エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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前話からの続き


61話 2024.6.7  黒の剣士② フィリア

Side キリト

 

ドオン!

睨み合いの最中に傍らへ上から何かが降ってきた。

土煙の中に赤く光る4つの目、両腕の大鎌、不快にカチカチ鳴らす顎。

忘れるわけがない。1か月前の記憶が蘇る。

 

「ああ、もう!なんでこのスカル・リーパーずっと追いかけてくるの!」

少女は叫ぶと俺を無視して骸骨のムカデに対峙する。

 

75層で俺たち攻略組を苦しめたフロアボスがなぜここに?

 

「撒けないならやるしかないか。あんたもにげなさい!」

女の子は一人でスカル・リーパーを相手にしようとしているが無謀だ。

 

「俺も戦う。一人で相手できる奴じゃない」

 

スカルリーパーは鎌を振ってくる。

ガキィン!

「くぅ!」

ボス部屋の時より重くはない。俺一人で鎌を受け止めることができた。よく見ればHPゲージも1本だけだ。ある程度弱体化されてるのか?

 

「俺が鎌を受け止めるからキミは横側から攻撃してくれ!」

 

「分かった。協力してあげる」

女の子は頷くと走り出し、攻撃をスカル・リーパーに叩き込む。戦い慣れているな

 

ヒットアンドアウェイを繰り返しながら連携をとり、スカル・リーパー?は倒すことができた。

 

「はぁ、何とか倒せたか」

俺はその場に座り込む。弱くなっているといってもあのおぞましい姿のモンスターを2回も相手するのは堪える

 

「倒されたフロアボスがなんで出てくるの」

女の子も息を上げて膝に手を当てていた

 

「さあな、でもステータスはだいぶ弱くなっていた。で、俺としてはできればしたくないんだけど、君とは戦わなきゃいけないのか」

 

「・・・いや、あんたは多分このエリアにいる他のプレイヤーアバターと違うようだし」

女の子は考え込んでいた。

 

「何だ、他にもプレイヤーがいるのか?」

 

「会話が噛み合わない部分が多いからプレイヤーの形をしたナニカだと思う。あまり近づかないほうがいいわ。でもあんた、見えてるんでしょ?わたしのカソール」

彼女の頭上のカソールは俺たちとは違うオレンジ色のままだ。

 

「ああ・・・オレンジだな」

俺は言いにくいが事実を言った。

 

「それを見てなんとも思わない?なんで普通に話しかけてこられるの?」

 

「気にはなっていたけど・・・まあ、それどころじゃなかったし。聞いたら答えてくれるのか」

 

「・・・いいわ・・・わたし、人を殺したの」

彼女は顔を暗くして答えた。

 

人を殺した、この世界ではレッド。ラフィンコフィンのようなレッドギルドを名乗る連中と俺は殺し合いもした。

俺は息を呑む。

 

「・・・そういうこと。だから、わたしに関わらないほうがいい。さよなら・・・さっきは助けてくれてありがとう」

そう言うと彼女はスタスタと歩いていってしまう

 

「ちょっと待ってくれ!」

 

「なに?かかわらないほうがいいって言ったでしょ」

 

「それは分かった。ただ、もうひとつだけ聞きたいことがある。教えてくれ、ここはいったいどこなんだ?」

 

「・・・わからない。わたしは1ヶ月前にここに飛ばされたんだけど」

 

「1か月前!?」

それって75層攻略直後あたりか。彼女はずっと一人でこのエリアを彷徨っていたのか。

 

ブォン

『《ホロウ・エリア》データ、アクセス制限が解除されました』

急に電子音声のアナウンスが流れる。

 

「な、なんだ今のは?」

 

「・・・あんた、それ・・・」

女の子は何かに驚いた顔をする

 

「えっ?」

 

「その手に浮かんでる紋様は」

指さした先を見ると、右手になにか十字のマークが浮かび上がっていた

 

「いつの間にこんなものが」

 

「ねえ、その手・・・よく見せてくれない?」

 

「え?一体何を?」

彼女は俺の右手を掴むと目を凝らす

 

「やっぱり同じ・・・」

 

「同じって、何が」

 

「これと同じ紋様がある場所を知ってる」

 

「そこに行けば何か分かるかもしれないな。ほかに手がかりもないし行ってみるよ。その、もしキミがよければだけどそこに連れて行ってくれないかな」

 

「別にかまわない。でも、そんな簡単にオレンジ・・・いいえ、レッドを信じていいの?」

 

「確かにカーソルがオレンジなのは気になるけど訳ありって感じそうだし」

 

「・・・」

女の子は黙った。

 

「俺はキ「思い出した、あんた“黒の剣士”でしょ?」・・・知ってたのか」

 

「攻略組のソロプレイヤー、実物を見るのは初めてだけど。全身まっ黒の二刀流って聞いたことある」

 

「へぇ、俺も随分と有名になったな」

 

「わたしはフィリアよ」

 

「フィリアか、よろしく」

 

「案内するわ、行きましょう」

 

 

───

ホロウエリア 管理区

 

フィリアに案内された俺と同じ紋様のした転送装置を使うと黒い球体の中へ転送された。

 

システムコンソールなどゲームマスターが扱いそうな機器が並んでいた。

 

「転移門のシステムを見つけたよ。多分これ」

フィリアがコンソールを操作すると、転移門と同じウィンドウが現れるようになった。

 

「よかったな、フィリア。これで出られるぞ」

 

「・・・出られるか・・・よかったね」

 

「どうしたんだ、フィリア?あんまりうれしそうじゃないな」

 

「・・・そう見える?」

 

「えーっと・・・フィリアは一緒には行かないのか?」

 

「わたしはもう少ししらべてから行くから、あんたは先に帰りなよ。だから、ここでさよなら」

 

「そうか、でもこんな隠しエリア見つけられたんだ。なにかレアなアイテムもあるかもしれないし良かったらまたここを探索しないか?」

 

「分かった。来るときは前もって連絡して」

俺とフィリアはフレンド登録した。

 

「じゃ、またな。気をつけろよ。転移、アークソフィア」

俺の体は光に包まれた。

 

「そういえばなんであの娘はスカルリーパーを知ってたんだろう?攻略組には・・・いなかったか。女子はアスナとココアだけだし」

 

 

 

Side 3人称

 

「帰ったんだ、あいつ」

フィリアはギルドの作ったブラックリストの中に“キリト”が載っていたことを思い出す。〈利己的なビーター、女性癖がある。囲いの女子たちにも要注意〉と記載があった。

 

「またな、か」

しかし、実際の本人は底なしのお人好しというのが印象だった。オレンジカソールであっても恐れずに共闘してくれたこと、この未知のエリアを探索することに楽しみを感じてる姿、資料の情報とはだいぶ違いがあることが感じられた。

 

「・・・転移」

フィリアは試しに転移門を起動させる。一瞬体を光が包み込んだが程なくして光は消える。

『システムエラーです。《ホロウ・エリア》からは転移できません』

無機質なアナウンスの声が聞こえた。

 

「わたしって・・・なんなんだろう」

 

フィリアはフードを目深に被り、システムコンソールに寄りかかって蹲る。

「アニエスたち、みんなどうしちゃっているかな・・・」

フィリアにはこれまで一緒に探索していたパーティーメンバーの顔が浮かんでいた。

 

 

 

15:00

 

55層 魔王城 会議室

 

会議室の空気はピリピリとしていた。

 

〈79層ボス、バイオレット・ザ・ナイトメア〉

書類には79層の戦闘記録が詳細に書かれていた。

 

「3頭の龍のトライテンペストではないな。4回連続ボスが外れたぞ。どういうことだ、ヴァイリ」

ヴァイリの作ったボスリストと、攻略組が公開した情報が違うことにミルローゼは不信感を感じていた。

 

「ゲームマスターに聞いてください。自分だって何が起きてるか分からないんです」

ヴァイリは内心焦っていた。76層以降の展開は前世でゲームとしてあったホロウ・フラグメントの展開しか知らなかったため、健在しているヒースクリフや階層ボスが違うことに混乱していた。

 

「静観ね。ボスが違うのなら対策の取りようがないし。攻略組はペースを落とさずに階層踏破してるから、待っていればゲームクリアも時間の問題ね」

「二刀流の主人公様もいるのならむやみに介入する必要は無いんじゃないかしら?」

アンジェラとリリオはボス攻略への介入は消極的だった。ゲームも終盤に差し掛かって命のリスクをかけてまで行動するのには躊躇いがあった。

 

ミルローゼはゲーム攻略に参加できないことが不満だったが、会議室内では厭戦ムードが広がっていた。

 

 

───

 

「ちょっと、待ちなさい」

会議終了後に会議室を出て城の広間へと本部の人たちが出てくると、アニエスが声をかけると共に前方を探索班が立ちふさがる

 

「なになに?」

「アニエス達何してるの?」

周囲も本部相手にアニエス達が何をするかと野次馬のように見守る。

 

「うちの班員が一人行方不明になっている届け出は出しているはずなのになんで1ヶ月経っても捜索隊が編成されないの!」

 

「どこにいるのか検討もつかないのにむやみにフィールドを回るのは二次被害が出るかもしれないわ。まずは落ち着いてなにか手がかりがくるのを待・・・」

「落ち着いて待ってなんていられないわ!私たちの班だけでもここ1ヶ月ずっとあちこちのダンジョンを探し回った。だけど何一つ出てこない。」

リリオが説明するがアニエスは激昂する。

 

「ヴァイリの言うところだと壁抜けしたって事らしいわよ。生命の碑には線引かれてないしまだ生きてるわ。普通では行ける場所じゃないから今は私たちで何か出来ることはないから」

キーナの対応の話を聞いてアニエスは我慢が効かなくなる。

「フィリアを一人にして一ヶ月たってるのに。みんな何事もないような顔して」

ボカッ

アニエスは説明をしていたキーナに殴る。

 

「アニエス、ひとまず落ち着こう!」

「そうよ、キーナ達に当たってもしょうがないんだから。」

アニエスは食ってかかっている。それをホタルとシュリーが慌てて腕を掴んで抑える。

 

暴れているアニエスの振り回した腕が近くを通りかかったミリーに当たる

「っ!ってえな」

キれたミリーはアニエスに殴りかかる。

 

ミリーのパンチでアニエスと腕を掴んでたホタル、シュリーが一緒に倒れる。周りで野次馬として集まっていた人を巻き込み、下敷きにしてしまう

「いったーい!何するの!」

ホタルがお尻をさすりながら、ミリーに文句を言う。

 

「何するのはこっちのセリフよ!早くどきなさいよ!」

下敷きになっていたプレイヤーがアニエス達を蹴りどかす。そのまま言い合いから押し合いが始まり、殴り合いへ発展する。

 

 

「喧嘩なんか始めちゃって・・・ちょっと止めてくる」

「危ないからやめなさい、ルチア」

アネットの制止を聞かずにルチアは喧嘩の仲裁に入る。

 

「やめましょう、今は仲間割れしてる場合じゃ」

「そんなところ立ってんじゃないよ、どいて!」

ドンッ

 

ルチアは突き飛ばされて尻餅をつく

 

「やったなぁ!」

喧嘩を止めに入るはずがルチアも頭に血が上り、乱闘の中に入っていった。

 

ゴンッ  ドカッ

「痛ったぁ」  「ふざけんな」 「なんでこっちを殴ったのよ!」

ドンッ  ブンッ

「そんなところに突っ立ってるからでしょ。間抜け」

 

「みなさん、落ち着いてください!」

エリスが叫ぶ。

 

「うっさい、引っ込んでろクズ教官!」

 

「クズ教官って・・・」

 

「年増!」 「ババア!」

 

「いや・・・私、皆さんよりは年上ですけど来月でまだ24ですし・・・」

 

「鬼!悪魔!エリス!」  「それは鬼と悪魔に失礼」

「服が悪趣味!」  「キャバスーツwww」

 

「・・・」

罵倒の嵐にエリスは閉口してしまう

 

ブチッ

「・・・そうですか、言葉で分からないなら、体に分からせるしかないですね!」

エリスは笑顔だったがこめかみには大きく青筋ができていた。そして、マントと剣を脱ぎ捨てると乱闘に入り込んだ。

 

ズンッ  バタンッ

「だいたいあのときのドロップ、私のだったじゃない」  「ばーか」 

ドシンッ  バタンッ

「前からあんたのこと気に入らなかったし」 「いつもパーティの足引っ張って!」

バコッ ビシッ

「レベルが2高いくらいで馬鹿にして!」  「謝ってよ」

むぎゅー    

ふぁやひなひゃいほぉ(はなしなさいよ)」 「ほっひこほ(そっちこそ)

ゴスッ 

「何うちの子に手出してるの」

ドゴッ

「私がだんまりしてるからって調子に乗ってんじゃないよ」

バチンッ

「この恩知らず」   

 

同じ班内のメンバーが殴られたからと仕返しに喧嘩に参加し出す人、止めに入って巻き込まれる人、確執でのストレスが爆発して憎い相手に殴り出す人、乱闘は周囲に伝播していく

 

 

「お前ら待て、やめろ」

「うっさい邪魔!」

「ぶげっ!」

止めに入ったヴァイリは顔を殴られ吹っ飛ばされる

 

「っ!どこ触ってるの変態!」

 

「ぐげっ!」

弾かれた先でさらにヴァイリはさらに腹蹴りを喰らう

 

 

「ううっ・・・冤罪だ・・・ガクッ」

ヴァイリは地面に横たわり事きれた。

 

「魔王様、下がってください」

「しかし、止めに入らないと」

「今は身の安全を優先してください!」

トトナがミルローゼを会議室へと押し戻す。

 

「ひえ~」

アルシエなど本部の人も避難するとティールとリーネが扉を閉めて施錠した。

 

広間の乱闘は武器を振り回したり、椅子やアイテムなどのぶつけ合いなどもあり、さらに激化していた。圏内ではHPは誰ひとり減らないので、気が済むまで延々と続く。

 

 

「はぁ・・・何やってんだか」

「無駄なところで体力消耗する馬鹿ばっかり」

広間の吹き抜けの上階から手すりにもたれかかってエクレールとイブが蔑みながら乱闘を眺めていた

 




乱闘シーンはよく軍隊ものの映画や漫画で定番
艦これ陽炎抜錨でも霞と曙とかでやってたし


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