エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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4話 2022.11.8 白銀

朝の日差しが入り、起きてみれば昨日と同じ天井。ソファであのまま寝てしまったようだ。隣で同じく座って寝てしまったクロンも起きた。疚しいことは何もしてない。リアルでもやってた朝の鍛錬をしに二人で外に出る。少しでも攻略に貢献して黒の剣士さまにさっさと攻略してもらわないと。

 

 

宿の食堂に戻ると十数人ほどプレイヤーが屯している。一人だけケープを頭からかぶってテーブルに伏しているのが見えた。違和感あるものに目を向けてしまうのは前世の職業病みたいなものか。

 

「ヴァイリさんおはようございます。今日は昨日集まってたプレイヤーの皆さんに戦闘のレクチャーをしますよ。」

 

「私もできるかぎりしてみよう」

 

「よーし、ビシバシやるわよ!」

 

「私も頑張るー」

 

「カーラさんとノエルは教わる側ですよ」

 

広場まで来ると30人くらいが集まっていた。剣を振ったりすることが初めてなのはともかく、ウィンドウの開き方も寝る場所も分からない人もいるようで、今日に関しては戦闘の練習ではなく、ゲームの中で最低限必要となることに関して講習会を開催した。説明をエリスが、モーション実演を俺とクロンがした。

 ウィンドウでできること、使い方。お店の使い方、街の中の施設の説明と店の位置など説明していく。午前中で終わる予定だったが講習を終えたプレイヤーの口コミで午後も同じ講習をして欲しいと更に50人くらいの別のプレイヤーたちが殺到してきたのでまた午前と同じことを説明する。もはやクエスト消化どころではない。本来MMOでゲームマスターとかがしなければならない『よくある質問対応』を放り投げた茅場は俺たちにギャラを払うべきだ。

 

「エリスは説明上手いな。参加者みんな真剣に聞いてたよ。」

 

「そうですか?ありがとうございます。私、この世界でナビゲーターをしてみようと思いまして。」

 

「ナビゲーター?」

 

「はい、主に情報収集ですね。プレイヤーやNPCに聞き込みをしてゲームに行き詰まっている方たちを助けていきたいと思っています。」

 

「そうか、実はβテストの時に情報屋やってるプレイヤーがいてね、もし連絡が付いたらエリスにも紹介するよ。」

 

「ありがとうございます。まあ、自称なので情報収集だけにこだわる必要もないですけどね。」

 

 今日、講習会に参加したのは約80人。この中の何人がゲームクリアまでに生き延びることができるのか。死者とβテスターを除いても8000人以上が大した知識もなくこの世界をさまよっていることになる。ずっと圏内に篭城していれば安全なのかもしれないが、アンチクリミナルコードが消滅するようなことがあればこの街でさえも無法地帯と化す。宿屋、ショップ、ギルドホーム、どこにいてもモンスターやPKの脅威が迫る。特に、黒鉄宮の地下ダンジョンには90層以降レベルのモンスターが眠っている・・・・

 

 

宿に戻ってくると朝と同じ姿の者が目に留まった。

「どうしたんですか?」

 

「いや、あそこのうずくまってるの今朝からいるなと思って」

 

「何か困っているのかもしれません。声をかけてみましょう」

 

うずくまっているプレイヤーのテーブルの向かいの席に座ってみる。

「もしもし、起きてるか?」

声をかけると頭が持ち上がった。ケープの中から銀色に輝く髪が見えた。しかし、怯えた表情をしていた。

 

「何か用事?」

 

「朝からずっとここにいるから気になったんだ。何か困っていることがあるんじゃないかと思ってね」

 

話を聞いてみると初日に組んだパーティーで強いモンスターと戦闘になり、最後の一人になって回復薬を消費して逃げていたら転移門前に飛ばされチュートリアルを受けたらしい。モンスター狩りで元を取るつもりだったようでコルが無くなって宿の部屋も借りれなくなったらしい。

 

「私と一緒にいた人たちは死んだの?」

 

「おそらく。生き残った君はとても運がいい。」

 

「私の運がいい。皮肉なことね。」

 

「残念ながら情報不足のまま序盤にそのエリアに行くのは危険すぎる。パーティーの無謀さが招いた必然だ。悔やむ事はない。君だけでも生き残れたことを糧にしていこう」

 

「あなたは強い人ね。そうね、ここにずっといるわけにも行かない。私も妹達を探さないと。」

 

「妹さんもこのゲームに?」

 

「妹とその友達の3人でゲームを始めたのだけれど一度も会えないままこんなことになってしまって。あの子達、一人でなんでもやろうとしたり、喧嘩っ早いところが多いからとても心配で」

 

「妹さん達のプレイヤー名は?」

 

「特に何も決めずにゲームを始めてしまって、分からないわ。」

 

「チュートリアルやったあの街の広場で初心者講習やっているんだ。気が向いたら来てくれ。」

 

「少し考える時間が欲しいわ。」

 

「そうだな。ゆっくりで構わない。ただし、多分君の妹はフィールドに出て攻略をしようとするタイプだろう?妹さんを探すなら自らも街の外に出れるくらいにはならんとね。」

 

「うん、分かってる」

 

「俺はヴァイリという。しばらく街の中心で戦闘のレクチャーをしているから気が向いたら来てくれ。」

 

「アネットよ。だけどこの髪だと目立ってしまうわ。」

 

「この街の隣の村で髪の色を変えるアイテムが売っているんだ。そのうち転売目的でこの街でも出回るから髪の色で目立つことはなくなる。あと、宿は部屋の中にいたほうがいい。街の中とはいえ犯罪行為などが起こらないとは言い切れないから。」

そう言ってアネットに3000コルを渡した。これでここの宿なら60日分泊まれる。

 

「!っ、ありがとう。こんなに頂いていいのかしら?」

 

「実際大した額じゃないから気にしなくていい。」

 

「いつかちゃんと返すわ。」

 

アネットはお辞儀すると受付で料金を支払い、階段を登っていった。

「綺麗な髪の方でしたね。」

 

「外国人か、ハーフとかだろうな」

 

姉妹か、願わくば無事に再会して生き延びて欲しいものだ。明日からは広場の集まりもやっと戦闘の練習ができるようになるだろう。

 

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