エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
2023.03.10
Side ヴァイリ
2層 禿山の頂
『フォフォフォ、なんじゃ小童ども入門希望か?我が試練を見事果たせばオヌシらに我が武の真髄〈体術〉を伝授してやろう』
以前2層攻略で聞いた時と同じセリフを仙人NPCがしゃべる。
エリスが節分で体術スキルを見せたことからノエルから「エリスに負けないよう〈体術〉取りたい!」と言い出し、他からも〈体術〉取りたいと希望があったので今日は50人ほどで禿山に来ている。
「へぇ、エクレールも来たんだ」
「フン、何よ。来てたらいけないわけ?この意味不明なスキルでアンタの投げ技にも対処できるんでしょ。やってやろうじゃない」
「ヴァイリさん、あたしにも何か柔道の技教えてくださいね。」
リュミルがエクレールの後ろから顔を出してくる。後ろには遊撃班のメンバーも揃っていた。
「そういえば、市街戦の時になんでアンタ私がアーマードバトルやってるって分かったのよ。」
「20年くらい前に観戦にはまってた時期があるから、その時の動きと重なったからだよ」
「20年ってアンタ中高生でしょ。意味が分からないわ」
エクレールはいかにも疑心暗鬼な目を向けてくる。そんなやり取りをしてるとすでにクエスト開始のシナリオが始まってた。
『よかろう小童ども、ならばこの大岩を各々一つ砕くのじゃ。ただし、武器を使うことはまかりならんぞい?』
仙人がクエスト受注者の隙間をするすると素早い動きで走り去り、武器を没収するついでにセクハラをかましていく。
「きゃあ」
「ちょっと何すんの」
周囲が阿鼻叫喚になる。俺はクロンから両手で目隠しをされていた。
「なんだこいつ!NPCのくせにクソスケベジジイが!」
ミリーがキレて叫んでいた。
『フォフォフォ、この試練はあくまで徒手空拳にて挑むのじゃ。大岩を割るまでこの山を降りることはならんぞい』
「ちょっとまって、岩壊せなきゃここで野宿するの?そんなのヤだからね」
ヘルミナから抗議が挙がる
「野宿が嫌なら今日中に割ればいい。不可能なことじゃない。アルゴの攻略本に書いてあるとおり、モンスターの突進で割ることもできるからやりたい人は闘牛士にでもなればいい。」
「ヴァイリ、貴方のやり方ではモンスターからダメージを受けるリスクがある。岩の形から重心を見極め、一点に集中して打てばいい。」
「クロン、簡単に言うけど、武道経験してないとなかなかできることじゃないよそれ」
というか武芸者でも達人クラスでないとできないことを大衆に求めちゃあかん。
「クロンはもうスキル取ってあるからアレのセクハラ受けたわけね。前もって言っといてよ」
カーラがイラつきながら言っている。頬には3本線のヒゲが書かれていた。
「申し訳ない。数年に渡ってご高齢の卑猥な視線を受けているからこの手のことには慣れてしまっていたものだから」
クロンがこちらを見ながら言ってくる
おい、それって俺のことかよ。
「うへえ、あんたんとこの道場、ロリコンジジイがいるの?現実に帰っても憂鬱ね」
「誰がロリコンジジイじゃい」
「なんでヴァイリが切れるのそこで。あんたも大概変なことしてそうだけど」
「心当たり・・・・クロンの足の筋肉のつきがいいから、ついプニプニとか」
「あんた・・・やった相手がクロンじゃなかったら通報されてるわよ」
「あと、ヴァイリは私と一緒の風呂に入ったりとか余罪が存在する」
「ちょっと待て、それは小学1、2年の話だろ。帰りが遅くなったから夏休みだったし泊めさせてもらっただけじゃないか。その時だって別に欲情してたわけじゃないしセクハラもしてないし」
「何を回想してるんですか、ペドリさん?ドン引きです。あたしから5メートルの距離保ってください。体術スキル取ったら変なことやり次第、技かけますね」
リュミルが自分の身体を抱くようにして距離を取る。
「ペドリってなんだよ。変なことなんてしねーよ、ちんちくりんな背をして何言ってんだ」
「あたし、ちんちくりんじゃありません!胸だったらカーラさん、クロンさんよりあるんで」
「ちょ、あんた何言い出してんのよ!別に無いわけじゃないし、クロンよりはあるわよ」
それ、クロンのコンプレックスだから触れてはいけない事なのだが
「よかろう、二人とも。斬られたいらしいな」
クロンは既に刀を抜いていた。二人にプレッシャーを放つ。
「「ひぃっ!ごめんなさい」」
「まぁまぁ、胸の大きさで何か決まるもんでもないし(ザシュッ)ハイ、余計なこと言いましたごめんなさい」
クロンの刀の刃先が俺の首元に触れるので即謝罪する。
「貴方が体型で好みを決めるような人ではないのは承知してるがあまり私の気にしてることを言わないように」
「はい、すみませんでした」
「ふんっ」
クロンは刀を下ろしてくれたが不機嫌なままそっぽを向いてしまった。
「でも、実際ヴァイリさんってお兄さんと言うよりはおっさんですよねー。理屈っぽくて。なんていうか、たまに会う親戚のウザいおじさんって感じですね!」
「その言葉、かなり深く刺さるんだけど」
───
「ふんっ」 ドゴンッ
カーラが殴りつけると2メートルほどの高さの岩に半径15センチほどのヒビが入る
「これ何回殴ればいいのよ!岩一つ壊すのにかなり時間かかるじゃない。リアルだったら瓦8枚くらい一気にいけるのに」
「おりゃああ」 ドンッ ミシッ
リュミルが助走をつけてドロップキックをかますが、少しヒビが入っただけだった。
「あっれー?これしか壊れないんですか」
「そんな簡単には壊せないだろう。もともとこのクエストの目安時間は2、3日だ」
「破ァ!」 ゴキャン
「は?」
少し離れた場所にいたメンバーの一発の拳で岩は割れた
「呵っ呵っ呵っ!、我が発勁に耐えられるものなどないわ」
腰に手をあてて、パウが高笑いしていた。彼女の頬からすでに髭が消えていた。
「簡単には壊れないんじゃなかったの?」
カーラがジト目を向けてくる
「知らん」
「私の言ったとおり見極めれば一発で割れるものではないか」
「クロン、パウもいろいろと規格外だからね。アレを平均で考えないで」
ー15分経過ー
「確かヴァイリは2層攻略の時私のマントを使って闘牛士をしてたわね。あのようにするのがいいのかしら?」
ティールから声が掛かる。
「そうそう、ちょうどあそこにいるあいつみたいに」
モ゛ッ ズガンッ
既に岩を割っているマタドールがいた。
「派手にぶっ壊れてくれて満足ですわ。あなたはご苦労様、永遠にお眠りなさい!」
ティールと同じように赤いマントを羽織ったミレイアが衝突ダメージで弱ってた牛モンスターに早速手に入れた体術でかかと落としを決め、とどめを刺していた。
「おい、ミレイア。牛倒すと次の人の分ポップするの待たなきゃならないんだが」
「あらっ・・・うふふ、はしゃぎすぎてしまいましたわ・・・」
赤いマントを次々と貸し回すことで全員クエストは日暮れ前に終わった。
「フォフォフォ、なかなか器量いい小娘たちじゃ。ほれ、お主たちの欲していた〈体術〉を授けよう」
「そりゃどーも、じいさん。こちらとしてもほんの少しお礼をしてやりたくてなあ」
ミリーが指をぽきぽき鳴らしている。
「ふぉ?」
「プレイヤー同士圏内以外でスキルを試すとオレンジになるからね、もう少し補習させてもらうわ」
エクレールも黒い笑顔を浮かべ、他の皆も仙人NPCを取り囲む。
「ふぉ?ふぉ?待つんじゃ、老人は労わるもの・・・」
『『問答無用!』』
クエスト開始時にセクハラした仙人NPCは体術のサンドバッグとしてみんながボコボコにしてた。最後は『フォ・・・ふぉ・・・』と、か弱く鳴くボロ雑巾のような塊が落ちてた。コワイ