エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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♪♪ 捜査中のBGM ドラマ 相棒より 「迷宮の扉」
h ttps://www.youtube.com/watch?v=s1DEzgb8KAE

組織図に探索班でリノが抜けてたので修正しました


44話 2024.1.11、12 圏内事件 発生編

2024.1.11

Side ヴァイリ

 

有力ギルド同士で戦術の共有、お互いの研鑽という名目で血盟騎士団との模擬戦の計画で閃光さんと会食することになった。あくまでも模擬戦はおまけ程度でエンドワールドとしては別に目的がある。

 

石碑では本来4月11日に死亡するKainsの死亡日時が去年の今日と重なっていた。グリセルダも既に死んでいるので元黄金林檎のカインズとヨルコが実行するなら今日圏内事件が起こるはずだろう。アスナを57層の事件現場まで誘導して圏内事件を解決してもらう算段だ。

 

 

18:00

57層 マーテン

 

「今日はこちらの依頼にお付き合いいただき御礼申し上げますわ」

隣に座るベティが向かいの席の女性に頭を下げる。

 

「いいえ、わざわざ良いお店を探してきてもらったようで気を使わせちゃったかな?」

閃光の肩書きで前線組なら知るもののいないアスナがすました顔で座っていた。

 

「エンドワールドって女の子だけと思ってたけどそちらの方もエンドワールドのメンバーなんですか?確か一層でエリスさんと一緒にいた・・・」

 

「ええ、この方はギルドの黒一点のヴァイリさんです。」

ベティが俺の紹介をする。

 

「どうも一層ぶりです。申し訳ございませんね、今日の合同訓練の打ち合わせ、本当は班長のエリスが来るところだったのですが、急な用事が入りまして代理として副長の私が御同席させていただいております。」

実際は本部と俺が原作通りの展開にするために用意した段取りである。エリスは模擬戦のことはまだ何一つ知らされてない。

 

「そういえばそちらの殿方はアスナさんの彼氏ですか?」

ベティが目を細めて悪戯っぽく尋ねる。

 

「えっ!違いますよ。キリト君とはそういう関係じゃ。たまたまそこで会っただけで」

アスナは慌て出して訂正しようとする。

 

「あー、なんかお邪魔だったかな?大事な話のようだけど相席させてもらってすまないね」

キリトが全く詫びのそぶりもなく席に腰掛ける。アスナだけでも目撃させれば成功だがキリトも付いて来ていた。より原作に近い形に持ってこれたから上々だ

 

「いえいえ、とんでもございません。攻略組の中でも黒の剣士と白の閃光のお噂は有名ですよ」

俺はありふれたおだてをする。クリスマス時点で俺がキリトのレベル情報を買ったことを彼自身も買っていた。彼からは警戒されているだろう。もちろんその情報も俺がアルゴから数万コルで買った情報だった。

 

「あはは、どうも」

アスナは耳にタコができるくらい聞いてるのか乾いた笑いをし、キリトはつまらなそうにジト目で頰杖をついている。

 

アスナとベティと俺は食事をしながら訓練の予定日時や訓練項目について話し合っていく。

 

 

「きゃああああ!!」

突然悲鳴が街の広場から聞こえる。キリトとアスナが反射的に立ち上がる。

 

「店の外だわ!ベティちゃん、ちょっと待ってて」

アスナが言うとキリトと一緒にレストランから駆け出していった。

 

二人が出て行ったのを確認してからベティはティーカップを持ち紅茶を一口飲む。

 

「始まりましたわ」

ベティは企みのある笑いを浮かべる。

 

「ああ、予定通りだ。」

日付は早くなったが原作通り圏内事件が起きた。窓の外からは広場の方へ野次馬たちが集まっていくのが見える。

 

「あなたの予言が当たりすぎて恐ろしいですわ。悪魔の類ではありませんの?」

ベティが片目をつぶって俺に尋ねる。

 

「悪魔よりタチの悪いものかもしれんぞ」

俺がガオーっと両手を振り上げてふざけてみるとベティはキャッっとわざと怯えたフリをする。

 

「ふふ、こわいですわー」

言葉とは裏腹に顔は笑っていた。

 

 

 

 

広場の教会の前までベティと来るとキリトとアスナが目撃者探しをしていた。

 

「何があったんですか?」

俺がアスナに尋ねる

 

「そこの教会でプレイヤーが殺されたの。」

アスナの目は鋭くなっていた。さすが攻略の鬼と呼ばれるだけある。

 

「そんな・・・デュエルでもあったんですか?」

ベティも驚いた反応をする。演技うまいぞ。

 

「分からないわ。新しい圏内PKの手口かもしれないから今回起きたことをちゃんと調べたいの。あなたたちも協力してくれる?」

 

「分かりましたわ」

ベティはふたつ返事する。

 

「うちの捜査チームも呼ぼう」

俺がメッセでラーチェに連絡を取るとしばらくして転移門から情報班が来る。もちろん、ラーチェ達は事の顛末を知ってるのでグルだ。

 

♪♪

 

「エンドワールド所属のラーチェだ。ヴァイリからは圏内PKが起きたと聞いて来たんだが」

ラーチェがアスナの前で立ち止まる。

 

「血盟騎士団のアスナです。私たちは目撃者探しをしますので貴方たちは現場を調べてもらっていいですか?」

 

「分かった。では教会の中へ失礼する。」

ラーチェを先頭にぞろぞろと情報班のメンバーが教会の中へ入っていった。

 

 

 

Side 三人称

 

教会 二階

 

キリトとアスナがヨルコから事情を聴いてる頃、エンドワールドのメンバーは教会の2階で現場を調べていた。

 

「ラーミル、何か感じるか」

現場を検証しているラーチェが尋ねる

 

「そうね、何かに対して怯えてる感情は残っているけど死への恐怖といったほど強いものではないわ。」

男がぶら下がっていたバルコニーに出ているラーミルは答える。

 

「そうか、では・・・」

狂言、とまでは口にしない。まだこの場には白と黒の何も知らない部外者二人が残っている。二人は目撃者を名乗るヨルコにあれこれ聞いていたところだった。

 

 

 

 

2024.1.6

ギルドホール会議室

 

 会議室には本部、情報班、トトナ班のメンバーが集まっていた。

「Kainsは去年の1月11日18時27分に亡くなっている。元黄金林檎のCaynzは読みが同一であることを利用して狂言殺人事件を起こすことが予想される。ただし、事件の大元に棺桶が絡んでいるから我々は事件を直接解決せず、外部の者に任せる。」

情報班長のラーチェが手元の資料に沿って黒板の人物相関図を指揮棒で指しながら解説していく。黒板には元黄金林檎所属のそれぞれのプレイヤー、ラフィン・コフィンの関係図が矢印などで繋がっていた。

 

「私たちの情報網にまったくかかってないことがこんなに詳しく出てくるなんて」

レイルがメモを取りながら呟く。5日後にピンポイントで本当にそんな事件が起きるのか眉唾であった。

 

「情報ソースは誰でしょうか?」

レイルの隣に座っているイナーシャが小声で尋ねる。

 

「こういうことなら彼でしょう」

レイルは視線を会議室内唯一の男に向ける。男は手元のメモ帳に何かを書いているようだった。本来、機密保持の為に本部と情報班員しか参加しないはずの会議に教導の班員がいること自体異様だ。「俺が情報持ち込みました」と言っているようなものだった。

 

「ヴァイリさんどこから仕入れたんでしょうか」

 

「さあね。でも、あの人は何か隠しているはず。もしかしたら今回のPKギルドの事件に関しても内通してたりするんじゃないかしら」

 以前、月夜の黒猫団というギルドが一人を残して全滅した時も彼が指示して監視をしていた。レイルには未だ引っ掛かりを感じていた。

 

「まさか・・・そんなことは・・・」

イナーシャも否定したいところだがここまで事細かに情報を仕入れていることは以上と感じていた。

 

「何をコソコソしている。」

後ろから声がかかり二人はビクッとする。ラーチェが説明を終えてレイルの隣の席へ戻ってきていた。

黒板の前には交代でヴァイリが説明を引き継ぎしていた。

 

「班長。今回のネタはあの人が持ってきたのですか?」

 

「察しがいいな。確かにあいつが持ってきている。」

イナーシャが質問するとラーチェは隠すことなく答える。

 

「私たちは危ないことに巻き込まれているのではないのですか?」

 

「棺桶絡みだがこちらが直接介入することなく済みそうだ。ヴァイリの言っていることは8割がた当たると思っていい。」

 

「それは信用していいのか悪いのか判断しかねます」

 

「安心しろ、特に問題がなければシナリオ通りになる」

未来に何が起こるかあの男が知っているようにラーチェは言ってのけた。

 

「シナリオ通りですか。そんな上手くいくものでしょうか」

レイルには未だ信じがたいことだった。

 

 

 

 

「どうですか、何か分かりましたか?」

アスナがヨルコへの質問を終えてラーチェに声をかける。

 

「すまないな、いまだPKのトリックは不明だ。ロープもそこらで手に入る普通のものが使われている。そこにいるラーミルは看破スキルが高いので連れてきたのだが、ハインディングスキルで隠れているプレイヤーも建物の中にはいなかったな。」

ラーチェはアスナに結んであったロープを手渡す。

 

「そうですか・・・私たちは目撃者のヨルコさんを安全な宿まで送り届けます。もう少しこのあたりの現場保存をお願いしていいかしら?」

 

「分かった。ここの事は任せてくれ。」

 

「よろしくお願いします。」

アスナはキリトとともにヨルコを支えながら宿屋へと向かっていった。

 

ラーチェ達により教会の前には規制線のようにロープが張られ、立ち入り禁止区画にされた。教会前には攻略組プレイヤーも集まり、事件について話し合いの最中だった。

 

「で、どうなんだヴァイリ」

教会の2階に戻ってラーチェは今回呼び出した張本人にたずねる。

 

「イレギュラーは起きていないからこの前言ったとおり《圏内事件》として流れるだろう。1層の生命の碑にもCからのスペルのカインズに横線は入っていないそうだ。」

ヴァイリはメッセを確認しながら答える。

 

「班員の中にもまだお前の言った通りになるか不審がっているのもいる。私も含めてだが。班内のお前への不信感を抑えつけている私の身にもなって欲しいものだ」

 

「俺たちはキリトとアスナをこの圏内事件の目撃者として誘導することができたんだ。不自然無い程度に関わっとけばあとはあの二人が勝手に解決してくれる。」

 

キリトとアスナが広場に戻ってきてから有力プレイヤー同士で情報の共有が行われ、情報屋にも注意喚起のペーパーを流すことが決まり、その場は解散した。

 

 

エンドワールドは目撃者ヨルコにも犯人が口封じで襲撃する恐れがあるため、精鋭のトトナ班を中心として宿屋での警護にあたっていた。ヨルコも同性のプレイヤーが警護にあたってくれた方が安心すると言ったことからエンドワールドが適任として選ばれた。

 

2024.1.12 16:40

 

57層 マーテン 宿屋

アスナからシュミットがヨルコと会いたがっているという内容のメッセを受け取ったヴァイリは宿屋の警備を厳重にしているように装い、ラーチェと共にヨルコの宿泊部屋に待機していた。

 

「大丈夫、ヨルコさん?もしかしたらシュミットが犯人かもしれないのに会うだなんて」

ヴァイリが心配しているふうに声をかける。

 

「いえ・・・私もギルド解散したあとシュミットがどうしてるのか気にはなっていたので」

ヨルコはソファから動かずじっと座っていた。

 

ドアがノックされる。

「キリトです」

ラーチェがドアノブを回して扉を引く。

 

キリトとアスナが連れてきたシュミットが部屋の中に入ってくる。

 

「・・・久しぶりシュミット」

 

「・・・ああ、もう二度と合わないと思ってたけどな」

 

「シュミット、いまは聖竜連合にいるんだってね。すごいね、攻略組のなかでもトップギルドだよね」

 

「どういう意味だ、不自然だ、とでも言いたいのか」

ヨルコとシュミットは互いに向かい合う向きでソファに座り、ぽつりぽつりと会話が始まったが、段々とお互い感情が現わになってきて言い争いになっていく。

 

「私、ゆうべ、寝ないで考えた。結局のところグリセルダさんを殺したのはメンバー全員でもあるのよ。あの指輪がドロップした時、投票なんかしないでグリセルダさんの指示に従えばよかったんだわ!」

取り乱すようにしてヨルコは立ち上がり、部屋の窓枠へともたれかかる。

 

「冗談じゃない、冗談じゃないぞ。今更・・・半年も経ってから、何を今更・・・おまえはそれでいいのかよ、ヨルコ!こんな、わけもわからない方法で殺されていいのか!?」

シュミットも恐慌し、立ち上がったところ、傍らにいたキリトが腕を掴んで制止する。

 

 

 その時、とん、と鈍い音が部屋に響くとヨルコの体が大きく揺れ、背中にナイフが刺さったのを見せるようにして窓枠から落ちていった。

 

「ヨルコさん!!」

 キリトが窓辺へ駆け寄るも見下ろした先には地面にどさっと落ちて動かなくなったヨルコがポリゴン片となって消滅し、カランと刺さっていたダガーが音を立てて転がるだけだった。

 

 シュミットの座ってるソファの後ろ側の壁にもたれかかっていたラーチェがヴァイリを見ると彼は他の人には見えない位置にある左手でOKサインを作っていた。

 

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