エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
♫ 今回の一曲
霧の都つながりでToRのバルカ
h ttps://www.youtube.com/watch?v=v1wWv962axY
Side 3人称
2024.2.10 10:00
1層 エンドワールド ギルドホール
「軍の連中が税金払わないからって店の周りにガラクタを積みやがるんだ。誰も通らなくなって商売にならん」
「軍の兵士に囲まれて装備を置いていかされた。取り返してくれ!」
解放軍の税収は手口が悪質になり、生産職プレイヤーが連日相談しに来ていた。
「あのね、取引の話ならともかくわざわざ軍とのトラブルに干渉するほど私たちだってヒマなわけじゃないの。」
受付のキーナはイライラしているせいか少しきつめの声色になって応対する。
「そりゃあんまりだ」
「素材加工する生産職がまともに機能しなかったらそっちだってこまるだろ」
押しかけている生産職プレイヤーも食ってかかっていた。
「ここは警察署でも法律相談所でもないのに」
受付に群がるプレイヤーの人だかりをよそにヴァイリはソファで紅茶を飲んでいた。
「ほかに頼るあてもないのだろう。我々としても1層での取引は軍の妨害もあって支障は出ている。」
彼の向かいにはギルドマスターのミルローゼが座って、クッキーをつまんでいた。
「これを機にギルドホールを上層に移すのはどうでしょうか?上の階層のホール持っている方がギルドの力の強さの誇示にもなりますし」
「39層の血盟騎士団も55層へ移動させるそうだ。攻略組の近隣に陣取れば治安などの面でも何かと恩恵があるだろう。召集をかけるぞ」
「早っ、他の人の意見も聞いてないのに」
「思い立ったが吉日と言うだろう。言いだしたのはお前なのだから招集のメッセを送るのを手伝え」
「へいへーい」
ヴァイリは自棄になって返事をした。
11:00
ギルド内のすべてのスケジュールが急遽取り消され、エンドワールドのメンバーが勢ぞろいしていた。
「───ということでギルドホール移設計画を立てる。なにか希望がある者はいるか?」
ミルローゼはお立ち台から意見を募る。
「ふぁあ、気持ちよくお昼寝ができるサンルームが欲しいな」
アイナはあくびをかましながら希望を言う。
「キッチンは?全員分の食事が用意できる広さじゃないと」
リーゼロッテの言葉に需品班はそろってウンウンと頷く。
「ボール遊びできるくらいの庭も」
ハティはサッカーボールを頭上に上げる。
「資料室が欲しいですね。最近書類が多いので」
イナーシャは静かに手を挙げて言う。
「全員分の個室希望!最低でも主街区の宿屋以上の内装!」
集団の後ろの方にいたヘルミナが手をまっすぐに上げて叫ぶ
「じゃあ私も・・・」
「あたしからも!」
わいわいと次々と皆から手が上がり始めていた
「お茶会の開ける喫茶室も欲しいですわ」
ミルローゼの右側にいたベティからも要望が挙がる。
「・・・一度投書箱を設ける」
予想外に要望が多いことにミルローゼも驚く。
埒があかないので投書箱がギルドホールのエントランスに置かれた。
その後、要望をまとめてギルドの予算と見合うギルドホール選定を本部で話し合われていた。
2024.2.17
10:00
1層 教会
「シスター・ミリシオン、子どもたちを上層階に移したほうがよろしいのではないですか?」
プリエルは心配そうに言う。エンドワールドでの活動で教会へ顔を出す回数が段々と減ってきていた。軍の圧力が教会にもかかっていたので彼女は説得しに来ていた。
「大丈夫ですよ、プリエル。もし軍が何かちょっかいしてくるようでしたらわたしが対応しますから」
ミリシオンはすました顔でトゲ付きメイスを持つ。まだ子供たちを上層へ動かす気はないようだ。その後ろではサーシャも乾いた笑いをしていた。
「分かりました。危なくなったらすぐに連絡をください。定期的に巡回の組を教会に送りますので、どうかご無事で」
プリエルは頭を下げて引越準備をしているエンドワールドのギルドホールに戻った。
Side ヴァイリ
11:00
1層 ギルドホール
引越し作業で屋内外で人が慌ただしく行き来する。
ギルドホールの庭には幌付きの馬車が横一列に並んでいた。馬車にはインベントリに収納できない家具などが積まれていた。
「次、探索班の書類運ぶぞ」
ウィンドウを操作して、アニエスのインベントリから新しいギルドホールに待機しているホタルのインベントリへ一気に大量の書類を移動させる。
「ふー、今ので最後か」
リストのチェック項目の最後の四角にレ点を付ける。
「ヴァイリ、馬車が出るぞ」
クロンから声がかかる。
「分かった。すぐ行く」
屋敷から出ると残っていたメンバーも馬車に乗り出していた。
馬車のタラップを踏み、クロンの隣に腰掛ける。
「全員乗ったわね。右端から順に出発して。」
リリオがすべての馬車を回ってから2番目の馬車に乗り込んでいた。
「ハイヤッ!」
バシィ ヒヒーン
御者のメンバーが鞭を振るうと、馬がいななき声をあげて歩き出す。
ギルドホールの屋敷から馬車の車列が出発し始める。そのまま、始まりの街の大通りを進み、転移門に着いたところで光に吸い込まれていく。
♫
55層 グランザム
馬車を包んでいた光が収まると、先程までの晴天の落ち着いた街から変わり、霧の立ち込める薄暗い鋼鉄の街が眼前に広がる。
転移したのは55層主街区のグランザムだ。別名《鉄の都》とも呼ばれる街で、鍛冶工房付きのプレイヤーハウスが多い特徴もある。
しばらく馬車に揺られていたが、先頭の馬車から停まりだす。
「はい、曲がってー。おーらい、おーらい」
城壁の角から出てきたリベルテが左手で右折方向を指差し、右手を振って誘導する。
また先頭の馬車から動き出し、通りを外れて右折していく。
城を囲んでいる堀に架かる石造りの橋を渡って、大きな観音開きの木の扉が開いた門をくぐる。
「ここが」
クロンが馬車の窓から外を見上げる。
「新しいギルドホールだ」
白いレンガで建てられた城、そこがエンドワールドの新しいギルドホールだった。
尖塔の上には黒地に青円のギルド旗がはためいていた。
新しいギルドホールの向かいの城には赤地に白い十字剣の描かれた旗が垂れ下がっている。血盟騎士団もここ数日前に55層へギルド拠点を移したばかりだ。
馬車がギルドホールの中庭まで到着し、荷下ろしが早速始まる。
「ヴァイリ、ギルマスがお呼びよ。」
リリオが声をかけてくる。
「お呼びって言われてもどこにいるのか知らないんだけど」
来て10分しか経ってないんだが
「謁見の間。はい、これ地図」
そう言ってフロアマップを渡される。
───
謁見の間の扉を開けるとレッドカーペットが敷かれた先に漆黒の玉座が佇む。
「来たか、ヴァイリ。どうだ、我にふさわしい城ではないか。はっはっは」
ミルローゼは足を組んで背もたれによりかかって座っていた。すごい上機嫌だ。
この部屋の天井から吊り下がっているシャンデリアなど豪華な内装も彼女の趣味なのだろう
「お気に召したようで何よりです」
「城の名前も決めたぞ。魔王城だ」
椅子から立ち上がり、両手を腰に当てて宣言する。
「・・・えっ」
あまりの安直な命名につい、疑問の声が出る。
「何だ?分かりやすいではないか」
ミルローゼはさも当然のように言っているが、周りの本部の人たちは彼女の後ろで目を泳がせている。
「城主がそう言うなら・・・良いと思いますよ?」
ミルローゼの機嫌を損ねるわけにもいかないから肯定しておく。
「そうだろう、そうだろう。そして引っ越した暁にはご近所付き合いは大切だ。通りを挟んだ向かいの騎士団諸君にも挨拶が必要だろう。我々の力を誇示する形でな」
「向こうの副団長にどこか日が取れるか確認してみますよ」
俺はウィンドウ操作でメモしておく。
「あとは有力な生産プレイヤーの誘致だ。近くの店舗用ホームへの開店援助をする。ただし、中層向きの武器を作ってる凡人達は不要だ。前線で使える武器を作れる連中だけに投資する。」
「もちろん、戦力の足しにならない装備しか作れない奴らは呼びませんよ。1層に残ってる大多数のプレイヤーは半端なレベルばっかりですから」
残念ながら1層ギルドホールに押しかけていた生産職のほとんどは大した装備は作れない。エンドワールドだけでは集めきれない素材を売買したりなど、人手が足りないときの補填程度の関係だった。
ただの装備の修繕とかだったらレイン達にだってできるわけだし。
アシュレイ氏あたりにも声かけてみるか。
魔王城のデザインモデルはコードレジスタの49人規模ギルドの外観
奥の構造物は途中で力尽きました