エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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エリス回

CHASE!聞きながら書いてました
h ttps://www.youtube.com/watch?v=jaz__GPjAqw



159話 好きを貫く!

 

2025.3.13

 

エンドワールドVRルーム クレムリン 廊下

 

 

窓から春先の日差しが差し込む廊下、エリスは班長の会議が終わって教導班の部屋に歩いていた。

「そういえばミルローゼさんがエイプリルフール企画のアイドルゲームに参加する話もしてましたね」

(うーん、わたしがアイドルになって歌って踊るのは合わないですね。ナビゲーターとしてみなさんのサポートに回ることになるでしょう)

 

 

「あ、いたいたーエリス」

廊下の反対側から何冊ものバインダーを抱えたナギサが駆け寄ってくる。

 

「ナギサさんすごい量抱えてますね」

 

「ここ数日ずっと誰にどの曲が合うか考えてたんだー。はいこれ資料」

ナギサは分厚い赤のバインダーを渡す。

 

「なんの資料ですか?」

 

「何ってアイドルVRでのエリス割り当て分の曲」

 

「え゛ わたしもアイドルで歌うんですか?」

さらっと言ったナギサにエリスは固まる。

 

「じゃあ他にも配らなきゃいけないから」

ナギサは言いたいことだけ言うとそそくさと去っていった。

 

「えっ、ちょっとまってくだ・・・えー・・・」

言い止めることができずエリスはポカンとする。

 

───

 

教導班の部屋

 

 

「今回担当曲がソロだけでもゲーム開催期間延長した場合の予備分合わせて5曲。振り付けも覚えないといけませんね。なになに・・・ナギサコメント『エリスにはせつ菜ちゃんのカバーをしてもらいます!好きなものへの熱さとか似てるし同じ炎タイプだからイケる!』そんなフィーリングだけで選ばれてるんですか!?」

受け取った資料と貼ってあった付箋を読んでエリスはテーブルに突っ伏す。

 

「わたしも八神マキノという子の曲を担当するようです」

同席していた同じ班のミランダも資料を読んでいた。

 

 

(ゲームへの情熱は誰にも負けるつもりはありませんが、リアルも忙しくなるのにこのままゲームをがっつりやってていいのでしょうか?)

年明けからエリスは大学への復学も果たしゲームとリアルを両立していたが、将来の不安も抱いていた。

 

 

 

2025.3.21 

VRルームクレムリン マネージ広場 

 

VRルーム製作者のアップデートによりエンドワールドのVRルーム、クレムリンの外周一角にドームや噴水、整備された花壇のある広場が追加されていた。オリジンの攻略がひと段落つき、ポップスター・オンライン用の曲の練習へ切り替えるのに適度な広さと座って休める場所が多いこと、広場地下に広がるショッピングモールのVRショップで買い物が簡単にできることから人気の場所となっていた。

 

「ふー、いったん休憩しましょう」

エリスも割り当てられた曲の練習の合間、下の喫茶店で購入した飲み物を持って歩く。ドーム状の世界地図と連動した世界時計が表現されている噴水フォンタン・チャシ・ミーラの縁に座って休憩する。

アルファテストでゲームシステムを確認し、アシスト機能付きでのダンス歌唱は問題ない出来になってきていたが気持ちは不完全燃焼気味だった。

 

「エーリスー!」

 

「おわっ!ノエルいきなり抱き着かないでください。コーヒーこぼれます」

横からノエルが飛びついてきてエリスは体勢を崩しそうになる。

 

「どうしたのエリス?あんまり元気ないね」

いつもならもっと怒られるはずなのにあまり元気がないことに感づいたノエルが聞く。

 

「これからわたしたちがどうなっていくのかぼんやりと不安になったんで。皆さんも4月からは学校に通ったりしてこれまでのようにはいけなくなるんじゃないかと思いました。エンドワールドもだんだんと変わっていく頃かもしれませんし」

 

「なんだ、そんなことでエリスは悩んでたんだー」

 

「そんなことって何ですか、結構真剣に考えていますよ。SAOが終わってSAOの前の生活が戻りつつあるんですから。わたしも大学がありますしゲームを続けていいのか・・・」

 

「エリスが好きなことを続けていいんじゃないかな。らしくないなあ。だってゲームは楽しむものでしょ?みんなだってあんなに夢中になってるよ」

ノエルの指さす先は自分と同じく曲の練習に真剣に取り組んでいるエンドワールドの皆だった。

 

「ワンッ ツー スリー フォー ファイブシックス セブン エイト 」

パチッ パチッ パチッ パチッ パチッ パチッ パチッ パチッ

 

ティール達のダンス練習に合わせてリアーナが手拍子で拍を取る。リアーナはユニットごとにダンス指導で回っていた。

 

 

「ここわたし下がった方が重ならず全員見えやすくなると思うよ」

 

「その分バランス取るのにわたしが少し右ずれたほうがいいかもね」

フィリア、アニエス達がユニット曲でのポジション位置について打ち合わせていた。

 

「みんな楽しそうでしょ。ベティちゃんもエヴェちゃんも楽しんでやってるし心配ないよ」

 

「今回はノエルに教わってしまいましたね」

ノエルの話を聞いてエリスは憑き物が落ちた顔になる。

 

「おっ、ついに立場逆転?」

 

「ひょっとして冗談で言ってますか?」

「ひえぇぇもちろん嘘ですごめんなさい!」

目の笑ってない笑顔になったエリスを見てノエルは即謝った。

 

「ふふっ。よーし、わたしもまだまだできますよ!」

世界時計の5分刻みのランプの点灯とともにエリスは立ち上がり、練習を再開した。

 

 

───

 

 

練習後ログアウトしたエリスこと英梨はアミュスフィアを外してベッドから起き上がり、机の上に置いてあった紙を手に持つ。

「止まらずに前へ進みましょう」

 

紙には学外教育実習届出と書かれていた。

 

 

 

───

 

 

 

2025.4.1 

ポップスター・オンライン フィールドの街道

 

 

「ここからは別々の道ですね。楽しみましょうノエル」

「エリスもね!」

 

「READY!!」を歌い終わった後、割り当てられたそれぞれのステージへ向かう分かれ道でエリスとノエルはハイタッチして別れる。

 

 

───

 

ディーヴァシティ

フェスティバル広場

 

「よし、予定どおり一番乗りです」

初期解放されているエリアで一番スタート地点から遠いステージにエリスは到着する。

 

 

「エリス先生ー」

ステージの客席側からSAO時代の教え子が声を上げる。

 

「エリスちゃんがんばれー」

旧知の仲のリーナがオレンジのペンライトを振る。

 

「皆さん来てくれたんですね・・・この声援に応えますよ!」

バックヤードから覗いたエリスは胸に手を当てて意を決する。曲に合わせて赤を基調とした衣装に着替える。

 

「コラー!夜中の12時過ぎてるのにまだゲームしてるんですか!」

ステージに上がったエリスのシャウトにごめんなさーい サーセンとレスポンスが返ってくる。

 

「でも、皆さんとまたゲームを楽しむことができてうれしいです!」

エリスの言葉に観客のプレイヤーは盛り上がり、オレンジのペンライトを大きく振る。

 

 

「1曲目、『CHASE!』いきます!」

 

ピアノのイントロとともにエリスは右手を上げて歌い出す。

 

ギターの前奏が始まるとステージに設置されたパイロから炎が噴き出し、キックのモーションなど躍動感あるパフォーマンスをする。

 

客席を埋めるオレンジのペンライトは曲に合わせて振られる。

 

サビの大声でのシャウトで会場全体を熱気に包み、力強い歌唱を披露した。

 

歌い終わると観客から歓声が沸きあがる。

 

「まだレベルが低いからすぐスタミナがなくなってしまいますね」

歌い終わったエリスはステータスを確認する。アイテム欄からエナドリを出し、プルタブを空けて飲んだ。するとスタミナゲージが全快する。

 

「今夜はまだまだ寝かせませんよ。覚悟してくださいね!」

エリスは盛り上がる客席に向けて指さし、2曲目に入った。

 

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