エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
2024年10月30日、ヴァイリのチームを含む攻略組は紅玉宮まで到達した。しかし、ヒースクリフの待つボス部屋の前でリリエラと一戦交えた時にキリトやアスナの技をトレースされてしまう。
攻略組はラスボス戦決行日を11月7日として準備をしていた。ヒースクリフを血盟騎士団を中心とする古参の攻略組、リリエラをエンドワールドとダブルレイド戦の中での分担だった。
エンドワールドは技をトレースされた彼らを仮想敵として招待した練習試合を重ね、万全の対策を練っていた
2024.11.6
Side 3人称
22層 レーチカのレストラン
レストランの扉には“booked”と札がぶら下がっていた。
店内ではエンドワールドの激励会が行われている最中だった。
テーブルの上には多種のオードブルが出されている。
「皆、ここまでよく頑張った。我々の未来のため、明日は勝つぞ!約束された勝利に乾杯!」
『『『乾杯!』』』
カツッ カツッ カツッ
壇上に立ったミルローゼの乾杯に合わせてグラスが挙がり、周りでジョッキが高く掲げられ、ぶつけ合う音が何回も起こる。
「この世界での最後の晩餐だって言うなら盛大にしないとね。アタイも最高傑作を振舞うさ。バフは24時間効果続くよ」
店主のレーチカの作った料理は高級食材をふんだんに使ったものだった。
「やっと終わるねー」
遊撃班のテーブル近くでロッサはソファにもたれかかっていた
「ロッサはこの城でいろいろ頑張ってきたからね」
ルクスはロッサの隣に座る
「今や“お助け娘のブロッサムさん”なんて呼ばれてるのよ。あんた」
グウェンは二人の向かいに立つ。
「なんかグウェンは嬉しくなさそうだねー」
「はぁー、わたしにとってはね、SAOよりリアルのほうが牢獄よ。起きてから寝るまで家の都合に合わせたスケジュールにがんじがらめにされてるわ」
グウェンはため息をついて手を振る。
「へぇ、グウェンの家って厳しいんだね」
「厳しいとかそういうレベルで済むもんじゃないわ、ほんと。今の自由を謳歌できてるのが人生の中で一番だったのよ。最高の2年間だったのに終わるのがもったいないくらい」
その声は心底残念そうなものだった
「明日で終わりだな。ヴァイリ」
ミルローゼはワイングラスを傾けながらヴァイリに声かける。
「ええ、やるべきことはやり終わりました。キリト達の技もコピーされた時は焦りましたが、彼らが模擬戦に協力的だったんでパターンは把握しきれてます。無事リアルに戻れたらFINEでトークルームなるべく早く作りますよ」
本部とヴァイリはゲームクリア後の方針も決定済みだった
「レイド戦略、実証では壁際に追い込んでの3方面攻撃が最適と聞いたが?」
「四方包囲だとPOTローテが回らず、移動する敵の動きに振り回される。部屋隅の2方向壁に固定した状態だと無防備な背中の死角が作りにくい。人型のモンスターとの実証しての結果です。」
「壁に追い込んでの袋叩きとはヒロイックな戦いとは言えんな」
「勝てばいいんです。ゲームクリア後にいくらでもかっこよく語ればいいでしょう」
「しかし、ボス攻略決行日が11月7日とはな。何の因果か」
「何かしら歴史の修正力が動いてるものかと・・・」
「あるじー!ここにいたのか、魔王殿も」
ミルローゼとヴァイリにフブキが近づく。
「フブキ、お前の例の作戦案を採用したぞ」
ミルローゼが指さす。
「おお!では車懸りで挑むということか」
車懸りの陣。それは戦国時代に川中島の戦いで上杉軍が布陣した螺旋状の陣形である。外縁の先鋒から順に敵へ攻撃を仕掛ける戦法はリリエラ1体と相対する多対1の戦いとして有効と判断されていた。
「お前の案が採用されて良かったなフブキ。明日のボス戦での剣の腕も期待してるぞ」
「はっ!主の期待に応えるよう、拙者の獅子奮迅の戦いをご覧あれ」
フブキは胸を叩いた。
「うーん、緊張してきたー。あのリリエラを明日は倒すんだよね」
ノエルは緊張した面持ちだった。
「リリエラの攻撃はとても強力ですが体は一つしかありません。私たちが落ち着いて一斉にかかれば勝てます。パーティーが終わったあとも連携について最終確認しましょう」
エリスは笑って言う。
パンッパンッ
「はいはーい。食事の途中ですが明日の装備、準備できてますよー」
コハルが手を叩く。
赤いカーテンが開き、仕切られていた部屋に用意されてた装備が披露される。
『『『おおー』』』
飲み食いをしていた人たちも手が止まっていた。
部屋には一人一人に合わせたオーダーメイドの装備が並んでいた。
「ギルドの資材で出来る最強装備ってところかしらぁ。」
ユウナギが顎に手を当てていた。
「これはステータスが一段と高くなってますね」
トトナが新調された装備一つ一つを『鑑定』する。
「すごい・・・すごいけどさぁ・・・」
アニエスが自らの専用装備を手に取り、言葉を詰まらせる
用意されていた装備は、ほぼ黒ずくめだった。
「カラーリングは魔王さまからのご指定なのぉ、ごめんねぇ」
ユウナギは申し訳なさそうに手を合わせる。
「姉さんは普段青い部分が黒くなってるね。黒と白のコントラストでかっこいいよ!」
「それでも白い部分のほうが面積比多くなっていて、みんなより悪目立ちしてないかしら。これならルチアみたいに白い生地を黒に変えて欲しかったけれど」
ルチアが褒めていていもアネットは納得いかない顔を浮かべていた。
「腕によりをかけて作ったわ。装備一式を2セットずつ作ったから耐久値減るごとにクイックチェンジしなさい。その間に耐久値減った方を鍛冶場で直すから」
ミネルアが武器の立てかけてある台車を持ち出してくる。
「フフフ、我々は充実した装備と能力を揃えることができている。後は堕天使を地に墜とすだけだ。気合入れていくぞ!えい、えい」
『『『おー!』』』
レストラン全体に何度も勝鬨が響いていた。