エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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SAO新作アプリ アリシゼーション・ブレイディング配信開始!

扶桑大学病院のモデルは日本最大の総合大学の病院から



86話 2024.11.29 お披露目

2024.11.29

 

 

御茶ノ水 

 

13:00

Side 興平

 

「短時間外出は3時間以内で戻ってきてください」

 

「はい、分かりました」

病院の受付で手続きを済ませる。

ずっと病院にいるのも飽きるので短時間外出許可証をもらって御茶ノ水の駅周辺を見て回ることにした。

 

木枯らし吹く時節、多めに着込んで日常生活に支障ない程度に回復した足を踏み出す。

 

平日の昼間も御茶の水橋は人の往来が多い。

御茶ノ水駅南側の茗溪通りは喫茶店や居酒屋、ファストフード店が並んでいる。西から横断するように駅の東側の交差点に出ると、右に曲がってそのまま通り沿いにぷらぷらと歩く。

 

すると、ビル群の中にビザンツ様式の緑色のドーム型の屋根が見える。十字架も見えるので教会だろう。あまり遠くに歩きすぎても戻るのがだるいのでそこを立ち寄ることにした。

 

───

 

聖堂の中では幼児洗礼が行われていた。

「これで洗礼は終わりです。お疲れ様です」

シスターが母親に赤ん坊を抱き渡す。シスターは後ろ向きなので顔は見えない。

 

「ありがとうございます。」

母親は赤ん坊を抱いたまま一礼する。

 

「おぎゃあ!おぎゃあ!」

「ちょっと、教会だから静かにしてね」

母親が泣き出した赤ん坊をあやしていた。

 

「いえいえ、元気に泣くことはいいことです。すくすくと育ってくれるでしょう」

シスターは朗らかに答えていた。

 

 

赤ん坊を抱えていた母親が奥に行ってから、見物がてら洗礼式の浴槽に近づく。その時、シスターがこっちを振り向く。

 

「げぇ!」

シスターの顔を見て思わず声が出る。

 

「第一声がその反応は傷つきますね」

ブロンドの髪が伸びる西洋人、流暢な日本語を話す。

 

見間違えるはずもない。SAO内の1層の教会を管理していた“撲殺聖女”ミリシオン当人だった。

 

「なんでここに?」

 

「なぜって、ここに務めているからですよ」

 

「いやいや、病院のリハビリとかは?」

 

「日常生活に支障はないので2週間前に退院しています」

 

なんという回復力だ。本当に人間かよ・・・

 

「せっかくですし。お祈りを捧げていってはいかかですか?」

「アッハイ」

絶句しているところ、ミリシオンに案内されるまま礼拝堂に入る。

 

 

礼拝堂の中では先客で車椅子の少女が一番前の席で祈りを捧げていた

 

「あれ、ヴァイリさんですね」

 

「ん?おお、プリエルか」

 

祈っていたのはSAOでは修道女姿をしていたプリエルだった。今は落ち着いた色のカーディガンを着ている。

 

聞くところによると聖堂から西にいったほうの扶桑大学病院にいるそうだ。そこにもエンドワールドのメンバーが数人入院しているらしい。

 

「ツブヤイターで皆さんの活躍拝見させていただいています。わたしも参加したいのですが両親の反対もあってアミュスフィアを持たせてもらえません。」

 

「あんな事件に巻き込まれたばかりだ。しょうがない」

 

「それでもVRは特別なものです。わたしは幼い頃に交通事故で足が麻痺してしまいました。SAOは立って歩くことのできる夢のような空間でした。」

 

「そうだったのか」

なんか事情重いな。

 

「今はまた車椅子に戻ってしまいましたが担当のお医者さんがVRで歩く感覚を思い出したから神経の再活性化でリアルでも歩けるようになるかもしれないっておっしゃったんですよ。病院のリハビリで歩行訓練もしています」

 

「へぇー、そうなのか」

 

「今は両親にVRをまたするのを反対されてますが、リハビリが終わった契機にアミュスフィアをお願いしようと思っています。」

 

「焦らなくてもみんな待ってくれてるから頑張れよ」

 

「はい!必ず皆さんとまた一緒に冒険できるようにします」

プリエルは元気よく返事した

 

 

 

 

15:00

アスカ・エンパイア

六条院 夏の御殿東 馬場

 

Side 3人称

 

この日、エンパイアワールドでは、馬を走らせたりするスペースで新造された銃の試射会が行われていた。

 

火縄士のジョブを持つプレイヤーが試し撃ちしているところを本部メンバーが馬場に面した馬場殿から視察する。

 

「ヴァイリの設計図にあったうちのひとつ、ウィンチェスターライフルよ」

ミネルアはリュミルに新型の銃を手渡す。

 

「どうやって次の弾を込めるんですか?」

リュミルはこれまでの火縄銃と機構が違うため、使い方が分からなかった。

 

「トリガーガードがレバーになっていて、前に引くと次の弾丸が装填されるのよ」

カシャン、カシャン 

ミネルアの指示通りにリュミルはコッキングする。

 

「それでもう撃てるわ」

ミネルアに言われて、リュミルは的に狙いをつけて引き金を引く

バァン!

「おおー、簡単」

 

「次、リュミルが持ってる銃をヴァイリが撃ってみて」

ヴァイリはリュミルから銃を受け取る。

 

「的を撃ってみて」

 

ミネルアに言われるままにヴァイリは装填してから狙いをつけて引き金を引いた。

 

ブォアン!

「うわっ!」

弾丸は発射されずに薬室から大爆発が起きてヴァイリはもろに顔に受ける。圏内ではダメージは受けないがフィールドだと大ダメージとなるような爆発だった。

 

「おい、暴発したぞ」

 

「鹵獲対策で自爆機能つけたの。所有権が二度移ると暴発する仕組みよ。作成者から装備者へ渡すときに一度目、デスペナとかでPKに持っていかれても、もうまともに撃てないように構造をいじってるわ。」

ミネルアは自信満々に言う。

 

「これなら設計図の流出さえなければ他のギルドに横取りされる心配は無いわね」

「真似できるギルドが無ければ独占技術よ」

馬場殿の上で視察していたアンジェラ、キーナ達が話し合う

 

 

 

連射される発砲音につられて東の対の簀子や釣殿にも見物人が集まってくる。アスカエンパイア進出初日には30人ほどの集まりだったところ、日に日にログインメンバーは増え今では70人程まで再結集してきていた。

 

「へー、結構連射できるんだ。火縄士とってあるからわたしも試し撃ちしてみようかなー」

簀子の欄干に座っていたフィリアは盗賊装束を着ていた。

 

「あの銃なら火縄銃よりかは戦闘につかえそう?」

欄干に腕を乗せて寄っかかっていたローラが言う。普段大斧を扱う彼女も銃に興味を示していた。

 

「あたしも火縄士とってみようかな。レイピアと剣じゃ使い勝手が違うし、この際全く別の武器を使い出すのもありかもね」

SAOではレイピアを使っていたフィーユは武器の変更を検討する。

 

「はいはーい、お菓子用意したわよ」

厨房からやってきたリートはアスカエンパイアで手に入れたレシピで作ったものをお盆に乗せていた。

 

「カステラ?」

四角く焼き目のついた見た目のお菓子の一切れをウルリカは手に取り、まじまじと見る。

 

「なんかしょっぱいわね。でも甘味と調和してる」

刀を腰に差した侍装束のセリーヌがお菓子をひと齧りして味の感想を言う。

 

「松風ですね、茶の席などでよく出ます」

桜色の着物を着たセツカが答える。

 

「セツカ、正解!しょっぱいのは味噌が入ってるからよ」

「食べてみたい」

「こっちにも」

一口サイズに切り分けられ、山積みされている松風に四方から手が伸びてきていた。

 

 

 

 

「わたくしがいない間に随分と面白いことになってるようですね」

「ベティちゃん!VRできるようになったんだね」

ベティの登場にノエルは試射していた手を止めて喜ぶ

 

「やっと家からVRの許可がおりました。みなさんとまた会えて嬉しいですわ」

 

「ウィンチェスターライフルですか。イギリスの家にも数丁保管されてますね」

 

ベティは馬場殿から飛び降りてくる。ミネルアから銃を受け取り、的の前に立つ。

 

ダァン!カシャダァン!クルッダァン!

 

「ざっとこんなもんですわ」

『おおー』

ベティはスピンコックによる早撃ちを披露した。見物人たちから声が上がる。

 

 

「ベティさんもまた戻ってきてくれて楽しくなりそうです。しかし、その格好は・・・うーん、とても和風からかけ離れてますね」

ベティの格好について、エリスは言い淀んでいた。

 

赤いコートに黒いスカート、紅茶を飲みながら戦車を操縦しそうなレッドコートをモチーフとした服装を彼女は着ていた。

 

「ふふ、和の国アスカに視察に来た駐在武官というところでしょうか」

ベティは自らの服装について解説した。

 

 

「銃の有用性はこれで証明できたな。俺の着眼点は間違ってなかった」

「ミネルアの発明のおかげだろう。自惚れるな」

図に乗るヴァイリにミルローゼは呆れていた。

 

火縄士ジョブを持っている子達で順番に引き続き試射がされていた。

 

 

 

同刻

 

秋の御殿 寝殿

 

馬場と同じくこちらにも人だかりが出来ていた。

 

「ギルマスから依頼のあった制服コンペ、デザイン案披露を始めるわよ」

リーゼロッテが言うと、壁側のカーテンが上がって、候補作品が並べられた

 

デザインテーマとしてはギルドのイメージカラーと同じ黒を基調としていること。ミルローゼからのリクエストだった。

 

「これは死神ってところかしら?」

リーゼロッテは白帯の黒袴の前に立つ。

 

「死覇装をモデルに作りました」

ヘアバンドをつけたカメリアが解説する。需品班以外からも裁縫スキルを持っているメンバーが応募していた。

 

「こっちは洋装ね」

リーゼロッテは次に7ツボタンの詰襟を見る。

 

「ミルローゼの大礼服に合わせたデザインにしたわ」

カーラは自信有りげに説明する。

 

「カーラって戦闘以外のこともできるのね」

 

「失礼ね。これでも小さい頃から花嫁修業でいろいろ習い事させられてたのよ」

 

「ふふ、いいお嫁さんになれるわよ」

 

「か、からかわないでよ」

リーゼロッテのからかいにカーラは顔を赤くしていた。

 

 

「うーん、みんな作りこんでるなー」

コハルの制作は黒白のだんだら羽織だった。

 

「コハルのもいいデザインじゃない?」

「新選組の羽織をモデルにしたんだけど・・・」

コハル自身はあまり自信は持っていなかった

だんだら羽織は新選組初代局長の芹沢鴨が歌舞伎の忠臣蔵を見て考案されたデザインだった。赤穂浪士は黒白の火事装束を着ていて、歌舞伎で取り上げられる時に舞台用にだんだら模様としてアレンジされていた。偶然にもコハルは原点により近しいものを作っていた。

 

「この中から1週間みんなに投票してもらって、本部に最終判断してもらってから正式採用とします。」

 

会場では出展者同士でお互いの作品を見比べていたり、投票しに来た人にデザインの説明がされたりしていた。

 

 

 




六条院の間取りはネットですぐ出てきた図面2種類をもとにしています
どちらの間取りでもなるべく齟齬ないように描写してます
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