エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
ノエル 12位
アネット 17位
終わりと決めるにはまだ早い
ヴァイリとアリアの問答BGMはアニメ:ソードアート・オンラインのwith my friend
h ttps://www.youtube.com/watch?v=gzdqmYrtOl0
2023.9.2
30層 ダンジョン
レッドギルド、ラフィンコフィンの殺人事件が時々起こるようになり、新聞の一面を賑わす。主に低層のプレイヤーを狙った犯行が多かったが少しずつ犯行現場の階層が上がっていっていた。
ギルド内でもレベリングが追いついてない中層プレイヤーレベルのメンバーもいる。彼女らが安全にモンスター狩りをするために今日の護衛として俺とクロンがパーティに付き添うことになっていた。
「はーい、トラップ外したから通って大丈夫だよー」
ダンジョン通路の罠を解除するために這いつくばっていたフィリアが手を挙げる。ダンジョン内にはトラップも多く仕掛けてあるので探索班から彼女も借りてきている。
「目の前にモンスターがポップするよ」
ラーミルが駆け出した直後、目の前に緑色の肌をしたモンスターがポップする。
ロングソードを持ったリザードマン型のモンスターは接近していたラーミルを感知し、ターゲットとする。
「シャアアアアア」
リザードマンは剣を縦に振り、彼女を斬ろうとする。
「知っているわ」
ラーミルは体をひねってリザードマンの斬り込みを躱し、首を切り落とした。リザードマンは光の断片として砕け消えていく。
「きわどく避けるけどやっぱり敵の攻撃が見えてるのか?」
「そうね、見えるわ。モンスターが動く直前に攻撃が当たる範囲がうっすらと赤く光ってるの」
ラーミルは乱れた髪をかきあげながら、俺の質問に答える。
他にもリザードマンが出現して、パーティーはそれぞれ分かれて戦闘を始める。
ガキィン
「受け止めました。カメリアさん、チャンスです。」
黒い服に身を包んだお嬢様見た目のラナリアがサーベルでリザードマンの剣を受け止め、パートナーにタイミングを伝える。
「はい、ありがとうございます。せあぁ!」
大型のランスを持ったカメリアがソードスキルでリザードマンを串刺しにした。貫通持続ダメージでモンスターのHPはどんどん削れていき、やがて尽きて倒された。
「うーん、武器が大きいのでリーチはあるのですが、取り回しが難しいですね」
カメリアはモンハンとかで使われてそうな長いランスを武器としている。大型のモンスター相手だと的が大きいのでまだ戦えるが、人型とかだとあまり実用的ではない。逆に懐に飛び込まれやすく危険だ。
そのため、タンクがモンスターを受け止めている間に後ろからチクチク刺していくのが最近の戦い方になっている。
「戦い方は安定してきているしいいと思うよ。あまりうまくいかないようだったら和槍に転向させようと思っていたが、一撃が当たれば相当なダメージになるし続けて使ってみてくれ」
「はい、どこかおかしなところがあったら教えてくださいね」
俺が褒めるとカメリアは嬉しそうにしていた。
「はあぁ!」
ミチカが側面から攻撃を仕掛ける。彼女は白いチャイナドレスのような服装で鍵爪のようなクロ-を武器としている。クローの刃が深々と刺さり、リザードマンのHPを全損させた。カメリアとは反対にミチカはリーチが短い武器だ。ソードアート・オンラインと言いながら剣以外の武器もそれなりにある。
「ラ、ラフィーユさん、スイッチ!」
額にピンクのヘアバンドをした少女、アリアが斧でリザードマンの剣を受け止める。
「え、ええと・・・」
ハンマーを持った水色のショートボブの少女がおどおどとして攻撃に踏み切れずにいた。
「シャアアアアアア!」
キィン!
「きゃあ!」
リザードマンの攻撃パターンが変わり、斧で受け止めてたアリアが弾き飛ばされ、倒れた。
「護衛の出番が来たか。クロン、アリアをタゲ外範囲に連れ出してくれ」
「分かった」
レッドプレイヤーどころか、ただのモンスターで死者を出すわけにはいかない。俺とクロンの監督責任が問われてしまう。
俺が盾でリザードマンの前に割って入り、クロンがアリアを抱えて安全圏まで退避した。
「ラフィーユ、もう一度チャレンジだ。トカゲ男にハンマーで一発食らわせてやれ!」
俺が盾で受け止めているところラフィーユに合図する。
ラフィーユは真面目にレベリングしていたが、自分自身でモンスターにトドメを刺すのをいつも躊躇している。いつまで経っても成長しないのは困る。
「は、はい。えいっ!」
ラフィーユは黄色いハンマーのソードスキルを発動させて放つ。
ハンマーはリザードマンの頭部に当たり、クリティカルヒットで一撃で倒した。
「た、倒せた・・・」
ラフィーユはソードスキルの勢いで地面にめり込んだままのハンマーの柄をもったままつぶやく。
「大丈夫か、アリア。ほら立てる?」
俺は腰が抜けて立てないアリアに手を貸す。
「うん、ありがとうございます・・・」
アリアは俺の手で引っ張り上げられ、ふらつきながらも立ち上がる。
「すみません、わたしがモンスターを前にこわくなっちゃって足がすくんでしまって・・・」
ラフィーユが頭を下げる。
「ラフィーユはこれまでも狩りに参加しているからレベルは足りている。今のモンスターも一撃で倒せたし。あとは慣れだ、俺とクロンが後ろに付いてるからもう一度アリアと連携練習してみてくれ」
今回のきっかけを活かしてもう少し積極的にモンスターを倒してくれるといいんだが。
「はい、分かりました」
ラフィーユは静かに頷いた。一度モンスターを倒せたからか先ほどのおどおどした様子ではなく決意のこもった目だった。
「うう、もうモンスター倒すのやだよ・・・」
アリアが涙目で首を横にブンブン振っていやがる。
「アリア、またお兄さんに会うためにはこのゲームをクリアしなければならない。それは分かるな?」
「うん・・・」
「だったら今アリアにできることはモンスターを倒して少しでも攻略を早くすることなんだよ」
「うん、分かってる。でもここにはお兄ちゃんはいないから・・・ヴァイリさん、このゲームにいる間・・・私のお兄ちゃんの代わりになってくれませんか?」
アリアは涙目をこすりながら頼んでくる。
「いや、お兄ちゃんって・・・」
「駄目?」
背の低いアリアが上目遣いで目を潤ませる。これで断ったらまた泣き出しそうだ。
「・・・分かった。お兄ちゃんって呼んでいいから」
「本当?やったあ!」
アリアは泣きそうな顔から打って変わって満面の笑みを浮かべた。
───
「お兄ちゃん、今度はあっちのモンスター倒そう?」
兄という保護者を手に入れられたことから気が大きくなれたのか、狩りに慣れ出したアリアが俺の腕をぐいぐいと引っ張っていって連れ回す。
「ちょっと、どういうことですかヴァイリさん。あたしの年下ポジション、その子に取られているんですけど」
今日の狩りについてきていたリュミルが抗議する。
「ヴァイリさん、お兄ちゃんしてくれるんじゃなかったの?」
アリアが涙目でまた泣き出しそうな表情になり、上目遣いで懇願してくる。
「リュミル、今日だけは我慢してくれ。」
「ヴァイリさんのジゴロ。あたしの胸当たってにやにやしてたむっつりすけべ。」
リュミルは拗ねてしまった。
「当たってるの自覚あったんだ」
「当ててるんです!クロンさんも何か言ってやってくださいよ。浮気ですよ、浮気!」
リュミルは今度クロンに振る。
「ヴァイリ、妾は養える能力がある人数にするべきと思うのだが」
クロンは真顔で答えた。
「え?」「え?」
俺とリュミルはクロンの斜め上な答えにとぼけた顔になる。
「みんなが言う流れでは私が貴方の妻ということではないのか?」
うーん、クロンがどこまで本気で言ってるのか分からない
「なんということでしょう・・・これが正妻の余裕ですか・・・」
リュミルが口に手を当てて驚く。
「私は冗談のつもりだったのだが」
クロンは真面目な顔から一転、困惑した表情を見せた。
「ま、まあそういう話はもっと大人になってからでいいだろう」
ハーレムとかやめてくれよ。現実の日本だと逮捕されてもおかしくないんだから。
結局狩りが終わるまでアリアとリュミルで俺の取り合いを続けるひと悶着があったが、脱落者を出すことなくその日のMOB狩は終えられた。