エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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都市景観はネット上に公開されている明治時代撮影された京都の写真など参考にしてます

h ttps://www.youtube.com/watch?v=Ku_KmVWthss
鬼うた。 より紅の空

ラブコメの波動が欲しい


83話 2024.11.26 火縄銃と京の都

2024.11.26 14:30

 

アスカ・エンパイア

圏外フィールド 濤怪道(とうかいどう)

 

Sideヴァイリ

 

 

パァン パァン

2つの銃声がフィールドに響く。狙われた狼モンスターの腹部に2箇所円状のダメージエフェクトが現れる。

 

「よーし、命中!」

隣のリュミルがガッツポーズをする。そんなことしてる場合ではない

 

「次弾装填!ヘイトこっち向いてて狙われるぞ」

俺は急いで火縄銃に次の弾を込める。

 

狼はダメージを受けた元凶を認識し、一直線に走ってくる。

 

「ちょっと待ってくださいよ!ああ、もう!」

リュミルも慌てて弾込めする。

 

「よし、できた」

先に装填できた俺は、照準を狼に合わせる。正面を向いた狼は被弾面積が小さく、走って体が上下しているので狙いにくい。

 

パァン

 

銃を撃つが、狼は直感が働いたのか横っ飛びをして弾丸を躱した。

「ああっ、くそっ」

外したのを見てすぐまた装填作業をする

 

「ここでヘッドショット決めてクリティカル!」

装填が終わったリュミルが今度は撃つ。

 

パァン

リュミルの二射目は命中したが、足を掠めただけであまりダメージが入らない。

 

「うそーん」

リュミルもすぐ槊杖をまた取り出して装填を始める。

 

そうこうしているうちに狼はすぐそこまで迫って俺たち二人へ飛びかかる。

 

「「わああぁぁ!」」

装填作業をしている俺たちは無防備なままだ。

 

ザシュッ

ザシュッ

 

「二人とも大丈夫か?」

「まったく、結局またわたしたちがトドメ刺すんじゃない」

侍系ジョブのクロンとカーラが前に出て剣技で仕留めた。

 

「助かった・・・」

 

「もう!銃は無理です。レイピアはないんですか。」

「和風ゲームに西洋の武器あるわけないじゃない」

リュミルの物言いにカーラがつっこむ。

 

PiPiPi

アラームが鳴ったのでメッセを開く

「時間か。ホームに戻ろう」

 

4人で現在のホームのある街へ向かう。

 

 

 

俺とリュミルは火縄士のジョブを取ってモンスター狩りをしているのだが・・・はっきり言って苦戦している。クロンとカーラの護衛がなければデスペナを何回も受けているだろうし実質寄生状態になっている。

 

 

火縄銃は弓より長い射程はあり、しかも直線軌道で弾丸が飛ぶので狙いやすい。しかし一発ずつ弾込めしなければいけないし、一発を打つのに手順が要る。

 

順序としては

 

① 銃を地面に立てる

② 早包で火薬と弾丸を入れる

③ 槊杖で弾丸を奥に押し込む

④ 火皿に点火薬となる口火を入れ、火蓋を閉じる

⑤ 火縄に火をつけて火挟にひっかける

⑥ 敵に狙いをつけて、引き金を引く

 

ここまでして初めて攻撃ができる。とてもソロでプレイできる仕様ではない。モンスターを釣るのには便利だが戦闘には不向きだった。

 

一撃はフィールドの通常モンスターに対して胴体直撃で3割くらいは削れるが、装填作業をがんばっても1分かけてやっと1体倒せるかどうか。しかも、弾丸を避けられて接近されては攻撃手段がなく、装填作業も中断すると準備がキャンセルされるのでもう対処のしようがない。

 

「そのジョブ、使えるの?」

カーラが疑問を言う。

 

「言ってしまえばロマン職だな」

 

「ネタジョブの間違いじゃないですか?銃だけだとあまり活躍できないし、足軽のジョブまで経験値取れたら槍に転向します。」

これまで一緒に火縄銃を使っていたリュミルも嫌気が差していた。足軽は武器として火縄銃の他、槍や脇差と複数の武器が使えるが、武士よりも装備に重量制限が厳しめに設定されていたり、強力な上位スキルは取得できない器用貧乏ジョブだ。

 

「それはさみしい」

 

「使えないわね」

「おいまてこら」

カーラの一言にカチンと来る。

 

「ヴァイリも刀でいいのではないか?」

「クロンまでそんなこと言って」

味方はいない。現実は非情である。

 

火縄士は不遇職でプレイヤー人口も少なかった。シャサールのようにマタギまでジョブを進めれば鉈など近接武器も持てるが、途中で諦めて転職するほうが多い。まず、シャサールの場合百発百中で当てる技能なので鉈を抜く機会自体減ってるようだが。

 

 

しばらく街道を歩いていると街の出入り口のひとつになっている青い門が見えてくる。

門をくぐるとキヨミハラとはまた違った日本家屋の街並みが広がっていた。

 

弊闇京(へいあんきょう)

 

キヨミハラから見て北方面にある弊闇京はアスカエンパイアが途中アップデートで追加した都市で、帝を退位した上皇が自ら住むために興した街である。上皇が余生を満喫するために芸者や料理人を誘致したため、政治中枢のキヨミハラよりも娯楽施設が多い。

 

実装前にはNPC達がキヨミハラを超える都市になると噂していたようだが、上皇が帝在位時に敵対派閥などで切り捨ててきた人の怨念がキヨミハラから追ってきて多く飛び交い、今では怨霊の都、魔京などと呼ばれてしまっている。ひどい時は清原(すがわら)公の祟りで雷が一日中続く日もある。上皇も怨霊が怖くて御所から全く外出せず、引きこもっている設定だ。

 

 除霊、妖討伐クエストは後を絶たないので上位プレイヤーは好んで拠点としている。市街地内には怨霊に占拠された邸宅や寺社が圏内ダンジョンとして存在していたりもするので、戦力が整っていれば手近に依頼のクエストをすることができる。

 

 

今くぐってきた東側の玄関口となっている青龍門には東洋系の蛇長の龍の彫刻が彫られている。

 

 

右手に六翔寺(ろくしょうじ)の塔群の頭が見える三条通を歩いていて、弊闇神宮(へいあんじんぐう)の大鳥居が北に見える神宮通りあたりまで着く。

「ヴァイリさん、ホーム帰る前に愧園(ぎおん)寄っていきましょう。新しいスイーツが出たんです」

リュミルが言い出す。

 

「あんた、そんなこと言ってまた新しい装備せびる気でしょ?」

「ぎくっ」

「今、ぎくって口に出た。」

「うー、だって可愛い簪があったんですよ。欲しいじゃないですか。そんなに高くないんですよ」

リュミルとカーラがもはや日課となるようなやりとりをする。そしてリュミルの“高くない”はだいたい高くつくものだ。

 

「うーん」

俺は唸る。懐事情もあるしなんとかして受け流さないと

 

「建設的に考えましょうよ。あたしが舞妓のジョブを取ってー、ヴァイリさんと遊ぶ時にかわいいほうがいいじゃないですか」

 

「それもそうだ(ギュムッ)っいっつ!」

ついリュミルの誘惑にのってしまうと背中に激痛が走る。

 

振り向くと無表情のクロンが背中をつねっていた。

 

「ずいぶんと楽しそうな予定があるようだな」

抑揚なく、普段通りの自然体な口調なのになぜだろうか、彼女の背後には般若面が浮かび上がっている。

 

「いや、みんなで宴会をするっていうことですよ。クロンさん、ハイ」

苦し紛れながら言い訳をする

 

「ほーぉ」

クロンから疑念の眼差しは消えない。なんか日に日に嫉妬深くなってる気がするが・・・

しかも、SAO時代なら殺気が溢れてカーラやリュミルも恐縮していたが、最近は器用になって俺だけに向けてくる。リュミルとカーラはクロンの嫉妬に気づかずに買う買わないを二人で言い合っている最中だ。

 

「ク・・クロンにも簪、いや、なにか愧園で欲しいものあれば買うぞ」

 

そう言ってもクロンはふるふると首を横に振る。

 

「リュミルと私に何か買うなら、カーラにも」

クロンがカーラの後ろから肩を掴む。

 

「え?!わたしはいいわよ。装備くらい自分で整えるし」

リュミルと言い合いをしていたカーラは急に話を振られて戸惑っていた。

 

「駄目だ。3人いて2人だけに買うのは不公平」

「カーラさんも遠慮しなくていいんですよ。もらえるものはもらっちゃいましょうよ」

リュミルがクロンの反対からカーラにくっつく

 

ガシッ

「あんたは遠慮を覚えるべきよ!」

「いたいです、くるしいです~」

カーラは片腕でリュミルをスリーパーホールドする。

 

 

そんなこんなしていると三条通りの角を曲がり、東傀路(ひがしおおじ)通りへ入る。南北と東西の通りにはそれぞれ名前がついているあたりはリアルの京都に似ている。

 

 

弊闇京はキヨミハラと同様に碁盤の目状になっているが、街の規模はふた回りほど大きい。

 

RPG的にキヨミハラが始まりの街なら弊闇京は王都とか中央都市の扱いになる。交通の便も良く、東山区の八裂(やさか)神社の北の三条通りからフィールドの濤怪道(とうかいどう)へ出ることができる。九条通端より、橋廊が観光スポットになっている倒福寺(とうふくじ)からは千本鳥居がある伏水稲荷(ふしみいなり)を横切って、湾岸に面するきんきらきんな建造物の多い商人街の豪阪(ごうさか)に繋がる豪阪街道が伸びる。豪阪街道から先はさらに中国地方エリアへ向かうことができる。豪阪に寄る用がなければ棧陰道(さんいんどう)から直接中国地方に出ることもできる。

 

 

東傀路通りを下ってくると八裂(やさか)神社のところを曲がって四条通りへ入る。

 

 

「あっ、ここです。新しくできた店なんですよ」

リュミルが生産職プレイヤーの店が並ぶ歓楽街でひとつの店に駆け寄る。

 

「ヴァイリ、ここは」

「多分リアルで行った時の店がモデルだな」

クロンが耳打ちをしてくる。小学生のころに九龍家との二家族で京都旅行したときにモデルとなった店に入った覚えがある。

 

「へぇ、なんだか趣あるじゃない」

知らずにリュミルとカーラは鉤が描かれた赤い暖簾をくぐる。

 

『いらっしゃいませ。お席にご案内しますね』

店のNPCから中庭の見えるテーブルに通される

 

4人で席に座るとお通し代わりに和三盆が出てくる。

 

「わびさびを感じる味ね」

カーラが口に入れて感想を言う。

 

『お待たせしました。当店自慢のくずきり餅です』

ひとりひとりの前に二段重ねの緑色のお櫃が配膳される。

 

櫃を開けるとロックアイス入りのきんきんに冷えたくずきり餅が出てくる。

 

餡蜜につけてから口へ運ぶ。つるりとして喉ごしが良い。

 

「うーん、冷え冷え~」

リュミルはご満悦だった。

 

 

「見た目、味。リアルでも実在する老舗とかなり似せてるけど多分許可を取っていないだろう。そのうち店側が訴訟起こせば消されるかもな」

 

「そんなぁ。こんなに美味しいのに」

リュミルは嘆く

 

VRではいろんなものを表現できるがその特許や知的財産権の線引きは難しくなっている。今回の場合は無断使用だから通報されればすぐにこの店関係のアカウントはそれなりの措置、最悪アカウントBANもあるだろう。

 

VRと企業のタイアップも検討されているが、企業側は実際に事業への踏み込みをためらっている。遠く離れた現地でしか食べれないものをVR上で時間、距離的制約をとっぱらって集客し、一度作成した味覚データを複製することで原価を押さえ込み、広く販売できるメリットもあるが、逆に現地の地域の需要の落ち込みを招く恐れもある。政府も地方創世を後退させるリスクがあると判断してVRのプロモーションには消極的だ。

 

「では、店が削除される前に何度も来て食べないと。ここが無くなったら京都まで行かないといけませんから」

「一度目は知らなかったで通せるかもしれないが何度も来てると意図的に来てると判定されて処分対象なるかもしれないぞ」

「良い店との出会いは一期一会。今の瞬間を大事にしましょう」

 

 

食べ終わったあとは刃浪(はなみ)小路で三人にそれぞれ欲しい物を買った。

リュミルは希望通り簪、 クロンは帯留め、カーラは根付を選んだ。

 

 

 

 




弊闇京
キヨミハラが飛鳥京や平安京、平城京とかを足して割ったようなものらしいけど、京都オンリーの舞台で書きたかったのでオリジナル設定の都市です。

クローバーズリグレットのあやかし横丁で悪鬼覇原とか餓野とか名前がついてたように、京都の史実の建造物からなるべく物騒な漢字の当て字で名前をつけた名所を勝手に作っています。公式でなにか追加設定出たら改名するかも

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