エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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砲撃シーンはコミック 軍靴のバルツァーの第1話に影響受けて
公式サイトなどで公開中

大砲のモデルは20ポンドアームストロング砲
h ttps://www.youtube.com/watch?v=OdFDId0tsi8



85話 2024.11.27 寿造

2024.11.27  10:00

東都医科歯科大学付属病院 病室

 

Side 3人称

 

静かな病室にカキカキと筆跡音が広がる。この病室に入院している4人の男女が病室にある大テーブルで勉強しているところだった。

 

カランカラン

「数学飽きました。」

その中で一番年少の流星がシャープペンシルを放り投げて、置いていたチョコ菓子に手を伸ばす。

 

「じゃあ、はい。英語」

興平は、犬が描かれた青いカバーの単語帳を流星の前に置く。

 

「うえー、これって高校生用じゃないですか?あたしまだ14歳なんですけど」

 

「中学レベルのはSAO内の授業でやってあるだろ。新しいのも増やしとけ」

 

 

「ぶー」

むくれた流星は入院中暇つぶしに興平から聞いたことを思いだす。

 

「この前の話で興平さんって」

 

「うん?」

 

「実際は40超えたおっさんなんですよね」

 

「魂的にはそうだな」

 

「実年齢考えると瑠希さんとの交際って危ない関係ですよね?二人がお付き合いを始めた時期として、合計30代のおっさんが幼稚園児に欲情した事になります」

 

流星の言葉に一同かたまる

 

 

「コウ、そういう目で私を見てたのか」

瑠希はペンを止めて興平を射抜くように睨む。

 

「身体は青少年だよ?無垢な精神を持った16歳の少年だよ」

「「「おいおい」」」

3人の氷のような視線が興平を刺す。

 

「ダウト。興平さんはロリコンさんです」

 

「このペド、ギルティ」

蘭華は冷たく言う。

 

「父に性犯罪予備軍の監視対象者リストに加えてもらうよう連絡しないと」

瑠希はスマホを取り出す

 

「瑠希さん駄目!社会的に死ぬので許してください!別に成長した瑠希だってすきだし!肉体の年齢に引っ張られて欲情してるだけだし。中身に差があるからといってこの見た目で俺がおばさん好きなのもおかしいだろ」

興平は瑠希の腕にすがる。

 

ガラガラガラ

「勉強してるようだったのにまたうるさくなってますよ。病院なので静かにしてくださいね。先週の検診結果の表配りますねー」

若い看護師が入ってきて4人の前に表を置いていく。

 

身体検診の結果は身長、体重などとともに、B、W、Hで表示される数値が記入されている。

少女達の興味は検査表に移ったので興平はひとまずほっとする。

 

「うーん、胸より背が伸びてほしいんですけどね」

流星は不満そうに言う。

 

「B、前年比プラマイ0・・・どうして、成長期でしょ!」

蘭華はとある項目について喚きだした。

 

「瑠希さんは?」

流星が瑠希の表を覗く。

 

「あ、Bが蘭華さんと同じ数値」

そして蘭華の検査表を見比べる。

 

「どうして、だってSAOのとき瑠希ってまな板だったじゃない」

「失礼な」

蘭華の言葉に瑠希はムッとする。

 

「ま、まだ負けてないし!並ばれただけだし」

蘭華は認めたくないことにムキになって自分に言い聞かせる。

 

「でも、蘭華さんって瑠希さんより一つ歳上なんですよね?」

「───」

流星のひとことが蘭華のトドメとなった。蘭華は石のように固まる

 

「すまない・・・」

瑠希は申し訳なさそうに言う。

 

「どうして謝ったの!ねぇ!なんの謝罪よ!」

蘭華は目くじらを立てて瑠希のほっぺをむにむにつねる

 

「いったい瑠希とあたしにどう差が出たっていうのよ!」

 

「あれですよ、女性ホルモン増えると胸大きくなるっていうじゃないですか。VRといえどもナニかしたおかげじゃないですか。蘭華さんも興平さんを襲ったらどうですか?」

 

「な、な、何言ってるの!あんたも聞き耳立てない!」

 

「ぶふぉっ!」

蘭華は興平の顔面に椅子に敷いていたクッションを投げつけた。

 

 

わーぎゃー煩くなった病室へ、看護師長怒りの突入5秒前

 

 

 

 

 

14:17

アスカ・エンパイア 六条院御倉町 鍛冶場

 

Side ヴァイリ

 

午後になってアスカ・エンパイアにログインすると、火縄銃の改修ができないか早速鍛冶班に泣きつきに行った。

 

ガラガラ

「助けて、ミネルもーん(ドゴォン!)うおっ」

昨日までの部外者出入り禁止の貼り紙が無くなった鍛冶場の引き戸を開けた途端、屋内からの爆音の反動で尻もちをつく

 

「あちゃー、空砲なのに障子戸吹き飛んじゃったよ」

レインは額に手を充てていた

 

「そろそろ来る頃だと思ったわ。どうかしら、ヴァイリ。火縄士が活躍できるようにする兵器よ」

ドヤ顔のミネルアが現れる。

 

「こんなもん、作れるのか」

 

「入院してる間に暇つぶしにっておじいちゃんが設計図を蔵から持ってきたのよ。」

鍛冶場の中にあったのは全長2m、口径10センチ程の大砲だった。御倉町の中でも大きく構えた鍛冶場の中には、製鉄所などにある金属精錬に使う転炉が設けられていた。それをあれこれ試してミネルア達は新しいものをアスカ・エンパイアに生み出そうと躍起になっていた。

 

 

「ボク、もうへとへとだよ。ミネルアの発明に付き合ってると体が持たないや」

アミナが壁にもたれかかっていた

 

「お腹すいたぞ・・・なにか食えるものくれ」

テレサも駆り出されていたのか、床に倒れて頬がこけていた。こちらに手を伸ばしてきていたので差し入れ用に持ってきた上醞(かみがも)神社の焼き餅を渡すと瞬く間に口に運んでいそいそと食べていた。

 

「仕様としては火縄銃に分類されるから火縄士系ツリーのジョブしか撃てないわ」

 

「ミネルアは鍛冶師だろ?」

 

「サブジョブに火縄士取ったのよ」

 

「なるほど」

 

「実弾で試射するにはフィールドまで持っていかないとね」

レインが砲弾の入った荷車を持ってくる。

 

「まだ外部にこういうものが出来ることをばらしたくないし、布をかけて隠しながら馬に曳かせよう」

 

「裏通り行く?」

 

「裏通りで大物引っ張ってると道塞いだりして逆に目立つから大路通ったほうがいいな」

 

 

大砲を西中門の前まで押してきた後、馬との牽引具を取り付けていく。

 

そんな中、カランコロンと下駄の音がする。

「ヴァイリ、今日は何をしているんだ?」

近づいてきた親衛班のエルミラに声をかけられる。普段の重装備の甲冑姿とは違って赤い着流しといったラフな格好をしている。

 

「ミネルアの新兵器の試験だ。そっちは非番のようだな」

 

「ああ、暇つぶしに見学させてもらってもいいだろうか」

 

「どうぞ、どうぞ」

 

大砲の形が他のプレイヤーから分からないように荷台の形にした針金フレームで囲って布をかぶせる。朱雀大路を通って、鳳凰像が鎮座する南の朱雀門からフィールドへ出る。人の流れは東側の豪坂街道にあるので辺りにプレイヤーはいない。

 

 

 

 

朱雀門 南 フィールド

 

 

「このあたりで展開してよさそうね。みんな、道具の準備はいいかしら?」

ミネルアは平坦な場所を選ぶ。

 

『おー』

各々スポンジ棒、測量器など必要な道具を手にする。

 

「わたしも何か手伝えることがあればやろう」

エルミラが言う。

 

「助かるわ」

 

 

大砲は後装式のためアミナが尾栓を緩める。

 

「その取っ手を持ち上げてくれ」

「ほいっ」

俺が言うとテレサが閉鎖栓を持ち上げる

 

その間にスポンジ棒で砲身内を清掃する。

 

清掃が終わってスポンジ棒を引き抜くと、エルミラが砲弾を装填する。そしてアミナが尾栓のレバーを回して閉じる。

 

レインがハンドルを回して俯角を合わせる。

 

「撃ってみるわ」 

ミネルアが火管を砲身にセットしてロープを引く。

 

ドォン!

 

ドドォン 

地響き轟く砲撃音の後、離れた場所で土が空に舞い、地面には窪みができていた。

 

「射程4キロってとこだな」

俺は単眼鏡を覗いて目視する。

 

砲撃の反動で後退した大砲を元撃った位置まで車輪を転がして戻す。

 

「じゃあ、こんどはアミナが撃ってみて。あなたも火縄士とってるでしょ。今の射撃から修正して着弾点近くの猪モンスターに当てられるわよ」

ミネルアが火管をアミナに手渡す。

 

「ええー、そんな簡単にいくの?」

アミナは突然振られて不安げではあった。

 

アミナは砲身備え付けの照準器を覗く。

「えーと、窪地より右にモンスターがいるから・・・」

カンッ カンッ カンッ

そして、大砲の脚の右側をハンマーで叩いて位置修正する。

 

近く弾着した砲撃も発射位置から距離が離れている為かモンスターはアクティブになる反応も見せない。このあたりはゲーム上の仕様だ。

 

 

そして、一発目と同じ手順で装填する。

 

 

「いくよ」

 

ドォン!

アミナがロープを引くと二射目が放たれる。

 

ドドォン 

発射された砲弾は山なりに飛んだ後、モンスターに直撃して爆発する。

 

「やった、当たった!」

 

「一撃でモンスターをボリボリ・・・ゴクン仕留めたぞ」

テレサは八ツ橋を噛みながら言う。

 

音で他のプレイヤーの騒ぎになるのも困るので数度試射したら早めに撤収して鍛冶場に戻った。

 

 

───

 

六条院御倉町 鍛冶場

 

「この大砲はアスカエンパイアの戦闘を変えるわよ」

鍛冶場までもどってきてミネルアは自信満々に言ってのける。

 

「連射性にまだ課題があるな。PvEには使えるがPvPには無理だ。」

 

「じゃあどうするっていうの」

 

「こういうもの作れるなら、銃も改良できるんじゃないか?」

俺はクレムリンの図書館に所蔵されていたヘンリー銃、スペンサー銃などの図面をダウンロードして渡す。

 

「これらの銃は幕末に海外から入ってきた連発式の元込め銃だ。レバーアクションの機構が火縄銃とは違うんだが」

 

「型さえできれば作れると思うわよ」

図面を見てミネルアは言った。

 

「よろしく頼む」

 

「よーし、作るわよー。ほら、皆も持ち場いっていって」

 

「また火事場に籠るのー?」

 

「お腹減ったぞ」

 

「魔女の婆さんの呪い・・・」

火がついたミネルアと対照的に他の鍛冶班員はげっそりとしていた

 

 

「わたしも火縄士ジョブをとってみよう。大槌以外の攻撃手段も無いとな」

エルミラは大砲を撫でながら言った。

 

火縄士の戦闘スタイルの変革が見えてきていた。

 

 

 

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