エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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屋敷でのシーンのBGMはこういう洋館風のを


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ライブ曲は荒野の奇跡



173話 空は自由ですか?

2025.4.2 7:30

東京都東久留米市 富野邸

 

警備会社のステッカーが貼られたコンクリートの塀に囲まれた屋敷、至る所にある防犯カメラは外敵からの侵入を憚るかのようにレンズを光らせて四方八方を睨む。それはまた、中にいる者を閉じ込めておくように監視しているようにもとれる。

 

 

「いいか真宵、お前はもう余計なことをするな。この地を治めてきた富野の家の人間として恥じぬよう生きるのだぞ」

 

「・・・はい」

朝食の席で市議会議員の父に静かに返事する。昔から地元の名士の家ということに無駄にプライドが高い人だ。

 

「バイオリンもバレエも習わせて、どこに出しても恥ずかしくないようにしたというのに。

自ら傷物になってきて何が力試しだ。SAOなんてやらせるんじゃなかった。お前は親に黙って従ってればいいんだよ」

 

私がSAOから帰還してからは父の説教が毎朝の日課のようになった。

 

 

「それくらいでいいじゃないですか」

 

「元はと言えばお前が男を産まなかったからなんだぞ」

母が庇おうとするもその一言で黙らせる。

 

 

「まったく、お前には散々金をかけて箔つけてきたというのにあんなゲームひとつで道を踏み外しやがって。とんだ親不孝ものだな」

機嫌悪く鞄を持ち、彼は家を出て仕事にいく。

 

 

彼が知る由もないことなのだろうが私にとってSAO前の学校生活でも特にいい思い出なんて何一つない。

 

 

~~~~~

 

キーンコーン

学校の終業の鐘が鳴れば鞄を用意する。

曜日ごとに入っている習い事で放課後すぐに帰宅する毎日を送っていた。

 

「いいなー、いろんなことできて羨ましー」

「良い家に生まれて勝ち組」

学校行事で何か芸能なことを求められれば父の顔を立てるため断るわけにもいかない。同性からの表面的な言葉。彼女らは友達でも何でもないくせに一方的に頼ってくる。

 

「最近図に乗りすぎだろ」

目立つ分、時には因縁をつけてくる身の程知らずの不良もいた。

グイッ

「何か?」

「痛ってえ、ギブギブ」

そのような輩は幼少より鍛錬してきた武道の関節技で文字通りひとひねりして黙らせていた。

 

 

教員も地元の有力者の娘となると腫物を扱うように接する。

 

 

演奏会の時期になるとバイオリン弾けるからと担ぎ上げられる。

「バイオリン弾けるとかやっぱ格違いすぎ」

「これでうちのクラスが一番だ」

「けっ、金持ち自慢かよ」

周囲の羨望や嫉妬の視線を感じながらどこか壁のあることは理解していた。

でもそれが私の人生と妥協していた。

 

 

~~~~~

 

SAO帰還後、退院してからも父がつけた家庭教師で2年間のブランクを埋める勉強がここ数カ月続いている。

 

「はあ」トスン

夕方、家庭教師が帰った後はくたびれてベッドに倒れる。

 

 

ピロリン

《おっつー 渋谷北村で午前ライブ組集まって打ち上げしてまーす》

通知音が来てスマホを見れば、ギルド内のSNSでケーキ屋へ行ってる写真などが投稿されていた。

 

(くだらない)

学校へ行っていた頃も放課後が稽古漬けの私にとっては年頃の女の子らしい趣味一つなかった。

周りから恵まれているといくら言われても不自由さしか感じなかった。

 

「はぁ」

ため息とともに右腕で顔を覆う。

血、家とは呪縛。抗うことができない。

1本道のレールしか敷かれてないこの無機質な将来に何の希望を持てばいいのか。

 

 

枕もとのアミュスフィアをかける。

「リンク・スタート」

“イブ”でいる時間だけが束の間の自由を謳歌できる。

 

 

 

───

 

17:30

ポップスター・オンライン

HOT GARAGE

 

「エクレールすごーい」

「熱いステージだったね」

「何よ、あたしたち3人のステージのほうが良かったでしょ」

ステージの上で得意気になっているエクレールに沸いているロッサとルクス、ひねくれているグウェンに反してイブは冷めた目で見ていた。

 

(何を浮かれてるんだか)

同じ側と思っていたエクレールにイブはがっかりし、自分の番が回ってくる会場へ向かった。

 

 

 

───

 

18:00

セントラル広場

 

「昨日の“Dreaming bird”良かったからまた来てしまったよ。今日は“荒野の奇跡”だ」

「この子全然スコア高くないようだけど」

「昨日1回しかまだライブしてないんだよ。だけどクオリティは高いぞ。俺が保証する」

昨日のイブのライブを見て再度見に来た男と連れが座席で待っていた。

 

大きい円形の広場には温室のように格子状の枠が張り巡らされた曇りガラスのドームのステージが設営されていた。

 

(私のやることは何も変わらない。スコアを出すために正確な音程と振り付けをこなすだけ。1日1曲やればギルドからのノルマは守れる)

青いドレス衣装を纏ったイブはステージの中央に立って両手を握りスタンバイする。培ってきた武術を発揮できるRPGと違い、見世物のようなアイドルゲームには乗り気ではなかった。

 

 

 

曲のコーラスがはじまるとステージ全体が青く照らされ、イブは両腕で覆っていた顔を上げて片足立ちで一回転する。歌に合わせてキレのあるステップのダンスを披露する。

 

ギターソロのアルペジオが奏でられて曲調は一転して静になる。イブの動きもしなやかさを活かしゆらりとした振り付けになる。

 

 

両手で羽ばたいてるかのようにしなやかな動きで彼女は語り部のように歌詞を紡ぎ歌う。

 

 

ロングトーンの間に再度コーラスが入り複雑なステップを踏みぬきステージを渡り歩く。

 

 

片足で舞うようなターンを繰り返し、2回目のロングトーンでは右手を伸ばす。

すると、ステージのドーム状の硝子が粉々に割れて夜空が広がりイブの後ろに大きな満月が現れる。

 

破片が雪のように降り注ぐ中でバレエで培ってきた体幹でくるりくるりと廻り月を背に体を揺らす。

 

 

片足立ちでアラベスクのポーズをとり、祈るように両手を握り頭を大きく回した後に両手を夜空へ伸ばす。

 

 

飛ぶ鳥のようにふわりふわりと右へ左へターンを交互に回る。

 

 

右手で地に円を描いた後、彼方を見据えた。

曲も終盤にかかり、小刻みなタップを踏む

 

 

最後のコーラスパートに入ってからもイブは手を抜かずにステージを舞う。

 

曲が終わり、イブは月を背負った姿で手を広げていた。

 

(終わったからさっさとログアウ『ウオオォー!』・・・?)

ステージ上でログアウトしていたイブに周囲から歓声が上がっていた。

 

「今日も良かったよー」

「明日もライブしてくれ!」

ステージを囲んでいる観客からの声援が送られる。

 

 

「───!・・・っ!?」

声援を受けたイブは紅潮し、笑みがこぼれそうになった途端口を手で抑えてステージから足早に出る。

 

 

「そんなわけない。こんなことで・・・高揚してるわけない」

ステージ裏でイブは胸の高鳴りと湧き上がった感情を言い聞かせるかのように押し殺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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