エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
1曲目 遠坂凛のキャラソンのKIRARI
2曲目 マルガレーテソロのButterfly Wing
3曲目 マカロンドーナツのココロDistance
この章の構想が4年前くらいからあったので一部モデルとした施設は現在無くなってるところもあります
20XX年、荒廃が進む世界で突如現れたモンスターが人々を襲い、恐怖に陥れていた。しかし、それらに立ち向かい歌の力で世界を救うため闘う者たちをアイドルと呼んでいた。モンスターの出現が増大してきたディーバー島の平和を守るため世界中の歌姫達が今舞い降りる!
───ポップスター・オンライン公式ホームページ 世界観より
「PvE要素入れるためにかなりむちゃくちゃな世界観にしたなあ」
2025.4.1 0:20 ポップスター・オンライン サンライズムーンフィールド
ステージのある街へ向かう街道を歩きながらヴァイリは空間ウィンドウでポップスター・オンラインのホームページを読む。
「《しかし、アイドル全てがモンスターと対峙できるわけではない。彼女らをサポートするマネージャーの存在もある》今のところ存在意義感じないけど」
読んでるヴァイリの前ではリリエラが中心となってモンスターを4人で倒していたところだった。
「何これヌルゲーじゃない」
「もともとアクションゲームやらない人用の難易度にされてるんですからこんなもんじゃないですか?」
不満そうなカーラにリュミルが言う。
「違和感がある剣だ…」
クロンはマイクの柄から光刃が出るビームソードを不思議そうに振る。
───
アニヴィレッジ
フォレストコロッセオの次にヴァイリ達5人が来たのは欧風な街だった。
「ここがライブ対象エリアね」
この街で一曲する予定のカーラが街の噴水のある広場を見渡す。
「あちらの世界で同じ場所にあった結婚式場がモデルになってるそうよ」
リリエラがフィールドの裏データを抜き出して解説する。
(結婚式・・・結婚式って)
カーン カーンと鐘がなる中、教会の前でウェディングドレス姿の自分とスーツ姿のヴァイリで並ぶ光景をカーラは想像する。
(って何考えてるのよ私は!)
カーラは顔を赤くして首を振る。町娘のようなライブ衣装に着替え、噴水に座ってナギサのチョイスした曲、“KIRARI”を演奏に合わせて歌う。
パチパチパチ
歌い終わると聴いていた街のNPCからまばらな拍手を受け取る。
「あんまり手ごたえ感じないわね。ある意味ボス戦よりしんどいわ」
「今のは慣らしみたいなもんだ。次のステージのほうがスコアでかいしそっち向かうぞ。橋渡って向こうの島だな」
ヴァイリは橋の向こうに見える摩天楼を指さした。
───
0:51 プレジャーポリス
反対の島に渡りモンスターを倒しながら進んでいた5人は近未来風の街に辿り着いていた。
「なになに・・・街中にあるクエストをクリアして累計スコアを達成するとステージが解放されます。アルファテストになかった仕様だなこれ」
街に入ってステージの説明書きをヴァイリは読む。
「そんなのさっさとクリアしてやるんだから。いくわよリュミル」
「ちょちょちょ手を引っ張らないでください~」
カーラはリュミルの手を引っ張って足早にクエスト発生ポイントへ向かう。
「あの二人先に行っちまった。まあユニット内でスコア共有らしいし俺たちも適当に回るか」
ヴァイリ達3人は歩いて他のクエスト地点へ向かった。
─ UNBREAKLARITY
「おりゃりゃりゃりゃ」
バババババババ
クエストを開始したカーラは先ほどの煩悩を吹っ切るようにして街に出現した迫りくるモンスターにブラスターを撃ちばら撒く。
─ 芸能事務所面接
《あなたもカーラって言うのね。はい、ポーズとって》
「こ、こう?」
ビルの一室で、NPCに誘導されてカーラはぎこちなく頭と腰に手をあててセクシーポーズをとる。
ブブー 《イケてないわね》
「なんでよ!」
NPCからNG判定を受けてカーラはキレた。
─ ストームコースター
カーラとリュミルの二人でロケットブースターのついた乗り物に乗り、高G負荷がかかりながらコースを駆け巡る。
「うおおおお」
「あわわわわ」
カーラの無理のある操縦でぐるぐると機体は回転し、後部座席のリュミルは目を回す。
─
フライヤーカフェ
「はぁ、これでスコア達成できたわ・・・」
その後も数々のクエストをこなして目標スコアに到達できた後、アイドルのポスターが壁に並んで貼ってある喫茶店でカーラはテーブルに突っ伏して休憩を取る。
「お疲れ様です。この街の名物グラベルグレインアイスクリーム持ってきましたよ」
リュミルが粒々の氷菓子が一杯入ったカップを差し出す。
「なんかカーラさん今日変ですよ」
リュミルはそう言いながら自分のアイスをスプーンで掬ってシャリシャリと食べる。
「なんというこその・・・」ゴニョゴニョ
「もう、はっきりしてくださいよ」
「さっきの街のモデルが結婚式場って聞いてヴァイリのこと意識しちゃって…」
「えー…そんな小学生みたいな妄想で空回りしてたんですか」
リュミルは呆れてジト目になる。
「だいたいクロンさんがいるのにそんな横恋慕抱いちゃってどうするんですか」
「何よ悪いの」
カーラはリュミルを恨めしそうに見る。
「ま、カーラさんらしいと言えばらしいですかね。そういうことでしたら次の曲でヴァイリさんにアピールしないといけませんよ」
「わ、わかってるわよ」
スプーンでチッチッチッとするリュミルにカーラは答えた。
─
街の広場に設置されたテクノ調のステージには吹き抜けの2階3階までプレイヤーの観客が入っていた。ようやく街に辿り着いてステージの様子を下見しようとアイドル側のプレイヤーも来ていた。
「スカート丈短いわね」
モノトーンのカラーリングのダンサンブルシリーズ衣装に着替えたカーラが腰回りを気にする。
「髪下ろしたカーラさんもかわいいですね」
ステージのバックヤードで用意しているリュミルがカーラを覗き込んで言う。
「う、上手くできるかしら」
カーラの顔色が悪くなる。
「えー!あんだけクエストに鬱憤ぶつけてたのに今更何弱気になってるんですか」
「うるさいわね!アイス食べて頭冷えた分緊張してきたのよ。さっきは座って歌うだけだったけど次はダンスもあるし・・・」
「1曲踊ってくるわ。ステージの設定はこっちでするからカメラお願いね」
傍らで二人のやり取りを見ていたリリエラが二人の準備を手伝っていたクロンに耳打ちしてステージ側へ行く。
「…ふう」
クロンは肩をすくめるが仕方なくリリエラの頼みを受け入れ、2階へ行った。
カーラとリュミルが言い合っているとステージの照明が雷鳴パターンに変わり、ツリーチャイムの流れるような音とピアノの演奏が聞こえてくる。
「これリリエラが担当する“Butterfly Wing”の導入じゃないの」
気づいた二人は客席のほうに回って出てくる。
導入演出から鐘が鳴り曲の演奏に切り替わると、黒いドレスのような衣装をまとったリリエラがステージの屋根から飛び降りてヒーロー着地する。
見透かすかのような表情で歌い出し、繊細な指先の動きで踊り出す。
「何あいつ先にライブやってんだ」
吹き抜けの2階で頭を抱えるヴァイリの隣ではクロンが配信用のカメラを回していた。
蝶のホログラムに囲まれてリリエラがクルリクルリとターンする度に金髪がふわりと舞う。
薄暗くスモークに包まれたステージをバレエのように軽やかなステップで踊る。
(すごい・・・)
カーラの思ったとおり、リリエラの演技力の高さにその場の全員が魅入っていた。
最後、リリエラは挑発的な笑みで客席にいるカーラを指差し歌い終えた。
後ろのスクリーンにライブのスコアが表示され、リリエラはスカートの裾を摘み一礼する。
「あーあ、カーラさんがもたもたしてるからリリエラに初回ライブ取られましたよ」
「あいつ、人のステージに割り込んでなめたことしてくれるわね。リュミル!次やるわよ」
「はいはい」
(ま、カーラさんもいつもの調子に戻ったようですしリリエラなりのエールだったかもしれませんね)
二人は客席からステージへと戻る。
「リリエラ勝手なことするな」
「あら?初回ライブボーナスがグループに入るならどちらにしろ目標は達成できてるはずだけれど?」
歌い終わってヴァイリのもとに来たリリエラは詫びれるそぶりもなかった。
「それよりもあの二人のダンスはじまるわよ。ちゃんと見てあげなさい」
(…二人の曲は“ココロDistance”か)
言いたいことは山々あったヴァイリだが、リリエラに言われて目線をステージに移した。
二人が背中合わせにステージに立つと、ピアノの前奏からリズム&ブルースの曲調に合わせて演奏が始まる。
スポットライトがあたるのと同時に二人は目元に手を当ててステージライトの点滅の中、ハイテンポの息のあったダンスを披露する。
指パッチンでテンポが取られる中、カーラが静かに歌い出す。
スポットライトが交互に当たるとそれぞれのパートを歌いながらターンする。
カーラがシャウトしながらリュミルと位置を入れ替える
曲のテンポに合わせて赤と紫のサイリウムが振られる。
練習の時も難所となっていた細かい振り付けとステップを二人はぴったり合わせる。
リュミルが手を上げるのと連動して後ろのモニターに蝶二羽が羽ばたく。
カーラが歌い曲が盛り上がりながらサビに入って背景モニターはイコライザーの演出に変わる。
立ち位置を入れ替えながら照明の切り替わる瞬間二人はポーズを決める。
リュミルが両腕を左右にブンブン回す。
バックのスパークラーが一列に吹き出し、モニターも金色に変わる。
ライトがまた暗くなりカーラが悩む乙女の顔をして歌う。
リュミルがドローンカメラに向けて両手でハートマークを放つ。
最後、目元に手を当てるポーズを二人は決めた。
演奏が終わり拍手の中、キレのあるダンスを最後までやりきって息をきらす二人の顔には汗が浮かんでいた。
「ど、どうだったかしら、わたしのステージ?」
ヴァイリのところに戻ったカーラが恐る恐る聞く。
「ま、まあ良かったんじゃないの?」
ヴァイリは照れくさそうに言う。
「良かったじゃないですかカーラさん、意識させること出来たんじゃないですか?」
「な、なんのことよ。そんなつもりでやったんじゃないんだから」
リュミルに耳打ちされてカーラは顔を赤くしてそっぽを向く。
「もう、次のステージどんどん取りに行くわよ!」
すっかり調子を取り戻したカーラは先頭に立って次の街へ歩き出した。
例の結婚式場跡地は将来大型の劇場ができる予定とか