エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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♫ 今回の一曲
ドラマ ダブルフェイスのメインテーマ
h ttps://www.youtube.com/watch?v=al1Eo6py32c
この小説のルクスの境遇からすると一番合ってる曲かと



51話 2024.3.7、10 棺桶討伐作戦

Side 3人称

 

2024.3.1

 

 

聖竜連合の一パーティ6人がラフコフによってまるまるPKされた。

そんなニュースが浮遊城を駆け回った

聖竜連合はオレンジをPK、要するにPKKしてもなんのペナルティもないことから組織内でPKKが推奨されていた。PKKした中にはラフコフの下請けもいたわけで、お互い弔い合戦に躍起になっていた。

ラフコフ討伐作戦は聖竜連合が主体で攻略組に声掛けをして着々と計画が進められていた。

 

 

2024.3.7

 

ラフィン・コフィン アジト ダンジョン入口付近

 

「───以上が最近の圏内の動きだ。」

ルクスはラフィン・コフィンのアジトに戻って定期連絡をしていた。

 

「攻略組は、俺たちと、殺り合う気だな。お前のいる、ギルドは?」

骸骨の仮面を被った男、ザザがルクスに尋ねる。

 

「不参加を固く決めている。ラフィンコフィンとは関わりたくないというのがギルド本部の方針らしい。聖竜連合から何度も応援要請が来てるが、資金援助以外のことは一切関知していない」

 

「ふん、そうか、ならいい。しかし、お前は、素性を、バレてないだろうな?」

ザザが右手でルクスの顎を掴み、顔を覗き込むように言う。

骸骨の奥の目は見えないはずだがルクスはギロリと睨まれた感覚がした。

 

「ああ、ばれてない。私のような年頃の女の子がまさかラフィンコフィンだとは彼女らも思いもしてないだろう」

ルクスは声を強ばりながらも答える。

 

「だったら、なんでエンドワールドの、採集のスケジュールが、手に入らない?情報班という、所にいるのだろう?他のギルドの、情報ばかり、拾ってきやがって。誰がフィールドに、出てるかくらい、分かるだろう」

ザザはプレッシャーをかけながら言う。ラフィン・コフィンは諜報員の持ってきた情報を元に低レベルプレイヤーだけのパーティがフィールドに出る時を狙う手口がある。しかし、エンドワールドの情報はルクスやほかの諜報員でも手に入れることができずにいた。

 

「私のいる情報班は情報を仕入れてくるのが仕事だ。ギルド内の人事は全部、上の本部が管理しているから末端の私ではどうなっているか分からない。班内のスケジュールも班長が管理していて必要な分しか情報が送られてこない。」

ルクスはあらかじめラーチェからもらった弁解のリストの1フレーズを使って理由を答える。

 

「ちっ、使えない、やつめ。たまには、女を殺るのも、面白そうなのにな。まあいい、機会はまだ、いくらでもある。」

ザザは機嫌を損ねていたが最後にルクスを見ながらギラリと白い歯を見せて笑っていた。もともとルクスのような諜報員はいくらでも換えが効くので、気まぐれでレッドに殺されることも珍しいことではない。

 

「じゃあ、私はエンドワールドにまた行く。単独行動を取る時間が長すぎると怪しまれてしまうからな。」

ルクスは早くこの場から去りたくて仕方なかった。エンドワールドからも毎日突き刺さるような監視の視線を四方八方から送られていたが、ラフィン・コフィンのどす暗い雰囲気を浴びるのも吐き気がするほど不快だった。

 

「ああ、さっさと行け」

ザザはルクスに興味を失ったかのようにアジトの奥へと戻っていく。

 

二重スパイが始まって1ヶ月以上過ぎていた。どちらか一方にでもバレれば破滅が待っている。綱渡りのような生活にルクス自身、精神的に消耗を感じていた。

 

早く立ち去りたくてルクスは足早にダンジョンから離れようとする。

 

「やっほー、ルクスじゃん」

ロール巻のツインテールの忍装の少女がルクスに声をかける。

 

「ああ、グウェン。元気そうだね」

ルクスは疲れを隠すように穏やかな表情でグウェンに挨拶する。グウェンとはギルドの上納で知りあった仲だが、同年代なこともあって、個人的にクエストを一緒にするほど親しくなっていた。

 

「はん、元気もなにもアンタのトコロにまたみかじめ払いに来ただけよ。」

グウェンは口を尖らせながら荷車の中のアイテムを見せる。

 

「そうだったのか。お疲れ様」

 

「ホントお疲れよ。最近アンタのトコロが上納を増やすよう言っててこっちは大変なんだから。ところでさ、例のガサ入れって本当なの?ラフコフの討伐隊が結成されたとかいう噂」

 

「・・・わからない。嘘を交えた情報が錯綜していて、私にもどれが本当なのか・・・はっ」

グウェンとダンジョンの入り口付近で話していたルクスだが、《気配察知》スキルが反応してダンジョンから走ってくるプレイヤーがいることに気づく。

 

「どうしたの?」

突然ダンジョンの方を振り向いたルクスにグウェンは尋ねる。

 

「誰か来る・・・!」

 

ダンジョンから飛び出してきたのはかつてルクスがラフコフに引き入れられた時にプーと一緒にいたレッドプレイヤーだった。顔からは焦りが見えた。

 

「に、逃げろッッ!・・・がっ!」

ルクスに気づいたレッドプレイヤーは叫んだが、直後投げナイフが後ろから背中に刺さり、麻痺状態になってその場に倒れる。

 

異変に気づいたグウェンはルクスの身体を押して物陰に隠れる。

 

ダンジョンから更に白と赤の装束のプレイヤー3人が出てくる。ルクスが何度も密偵をしていた血盟騎士団だった。若い団員がレッドを取り押さえる。

 

グウェンとルクスが話をしている間にラフィンコフィン討伐作戦は決行されていて、逃げ出したレッドプレイヤーの追撃部隊だった。

追撃部隊のリーダーだったゴドフリーはウィンドウ操作をして転位結晶を取り出す。

「貴様ら自身の行いを悔いて過ごせ」

 

「やっ やめろ!監獄エリアには・・・」

じたばたと抵抗しているレッドだが、結晶が光ると光の粒子となって消えていった。

 

「本当だったんだ・・・討伐部隊・・・」

監獄送りにされたレッドを見てグウェンは息を呑む。

 

「最後、こいつ誰かに話しかけていたようだったな」

 

「仲間が潜んでいるかもしれない、気をつけろ!」

ゴドフリー達は周囲を警戒し始める。

 

(討伐部隊・・・ラフコフが討伐される?)

エンドワールドから何も知らされてなかったルクスは目の前で起きていることが本当のことか分からなかった。

 

「ヤバいよルクス!早くこっから離れないと・・・」

グウェンはルクスの手を掴み、反対側へ走り出そうとする。しかし、ルクスの手を引っ張っても足は一歩も動かなかった。

 

「ルクス・・・?」

 

「投降しよう、グウェン」

討伐作戦を機にルクスは決意した。

 

「はっ?」

ルクスの意外な提案にグウェンは驚く。

 

「組織が解体されたならもう望まないことをやらずに済む・・・自由になれる」

ルクスはグウェンの方に向き直り説得する。

 

「自由!?何言ってんの!牢屋なんかに入れられたらいつ出てこられるかわかんないんだよ!せっかくこの自由な世界で生きてるのに、そんなの絶対嫌っ!」

 

「グウェン・・・」

投降を拒否されたことにルクスは悲しそうな顔をする。

 

「一緒に逃げましょうルクス!あたしたちなら今までどおり二人でやれるわ」

グウェンはルクスの手を握り返し説得する。

 

ルクスにとってはラフィンコフィン、更にはエンドワールドこそが牢獄だった。悪事を強要され、いつ殺されるかも分からない恐怖にとりつかれていた。グウェンとは立場が違うことをルクスは痛感した。

「私は・・・」

 

「いたぞ!」

ルクスが口を開きかけたところ、探索をしていた血盟騎士団のプレイヤーに見つかってしまった。

 

「しまっ・・・」

 

「左は・・・オレンジ?奴らの仲間だ!!」

「髪の長い方はグリーンだぞ。人質に取るつもりか!?」

 

「違っ・・・これは・・・」

勘違いされたルクスは自らがラフィンコフィンの諜報員だったことを明かそうとするがその前に騎士団員はグウェンに斬りかかる。

 

「くっ」

グウェンは避けて脇差を抜く。

 

「もう大丈夫だ・・・が、君は奴らの仲間ではないよな?」

グウェンとの間に入るようにゴドフリーが来る。

 

「え・・・あ・・・私っは・・・」

一緒に投降するつもりが、グウェンを躊躇なく攻撃した騎士団員を見たルクスは、自らもラフィンコフィンの構成員であることがばれると殺されるかもしれないことに怯え、身元を明かすことをためらってしまった。

 

言い淀んでいるルクスをグウェンは険しく睨みつけていた。

グウェンはルクスが一緒に来てくれなかったことに裏切られたと感じ、胸の奥からグツグツとどす黒い怒りがこみ上げてきていた。

 

「違うんだ、私は」

睨んでくるグウェンにルクスは焦って弁解をしようとする。

 

ドドドドドド

そんな中、ダンジョンとは反対の道から馬の蹄の音が聞こえて来た。

 

「何だ?」

騎士団もルクス、グウェンも音に注意が向いてしまう。

 

「停止ー」

騎兵を引き連れていた先頭のミルローゼが手を挙げる。グウェンと騎士団たちを取り囲むように騎兵が止まっていく。騎兵の中にはエンドワールドのギルド旗が上がっていた。

 

「何なんだお前たちは、討伐作戦には参加しないんじゃなかったのか?」

血盟騎士団の若い団員は、ここに来るはずのない集団の登場に驚く。もともと討伐作戦の会議ではエンドワールドは一切の共闘を拒否していたことは聞いていた。

 

「その者たちは我がギルドの諜報員である。こちらに引き渡してもらおう。」

ミルローゼは馬上からゴドフリーに言う。

 

「いきなり来て引き渡せとは何だ。この子は我々が保護したのだ」

ゴドフリーもなんの事前も連絡ないことを信じる訳にはいかなかった。

 

「我々の人員に危害を加えるのであれば報復も辞さない。抜剣」

 

シャッ

ミルローゼの一声に騎兵達は皆武器を構え、騎士団に切っ先を向ける。

 

「お前たち、どっちの味方のつもりだ」

ゴドフリーたちも武器を構える。

 

お互い睨み合いながら緊張した空気が流れる。

 

「・・・この事は上に報告させてもらう」

ゴドフリーのほうが先に折れた。3人と数十人ではいくらなんでも勝ち目がないことはギルド内で脳筋と評される彼にも分かることだった。

 

「構わん、好きにするがいい」

ミルローゼは目を細めて素知らぬ顔で答える。

 

「ちっ、まだダンジョン内に隠れているのがいるかもしれない。戻るぞ」

ゴドフリーは部下二人を引き連れてダンジョンに再び入っていった。

 

 

ルクスとグウェンを取り囲んで騎兵隊は来た道を引き返した。

 

 

「何なのこの人たち」

状況がまだ分かってないグウェンは小声でルクスに囁く

 

「助けてくれたみたいだ」

助けたわけじゃないことはルクスも分かっていたがそう答える以外返事が見つからなかった。

 

「否、我々が貴様を棺桶の斥候と知っている上で鹵獲していた事が公になれば今後の組織の運営に支障をきたす。未だ監視下にあることを忘れるな」

直後にミルローゼがルクスの嘘をばらす。

 

「あんた素性ばれてたの?」

グウェンはルクスの間抜けさに呆れる。

 

「そうだ。潜入する時点でもう・・・」

ルクスは顔を俯かせる。

 

「そっちのオレンジはすぐにカルマ回復をしろ。さもなくばここで始末する。」

 

「はっ、あんたたちなんて怖くもないし。簡単に逃げれるわよ」

グウェンは両腕を広げて、手のひらを上に向けて余裕ぶる。

 

「おかしな事は考えない方が良い、鶴咲芽衣美。この場で上手く逃げたとしても現実でお前のことを拡散することができるぞ」

ミルローゼがいきなり現実での実名を言ったことにグウェンは目を見開いて驚く。

 

「どういうこと、何でこいつらに本名までばれてるのよ!」

グウェンは隣にいたルクスに大声で問い詰める。

 

「すまない、私もなぜか彼女らに現実での実名がバレていて」

 

 

「分かったら二人とも素直に指示に従うのだな。カルマ回復地点へ行くぞ」

ルクスとグウェンはエンドワールドの騎兵に囲まれながら連行された。

 

 

───

 

ラフィンコフィンアジト ダンジョン内

 

「ヒヒヒ、アーハッハハ。アイツ等最高だぜぇ。マジになって殺し合いしてやがる。最高のショーだな」

一人の男が岩陰で笑い転げていた。ラフィン・コフィンのギルドマスターであるプーであった。つい先程まで、目の前で討伐部隊とレッドプレイヤーの乱戦が繰り広げられていたのを見て、未だ興奮冷めやらなぬままだった。

 

ガチャリ

「あン?」

プーの手には手錠がかけられていた。

 

「何が最高のショーだ。この人殺しが」

ミルローゼたちに追いやられたゴドフリー達は岩陰でで笑い転げていたプーを見つけ、隠蔽スキルで接近して拘束アイテムの手錠を使用した。

 

「Damn! こんなとこにもいやがったのか」

 

「お前も牢屋に送ってやる。先に入った奴らと檻の中で仲良くしてな。」

騎士団員は回廊結晶でプーを牢屋へ転送した。

 

討伐部隊は犠牲を出しながらもラフィンコフィンの全てのレッドプレイヤーを監獄へ転送、または殺した。

この後からアインクラッドでの組織的殺人事件は無くなった。

 

 

2024.3.10

 

魔王城 遊撃班班員室

 

 

グウェンはカルマ回復クエストを無理やり終えさせられたあと、ルクスと魔王城に連行されていた。

 

「あんたたちがオレンジ連中?まったく、いきなり班員を半分引き抜かれたと思ったらオレンジふたりの面倒見ろとか、うちは託児所じゃないんだけど。」

執務机に足を乗せて座っていたエクレールが二人を見て不機嫌そうな顔で言う。

 

「情報にいたルクスだ。元ラフィンコフィンと言ったほうがいいだろうか?」

ルクスの顔は諦め切ったような顔だった。監獄送りになる予定がまたこの灰色の白に逆戻りにされたことに憂鬱だった。

 

「グウェンよ。カルマ回復させられてさらにギルドにむりやり加入させるとかなんなのあんた達」

グウェンはイライラしながらエクレールに文句を言う。

 

「本部の考えてることなんて私だって知ったこっちゃないわ。私からの命令はひとつ。オレンジ行為などの問題起こすな。あとは好きにして。私だってあんたたちの面倒をみるの御免だし。事務手続きあるから呼び出されただけでさっさとレベリングしに行きたいの。」

 

「それはどういうことなんだ?」

ルクスはこれまでと扱いが異なることに困惑する。

 

「あんたたちはオレンジ時代の事を他に口外しない限り晴れて自由の身ってことよ。ここの班はノルマ無い代わりにそれぞれ自給自足。オレンジ行為とか変なことしないか監視は続くからこのギルドには在籍し続けてもらうけどね。」

 

「なによそれ。散々連れ回した挙句に後は自分たちで食ってけってこと?意味わかんない!ルクスもそう思うでしょ、ルクス?」

グウェンはあれこれ強要されて怒りが頂点に達していた。隣のルクスにも当たろうとしたが、ルクスは肩を震わせていただけだった。

 

「ぐすっ、ひぐっ、うわあぁん」

すると、突然ルクスは泣き崩れた。そのままゆかにへたりこむ。

 

「え、なんでルクス泣いてるの?」

突然のルクスの行動にグウェンは戸惑う。

 

「棺桶無くなるまでその子うちで二重スパイさせられてたそうよ。緊張から解放されてほっとしたんじゃない?あー、もう。ホントこんなところでめそめそされてもうるさくて困るんだけど」

エクレールは呆れた顔をして座っている椅子の背もたれに背中を預けた。

 

グウェンはルクスが泣き止むよう背中をさすっていたりしたがその後もルクスは20分ほど泣き続けていた。

 

ガチャリ

「あ~、またエクレールがいじめてる~」

遊撃班の部屋にプレイヤーが入ってくる。

 

「いじめてなんかない、勝手に泣き出しただけよ」

 

「大丈夫?意地悪班長にいじめられてない?」

 

「君は?」

 

「わたし?わたしの名前はロッサ!あなたの名前は?」

ロッサはルクスの前に来て顔を覗き込む。

 

「あ、ああ・・・ルクスだ」

 

「へぇー、ルクスって言うんだ!よろしくね」

ロッサはひまわりのような満面の笑みを浮かべる。

 

「そいつも救護班で余計なことやらかしてここに移ったばかりよ。はぐれもの同士仲良くしたら」

 

「なにその言い方、ひどい!ポーションなんていっぱい在庫あるんだから困ってるプレイヤーにあげてもいいじゃん。アジュールだって別に怒ってなかったし」

 

「あのねぇ、ギルドの資材だってタダじゃないのよ。それにアンタはポーションだけじゃなくて外部のプレイヤーの採集を勝手に手伝っていたり、いろいろギルドの仕事無視してたんでしょ。全く・・・だからそいつは見せしめ人事くらってここに来たわけ。あんたたちと同じ問題児よ」

 

「むー、困ってる人を助けて何が悪いの?あっ、ルクス。困ったことあったらなんでも言ってね」

 

 

ロッサはルクスの両手を握った。

 

「あ、ああ。よろしく」

ルクスは戸惑いながらも答える。

 

ロッサの両手からルクスはこのギルドに来て初めて温かさを感じていた。

 




原作死亡キャラ初生存です (ロッサ)


騎兵シーン参考
h ttps://www.youtube.com/watch?v=jz0Z5_h_CtY&t=170s
こっちは取り囲んだのではなく割り込んでいってますが
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