エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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オーバーロード3 9話の皇帝の馬車のカットかっこいい
どっかでオマージュしたい


56話 2024.5.15  破邪の武舞 クエスト発生

2024.5.15

 

Side 3人称

 

75層ボス攻略から1週間が過ぎていた。SAOではシステム障害などこれまでと大きく変わったこともなく攻略組が上階を目指す日々が続いていた。

 76層へ一度上がったプレイヤーもヴァイリの予想に反して何のトラブルもなく下層へ戻ることができていた。

 

 

 

 

76層 アークソフィア近辺 草原フィールド

 

17:00

 

エリスは選抜したメンバーで主街区から近い場所でレベリングをしていた。

 

「暗くなってしまいましたね。急いで街へ戻りましょうか」

日が傾いたのを確認したエリスは、引き連れていたノエル達に声をかける。

 

「さんせーい、もうお腹ペコペコだよ」

ノエルが自分のお腹を両手でさする。

 

「──ちょっといいかしら。そこの旅の方」

薄暗闇の中からいきなり赤い羽根の生えた人型のモンスターが現れる。

 

「ほわっ!? モ、モンスター!?全然気配を感じなかったよっ!戦闘準備しなくちゃっ!」

ノエルは慌ててハルバードを構える。

 

「いえ、待ってください。 彼女のカーソルは黄色……おそらくイベント用のモンスターです」

エリスがモンスターの頭上を指さす。

 

「お前たち、邪を討つ剣の伝説を知っている?」

モンスターが訪ねた。

 

 

「邪を討つ剣?これは……レア武器のクエストかもしれません」

エリスは顎に手を当てた。

 

「その剣の前ではどんな悪魔も塵に等しく、大昔に百万を超える悪魔を斬り捨てたという話よ。その破邪の剣がこの先の寂れた洋館にあるらしいわ。腕に自信があるなら行ってみたらどう?」

NPCが方角を指差すと、エリスとノエルのマップ上に1つマーカーが出現する。

 

「エリス!今は攻略組の人が迷宮区行ってるから1番目にこのクエストクリアできるかも!」

ノエルは乗り気になって急かす。

 

「そうですね……ですが、危険だと判断したらすぐに撤退しますよ」

ノエルを止められそうにもないとエリスは観念した。同時に未知のクエストの攻略に魅力を感じていた。

 

「わかったよ。クリアできるように頑張るね!赤い翼の人、情報ありがとね!」

ノエルはモンスターNPCにお礼を言う。

 

「お礼はいらないわ。お前たちが剣を見つけられる事を願っているわね。ふふふふふ……」

モンスターNPCは闇夜に吸い込まれるように消えていった。

 

「う〜ん、レアな装備という割に情報を教えてくれた モンスターが胡散臭い感じでしたね」

エリスは首をひねる

 

「クエストの雰囲気作りの一環じゃないかな。とにかく行ってみよう!」

ノエルは深く考えずにクエスト攻略だけ考えてた。

 

「ギルドにはクエスト発生で帰らず進めることを連絡しますね」

エリスはウィンドウを操作し、メッセを送る。

【エリス:新しいクエストを発見しました。街には戻らず、今いるメンバーで攻略します】

 

【アンジェラ:分かったわ。アイテムが不足したらヴァイリの共有ストレージから補給して】

 

「これで良しと。皆さん、一度集まってください!」

エリスとノエルのもとに、アネット、エヴェイユ、カーラ、シャサール、ベティ、ルチアが集まる。

 

 

18:00

魔王城 本部執務室

 

「全員街に戻っているのか?」

ギルド長席に座っているミルローゼがアンジェラに聞く。

 

「あと一組、エリスのところがクエスト攻略中です」

 

「夜のフィールドは危険と何度も口にしている教導班長直々に門限破りか」

ミルローゼはため息をつく

 

ガチャリ

「お呼びで?」

部屋にヴァイリが扉を押して入ってくる。

 

「お前のとこの班長がまだクエスト中だ。ダンジョンに潜っている間にアイテムが底をついたら大変だろう。お前は倉庫に待機していろ。需品班には既に話を通してある。」

 

「日付またぐ前に寝たい・・・」

ヴァイリは握ったままのドアノブを引いて扉を閉め、そのまま倉庫へ向かった。

 

 

 

 

18:30

76層フィールド奥地

 

エリス達はNPCが教えてくれた場所へ着いた。

そこには月明かりに照らされた城がそびえていた。

 

「うひゃあ、すごい! 洋館っていうよりもお城だよ!」

ノエルは建造物の予想外の大きさに驚いていた。

 

「ええ、荘厳な眺めね。いい景色だわ。でも……なぜかしら?眺めてると悲しい気分になってくるわね……」

アネットは城を見て、感じ取ったことを口にする。

 

「悲しい気分?あたしにはただの城にしか見えないけど?それよりも、あそこにレア武器があるのよね?どんなものなのか早く見てみたいわ」

カーラは城の外観には興味を持たず、クエストの報酬だけ気にしている。

 

「カーラ、焦る気持ちはわかるけど、ここは前線に近いんだから、無茶な行動をしてはダメよ」

危険な雰囲気を感じ取ったアネットは忠告する。

 

「わかってるわよ。あんただって、誰かが不幸になるからとか言っておかしなマネはしないでよね」

カーラはアネットの悪い癖を指摘する。

 

「気をつけるわ。それじゃあ、ダンジョンに入りましょう。罠があるかもしれないから

気をつけて」

「アネットさん、私は左の扉を押すので右の扉を押してください」

アネットはエリスと一緒に入口の扉を開ける。そのまま二人は建物の中へ入る。

 

「モンスターにもね。変な奴がいなければいいけど…」

 

 

「ほえー」

ノエルは未だに建物の大きさに圧倒されていた。

 

「ノエル!いつまで眺めてるのよ。置いていくわよ」

その間にパーティは建物の中にスタスタと歩いて行ってしまっていた。カーラは振り向いて、立ち止まっているノエルに大声で呼ぶ。

 

「わわっ、みんな待ってよ!置いていかないでー!」

我に返ったノエルは慌ててドタバタと追いかけていった。

 

 

 

───

 

 

ホウロロロロロォ〜

 

「ひっ!? きゃあああっ!な、なんでこの洋館、レイス系ばっかり出てくるのよぉ!」

洋館の中はレイス系のモンスターで溢れていた。壁をすり抜けてくる神出鬼没なモンスターにカーラは飛びのいていた。

 

「カーラお姉ちゃんはあたしが守るよぉ!えいやっ!」

エヴェイユはハンマーをモンスターに当てる。

 

ホォゥゥゥゥ──

エヴェイユの打撃を受けたモンスターはHPを全損して消滅した。

 

「あ、ありがと。エヴェイユは幽霊が平気なのね」

モンスターに驚いて、尻餅をついてたカーラがエヴェイユにお礼を言う。

 

「うんっ!ちょっとびっくりするけど、大丈夫だよ。」

エヴェイユはいつもどおりニコニコと無邪気な笑顔を浮かべている。

 

「ん、コホン、エヴェイユ。あ、あたしだってこの程度のモンスターで足止めされるわけではないわ!」

カーラは年上としての尊厳を失わないように、すぐに立ち上がり戦闘態勢に入る。

 

「フフ、その割には少し息が上がっているように見えますわよ、カーラさん。もしかして幽霊が怖いのではなくて?」

カーラの横からベティが右手を口に当ててからかう。

 

「こ、怖くなんかないわよ、ベティ!いきなり出てくるから驚いただけよ」

カーラはムキになって反論する。

 

「お化けもいなくなったし、どんどん進んでいくよ!」

エヴェイユはトコトコと廊下の奥へと進んでいってしまう。

 

「ちょっ、ちょっと待ちなさい!突出すると危険だわ。こっちに来なさい」

カーラは慌ててエヴェイユを引き止める。

 

「はーい。一人は危ないもんね。カーラお姉ちゃんと一緒に進んでいくね」

エヴェイユは聞き分けよく、カーラの元に戻ってくる。

 

「そ、そうよ。暗いんだからあたしから離れたら危ないわ」

カーラは自分が怖がっているのを隠しながらも年長者としてエヴェイユに言い聞かせる。

 

「うん、わかってるよっ。あっ!カーラお姉ちゃんの後ろに──」

エヴェイユはカーラの後方へ視線を移す。

 

「な、何!?あたしの後ろ?な、何もないわよっ!」

カーラは取り乱して即座に振り向く。

 

「ふー」

カーラの振り向いた方向の反対からベティがカーラの耳に息を吹く。

 

「きゃあああああっ!!」

カーラはいきなりの刺激に飛び上がって悲鳴を上げる。

 

「あらあら、可愛い声ですこと。耳元に息を吹きかけただけで、そんなに乱れて下さるなんて。慌てふためくカーラさんもチャーミングですわ」

カーラの恥ずかしい姿を顕にさせたベティはご満悦だった。

 

「……ふふ、ふふふ。どうやらお仕置きがご所望のようね」

顔を俯かせながら、わなわなと怒りに震えるカーラがベティに剣先を向ける。

 

「可愛いカーラさんのお願いでもそれはお断りしますわ」

ベティはそそくさと脱兎のごとく逃げ出した。

 

「こら、待てぃ!ったく逃げ足も速いわね。エヴェイユ、結局何が見えたの?」

 

「……ううん、違ったみたい」

エヴェイユは何事もなかったようにニコニコとしていた。

 

「違ったみたいって何を見たの!?幼い子は幽霊が見えるって言うけどまさか本物を……?い、いえ、そんなわけないわ。エ、エヴェイユ……年上をからかうもんじゃないわよ」

 

「うん、びっくりさせちゃってごめんね、カーラお姉ちゃん・・・次はちゃんと見えてから教えるね!」

エヴェイユは意味ありげな言葉を残して奥へ進んでいった。

 

「み、見えるって……な、何が見えたのよぉぉぉっ!」

カーラの叫びが洋館全体に響いた。

 

 

───

 

「おっと。こちらは、隠し部屋でしょうか。」

部屋のギミックで新しく現れた扉をエリスは開く。

 

「壁に剣が掛かってますね。バランスがおかしいような……ってうわっ! 」

エリスは傾いて飾ってあった剣の位置を直そうと手を伸ばした時、剣が前触れもなく真っ二つに折れた。

 

「エリスさん!どうしたんだ!? 」

近くで探索していたシャサールとルチアが駆けつける。

 

「あ、いえ、壁に掛かっていた剣が急に壊れて……あれ? 中から何か出てきました。紫の宝石? 」

エリスは割れた剣の断面から紫色の宝石をつまみ上げる。

 

「宝石ですか?クエストのレアアイテムでしょうか 」

ルチアが宝石に興味を示す。

 

「え、本当に!?見せて! 見せてくれよ! 」

シャサールが飛びつく。

 

「どうぞ。といっても、輝きはないので高価なものではないと思いますよ 」

エリスはシャサールに宝石を手渡す。

 

「なーんだ、クエスト限定のレアアイテムじゃないのか。」

シャサールはがっかりする。

「あのね、クエストの途中なんだからレアアイテムがもらえるわけないじゃない」

ルチアはさっきと手のひらを返したことを言う。

 

「何を! レアアイテムかも、って先に言ったのは、ルチアじゃないか」

シャサールもルチアに乗せられて見つかった宝石に飛びついたのに、言ってることが変わってたしなめられたことにイラッとくる。

 

「わたしは確認しただけだもん。早とちりなシャサと違って、期待してなかったもん」

ルチアも実はレアアイテムであることを期待してたが、価値あるアイテムじゃないことが分かると、単純なシャサールと同反応をみせてしまった自分が恥ずかしくなってもともと興味を持ってなかったように振舞う。

 

「「むー! 」」

二人は向かい合って睨み合う。

 

「はいはい、そこまでです。それ以上続けるなら、街に戻った時におしおきしますよ?」

エリスは二人の仲裁に入る。幼馴染同士仲がとても良いが喧嘩も長くこじれやすい二人であることはエリスもよく知っていた。

 

「「ご、ごめんなさいっ! 」」

エリスのおしおきが怖いことはギルド内ではもはや有名だった。

 

「さて、気を取り直して探索しましょう。目的の剣はまだ見つかっていないですよ」

エリス達はまた別の部屋へ向かった。

 

 

───

 

一行は苦労することもなく探索を着々と進める。

出現するレイス系モンスターのレベルはさほど高くはなかった。

 

「それにしても、本当にこんなところに邪を討つ剣なんてあるのかしら? ダンジョンの難易度だってそこまで高いものでもないのに 」

アネットが疑問を言葉にする。

 

「まぁ、レイス系のモンスターがお嫌いな方にとっては、難易度の高いダンジョンですわね 」

ベティはレイス系モンスターと悪戦苦闘しているノエルとカーラを見る。

 

「そこなのよ。邪を討つ剣があると言う割にはレイス系のモンスターが多すぎると思わない? 」

アネットはクエスト情報とダンジョンの雰囲気が不釣り合いなことに違和感を感じていた。

 

「確かに気になりますわね。邪を討つというなら、幽霊も祓えそうな気はしますけれど… 」

ベティも引っかかりを感じる。

 

「単なる謳い文句と言われればそこまでなんでしょうけどね はっきりさせるためにも、進むしかないわね」

 

ガチャリ

「ここの部屋は広そうですね。洋館の主人の部屋でしょうか?」

エリスが扉を開けた部屋は見てきた部屋より大きめだった。

 

「あ、エリスお姉ちゃん、見て!宝箱があるよぉ!」

エヴェイユが指差す。

 

「本当ですね。ちょっと待ってください。調べます」

エリスは鑑定スキルを使う

 

「うーん……宝箱に罠はないようですね。おっと、このくぼみは……?」

トラップが無いことを確認したエリスは箱の外観を調べる。

 

「このくぼみってさっき隠し部屋で出てきた宝石と同じくらいのおおきさじゃないか?」

シャサールが覗き込む。探索中に隠し部屋で見つけたアイテムを持ち歩いていた。

 

「なるほど、さっきの紫色の宝石をはめればいいんですね」

シャサールが紫の宝石をエリスに手渡す。窪みに宝石をはめるとかちりと音がして宝箱のフタが開いた。

 

「よし、開きました!ん? これは…手紙と……ハンマー?」

エリスは右手に手紙と、左手にハンマーをつかむ。

 

「なるほど、これは剣ではなく、レアなハンマーを手に入れるクエストだったと……?」

剣を求めて来たはずが、宝箱にはハンマーが入ってたことにノエルは混乱する。

 

「それは違うと思いますよ。このハンマー、金鎚みたいな形ですし」

エリスはハンマーの形状をまじまじと観察する。

 

「あれ? この形のハンマーどこかで見たことあるような……どこだったかなぁ。ねえねえ、お手紙のほうは?お手紙にはなんて書いてあるの?」

ノエルは首をかしげる。

 

「手紙は……封がしてありますね。裏には、座標のような数字が書かれています。おそらくですが、この手紙は指定された座標にいるNPCに渡すアイテムでしょう」

エリスは窓から差してくる光に手紙をかざす。

 

「クエストは継続中ってこと?」

 

「そのようです。おっと、もう11時ですか・・・それなりに長く探索してましたね。今日はもう街へ戻って、明日手紙の場所へ行ってみましょう」

 

「賛成だよ。一刻も早くこの場所から出ようよ。疲れたし、怖いし!」

ノエルは散々レイス系モンスターに追っかけ回され、怖さの限界に達していた。

 

「それなら、あたしが手を握っててあげるね、ノエルお姉ちゃん!」

エヴェイユがノエルの手を握る。

 

「ありがとー!エヴェちゃん!」

ノエルは半べそをかきながらお礼を言う。

 

「準備できましたか?それでは帰りますよ。転移、グランザム」

エリスが転移結晶を取り出し、掲げると一行は不気味な洋館を後にして光に包まれて消えた。

 

エリスたちが帰ってから、宝箱のあった部屋の影が蠢く。

「ふふ、ふふふふふ…」

影は静かに笑っていた。

 

 

 

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