エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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元祖チートハーレム小説といえば源氏物語

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六条院の造りなどの解説はこちらをどうぞ



h ttps://www.youtube.com/watch?v=T7geY2PvzOY
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六条院内には篠笛とか琴音とかが聞こえるこんな曲とかが流れるはず
sakuyaシリーズはどれも好き



84話 2024.11.26 六条院

2024.11.26 15:53

 

Side ヴァイリ

愧園に寄った後は4人で(かも)川にかかる五条大橋を渡って多枷川(たかせがわ)の橋を渡った直ぐを曲がる。川沿いの通りを南に下り、ギルドホームの端まで歩いてきた。

 

「予定より大分遅くなったな」

「誰かさんが寄り道したせいね」

「皆さんも食べたり買ったりしたので共犯です」

「俺は懐が寒くなったんだが」

かなり出費したのでまたRMTでゲーム内通貨を補充するか検討しだす。

 

「美少女達に囲まれる日々はプライスレスですよ」

「綺麗な華に囲まれていい身分じゃない。少しは感謝しなさいよね」

「それともなにか不服があるのか、コウ?」

「いえ、ないです」

なんていうか、即歩調合わせてくるこういうところは仲いいよなこの3人。

 

 

ギルドホールの出入り口の四足門に着き、くぐる。

 

じゃり、じゃり

 

白い玉砂利の敷き詰められた外庭を通る。このスペースには牛車などが停めてある。

 

「戦術開発班、帰った」

「はい、どうぞー」

随身所に一言いうと、中からリベルテの声がして東中門の扉が開いた。

 

戦術開発班

組織再編で教導班が分割され、遊撃班からリュミルを迎えて新設された班。言ってしまえば俺とクロン達をひとまとめにしておくように作られた班だ。

剣技オンリーだったSAOでは遠距離の魔法攻撃のような術などはなかったので従来のソードスキル依存の戦い方での対処方法を挙げていくのと新しい戦術の模索をしているところだった。

 

 

 

─六条院

 

二つ目の門をくぐると左手には満開の桜の木々と池のある南庭、右手には木造の大邸宅が構えていた。

 

誰が発端だったかはうやむやだが、源氏物語で出てくる六条院を再現したいという声から土地の所有権を持っていたプレイヤー達にレアアイテムとの物々交換やRMTを駆使して4町が買い占められた。一度解体して更地にした後にギルドホームを新築した。

 

工程スキップの課金がされたことで一晩にして屋敷は完成した。

周囲にホームを持つプレイヤーからは急に大豪邸が現れたので一夜城と騒ぎになった。

リアルマネーで6ケタ程の額が注ぎ込まれたが、もしこれでスキップしなければ完成に1ヶ月以上かかっていただろう。

 

今いる場所は南東に位置する春の御殿だ。東の対の(きざはし)から上がり、外廊下の(ひさし)を渡る。

六条院は4つの区画に分かれていて、他には北東に夏の御殿、南西に秋の御殿、北西に冬の御殿がある。

 

 

 

対と寝殿を繋ぐ渡殿にさしかかると、手入れされた坪庭にさらさらと水の流れる音がする。

多枷川から水が引かれ、邸宅内の遣水と呼ばれる小川を通り、庭の池へと注ぐように整理されていた。

 

 

春の御殿 寝殿

 

渡殿を通って寝殿の廂まで来る。廂や対の母屋は人一人分の通れるスペースを残して屏風や几帳で仕切られ、カラオケルームくらいの大きさの班ごとのスペースが用意されている。

 

南東に位置する春の御殿の母屋は床に絨毯が敷かれ、テーブルや椅子が並んでいた。本部が主に使う部屋だ。

 

「前衛職との混合編成も、どうも結果は乏しいようだな。」

戦前のエンパイアスタイル、大礼服を着たミルローゼは渋い顔をしている。

 

「なかなかうまくいかないところで・・・」

 

「我々としてはお前が盾に戻るほうが戦力になるのだが」

 

「もう少し模索してみます」

 

「それで、予定時間より戻りが遅かった理由は?」

 

「班員の英気を養っていました」

 

「分かった、もういい。下がれ」

ミルローゼが諦めたように言って、寝殿を後にした。

 

 

 

「くすっ、苦戦してるようね?」

寝殿の西側の中廊で黒い狩衣を着たピンクシルバーの髪の少女とすれ違う。

 

「そう言うラーミルは調子いいようだな」

 

「ふふっ、まあね」

ラーミルのジョブは陰陽師だった。術士ジョブツリーの中では人気職となっている。

ラーミルの後ろにもおさげの髪の子と赤い跳ねっ毛の陰陽師がいる。シュリーとリリアはSAO内では魔女っ子な格好をしていたが、SAOでは魔法要素は全くなかった。しかしアスカエンパイアに入ってからの活躍は目覚ましく、式神使役や呪術などを駆使する戦闘スタイルは地味なメイサーだったとは思えないほどの好調さだ

 

 

「同じ術士系統なのにどこで差がついたんでしょうかね」

「言うな、悲しくなる」

リュミルの不満を聞きながら、青々とした木々が連なる北東の町、夏の御殿の前を通って西へ向かう。

 

 

 

─北の御殿

 

カァン、カァン    ヒヒーン

 

戦術開発班に割り振られている冬の御殿は他の御殿とは異なって寝殿はなく、対が二つある。さらには音で聞こえるように鍛冶場や馬を留めている厩舎などが立ち並ぶ御倉町が隣接している

 

「一番しょぼい御殿に回されてて、待遇悪くない?」

「知ってる」

カーラの言うとおり冬の御殿は他の御殿と違って寝殿と池は無い。それこそ光源氏であれば春の御殿の寝殿でふんぞり返ることもできるだろうに。

二棟の対があるが、割り当てられている班も少ないから片方の西の対を専有できてるので広々と利用できるという点では良いところである。

あとは庭が雪景色なのでたまに雪合戦に遊びに来る子がいるくらいだ。

 

「ちわーす」

「・・・どうも」

もう片方の東の対を通り過ぎる。東の対を使っているのは遊撃班だ。リュミルは元遊撃班であり軽く挨拶したが、近くにいたイブの反応はそっけないものだった。

 

「なんであたしがこんなとこに配属されてるのよ」

対の中から叫び声が聞こえる。羽衣のような装備を纏うウルリカはSAO中で無理な突出をしたことで処分を受け、ミリーと入れ替えで遊撃班に入った経緯がある。彼女は未だに遊撃班への配置替えに納得していないようだ。

 

「あーもううるさい。文句なら本部に行ってきなさい」

エクレールは畳に寝そべって相手にしてなかった。

 

「認めないわ、こんな懲罰部隊みたいなとこからすぐ出てってやるんだから」

 

 

「住めば都って言うんだけどなー」

ロッサはルクスとグウェンで取り分けて食べている竹串の刺さったあぶり餅を咥えながら言う。

 

「んなことない!レベリングしてくる」

ウルリカは立ち上がる。

 

「私たちも手伝おうか?」

「結構!」

“クロ”ことルクスが同行しようとするもウルリカは拒否して西中門のほうへ出て行った。

 

 

「どこの班も問題は抱えてるな」

「他所の班より自分のとこの心配したら?」

西の対に着いて俺が呟くとカーラがつっこむ。

 

「で、あたしたちはどうするんですか?」

「銃の改良ができないか鍛冶班にかけあってみるよ」

 

今もカーン、カーンと金鎚の叩く音が聞こえる。鍛冶場の戸には〈集中製作のため他班入るべからず〉という貼り紙が貼ってあるので今は立ち入らない方が良さそうだ。紙が剥がれたら訪ねてみよう。

 

 

 

 




立地はモデルの河原院より少し西より。高瀬川とぶつかるので



ラーミルのイメージ画

【挿絵表示】

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