 

 

 

───

 

13:00

 

プライベートVRルーム クレムリン

大クレムリン宮殿 グリーンホール

 

『昨日、全国指名手配されていた須郷伸之が大阪府都島区のテナントビルで逮捕されました。当人はSAO事件にも関与している疑いがあり、余罪が追求される模様です』

緑の壁で囲まれた会議室、議長席の後ろにあるテレビにはオリジンに関連した事件のニュースが流れていた。

 

『被害に遭ったソードアート・オリジンはメンテナンスのため2カ月間サービスを一旦停止することを発表しています』

画面が切り替わり、長テーブルで並んでいた伊佐田達オリジンのスタッフが立ち上がって頭を下げる会見映像が映し出されていた。オリジンは障害回復とアインクラッドの本格実装のため2カ月はメンテナンスに入ることがSNS上でも告知されていた。

 

「やっとケリがつくわ」

リリオが椅子の背もたれに寄りかかって疲れたように言う。ミルローゼはいないながらも事件の後始末で出席している人達がいた。

 

「押収物からSAOに関するデータは確保している。オリジン運営との取引の通り安全性の確認が取れ次第アインクラッドのデータの複製が渡される予定だ」

クロンは父親から聞いたことを伝える。

 

「・・・厳しい検事と裁判官をおじいちゃんに用意してもらう」

イルマーナは最低限のことだけを伝える。

電子計算機損壊等業務妨害罪で須郷に実刑判決が出るようにするために既に検察など関係各所への根回しをしていた。レクトプログレス時代の背任罪など余罪の捜査も進められている。

 

 

「それでもいつかは出てくる。出所後に報復されても困るし服役中に精神壊すか亡くなってほしいところね。」

キーナが懸念していることを言う。

 

「ヒットマン雇ってさっさと片付ける?」

グウェンが冗談混じりに言う。

 

「裁判員、刑務官の買収でしたらわたくしもパパに頼めますわ」

エニットがグウェンに乗っかる形で言う。

 

「何かで足がついても困るのでそういったことはやめておこう。一番厳しい刑務所に回してもらうよう口利きしてもらう。名古屋なら獄中死しても誰も不思議に思わない」

ラーチェが二人を止めて代わりの案を出す。

 

 

「あら、そこならうちの組の方もお世話になってるし可愛がってもらうよう今度一筆書いておこうかしら」

エリナが思いついたことを言う。

 

パンドラの件で須郷にはエンドワールドを敵と認識されたため出所前に社会から抹消するよう工作が進んでいた。

 

「アイラさんについてはどうなりますか?」

 

「伊佐田さんには事情を話している。仮想課のアレも須郷の証言をしてくれるなら記録に残さないと本人に持ち掛けたらしいよ」

ベティの疑問にアルシエが答える。

 

「ジェネシスのほうも今ニュースでやってますね」

カシューがテレビを見る。

 

『また、このゲーム内では一部プレイヤーがデジタルドラッグを使用していたことも問題となっております。昨夜デジタルドラッグを販売していた元ゲーム運営会社男性が身柄を拘束され、今朝も埼玉県在住の18歳男性がデジタルドラッグなどの改造データを使用していたことで逮捕されています』

ニュースではパトカーの後部座席に乗っている志崎と、頭に布を被せられているがジェネシスと思われる青年が手錠をされて家の玄関から刑事に連行されている映像が順番に流れていた。

今朝のジェネシス逮捕をきっかけにこれまでチート行為被害にあったゲーム会社複数で準備していた弁護団が民事訴訟を起こしていた。不正指令電磁的記録に関する罪の刑事罰に加えてVRゲームの風評被害を助長したとして億単位の損害賠償が請求される見込みとなっている。

デジタルドラッグを使用していたラライアとガッタスの中の人、女性二人も警察からの事情聴取を受けていた。

 

「ヴァイリに言われた通りクリムゾン・ハイは手に入れてるわ。フフ、これをなににつかうのかしらね」

リリエラはジェネシスから盗んだデータを手の上で可視化して転がしていた。

 

 

 

「違法行為がところどころに入ってるのはなんなの」

アンジェラが呆れたように首を振るう。

 

「カスミが何も言わないってことは魔王さまももう織り込み済みなんでしょ」

リリオの言うとおりミルローゼの代理で議長席に座っているカスミはニコニコとしたまま会議を止めに入ることはなかった。

 

「障害は潰す。そうすればわたしたちの安全な暮らしは守られるわ」

 

 

 

 

───

 

13:30

東京都港区 都立霊園

 

「・・・・・」

数々の著名人、名家の墓が並ぶ中、伊良部家先祖代々之墓と刻された墓石に一人の少女が手を合わせていた。

 

 

「やっぱりここにいたか」

その少女に声がかかる。

 

「ヴァイリさん、ミルローゼさん・・・どうしてここが」

ゲームのアバターとほぼ同じ容姿をした少女、アイラが頭を上げる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「遺族会のツテで調べさせてもらったわ」

舞は階段を上りながら言う。

 

「ここの墓か」

興平が墓に向き、手を合わせる。

 

「私がSAOで一緒にいた子のお墓です。名前は私と同じアイラだったんですけどね。アイラは私なんかよりもっと立派な家の子で・・・私ではなくてあの子が生き残っていたらと何度も考えてしまいます」

墓石の前にはパンドラに似た少女の写真が額縁に入って立てかけてあった。

 

 

「すでにご存知かと思いますが。アイラはSAOで私を庇い、死んでしまいました。」

アイラはぽつりぽつりと話を続ける。

 

 

「あのゲームの中で私より幼いあの子を守れませんでした。ゲームクリア後も後悔する日々が続いていた私の元にオリジンの招待メールが来ました。」

 

「SAOサバイバー全体に送っていたあのメールか」

 

「パンドラの戦闘技術データを収集するためにSAOサバイバーを集める須郷の企みだったのです。彼は『Pandora』という起ち上げた企業でオリジンの運営グループに潜り込み、軍事AIのパンドラの調整を行っていたのです。初めてログインした時、目の前にアイラとそっくりなNPCが現れました」

 

「それがパンドラだったのね」

 

「はい、後から知ったのですがSAOサーバーからデータを回収した時にSAOで亡くなったプレイヤーのデータもあったそうです。須郷はNPCにそのデータを使いました」

 

「死んだ人のアバターデータを使うことで情をわかせて協力者を誑かしたわけか」

 

「はい、AIとしてなら仮想世界で蘇らせることもできると言われました。そのあとは皆さんの知っての通り、私は須郷の手足となって動いてました」

 

 

「皆さんには謝っても償いきれないことをやっていました。本当に申し訳ありませんでした。」

 

「現状VR犯罪の法はまだ大して整備されてない。俺たちはただPvPで戦っただけだし処罰されることもないだろう」

興平が説明する。

 

「はい、コレ」

舞はアイラに紙切れを渡す。

 

「うちのギルドのプライベートVRルームのナンバー、あなたさえよければうちに入ってもらいたいところだけど?」

 

「別にすぐというわけではない。気持ちの整理がついてからどうするか決めてくれ」

興平が付け加える。

 

「でも、皆さんのように攻略に参加したわけではありません」

 

「攻略に参加してなくてもSAOサバイバーでしょ。うちだって攻略に参加せず自由気ままに過ごしてた人もいたし。あなたも仲間よ。ああ、自己紹介はまだだったわね。アインクラッドを制した魔王こと臼井舞よ」

 

「ヴァイリこと須崎興平だ」

 

「私は・・・新井 由貴です」

由貴の頬を涙が伝っていた。

 

 

霊園の早咲きの桜の花びらが散り、3人の頭上の東京の空へ舞い上がっていた。

 

 




エンディング曲
h ttps://www.youtube.com/watch?v=OmO4_jms5C4
テレビゲーム 零 ~刺青の聲~ より聲
アイラの心情に近い気がして聞いてた曲
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