エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
1層の権益争いは軍が多くを占める事になったため生産職は2層への移住が多くなった。2層主街区ウルバスは1層ほどではないが地価は安く、店を移しやすかった。
2023.6.1 ウルバス
Side ヴァイリ
クロンと共に〈Endeavour〉と書かれた看板の建物に入る。
「「「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様」」」
カフェのドアを開けるとメイドがお出迎えしてくれる。
ナギサ、ミシェル、レインがメイド服姿でお辞儀をしていた。
〈カフェ・エンデバー〉はリーナさんのお店と共同出資して出店したカフェで、中層レベルの装備をしたプレイヤー達がコーヒーやケーキなどを嗜んでいた。
「どーよ!私のメイドカフェでのノウハウを叩き込んだんだから」
「まさにプロフェッショナルですね!メイド服も採寸してもらったおかげでフィットしてます」
「うー、なんだか恥ずかしいよ///」
ナギサは腕こぶしを作り、ミシェルはカーテシーでお辞儀をする。レインは顔を赤くして俯いてしまった。
「3人とも様になってるよ。あっちは空いている?」
俺がカフェの奥を指差す。
「フリーだよ。お二人様どうぞこちらへ」
レインがスペースまで誘導してくれる。
奥まったところにある扉にレインが鍵を開ける。
「どうぞ、ごゆっくりー」
俺とクロンが通されたのはVIPルーム用に作られた部屋だった。
ギルドの幹部会や生産職ギルドとの商談などのために設置した設備だ。
壁際の棚上にはミルローゼの趣味で作らされた階層ボスモンスターの銅像が十数体飾ってある。
「いらっしゃいませ。お二人さん注文はどうする?」
ウェイトレス姿のソラナが注文票を持ってテーブルの横に立つ。
「本日のケーキセット、紅茶で」
「俺も同じのでお願い」
「かしこまりました。ケーキセット2つ、どちらも紅茶で。今用意するからね。」
そう言ってソラナは部屋から出て行く。
二人になったところでインベントリから書類の束を出す。原作知識の時系列とエンドワールドとしての対応予定をまとめたものだ。
この書類は俺たち二人の他に本部の人間、査問会を開いたときに同席していたラーミル、ラーチェ、トトナ、リーネのみしか存在を知らない。ラーミルは役職はないがミルローゼの実質側近でラーチェは義理堅い。トトナとリーネも口が堅いので漏洩の恐れは現時点では低い。
トトナは最前線ダンジョンに出ているから原作知識の情報は必要としている。トトナのパーティーはギルド内では前線班やトトナ班など呼ばれているが、ミルローゼは「もっとふさわしい名称がある」などと言っていた。
「ヴァイリ、貴方の記憶ではゲームの進行状況はどうなのだ?」
「小説より速いペースで来てるね。今が36層、ダンジョントラップが多くなっているから少し1階層ごとの攻略日数が長くなっているけど75層で終わってくれるなら11月のところ前倒しになって来年の春夏くらいに終わってくれるはずだ。」
「しかし、フィリアの存在があるからその先のホロウフラグメントという流れになる場合もあるのだな」
クロンが書類をめくって75層以降のプランを流し読みする。
「100層まで行く事になると終わるのは結局本筋と同じ11月くらいになるだろう」
「お待たせ、ケーキセットね」
ソラナがお盆に乗せたケーキと紅茶をそれぞれテーブルに置いていく。今日のケーキはモンブランだった。
「ありがとう、ソラナ」
「どーも、紅茶はベティ監修よ。ごゆっくりどうぞー」
一礼してソラナが去った後、ケーキと紅茶を嗜みながら話を続ける。
「次の小説のストーリーは40層にあたるこのホープフルチャントというところだな」
「そうだな。イディア達が歌のスキル探してたから死ぬ前にその子からスキルの取り方聞かないと」
「初めから救命の道は無しか」
「その子の親が工学系の研究者だから死んでもらわないと後々のストーリーに剥離が生じるからね。どうしても必要な犠牲になってしまう」
ユナの死はコラテラル・ダメージの一種だ。そうしないとアリシゼーション編に響きそうだし。その先の知性間戦争もストーリーは続いてくるから変に首突っ込まないほうがいい案件だ。
「ソードアートオンラインがゲームクリアしても事件は続くか。2年後まで響く伏線であるなら仕方がないな」
クロンも諦観した様子で紅茶を口にする。
「2層ではやんちゃをしすぎた。あまり原作から外れるとイレギュラーが起きてしまって先読みが効かなくなる。後の事は静観するに限る」
カフェを出て、クロンと二人で街中を散歩しているとウルバスの街の中心の噴水に人だかりならぬ猫だかりができていた。
にゃー、にゃー
「うふふ、猫ちゃんってやっぱ可愛いねー」
「ほらあ、猫じゃらしだよー、それそれー」
「うわあ、もふもふしてる」
リーベとルミカが猫じゃらしで猫と遊び、エヴェイユがベンチに座って猫を膝に乗せている
「いいなー、わたしも猫じゃらしで遊びたいなー」
ユルモニは地べたに座りながら猫に囲まれていた。肩やひざにも猫が乗っていて身動きとれなさそうだがそれはそれで楽しんでいるようだった。
「なあ、なー」
にゃー?
ベンチの上で四つん這いで猫に話しかけてるフブキがいた。右手を猫の手にして真剣にコミュニケーションを図っている。
猫のほうは何をしているんだ?と言いたげな顔で頭を傾けていた。
「フブキ・・・キャラ崩壊しているぞ」
「面白いことをしている。彼女にもあのような一面があるのだな」
スクショ撮っておこう
カシャ
記録結晶のシャッター音でフブキも気づく。
「ハッ、主に奥方!違っ、これは猫のNPCにも話を通じるかを試したわけで」
「面白い格好しているから撮っちゃった」
「なああぁあ!すぐ消せ!いかに主であろうが武士としての矜持にかけてここで斬る」
フブキが抜刀して斬りかかってきた
キィン、バシッ
「ぐっ」
「取り乱し過ぎだ。剣筋が乱れている」
すぐクロンが受け止めて峰打ちしてしまった。
「パーティー組んでるメンバーなのに容赦ないな。」
「生半可な気持ちで振るのは刀に失礼だから」
フブキが涙目になってしまったので流石に可哀そうだったから写真は消しました。
女の最大の武器は有無を言わさぬ涙だな
投稿間隔2週間毎に戻ります。速いペースでストックできたら1週間にします。