エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
h ttps://www.youtube.com/watch?v=DpnF0zXbS2c
アイカツよりChica×Chica聞きながら執筆してました
2025.3.13
エンドワールドVRルーム クレムリン
「いいですわ!この曲から溢れ出るパシオンはワタクシにこそふさわしいですわ」
ナギサから手渡された担当曲を視聴していたミレイアはブォンとカールのかかったポニーテールをかきあげる。フラメンコ調のメロディーの曲にスペイン出身の彼女は親近感を感じていた。
コンコンコン
「入るぞ」
ドアが開くと二人の少女が入ってきた。
「ナギサに言われて一緒に組むことになった。何度かクエストで会ったことはあるな、パウだ」
「ミチカだよ、よろしく」
「ええ、よろしくお願いしますわ!」
ミレイアは二人と順々に握手した。
───3日後 2025.3.16
「たしかここら辺の部屋でミレイア達が練習してるんだっけ。運動神経が良い3人だからもう出来上がってるかな~?」
各ユニットの練習状況を確認しにギルド内を巡回していた。
(担当曲に合わせてスペイン出身でフラメンコ経験もあるミレイアをメインに剣舞ができる二人がついてる。うーん我ながらベストな組み合わせじゃん?)
「うぃーっす。どお、できてる~?」ガチャ
ナギサは期待しながらミレイア達3人が練習している部屋に入る。
「何故我の映りがこんな少なくなるのだ。我をもっと前に出せ」
「メインであるワタクシの見せ場を奪うつもりですの?」
「あれぇ~?なんか喧嘩してるー!?」
ナギサが部屋に入るとジャージ姿のパウとミレイアが絶賛言い争いしている最中だった。
「我が前に出てアクロバティックな演武を入れて力強くするのがよかろう」
「フラメンコを舐めてますの?この曲は本場を知るワタクシが主役ですのよ。このスペイン王家継承権を持つ高貴な血を持つ者がセンターで一番注目を浴びるべきですわ!」
「その話耳に胼胝ができるほど聞き飽きたわ。しかも継承順位百位以下ではないか。分家の分家の分家が」
「キィー!なんて無礼な人なんですの!」
「まあまあ落ち着いて二人とも」
「「ふん!」」
ミチカが二人の仲を取り持とうとするもミレイアとパウはそっぽを向いたまましゃべらなくなった。
「えっ、曲の練習できてるの?」
ナギサが聞くもミチカは首を横に振り、曲の完成を記録するためのチェックリストを見せてきた。受け取ったナギサが見たところチェックがまだひとつも入ってなかった。
「たっはー、そんなぶつかり合っちゃうとは思わなかった。今のままじゃまともに練習もできないな」
ナギサは頭を抱えていた。
「いったん曲の練習中断してみんなで料理してみない?気分転換にもなるし」
ミチカがパンと手を合わせて叩く。
───国立クレムリン宮殿 厨房
練習を中断して3人はギルドルームの中でもガラス張りの近代的な建物の中にある厨房へ来る。リアルでは晩餐会の料理の準備もされ世界中から雇われたシェフ達が腕を振るう3階に渡る広さがあった。
「料理なんて戯れてる場合じゃありませんのよ」
「まあまあ、親善のためということで」
ミチカはそう言いながら二人にエプロンを押し付ける
「ふむふむ、料理道具は世界中のものがあらかた揃っている。ふふん、中華街でも名店と呼ばれる店の娘だぞ。我が力を見せる時がきたな」
パウは自分が使う道具を取りそろえる。料理する前から勝った気でエプロンをかけた。
「ワタクシだって料理くらいできますわよ!」
対抗心に火が付いたミレイアはわざわざコック帽までかぶり、包丁をクルクルクルと手で回転させて持つ。
「アハハ、結局対決みたいになっちゃってるよ・・・」
ミチカは困惑しながらも自身の料理にとりかかる。
ミレイアはスープの入ったフライパンの中で魚介類やトマトを炒めた後、お米を投入する。
パウは四角い中華包丁でトントントントンと食材を切り、強火で中華鍋を振るう。
ミチカはスパイスをブレンドしたスープの鍋をヘラでゆっくりとかき混ぜ、茹でた麺を湯切りする。
「できましたわ」 「できたぞ」 「できたよ」
3人がつくった料理がテーブルに並べられた。
「パエリアにトルティージャにチュロス、これらの料理をまさか知らない方はいませんわ」
ミレイアは魚介が盛り付けされているパエリア、ジャガイモの入ったオムレツ、デザートにチュロスとスペインの代表料理を持ってきた。
「我は小籠包、魯肉飯、鳳梨酥を作ったぞ」
パウは実家の台湾料理店の手伝いでもよく作る甘辛く味付けした豚バラ肉を乗せたごはんに蒸し料理、パイナップルケーキを並べる。
「わたしはラクサとチリクラブ、クエ・ラピスをつくったよ」
ミチカは出身のシンガポール料理を作っていた。スパイシーなココナッツミルクのスープに麺、エビ、モヤシなどが入ったラクサ、蟹一匹がまるごと皿に乗ったチリクラブ、菱餅のようなプラナカン菓子を持ってくる。
「あなたの作った料理も悪くはないですわ」
「素直じゃないな。お主の国の料理もなかなかうまいぞ」
まだいがみ合う二人だが食事をとりながら曲についての話し合いを始めることができた。
「間奏があるからそこは3人それぞれソロで踊るとかどうかな?」
曲を流してみてミチカが間奏部分のところを聞きながら言う。
「わたしもパウが担当するソロ曲増やしたしたり調整するからさあ」
3人の様子を見に来て料理をご馳走になっているナギサからも提案される。
「あっ、こんなところにいた。衣装の試作品できたわよぉ」
ユウナギがアルファテストのデータから作成した衣装のサンプルを持ち込む。
「同じデザインでもカラーリングはあなたたちのそれぞれのイメージに合わせてみたわぁ」
「「「おぉー」」」
「よし、我の曲を完成させるぞ!」
「ですからワタクシの曲でしてよ!」
パエリアの皿を持ちながら拳を上げるパウにすぐさまミレイアが訂正するように叫んだ。
その後も紆余曲折を経て二人が喧嘩を繰り返しながらも本番前までに曲の完成にこぎつけることができた。
───
2025.4.1 8:10
ポップスター・オンライン SWAN GARDEN
リアルでは朝になるがゲーム内では昼から夜へ切り替わる時間、追加されたマップのウェストプロムナードエリアで白いテントのステージがアラベスク調にセッティングされ篝火に照らされる。
「目が冴えてあまり眠れませんでしたわ」
「我もだ」
「わたしも同じー」
ゲーム開幕のReady!!の後、朝の交代時間まで睡眠時間を割り当てられていたが、気分の高揚で3人とも睡眠は浅めだった。
「やべぇ、“Chica×Chica”とか懐かしすぎて振り方うろ覚えだ」
「そんなん曲始まれば自然と体が思い出すだろ」
ペンライトを持った観客達はライブが始まるのを待っていた。
「ワタクシたちのステージを皆さん待ってますわ。いきますわよ」
ミレイアはパウとミチカと手を繋ぎ、ステージへ向かう。
照明がついてない薄暗いステージの後ろに浮かぶ月あかりを逆行にして3つの人影が立つ。フラメンコギターから始まる旋律に合わせて上に上げた両手をひらひらと舞い下ろし、片手を上げてポーズを取る。
照明が点灯するとエスパーニャ・カーニを思わせる伴奏と共に3人のシンクロしたステップが始まる。金属板の敷いてあるタップシューズからカツカツとしたプランタとプンタを交えた足音が床に響く。
六角形のステージの模様を変えるかの如く3人はクルクルと舞い回る。
3人の手拍子に合わせて、客席からも手拍子が湧く。
指を3つ折り数えゴルペのサパテアードをステージに3回打ち、3人はターンしながら曲刀のシャムシールを出現させる。
キィン
剣を手にした3人はステージの中央で金打する。
剣先の軌跡が尾をひきながら剣舞が交わり3人の視線が交錯する。
3人が剣を振り回すのに合わせて客席のペンライトも揃って高くブンブン振り回される。
(すごいですわ。ワタクシたち3人だけでなくここにいる人たち全員がひとつになってますわ!)
額に汗を浮かび上がらせながらミレイアは会場との一体感を感じていた。
間奏では順番にソロパートのパフォーマンスを取り入れ、ミレイアはブレリア調の高速ステップ、パウは太極拳の動きを取り入れて跳躍など交えたアクロバティックな演武、ミチカは大きな振りを取りいれたアレグリアス調のダンスを披露した。
最後に3人は始まりの時と同じく片手を上げてポーズを取った。
ワアァァァァ
客席からは3色のペンライトが振られていた。
「この3人だからこそ見ることが出来た光景ですわね」
「この後はソロ曲だな。5201314用の衣装にするか」
ミレイアが余韻に浸っている最中にパウは早速衣装替えしてジャンパーとミニスカの服装に変わる。
「もう、どうしてあなたというのは。せっかく感動を噛みしめてたのに台無しですわ!」
「何を言う。こっからはライバル同士だ。もたもたしてるようなら他に置いてかれるぞ」
「やはり相容れませんわ。このゲーム、ワタクシのほうがスコア取ってみせますわ!」
「わたしも次のステージ行こうかな。二人も頑張ってねー」
3人は散るようにして別れてそれぞれの次のステージへ向かった。