エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
2022.11.19
広場の講習会から始まった集まりは〈講習会〉という仮名の疑似レイドとなった。段々と活動範囲を広げて17日にはトールバーナまで来た。集団で行動してるからか、モンスターを袋叩きにするのが容易で徐々にプレイヤーのレベルも上がっていった。エリスからの許可を得られたパーティーは少しずつ迷宮区のモンスターも狩りに挑戦していた。
しかし、フィリアのパーティーが秘密裏に先行してボス部屋の扉を見つけてしまった。
「単独パーティーだけでいくなんて危ないことを」
「隠蔽スキル使ったら、モンスターも他のプレイヤーも抜くことできちゃった」
テヘペロ、可愛い。フィリアのパーティーメンバーも反省することなくドヤ顔決めている。
「情報屋にマップのデータ売ったらいい金になる。トールバーナに呼び出すから」
「えー、私たちでボス倒しちゃおうよ。」
「まだレベルが足りない。今のままだとボスが武器変更したとき一発で死ぬぞ。2層はやるから今回は退こう。1層ボス攻略目指してる前線プレイヤーから抜け駆けされたと反感買う。面倒な奴が混じってるのを確認したんだ。タイミングを待ってくれ。頼む。」
「ぶーっ」
フィリアはむくれていたが、パーティーメンバーにレベルが不安な子がいたようでアルゴに迷宮区のマップデータを売った。
「ヴァー君のとこはすごいナ、出遅れてたのにもう前線に追いついちゃったヨ」
「アルゴの攻略本のおかげでみんなここまでくる勇気をもらえたのさ。」
「ニャハハ、それなら情報屋冥利に尽きるナ」
2022.11.20 14:30 トールバーナ 野外劇場
アルゴへの情報提供の甲斐あって前線組は原作より早めに迷宮区でのボス部屋に到達することができたようだ。攻略会議開始30分前だがちらほらと人が座席に座り出している。そして舞台の上には青を基調とした装備の男が立っていた。一緒に参加してもらうクロン、エリス、カーラは女子なので彼らから目立たないようケープを頭から被る。
「あいつは」
「知り合いですか?」
「うん、ちょっと挨拶してくる。」
3人に後ろの席に座ってるよう言ってから、俺はその男に近づいて声をかけた。
「こんにちは、あくまさん。」
「ん?あくまさんって呼ぶことは君はリバかい?」
「そうです、お久しぶりです。いよいよボス戦ですね。」
「君もボス攻略に参加する予定?」
「ええ、そうです。ただ、今回はパーティーメンバーに初心者もいるのでセンチネル狩りに徹してボス戦の雰囲気だけでも味わっていこうというつもりです。できれば取り巻き狩りのポジションに入れてください。うちは4人です。」
「そうかい。実はみんなラストアタックを狙っているようでね。あまりおいしくないサポートをやりたがってないんだ。頼んでいいかい。」
「ええ、引き受けます。では、交渉成立で。」
そう言ってクロン達のいる席に帰った。
「はーい、それじゃあ始めさせてもらいまーす。今日は俺の呼びかけに応じてくれてありがとう。」
ディアベルがボス部屋を発見したことを発表し、演説をしていく。
「ちょお待ってんかナイトはん」
ディアベルの説明に割って関西弁が飛んでくる。
「ワイはキバオウってもんや。仲間ごっこする前にこいつだけは言わしてもらわんと。」
「発言は大歓迎さ」
「フン。 会議すすめるんは賛成やが、その前に詫びぃいれなあかんやつがこんなかにもおるはずや。ええか、詫びいれなあかんやつらはな、βテスターのことや! でてこんかい!」
キバオウはベータテスターの非についてあれこれ並べていく。自らが大した被害に遭ってるわけじゃないのによくあそこまで長々としゃべれるもんだ。
クロンは眉間にシワが寄っている。カーラはジト目。エリスはこちらを見て冷や汗をかいている。
「ヴァイリさん大丈夫なのですか。バレたら晒されますよ」
「慌てんなエリス。MMOだとよくある〈たかりプレイヤー〉じゃないか。こういう時はシラを切るのが定石だ。舞台上のナイトさんだってβ上がりなのにあんなニコニコしてる。」
「えー、ええ、まあ」
「それに始まりの街でレクチャーしてたっていう大義名分を俺たちは持ってるから。」
それでも突っかかってくるなら今回のボス戦を降りればいい。ボス戦経験者を外していくのは他のプレイヤーにとっては不安を煽ることになる。たかりとはダメもとで条件を突き出しているわけでこちらとしても駆け引きをすればいいだけだ。
わーぎゃー騒いでいるキバオウを今度は黒人が窘めに壇上へ上がる。主要原作キャラ登場、あれがエギルか。良い人ではあるんだろうが筋肉ムキムキでボクサーみたいだ。正直外見はとても怖い。
「それじゃあみんな自由にパーティーを組んでみてくれ」
数分後ディアベルからメッセが入る
〔2人パーティーがあるからそこと組んでくれ〕
「二人パーティーと連結するってレイドリーダーから連絡入った。」
左手のほうに同い年くらいの男と赤頭巾が見えたのでそちらへ向かう。
「どうも、一緒に組むことになりました。明日のボス戦よろしくお願いします。」
エリスが挨拶する。
「どうも、ボス戦よろしく。」
「ああ、よろしく頼む、って君以外女?」
ああ、これが主人公、黒の剣士様か。βでは顔合わせすることもなかった。
「あら、女だと戦えないとでもいうのかしら?」
カーラがキリトに対して詰め寄る。
「いや、ごめん。明日はお互いよろしく頼む。」
「よろしくお願いしますね。」
「ええ、よろしく」
赤頭巾さんはエリスの言葉をよそにスタスタと歩いていってしまった。
「あれ、フェンサーさん?ちょっと待って!」
キリトもヒロインの後を追いかけて走っていってしまった。
「あの人たちと組んで大丈夫なのでしょうか?」
「まあ成るように成るさ。」
その後、迷宮区の入り口付近に行き4人でセンチネル狩りをして明日に備えた。
2022.11.21
迷宮区
「昨日は途中で抜けてすまなかった。彼女にスイッチのやり方とか教えててさ」
「そうなんですか。私たちもスイッチできるので連携できます。今日は頑張りましょう」
「ああ、取り巻きはセンチネル3体だから1体二人持ちでいけるな。」
エリスとキリトがボス部屋へ向かう途中、ボス戦の立ち回りを打ち合わせていく。
ボス戦は原作通りな流れとなった。違いといえば黒の剣士ペアに俺たち4人プレイヤーが増えたことで取り巻きつぶしの負担が減ったくらいだった。
コボルドロードのHPが1ゲージになり斧を投げ捨てた。そして背から新たな武器を手にする。
「あれは」
「太刀だな」
「見事だ。綺麗な刃先をしている。私もあのようなのを持ちたい。」
クロンに答えると物欲しそうな顔をする。
そしてディアベルが斬られる
キリトとアスナが2人でコボルドロードに駆けていく。
「そんな、アルゴさんの攻略本と違うなんて・・・」
「エリス!まだボス戦は続いている。取り巻きを潰す作業に戻ろう。」
ボス戦が終わり2層への階段が続いていた。原作通りビーターのやりとりがあった後、黒の剣士とフェンサーさんは階段を登っていった。
「俺たちも行こう」
まだボス戦の分配などでもめている輩達の合間を縫って階段へ進んだ
「ヴァイリさんはベータテストと違うこと気づいたんですよね。2層のボスの変更点も話してましたし。」
階段を登っている途中エリスが尋ねてくる。
「そうだ」
「じゃあどうして黙ってたんですか」
「ディアベルは前もって知っててもLA取ろうとしただろうし、あそこで俺もディアベルを止める発言をしてたらあのビーターと同罪になったからだ」
「キリトさんはディアベルさんを助けようとしたんですよ。何も悪くないじゃないですか」
「実際に死者が出てしまった。そうなるとどうしようもないことであっても誰かに責任が回り、なすりつけ、罰せられなきゃいけない。どの社会でも組織でも変わらないことだ。彼は他のβテスターへ非難が向くことを自ら一人で背負った。」
エリスは俯いて黙ってしまった
「もし2層ボスで死者が出たら今度は俺が責任を取る。俺もβテスターだからちょうど良い。」
「そんなむちゃくちゃな」
「矢面に立つのが今のβテスターの役割だ。2層でも今回のベータのときとの違いがないか確認は取る。2層のフィールドボスは今日中に倒そう。エリスが集めてくれたみんなが待っている。」
隣にカーラが来る。
「今回あんたのやったことは気に入らないけどそれでもあたしにとっては一応命の恩人だから」
「行こう 私達はまだ上を目指さなければならない」
クロンはすたすたと階段を登っていく。3人でクロンのあとを追っていく。
人が集まってくれたことと原作知識を持ってることに気が大きくなってしまっていたが実際ボス戦では人が死ぬリスクがつくことを1層ボス戦に参加して気付いた。これでは油断して死んだディアベルと変わらない。
ここまで来たら後戻りはできない。時間との勝負だ。2層フィールドボスを倒しても階層ボスを攻略組に先を越されてはチャクラムの無い攻略組は次こそ崩壊する。チャクラムを持って助けに入ってもフィールドボスを抜け駆けしたことがバレる。βテストで裏を取ったことをもう一度するだけだが失敗は自分の死だけではなく1万人の死、原作の崩壊に繋がることになるだろう。