エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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♫今回の一曲 金の閃光 A’s ver
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58話 2024.5.16  破邪の武舞 あの悪魔を討て

side 3人称

 

13:00

 

圏外村

 

朝来た時にはひっそりと静かに佇んでいた村はモンスターが入り込み、荒れた様子に様変わりしていた。

 

 

「うわぁっ、 広場にモンスターがいる!」

ノエルは変わりように驚く。

 

「これは……ひどいですね 」

エリスも惨状に言葉が少なくなる。

 

「ふふふ、久しぶりね 」

モンスターの集団から昨日クエストの起点となった悪魔の羽の生えた女性モンスターNPCが現れる。

 

「あぁっ!昨日のしゃべるモンスター!な、なんでこんなところに! 」

ノエルがモンスターに指差す。

 

「お前たちを追ってきたのよ 本当はあの洋館で私たちのおもちゃになってもらう予定だったんだけど、まさか宝箱の鍵を見つけてここまで連れて来てくれるなんて思っていなかったわ 」

モンスターは嬉しそうにネタばらしをする。

 

「洋館……そっか、おばあちゃんが言ってた襲ってきた悪魔って言うのは…… 」

老婆のNPCの話を思い出してノエルは気づく。

 

「そう、私たちのことよ 」

クエストの起点のモンスターは館を襲った犯人だった。

 

「なんで、おばあちゃんたちを襲ったの? 」

ノエルはモンスターが襲撃をした動機が分からなかった。

 

「あの館には、私たちにとって危険なものがあったからよ 女に持って逃げられちゃったけど、それだけ錆びてるならもう怯える必要はないわね 追いかけっこもここで終わりよ 」

モンスターは剣を出すと、カソールが黄色から赤へと変わった。

 

「な、ななっ!モンスターのカーソルが黄色から赤黒くになってく!? 」

急な変化にノエルは頭が追いつかない。

 

「それじゃあ、その剣と共にお前たちも滅んでくれるかしら? 」

モンスターはノエルへと距離を詰めていった。

 

「ノエル、下がりなさい!そのモンスターは危険です! 」

「エ、エリスー! 」

エリスがモンスターとノエルの間に割って入る。

 

「一時的に怯ませます! はぁっ! 」

エリスの斬撃は入ったが、モンスターのHPは目に見える限りで減りが見えなかった。

 

「ふふふ、効かない。 効かないわぁっ! 」

 

「そ、そんな……!ダメージがほとんど入らないなんてっ! で、でも、あたしもやるしかない! おばあちゃんたちの幸せを壊した罰を受けろー! 」

ノエルはハルバードを取り出す。

 

「待ちなさい、ノエル! 」

エリスは慌ててノエルを止めにかかる。

 

「エ、エリス! でも、あいつはおばあちゃんたちを! 」

 

「落ち着きなさい、ノエル。あなたは取り巻きを倒しながら、おばあさんのところへ行ってください! 」

エリスは指示する。

 

「えっ!? こんなときになんで!? 」

 

「予想が正しければ…錆びた剣と、洋館で見つけたハンマーはおそらく…… 」

「おしゃべりなんてしてる暇あるのかしらぁ!」

ガキィン!

モンスターはエリスに斬りかかる。エリスはなんとか受け止める。

 

「くっ!時間がありません。モンスターは私たちで食い止めます!! あと、ギルドにも応援を呼んでください。もともとレイド単位で戦うモンスターのようです。」

 

「わかった!メッセも送るし、すぐに戻るから」

ノエルは走り出した。

 

「ベティさん、転移結晶は?」

 

「ダメですわ。飛ぶことができません・・・」

ベティは頭を振る。

 

「このイベント戦闘エリアが結晶無効化エリアに変わってしまってる・・・あのモンスターを倒すしかないですね。ベティさん、エヴェイユさん、ルチアさん、シャサールさんは取り巻きのモンスターの撃破を! 」

「「「「了解! 」」」」

「残りの方々は、 私とクエストボスの足止めをします! 」

エリスは矢継ぎ早に指揮する。

 

「わかったわ。私たちだけで前線のボスクラスと戦闘になるのね 」

アネットの目つきが真剣に変わる。いつもより表情が強ばっていた。

 

「どうしたの、アネット?怖いの? 」

カーラがアネットを煽る。

 

「まさか。この程度の不幸に、今の私は負けないわ。 カーラのほうこそ、幽霊たちの親玉が相手だけど大丈夫? 」

アネットは煽り返す余裕を見せる。

 

「レイス系でなければ、問題ないわ。ま、レイス系だって慣れちゃえば大丈夫だけどね! 」

カーラは剣を持つ右腕を回す。

 

「すみませんね、お二人とも。厄介な役割を押しつけてしまって 。少人数で来たのは失敗でした、もう少しクエストに警戒を持っていれば・・・」

エリスは悔しそうな顔をする。

 

「構わないわ。ただの時間稼ぎだものね。」

アネットはエリスの方に振り向いて微笑む。

 

「なんだったら、あたしたちで倒しちゃってもいいのよ? 」

カーラはウインクをする。

 

「そうですね。もちろん私はそのつもりで挑みますよ 。前衛は私がやります。スイッチのタイミングはお任せします! お二人ともご武運を! 」

 

「「 了解! 」」

エリス達はモンスターへと駆け出していった。

 

───

 

 

13:04

55層 魔王城 本部執務室

 

 

【ノエル:緊急!クエストボス強すぎ!助けてください!場所は76層、圏外村!エリス達は手が空きません!】

「まったく、なんでこうトラブルを持ち込んでくれるのかしらね。」

メッセを受け取ったキーナは頭痛を感じた。

 

【キーナ:付近に対応できるパーティは無いわ。アークソフィアから早馬の増援が来るまで持ち堪えなさい。あと、ちゃんと詳しい状況教えて】

 

「ギルマス、エリス達が手に負えないボス引っ掛けったって。救援依頼来たわ」

キーナはウィンドウを可視化して室内にいる全員に見えるようにする。

 

「手が空いてる者は?」

ミルローゼは増援できる人員の確認をする。

 

「アークソフィアにトトナのパーティがフリーでいます。あとは城内に救護班と非番の人員がいるはずです。」

リリオがギルド管理画面を開いて報告する。

 

「トトナの班と救護班はすぐ現地に向かわせろ。あとはレベルに余裕のある者を選定しろ」

ミルローゼは右手を振り下ろして命令する。

 

「あと、ヴァイリも非番で城内にいます。これも行かせますか?」

リリオが質問する。

 

「あの男は倉庫にいさせろ。こういう事態のためのアイテム転送装置だからな」

ミルローゼは答える。

 

「分かりました。各員に通達します。」

リリオはメッセを送信していく。

 

 

───

 

 

「増援っていつになるのー!おばあちゃんはどこ……? い、いたっ!おばあちゃん! 剣を持ってきたよ 」

メッセの返信にノエルは文句を言いながらも村中を駆け回っていた。そして道端でへたり込んでいた老婆NPCを見つける。

 

「ああ、よかった……。あなた方も無事だったのですね。……あの家まで私を運んでください」

老婆NPCはノエルを認識するとこじんまりとした一軒家を指差す。

 

「 う、うん…… 」

ノエルは老婆NPCの肩を担ぎ、家へと運ぶ。

 

「着いたよ、おばあちゃん。あれれ? 剣に盾……この家、たくさん武具がある」

ノエルが家の中に入ると、部屋には武器、防具が立てかけてあるのが目に入った。

 

「私がこの場所を守るために鍛えた子たちです」

老婆は一本の剣の近くまでくると愛おしそうに撫でる。

 

「ふええ!?おばあちゃん鍛冶屋さんだったの? そ、そっか。あのハンマー、見覚えあると思ったらレインちゃん達の持ってるのに似てたんだ 。エリスは気づいてたからおばあさんに剣を渡せって言ったんだ 」

ノエルは合点がいく。

 

「私が夫と出会ったのも、夫が私の作った剣に一目ぼれしたのが始まりでした 。人よりも先に武器に目が行くなんて、ひどい人ですよねぇ 。おっと、昔話をしている場合ではありませんでしたね。洞窟にあった剣を見せてください 」

老婆NPCは両手を出す。

 

「う、うん……これ…… 」

ノエルは錆びた剣を差し出す。

 

「……可愛そうな姿になってしまって。私が元気にしてあげますからね 。すみませんが、少しの間モンスターが来ないように見張っていてください 」

老婆NPCは鍛治の支度を始める。

 

「わかったよ。おばあちゃん、なるべく早くお願いね! 」

ノエルは家の入口に来て外を見張る。そしてモンスターのいる昼場の方角を見やる。

 

「みんな……無事でいてね 」

ノエルは祈るように呟いた。

 

 

───

 

13:15

 

「エリス、スイッチ!はぁっ! 」

アネットはエリスと入れ替わるようにして前に出る。

 

「すみません、すぐ回復します。」

イエローゾーンに入っていたエリスは後ろに下がり、ハイポーションを取り出す。

 

「ふふ……まるでそよ風ね 」

アネットの切りつけにモンスターはまったく怯む素振りも見せない。

 

「 それなら、これはどう! 」

カーラは剣をモンスターの体に突き刺す。

 

「無駄よ。効かないわ 」

モンスターは刺さった歯を片手で抜き取り、そのままカーラごと放り出す。

 

「くぅっ!」

飛ばされたカーラは受身を取りながら着地する。

 

「まるでダメージが入らないわね 」

アネットはモンスターのHPバーを見る。15分くらい戦っているが10分の1も削れていなかった。

 

「最初からわかりきっていたことよ。0じゃないだけマシ 。ヴァイリからアイテムが送られ続けてるし10分でも、1時間でも戦い続けて確実に削ってあげましょう 」

カーラはインベントリに目を向ける。戦闘している皆がバフアイテムや高級ポーションが消費するたびにヴァイリからストレージ共有機能で補充されていた。

 

「 ええ! 」

アネットも疲労は蓄積されていっているが、まだ希望があることを感じていた。広場の外周を見ると、ルチア達が取り巻き相手に善戦している姿が見えた。

 

「おしゃべりしているの?それなら私も入れてもらおうかしら? 」

モンスターは攻撃を仕掛けてくる。

 

「 来るわよ!」

アネット達は迎え撃つ。

「まずは、ちょこちょこ動き回ってるお前よ! 」

モンスターは羽を広げると、滑空して一気にカーラとの距離を詰める。

「こいつ……速っ!」

 

ザシュッ

モンスターの動きに追いつけず、カーラは斬撃をモロに受ける

「きゃああああっ!」

 

「カーラ!」

アネットは隙のできたモンスターに斬りかかるが躱されてしまう。

 

「おっと。素晴らしい正確さね。完璧に私の手首を捉えていたわ。もう少し、速ければね。お返しよ! 」

 

 

「くっ!防御バフアイテムも使ってるのに一撃でダメージがかなり入るわね」

アネットのHPは一撃で4分の1減っていた。

 

「でも、鼬ごっこにはなってるけど今のところまだ安定してるわ」

カーラはハイポーションを飲み干すと、さらにリジェネポーションを飲む。

HPは安全圏まで回復していた。

 

「愚かね。あの剣がないお前たちに勝ち目なんてないのに。跡形もなく、消し去ってあげるわ!」

モンスターは嘲笑うと次の攻撃を仕掛ける。

 

「それはこちらのセリフよ。必ず、不幸の化身であるあなたを倒してみせる!」

アネットは迎え撃ちにかかった。

 

 

 

───

 

 

「……ふー、できましたよ」

老婆NPCは額の汗を拭う。

 

「お、おぉ……こ、この剣……すごい。光ってるみたいだよっ!」

ノエルは黄金に輝く剣を目の当たりにする。

 

「この剣をあなたに託しましょう この剣ならばあなたの求める道に力を貸してくれるはずです」

老婆はノエルに剣を差し出す。

 

「剣の名前は・・・エンジェリティブレイド?」

ノエルは取得した剣の名前を読み上げる。

 

「うおおお!なんかすごく強そう!だけどあたし剣ってあんまり使ったことないし・・・誰か、使える人は・・・」

 

「それなら、わたしがその剣を手に取るわ」

家の中に赤いマントをたなびかせた少女が入ってきた。

 

 

 

───

 

 

「アネットさん、カーラさん、回復を! 私がしばらくの間、引きつけます!」

エリスがスイッチで前に出る。

 

「ふふふ、無駄なあがきをいつまで続けるつもり?」

モンスターは余裕を崩していなかった。

 

「無駄かどうかはもうすぐわかりますよ」

エリスからは冷や汗が垂れていたがまだ戦える状態だった。

 

「ずいぶんな自信ね。その減らず口叩けないようにしてあげる!」

モンスターは剣を振り上げた。

 

その時、横から人が飛び出し、モンスターの腹部を剣で切り裂いた。

 

「ぐぅっ!そんな……私の守りが突破された!?」

モンスターは戦闘が始まってから初めて苦悶の表情を見せる。

 

そして振り返り、ダメージを与えた下手人を見る。赤いマントをはためかせ、金色の髪を輝かせた少女が立っていた。

 

「ちっ、増援か」

モンスターは舌打ちをする

 

「いいえ、仲間よ」

ティールは剣を構えなおす。ティールに追随して、両隣のシエルとリーネも武器を構える。

 

「みんなお待たせ!さぁ、反撃のお時間だよ!」

ハルバードを持って、ノエルが駆けてくる。

 

「ふふふ、いま成仏させてあげる!」

紫色の和服を着たリナリアが大鎌を振ってレイス系モンスターをなぎ払っていく。

取り巻きモンスターの戦闘もルチア達と交代で数パーティが新たに参戦しているのがエリスに見えた。

 

「良かった、間に合いましたね!」

エリスは援軍の到着に安堵する。

 

「大丈夫、姉さん?」

取り巻きとの戦闘を増援と入れ替わってきたルチアがアネットに駆け寄る。

 

「ええ、そこまでひどくやられてないわ」

心配してくれているルチアにアネットは微笑む。

 

「救護班はエリス達の援護をお願いします。」

トトナが指揮を執る。

 

「あいよっ」

アジュール達救護班はエリスの前に陣取り、モンスターの攻撃を受け持つ。

 

「弱いのがよってたかって集まってきて、不愉快だわ!その剣ごとあなたたちの命を潰してあげる!!」

モンスターは怒りを顕にする。

 

「皆さん、攻撃がきます!」

エリスが叫ぶ。

 

「任せろ」

赤い鎧を纏ったエルミラが漆黒の盾でモンスターの攻撃をいなす。そして、ハンマーでモンスターの頭部を叩きつける。

 

「ぐがあっ!」

モンスターは吹っ飛ばされ、転倒をする。

 

シュタッ

ティールが飛び上がってモンスターめがけて下突きをする。

 

モンスターは転がりながらも突きを間一髪で躱す。

 

 

「普段レイピアだからいまいち使いにくいわ」

ティール達はモンスターを追い込んでいくも、決定打となる一撃を与えられてなかった。

 

「私に任せて」

アネットがティールに代わって剣を取る。

 

「不幸の源は私が断ち切る!」

アネットはモンスターの懐に入ると袈裟斬りにする。

 

「……そんな、バカな。私がぁ──」

HPが0になった悪魔型モンスターはポリゴン片となって消滅した。

 

「やりました。私たち、勝ちましたよっ!!」

「やったぁっ!やったよ!」

エリスとノエルは勝利に喜ぶ。

 

「どうやら、悪魔は消滅したようですね」

「あ、おばあちゃん!」

広場に老婆NPCが現れる。

 

 

「あなた方にはいくら感謝しても足りませんね。本当にありがとうございました 剣を扱える者が現れて夫も喜んでいると思います。その剣と共になすべきことをしてください 。旅の無事を祈っていますよ」

 

「為すべきこと・・・」

アネットは剣を見つめる。

 

「おばあちゃん……ありがとう。あたしたち、がんばるね!」

ノエルはお礼を言う。

 

「あっ、クエストログが更新されました。これでクリアですね!」

エリスが通知を確認する。

 

「わわっ、褒賞がすごい入ってます!」

 

 

「おっ、わたし達のところにもいろいろ報酬きてるね」

アジュールがウィンドウを確認する。

 

「こちらにも入っています。途中参加でしたがもらっていいものでしょうか?」

トトナもウィンドウを見る。

 

「いえいえ、皆さんの助けが来なかったらどうなっていたことやら。お休みだった方もいるのに急にすみませんでした。救援ありがとうございます。」

エリスは頭を下げる。

 

「変わったクエストだったわね。こういうのって、更に上の階層にもあるものなのかな?」

アネットは疑問を口にする。

 

「あると思いますよ。でも、さすがに連続で受ける気力はありませんけどね」

エリスは疲れた顔で答える。

 

「そうだね。あたし、もうくたくただよ…」

ノエルは広場の椅子に寄っかかって座る。

 

「私もよ。今日ばかりは危ないと思ったわ」

アネットもげっそりとした表情を見せる

 

「すみません、アネットさん。私がもうちょっと粘っていれば…」

エリスは気を落とす。

 

「エリスは一人であのモンスターを引き受けてくれていたじゃない。あなたに落ち度はないわ。危険な目にあったのは、私の力不足が原因だわ。もっと鍛える必要があるみたいね」

アネットは新しく手に入れた剣を鞘に収める

 

「でもその前に打ち上げやろうよ!せっかく長いクエストをクリアしたんだからさ!」

ノエルは勢いよく立ち上がると提案する。

 

「いいですね。打ち上げをやってそのあとは、しっかり休みましょう。鍛えるのはそのあとからでも間に合いますよ。皆さんクエスト、お疲れ様でした!次の冒険も頑張りましょうね!」

 

 

エリス達は開拓村を後にしてアークソフィアへと帰っていった。

 

 

 

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