エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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明けましておめでとうございます。
今年はとりあえずSAO編完結はしていきたいです


65話 2024.6.19 GMコール

2024.6.19

14:00

 

55層 血盟騎士団本部

 

Side ヴァイリ

 

 

午後の日差しが差し込む城内を、先導するアスナに続いてミルローゼと共に赤い絨毯の廊下を歩いていく。

 

「今日はリリオさんやアンジェラさんではなくヴァイリさんが付いてるんですね」

前を歩くアスナが話しかけてくる。

 

「ああ、もともと話を持ってきたのが彼だからな」

ミルローゼが答える。

 

コンコンコンッ

アスナが大きな扉の前で止まるとノックをする。

「エンドワールドの方をお連れしました」

 

「通してくれ」

中から声がする。

 

ガチャリ

「どうぞ、入ってください」

 

俺とミルローゼは部屋の中へ入る。

 

「今日はなんの用件かな?」

部屋の奥にある執務机の席に座って赤いコートの初老に見える男が机の書類から目を離し、顔を上げる。

 

「新型のレイドボスについての情報です。できれば騎士団長と内密に取り扱いたい情報なのですが」

俺はスエード生地のファイルを取り出し、ヒースクリフに渡す。

 

「ふぅむ。アスナ君、少し席を外してもらっていいかね?」

ヒースクリフはファイルの中身を確認した後に視線をアスナに移して言う。

 

「えっ、あっ、はい。分かりました」

アスナは一瞬きょとんとしたが、すぐ部屋から退出した。

 

「さて、魔王どの・・・いや、今日はそこの君が本題を持っているようだが」

ヒースクリフの言葉に俺とミルローゼが顔を見合わせると、彼女は顎でくいっとヒースクリフを指し示して話を進めるよう促してきた

 

「ええ、そうです」

俺は答える。

 

「君はこれだけ死者が出ることを知っていながらなぜ救おうとはしなかったのかね?現実では私は史上最大の殺人犯として称されているわけだが」

ヒースクリフは机に両肘を立てて口元を両手で隠しながら言う

 

「無駄に人が生き残ると貴方がゲームの難易度上げちゃうかもしれないので。そしたら自分でも対処できませんから」

 

「私の言葉に驚かないのだな。まあ、ゲームの難易度調整は私ではなくカーディナルがするんだがね」

ヒースクリフはこちらを探るような目で見てくる。

 

「あなたはプレイヤーログを見たりすることができるから俺の素性が分かるでしょう。交流戦でこっちを見てきていたし感づきますよ」

 

 

「そうだな。君の思考ログで私の正体がバレていることは知っている。自力でたどり着いた回答ではないようだからクエスト報酬は無いがね。」

 

「黒の剣士との決闘では自然に勝ちましたね。小説の内容と変わったので焦りましたよ」

 

「彼の速さは本物だからね。私もそれなりに自ずと剣技の修練をしたのだよ。それよりも聞きたいことがあってわざわざ最終ボスの前に出てきたのではないのかな?」

 

「じゃあ本題に入らせて頂きます。リリエラ、あれは原作でもホロウ・フラグメントでも出てこなかったやつです。何なんですかあれは」

 

「私も別に直接知るわけではないが、君のログは私だけでなくカーディナルも見ることができる。ホロウ・フラグメントと言ったかな?あのシナリオでは外部干渉によりSAOの運用上重大なバグを起こす結果となった。それを知ったカーディナルは須郷君といった外部からの干渉について対応をするために新しく自己防衛プログラムを設定したのだろう。」

 

「自己防衛プログラム?」

 

「そうだ、プログラムの名前はリリエラ。もとはSAOのバグやウイルス脅威を排除するファイアウォール自己診断プログラムだったそうだ。権限の範囲は狭い低位AIだったが、カーディナルがリリエラに自我を持たせてシステム内外で侵害してくるものを排除するよう設定の上書きがされたところまでは私も確認している。」

 

「そのリリエラというAIがなぜゲーム内にもモンスターとして出てくる?」

横からミルローゼも質問する。

 

「須郷くんが私のGM権限を乗っ取ろうとしたシナリオが予測されることから100層で私が不在の時のバックアップを担う予備のボスキャラクターの必要性が迫られたからだろう。」

 

「ちょっと待て、100層ボスだって?そんなのに攻略組でもない俺が付け狙われているっていうのですか」

通常の製品版SAOならAn incarnate of the Radiusが100層ボスだ。アレと同等かそれ以上のヤツに81層からずっと追い回されるなんてごめんだ。

 

「プレイヤーは100層をクリアするとこのSAOは崩壊する。もちろん私はそのルールを変更する気はないが、リリエラはこの世界の自己防衛のために攻略プレイヤーという驚異を排除しようとしている。今のところは階層のプレイヤーのレベルに合わせてリリエラもステータスは調整されている。まあ今後攻略階層が上がる度にリリエラも強化されていくだろうがね」

 

「クエストを発生させたのはエリスなのに途中から俺にタゲが変わったのはどうしてなんだ」

 

「君がゲームクリアされる未来を知っているからだろう。リリエラとしては最も否定したい情報だからね。最優先の排除対象として君にターゲットを移したというのが私としての見解だ」

要するに未来を知っている転生者だからこそ削除対象に選ばれているわけだ。

ゲーム攻略を目前にしてあまり原作に関わりたくはなかったが、俺の脅威になるリリエラを排除するしかない。

 

「そういうことでしたらゲームマスターにちょっと要望があるんですが」

 

「何だね」

ヒースクリフは俺を見据える。

 

「エンドワールドを攻略組に組めるようゲーム調節をして欲しいです」

ミルローゼと話し合った結果、彼女が危うくならなければある程度人員を割いてもいいことは話をつけた。あとはリリエラ討伐隊を攻略組レベルに強くしなければならない

 

「実力ある者の攻略参加はいつでも歓迎している」

 

「実力なら皆あります。剣道経験者達の師事があったので。あとはレベルが足りないんですよ。彼女らが加わることで攻略組の士気も上がりますのでそちらにも悪い話ではないでしょう。」

 

「そこは君たちの努力で賄うべきところだが」

 

「そんなゲーム廃人じゃないんだから無理です。それに、人手不足で困っているのはあなたでしょう。何度もエンドワールドにボス攻略参加を依頼してたじゃないですか」

 

「・・・・」

ヒースクリフは黙る。

 

「75層で4人、78層で3人死者が出て士気が下がっているのにこれ以上人数が減ったらまともにボス戦ができなくなります。攻略組のボス戦人員が40人を切ってしまってるようでは、あなたとしてはゲームの進行が滞るし、あまりよろしくないと思われますが」

 

「君の思考ログのおかげで私もキリト君に正攻法でデュエルに勝てた部分もある。お互いそれで貸し借りなしだ。何を求めるのかね」

 

「エンドワールドのアイテムドロップ率上昇と取得経験値増加のテコ入れ。それをしてもらえれば階層ボス攻略に参戦できます。」

 

「あまりゲームの公平性を損なうことはしたくないのだが」

 

「今更公正さなんて言ってる場合ではないでしょう。ゲームの進行に支障が出るのは貴方だって望んでいることではないです。真のゲームオーバーはプレイヤーがゲームを放棄した時です。100層までシナリオを保ちたいなら我々を補充人員に充てるべきです」

 

「考えておこう。ゲームクリアまでされるなら私も安心してキリト君に斬られることができる。」

 

「へぇ、貴方はこのゲームが終わったらやっぱり死ぬつもりなんですか?まだ29歳でしょう。これからも生きれば何か新しい物が作れるかもしれないのに。」

29、前世の俺もその年で死んだ。しかし俺みたいな一介の人が死ぬのと世紀の天才が死ぬのとでは世の中へ与える影響はだいぶ違う。

 

「事件後拘束された状態で長い余生を過ごすくらいなら、肉体を捨てて新しい世界を見るほうが有意義だろう。数年後にはVR世界で魂が発生する。魂があるならそこに私が見つけたかった魂の受け皿となる新しい世界も発生する。チュートリアルで言っただろう。私の願いは全て達成されていると」

ヒースクリフの表情は変わりなかったがどこか満足気に見えた。

 

 

 

ヒースクリフとの話が終わり、部屋を出る。

 

 

 

「100層の代理ボスか。我々が相手をすることになるとは」

 

「魔王さま、ここで奴を仕留めればゲームクリア後もギルドの名に箔がつくと思いますよ」

 

「ものは言いようだな。しかし、光明が見えるならば我としても無碍には扱わん」

 

 

後日、テコ入れのためにヒースクリフから与えられた条件はエンドワールド以外のプレイヤーが見ていない場所で経験値取得することだった

 

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