エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
2階建ての平屋根の建物が立ち並んでいると解釈してます
♪作戦タイムBGM ゴジラVSメカゴジラより 「Gフォース訓練センター」
h ttps://www.youtube.com/watch?v=knllZ7dBHQo
♪♪模擬戦BGM:ガンダムオンラインより局地戦の「トリントン激戦区」
h ttps://www.youtube.com/watch?v=8RhrKmx9tDk
2023.9.16
AM10:00
ギルドホール 会議室
本部の人員が集まってる中、エリスとヴァイリが呼び出しに応じていた。
「はあ、集団対抗戦ですか?」
エリスがミルローゼの提案に首をかしげる。
「軍が今後上階へ進出するようなことがあれば我々も妥協して距離を取るだけでは済まなくなる。その為にも現時点でどこまでやれるかを理解し、交戦するノウハウを形成したい」
ゲンドウポーズをしているミルローゼは答える。
「そんなことが起こるようなことは極力避けるようにすることを優先すべきではないのでしょうか?」
「万が一は万が一です、班長。別に本当にどこか別のギルドとやりあうことになるわけではないのです。ただ、これまでみんなも必死に戦闘の訓練をしてきましたし、なにか実感を持てる演習をしてみませんか」
ヴァイリが普段と違って畏まった口調でエリスに答える。彼と本部との間では模擬戦を実施することですでに話が進んでしまっているようだった。
「せっかくの運動会シーズンだからな。なにかチームに分かれて行う戦技競技を立案してもらいたい」
さらにミルローゼが推す。
「はぁ、分かりました。色々試したほうが何か攻略に役立つかもしれませんしね。ヴァイリさんも訓練地候補の選定に協力して下さい。」
エリスは上層部と、形としては部下であるヴァイリからのプレッシャーに根負けしてしまった。
「了解しました。班長」
「では、30分後に転移門前で。私も下見に出かける準備をしてきますね」
エリスは先に部屋を出ていった。
エリスが扉をバタンと閉めると部屋の空気が黒くよどんだものに変わる。
「で、お前の本心は何だ?」
エリスが出ていったところでミルローゼがヴァイリに話しかける。
「それは、こんなところで死者出すわけにはいかないので対人戦にはギルド内全員慣らしておかなければなりません。私たちには将来もあるわけですから、優秀な兵隊は作っておくに越したことないでしょう」
ヴァイリにとって気がかりなのはラフィンコフィン等のオレンジギルドだった。彼らの標的にならないようにするにはPKを返り討ちにできる能力がエンドワールドに有ることを示威するデモンストレーションを必要としていた。
「無論だ。我々がこんな小さな檻にいつまでも幽囚され、終わる身ではない。」
他の本部の人たちも頷く。敵はプログラムのモンスターだけではない。人と人の殺し合いは紀元前から起こっているものだからこそ、備えるのは共通の認識だった。
───1週間後
2023.9.23
AM8:00
11層 主街区 タフト
階層ボスで前線として攻略組、生産職が集っていた賑わいは今は昔、タフトの街は中層プレイヤーが数人居住する程度となっていることがエリスとヴァイリの調査で判明していた。
ルール
〈1時間の作戦考案タイムの後、23時間の戦闘時間で競う。勝利条件は敵指揮官の撃破。時間内に終わらなかったら生存判定人数の多いチームの勝利になる。〉
〈両チームの指揮所設置場所は街の南北の外壁に接する地点に限定する〉
〈なお、指揮官は指揮所エリアから出ることはできない。〉
〈プレイヤーの生死判定は一回の直撃(頭、胴体)で死亡。死亡判定になったプレイヤーは動けないように手錠などで拘束してその場で座る。あるいは近隣の建造物の中に退避する。〉
〈死体判定となったプレイヤーは喋ってはいけない。〉
アンジェラとリリオが指揮官となり交互にメンバーを指名していった。
赤チーム
アンジェラ エリス トトナ アニエス ホタル
ティール リーネ エルミラ ケティア アジュール
ルチア リナリア イブ ノエル シュリー
ステラ ラ-チェ ユルモニ ハティ ルミカ
ミリー リュミル エヴェイユ ミレイア モニカ
ティリ キーナ ヘメラ イルマーナ ルカ
カメリア リノ イーリス リーベ テレサ
ラナリア ミヅキ エルー エリナ ヘルミーネ
ミチカ ミーア アグライア フリーデ アミナ
セレン ヒトミ ミオナ ニーナ シルヴィー
緑チーム
リリオ ヴァイリ ラーミル クロン ミルローゼ
アネット チェルナ フィリア シエル ミランダ
カーラ エクレール フーリ リラン シャサール
レアン ユリス ルファ アルシエ リーゼロッテ
ユウナギ ミネルア レイン カスミ クラリス
フィーユ ヘルミナ リベルテ ダナ ベティ
アリア フブキ ラフィーユ コハル ヒビキ
ソラナ アーチ ティアナ フィアーネ フレン
サナエ シャルロッテ イディア セリーヌ ラナ
アルネラ レン ウルリカ パウ ナギサ
指名されなかったメンバーは転移門から来るプレイヤーの誘導整理や戦闘のデータ取りに割り当てられた。
Side 緑チーム
町の南側の外壁に接する所で指揮所として現実のイベントや祭りで設置されるような業務用テントが建てられ、その中にテーブルや椅子が設置されていく。
ドサッと木箱が置かれ、箱の中に詰められてたチーム識別のための腕章が配られる。
「私たちは緑チームじゃなかったの?」
指揮官椅子に座ったリリオが配られた青い腕章を手に取りぼやく。
「我が青に変えたのだがなにか問題あるのか?」
そこにチームの色が変わった元凶がテントの中に入ってくる。
「・・・いえ、無いです。魔王さま」
「リリオさん、すみません。まおーさまがチームの色は青が良いということで腕章染め直しちゃいました」
カスミがリリオに頭を下げていた。
「いやー、まさかサブマスに第一指名頂けるとは思ってなかったなあ」
ヴァイリは能天気な調子で頭をかいて照れている。
「発案者のあなたのことだから何か有利な作戦あるんでしょう。だからあなたの言った通りの人選にしたんだから」
リリオはテーブルの中央の椅子に腰掛けた。
「勝てなかったらアンタ分かっているんでしょね。向こう側は実力あるトトナとアニエスの班ほとんど固まっちゃったじゃない」
エクレールのボヤきにテントにいたメンバーの痛烈な視線が一斉にヴァイリへ集まる。
「軍師たるもの、味方を勝利に導けなければ存在価値はないからな。負けたら打ち首相当が妥当であろう」
ミルローゼは目を細めて笑いながら禍々しいデザインの片手剣の刃を左手に叩いている。
「は、はい。勝てるようにしますので」
ヴァイリから冷や汗がダラダラ流れ、身を縮ませる。
「では計画を練りましょう」
リリオが地図を使って見張りを立てる建物など指示をしていく。
「あとはこの街のショップの場所がこことか。あと鍛冶場はここ。」
ヴァイリは地図のNPCショップなどにマジックで印をつける
「ちょっと、演習でしょ。お店とか使っていいの?」
リリオが尋ねる。
「街の設備の使用は禁止していない。NPCには俺たちのすることなんて関係ないし。今回のルールに則った作戦は考えてきている。レイン、ミネルア。街の広場のバザーにインゴットとか俺名義で1コル出品してるところあるから素材はそこから調達してくれ。取引申請きたらすぐに成立処理するから。」
「流石お師匠、やり口が汚いなー。ルール破らなければ何でもアリなところ」
レインは苦笑をする。
「で、私たちは何を作ればいいの?」
ミネルアが質問をする。
「鍛冶場で鉄板を作ってくれ。バリケードで使う。」
ヴァイリが町の地図の東西の大通りに細長い文鎮を並べていく。
「この通りを防衛ラインとして赤チームを牽制する。クラリス、節分の時にエリスが取り上げてたスリングショット返すよ。あれも広場のバザーにまとめて1コル出品しといたから」
エリスが取り上げていたスリングショットをヴァイリはギルドホールの倉庫で箱に入れて放置されているのをあらかじめ見つけていた。
「お、マジで!ヴァイリもいいとこあるじゃん、見直した」
くせ毛のあるストレートの少女、クラリスが白い歯を出して笑う。
ヴァイリは頷いて作戦内容を続けて話す。
「東西通りで足止めしている間に万が一のために予備人員でもう1本防衛ラインを作っておこう。攻撃部隊が敵指揮所を攻撃するのに時間がかかってしまうから」
「えーと、道を塞いじゃったら私たちも攻撃できないんじゃない?」
コハルが首をかしげながら右手を挙げる。
「それは心配しなくていい。あと、こっちのもう一枚の地図も。」
ヴァイリはもう一枚地図を取り出した。
「街の道と一致してないけどそれはどこの地図なの?」
リリオが質問する。
「これはだな───」
Side 赤チーム
町の北側の外壁に接する所でトトナが取りまとめながらテントの設営がてきぱきと進められていく。彼女らの士気は高い。戦闘慣れしているメンバーが多いことから戦局に希望的観測を持っていた。
「向こうはヴァイリさんが付いてるんですよね」
エリスは頭をひねって悩む
「彼ね・・・厄介だわ」
アンジェラは脱いだジャンパーを椅子にかけて、座る。査問会の後、彼の予言は度々当たっていた。アンジェラもヴァイリの言っていることはただの妄言でないとは感じていた。
「さて、それじゃ取り掛かりましょうか。エリス、あなたの見立てでは彼は何をしてくるつもり?」
「そうですね、初めにラーミルさんを取ったので奇襲対策はしているでしょう。後は夜シフトの方々を多めに取っているのであちらの攻勢は夜になるかもしれないですね。」
エリスは両陣営のリストに目を通す。敵チームは気配察知スキル、夜目スキルを持っているメンバーが多いことに目をつけていた。アネット、チェルナ、フーリの3人は夜間の戦闘パーティーの常連メンバーだった。
「私たちとしてはできれば日没前の短期決戦を目指したほうがいいわけね。」
テーブルにペンをコツコツとさせながらキーナが言う。
「敵側も見据えて対策はしてくるでしょうね。その為には主力を陽動として使うのはどうでしょうか。トトナさん、アニエスさんの班が中心となって引きつけている間に別働隊を浸透させます」
「その本命の敵陣攻略は誰がやるの?」
アンジェラが尋ねる。
「軽装備な方で敵側の警戒網を避けて襲撃をかけます。そのためのルートがあります」
エリスがテーブルの上にミラージュ・スフィアを置き、スイッチを押す。
スイッチの入ったミラージュ・スフィアはテーブルの上にタフトの街並みを3Dホログラム状に投影する。
「これはすごいわね」
アンジェラは顎に右手を当ててホログラムを覗き込む。
「街の裏路地の骨董品屋さんで見つけました。タフトは中央に転移門広場が有り、そこから東西南北に大通りが伸びていますね。他の道は碁盤の目状に入っていますが道は敵側もまもってくるでしょう。」
「となると、進軍ルートは?」
「建物がどこも2階建てで、平屋根が多いのでこの上を通っていけば戦闘を避けて敵司令部にたどり着けます。〈軽業〉スキルを持っていれば道を飛び越えていけます」
9:00
「よし、作戦開始ね」
リリオの合図とともに青チームのメンバーが駆け出す。
反対側の赤チームも行動を始めていた。
「行けぇ、行けぇ!」
「うおりゃあー」
青い腕章をつけたクラリスとダナが先陣を切る
お互いのチームは勢力範囲の確保のため、街の中心部へと駆けていく。
ピコン、ピコン、チリン
「よし、取引成立と。カスミ、みんなに武器をどんどん配ってくれ」
ヴァイリはウィンドウを操作してバザーの取引を成立させる。
「任せてください!みなさんに行き渡らせます」
1コル出品の武器を購入したカスミはバスケットカゴにアイテムを満載にして駆け出す。
青チームはあらかじめヴァイリがバザーで人数分準備していた投擲武器、スリングショット、ピックなどを調達する。
街中央の転移門広場で両方の先遣隊同士が鉢合わせになり、戦闘が始まった。
「こうして刃を交えることになるなんてね」
「模擬戦だけど手加減は無しで!」
赤チームのティールと青チームのシエルがお互いの剣をぶつけ合う。周囲でも次々と戦闘が始まり、広場は赤と青それぞれ入り乱れて乱闘状態となる。
「ヴァイリ、人数揃ったよ。」
クラリスが広場の脇道の影から剣を振り上げながら叫ぶ。
「よし、分かった。頃合いだな」
ピイィィィ!
ヴァイリがホイッスルを吹くと広場で戦っていた青チームは後退を始める。
「逃げちゃうのかしら?せっかく楽しくなってきたところなのに」
ギザギザの刃の剣を持ちながら青い髪の少女、ヘルミーネは残念そうな顔をする。
「歯ごたえなくてつまらないですわね。」
片手斧を担いだ黄色いリボンのミオナがため息をつく。
「あれっ、広場取れるチャンスかな?このまま攻めちゃおう!」
大型のハンマーメイスを持ったフリーデがそのまま追撃をかける。釣られて赤チームのメンバーも青チーム側へ攻め入る。
赤チームが転移門の石碑を越えたあたりで広場の脇道からクラリス達、スリングショットを持ったメンバーが飛び出してきて横一列に並ぶ。
「ハハン、罠にかかったわね。放てーっ!」
クラリスが振り上げた剣を斬り下ろすと投げナイフやダーツ、鉄球が一斉に放たれる。
バチンッ
「あいたっ!何これ」
頭にピンポン玉大の鉄球がヒットした衝撃で赤チームのミヅキがよろめく。圏内なのでダメージは入らない。
「ミヅキ、ヘッドショットだから死亡扱いだぞ」
距離の離れたところからヴァイリが言う。
「えっ、わたし一回も斬り合いせずにパチンコ玉一発で死亡?そんなのあり?」
「圏外だったら今のでスタン入って戦闘不能だよ」
「確かにヴァイリの言う通りね。ミヅキ死亡判定よ」
黄色の腕章をつけたカシューが言う。彼女は転移門の見張り兼模擬戦の審判のため広場で戦闘の経過を見ていた。
「え~そんな~」
ミヅキは嘆きながらも近くの建物に入っていった。
青チームからはスリングショットで放たれたパチンコ玉やピックなど次々と赤チームの方へ放たれる。
「いけない!みなさん、建物の影に隠れてください。」
エリスが大声で指示する。
「逃げるたって、広場じゃよけられる場所ないよ!うわっ!」
足を止めていたアジュールの頭部にもピックが当たる。
赤チームは広場から北側市街地の中へ退避していった。
「急げ、今のうちに塞ぐんだ」
前線まで来たヴァイリが指揮すると、赤チーム方面の広場に出入りできる通りに木箱や樽が積み上げられていく。
広場から東西に伸びる通りにも北側の路地へ繋がる道の入口にバリケードが築かれた。
「見張り組は建物の屋根に上って敵の動きを監視してくれ」
シャサールら、看破スキルを持っているプレイヤーが建物の窓や屋根の上からメッセを使ってリリオに逐一報告をする。
メッセで各地点確保の報告が指揮所へ伝達される。
「よし、初動は私たちが有利になれたわね」
指揮机の上に広げられた街の地図に青いピンが立てられていき、リリオは頷いていた。
転移門広場は青チームが占拠した。
その後も青チームはバリケードに近づいてきた赤チームのプレイヤーをパチンコ玉や投擲武器で牽制する。
「どうだ、ヴァイリ?首尾はうまくいってるか」
数人の護衛とともにミルローゼが後ろからやってきてヴァイリに尋ねる。
「魔王様、緩衝地帯は作れました。第二段階です。選抜隊の準備を始めます」
「結構な結果だ。選抜隊には我が直々に指揮を執ろう」
ミルローゼは剣を地に突き立てながら不敵な笑みを浮かべた。