エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
2023.6.16
38層 迷宮区タワー
Side ヴァイリ
フィールドボスが倒され、攻略組が休息を取っている頃、エンドワールドは一足先に迷宮区に入っていた。トトナ班、探索班を中心に、ローテーションが組まれ、着実にマッピングしていく予定だ。
集結地点に着くと本部から指揮のために来ていたリリオを囲むように30人くらいメンバーが集まっていた。集団の外側にいたアネットの右目がルチアの目と同じ金色になっていた。
「アネット、その目はどうしたんだ?」
「あ、ヴァイリ。ルチアとお揃いにしようと思って露店で売ってた金色のカラーコンタクト入れてみたの。ルチアなら実際眼の中に入れても痛くない妹よ」
「もう、姉さんったら恥ずかしいこと言わないでよ!でも姉さんが私のことをいつも思ってくれてるのよ。流石私の姉さんね!」
ルチアが照れくさそうにアネットの腕に絡む。アネットはそんな妹の頭を撫でていた。
この姉妹、お互いにキャッキャしてるが、何も知らない人が見たらミルローゼかラーミルに唆されてアネットが邪気眼に目覚めたと思うだろうな。
「エヴェイユ、ポーションとかは大丈夫?あまりあたしたちから離れちゃダメよ」
「わかったよ、カーラお姉ちゃん!お姉ちゃんたちとの冒険楽しみだなー。」
エヴェイユも積極的にモンスターを倒してきたので既に前線のダンジョンに出れるようになっていた。カーラに年少組の世話を押し付けているが、彼女の世話焼きな性格もあって快く引き受けてくれている。
「こんにちは、本日はお世話になりますね」
カチューシャをつけた修道女が近づいてお辞儀してくる。
「あ、プリエルちゃん、こんにちは!」
「こんにちは、エヴェイユちゃん。みんなの無事をお祈りしてたよ。」
「よろしく、プリエル。あたしはカーラよ。一緒にやりましょう」
カーラが手を差し出す
「ありがとうございます!足を引っ張らないように頑張ります」
プリエルも応えて握り、握手する。
「プリエルちゃん、一緒に頑張ろうね。あたしも力になるよ!」
「ありがとう、エヴェイユちゃん。ヴァイリさん、よろしくお願いします。私、頑張って強くなりますね!」
「ちっ、結構いるわね」
悪態が聞こえ、そちらを振り向くとエクレール率いる遊撃班がいた。
「今日はあんたたちの当番じゃないわよ」
「そんなの関係ないわ。私達は本部の指示を受け付けない。そういう取り決めのはずよ。変な馴れ合いは無し」
カーラの言葉にエクレールは手を振って答える。
「ちょっと待って、そっちはまだ安全を確認してないわ」
「だーいじょうぶよ。アンタたちと違って私たちは安全マージン十分すぎるほど取れているんだから」
指揮を執っていたリリオの制止を無視して遊撃班はまだ未踏のエリアの方を進んでいく。
「勝手なことを」
「サブマス、私たちも予定通り上階を目指しましょう」
「私たちだって遊撃班に負けないんだから。攻略を開始しよう!」
リリオは不機嫌になっていたがトトナとアニエスが探索を開始することを促す。
競争は他ギルドだけでなく身内同士でもある。最新の装備がギルド全体に行き渡るのは難しいのでドロップ品については話し合いで山分け、それを嫌がる遊撃班は単独でレアモンスターに絞って狩ったりしている。
「あたしはヴァイリさんについていきますよー」
声がすると隣にリュミルが腕に抱きついてきていた
「いつの間に」
「ふふん、あたしの神速舐めないでくださいね?」
「ちょっとリュミル、あんたそいつにくっつきすぎじゃない?」
「カーラさんも反対側の腕空いてるからくっつけばいいじゃないですか」
「そ、そんなこと恥ずかしくて出来るわけないじゃない///」
カーラとリュミルがこそこそ言い合いしてるが無視無視。 リュミルの弾力あるな
「ヴァイリ、あんたそんなニヤついてるならクロンに言いつけるわよ」
カーラはジト目で口をとがらせていた
「それはやめてくれ・・・リュミルは班のほう行かなくていいのか?」
「だって別にエクレールさんに従う必要ないですし。強いモンスターでない限り班のみなさん一人で戦ってますよ。パーティー戦もMVP狙いで協力じゃなくていつも競争になってます」
あれでも班として成り立ってるのが奇跡だな
看破スキルをもつメンバーを戦闘に探索は順調に進んでいった。
1日で迷宮区タワー12階までマッピングが完了し、アルゴに売った。
25層 ギルトシュタイン
38層攻略までで1層の始まりの街の次に大きい街ギルトシュタインは多種のお店、設備が整っていることから攻略組、攻略組随伴プレイヤーたちにとって前線拠点となっていた。
エンドワールドも宿を25層に移しているメンバーが多くなっていた。
18:00
大都市の転移門広場で今日シフトだったメンバーが解散していく。
そんな中、今日の攻略に参加してた広報班が広場の中央に立つ。
「みんな、おつかれさまー!今日も一曲歌っちゃうよ」
マイクのようなアイテムを持ったイディアが言うと、各々が楽器を取り出し、歌いだす。
広報班がここで歌うのは日課になってたので歌目当ての常連のファンなども出来ているようだ。
歌い終わって広場に数十人集まってたギャラリーから拍手が起こっていた。
「はいはーい、次はわたしが歌いまーす」
白い吟遊詩人帽子とケープを着た少女が広報班のユニットと替わるように広場に立つ。彼女は背負っていたウクレレを弾き始め、静かに唱う。
彼女の曲が終了するとまた広場に拍手が響く。白の少女はペコリと頭を下げる。さらに、広場にいたプレイヤーにバフが付いた。初めて見たがオーディナルスケールのユナと分かる。
周囲には血盟騎士団の服装の男は見当たらない。ノーチラスと思われる男の姿はなかった。
彼がいない今、これはチャンスだ
〈その歌のスキルの入手方法を聞いてみてくれ〉
イディアにメッセを送信する。彼女も気づいたようで俺にウインクしてくる。
歌い終わって礼をぺこぺこ続けてるユナにイディアは駆け寄る。
「綺麗な歌だったよ。しかもあなたの歌ってバフがつくのね」
イディアがユナに駆け寄り、手を握る。他の広報の子もイディアの後ろから興味津々な様子を見せる。
「うん、そうだよ。
ユナは歌を褒められたことと注目されてることに照れてうつむき加減で答える。
「歌でみんなの力になるなら私達もそのスキルを持ちたいの」
イディアらの思いは本物である。俺の邪な打算とは別に。
「分かった、さっきの歌わたしも聞いてたからあなたたちが本気なのは分かってる。このスキルの取る条件はね・・・・」
俺のところまでユナの説明は聞き取れなかったがイディア達はユナの説明に頷いてた。
「ユナちゃん、ありがとう。わたしたちも頑張って
「わたしも同じ趣味の人たちとあえて嬉しかったよ。イディアちゃんたち、じゃあまったねー」
イディアたちとユナはお互い手を振り、ユナは転移門のポータルに乗って転移していった。
少女たちのやりとりを眺めていたギャラリーも解散していく。
「ヴァイリさん、また悪い顔してますよ?」
隣からリュミルが顔を覗いてくる。
「そんな顔はしてないぞ。まあ事が上手くいったのは確かだから夕飯はおごってやろう」
「ホントですか?ちょうどこの街に行きたいレストランあったんで、早速行きましょう!」
リュミルは俺の腕を引っ張っていく。イディアからメッセが入り、開くとスキル取ることは出来そうという内容だった。これでギルド内の戦力強化が更にできそうだ