エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~ 作:RipoD
おかしい、当初八岐大蛇戦のBGMは“プリキュアの力を合わせて”のはずだったのにいつの間に怪獣映画になったんだ?
♫
h ttps://www.youtube.com/watch?v=YVqeCxlQJgY
メーサーマーチ ゴジラVSモスラより
2024.12.1
《“八岐大蛇”イベント告知
開催期間:11月30日~12月6日
イベント種別 合戦 100人以上推奨
推奨レベル 40以上
当イベントは中国地方エリアに実装されます。
攻略ヒント
それぞれの頭には特殊能力がある。戦況を有利にするためみんなで倒す順番を決めておこう!
このイベントにはタイムアタックランキングがあります。》
2024.12.1 10:00
Side 3人称
プライベートVRルーム
クレムリン 作戦室
空き部屋を改装した作戦室でブリーフィングが行われていた。
部屋の壁一面には大型モニターがあるが、今は部屋中央のタッチパネル内蔵の大型テーブルを囲むように人が集まっている。
集まっているのは本部、情報班に属するメンバーだった
「昨日のプレイヤーの動きはどうだ?」
ラーチェが、データ分析に長けているカシューに聞く。
「ネット上にプレイ動画が上がり出しているけど、クエストクリアしたのは無いですね」
カシューがテーブル上のホログラムボタンにタッチする。動画サイトのウィンドウがテーブルのディスプレイに上がるが、どの動画も八岐大蛇に負けていた。
「八岐大蛇は序盤の猛攻さえ凌げば、頭数が減る後半は楽になるはず。」
アネットは蛇の頭を5頭まで倒した動画を見て言う。
「それぞれの頭で特性が違うのね。倒す頭の優先順位を決めておきましょう」
ミルローゼがそう言うと、皆話し合いを始める。
「状態異常系は時間が長引けば長引くほど不利になるので早めに倒すのがいいかと」
イナーシャが手を挙げて発言する。
「超回復の頭は一定時間で復活するのでキリがありませんわね。これは最後でいいでしょう」
ベティはディスプレイの“超回復”のタブを順番の後ろに下げる。
各動画から八岐大蛇の特性を調べ、話し合った結果の討伐順序がディスプレイに上がる。
《優先
毒 火炎 麻痺
次点
氷結 幻惑
後回し
鱗硬化 超回復 操風》
「数の揃ってきた大砲の火力を集中すれば早めに三つの頭は倒せそうね」
リリオは戦闘シュミレーターを起動させ、現状のメンバーの戦力と大砲の威力をデータに反映させる。
シュミレーターのホログラムの中で大砲が次々と八岐大蛇の頭を潰していっていく経過が早送りで再生される。
そして、戦闘終了と共にリザルト画面で勝率は63%と結果が出てきた。
「大砲に人手を回すと囮部隊は5人くらいでひとつの頭に対処しないといけないわね」
アンジェラが問題点を挙げる。
「イベントの人数規模を見ると1頭につき20人が対処するようだけど大丈夫なのかしら」
レイルが顎に手をあてて言う。
「それなら心配ない」
会議室にこれまでいた人と違う声が聞こえる。ヴァイリとクロンがドアを開けて入ってきていた。彼らは威力偵察がてら八岐大蛇の野良クランに班4人で参加してきた帰りだった。
「八岐大蛇は攻撃範囲は広いが、図体が大きい分小回りはきかない。攻撃モーションを見てから避けることはできる。」
クロンは真顔で説明する。
「クロンの“できる”は、一般プレイヤーにはできないことばかりだけど」
あまりにもクロンが当たり前のように言うのでキーナが皮肉混じえて言う。
「戦闘エリアには馬も乗り入れできるから回避には困らないぞ。倒せないから途中でリタイアしてきたけど俺もノーダメで済んだし。」
ヴァイリが補足する。
「よし、ならいけるわね。八岐大蛇、倒しに行くわよ」
ミルローゼは勢いよく椅子から立ち上がる。それからレイド戦に向けて準備が進められた。
15:00
アスカ・エンパイア
中国地方エリア
イベント戦闘エリアには前線の囮部隊40人、後方の大砲部隊40人で分かれたエンパイアワールドが陣取っていた
後衛には
「各班準備できています」
「では戦闘開始といくか」
トトナが報告するとミルローゼはイベントフラグとなる八塩折之酒を祭壇に置く。
「GRUOOOOO」
すると、唸り声のような音がしてからのっそりと遠くの山の陰から八つの蛇の頭が出てくる
「大きい・・・」
誰かがつぶやいたが誰しもが第一印象として持つ感想だった。蛇達は頭が上がった高さだけでも50メートルは超えている。
「GUWAAAAAAAA!」
戦闘開始演出で蛇達は上空へ咆哮を上げる。
「左から3番目が紫のブレスを吐いた。あいつが毒だと思う」
「右から2番目が雷撃、麻痺の頭よ」
「麻痺の頭から仕留めるぞ。座標修正」
報告が上がるや否やすぐミルローゼは指揮する。
♫
「攻撃開始、撃てーっ!」
ドドドドドドン
大砲10門が火を吹く。
砲弾は麻痺能力の蛇の頭部に直撃したり、胴体にぶつかって爆発する。
「グギャアアア!」
麻痺の頭は開幕攻撃に悲鳴を上げる。
「次弾装填!」
砲身の清掃とともに次の砲弾を込める準備が1門4人掛りで急いでされる。
「さて、大砲の装填してる間に俺たちが蛇の気を惹かんとな」
ヴァイリ達囮部隊は馬に乗って八岐大蛇の周りに散開する。
それぞれの蛇の頭は、散らばった騎兵を目で追う。
「怪獣映画の自衛隊になった気分だ」
「それ、やられ役じゃない」
下から八岐大蛇を見上げるヴァイリの感想に並走しているカーラはツッコミを入れる。
「馬に乗って巨大生物に挑むなら調査兵団じゃないですか?」
「どっちも大方死ぬ!」
リュミルもヴァイリ達と同じく囮部隊に参加していた。背中には小銃を背負っている。
参加者の半数以上の武器は銃に変わっていた。ミネルア達鍛冶班の作成した連発銃だった。
パァン パァン
騎兵隊は止まっては発砲、その後また走り出して装填を繰り返す。八岐大蛇を攪乱するように四方八方から攻撃を仕掛けていた。
「頭のほうがダメージ通りやすいな。」
八岐大蛇の懐はキルゾーンである。無闇に飛び込むと8つの頭に囲まれ集中攻撃を喰らい、一気にHPが溶けるリスクがある。
そこで、銃を使うことで蛇の攻撃範囲外からアウトレンジで削る。多方向からの攻撃で八岐大蛇のヘイト判定は乱れ、その攻撃に一貫性がもてなくなっていた。
正反対の頭同士で胴体の引っ張り合いになり、挙句の果てには喧嘩が始まってお互いに噛み付き合ってしまっていた。同士打ちでもそれぞれの頭のHPは段々減っていく。
「じゃあ行ってくる。」
「あの中に入るのは危ないぞ」
「分かっている。しかし、私に銃は合わない。剣で行く」
「気をつけろよ」
クロンはヴァイリから注意されるも大蛇に接近する。
「シャアアアアア!」
「む!」
クロンの接近を察知した鱗硬化の頭が突進をかけるが彼女はハイジャンプで避ける。そのまま下を通り過ぎた大蛇の首に乗り、駆け上がって胴体の上までつくと斬撃スキルを当てる。
近接戦に自信がある者は蛇の頭を縫うように避け、胴体に剣撃を入れていた。
ドドドドドン
「GUOOO・・・」
大砲の2斉射目が麻痺ブレスの頭に当たるとHPが全損して地に伏した。
「よし、次は毒ブレスの頭だ」
大砲の正確な射撃のおかげで最優先の3頭は倒すことができて戦闘に余裕ができていた
「次は氷結潰そうよ。動き鈍くなると戦いにくいし」
「幻惑のほうがよくない?攻撃あたらなくなるのは面倒よ」
「言い合ってる暇あったらどっちでもいいから攻撃しなさいよ」
カーラが言い合っているメンバーに喝を入れた。
囮部隊が引きつけている間に砲撃でひとつひとつ頭は順調に倒されていった。
最後の超回復の頭が倒れるとファンファーレが鳴り、クエストクリアを告げた。
「あっ、欲しかった素材が報酬にある!」
クリア後に参加メンバーはウィンドウを開けて報酬をチェックしていく。最大難度のイベントクエストということで報酬も相応のものが用意されていた。
班同士の連携にまだ課題の残る戦闘ながらも初見戦闘でのタイムアタックランキングは2位と15分以上の時間差をつけて1位となっていた。
「まだ一週間ある。タイムは更に縮めることができるだろう」
ミルローゼはそれなりに満足して言う。
「次は映像も取ろうよ。再生数絶対稼げるから」
アルシエは記録結晶を取り出す。
「手の内バラしたら真似されるかもしれないから公開するのはイベント終わってからよ」
アンジェラは釘を刺していた。
それから1週間、エンパイアワールドは人数が集まっては繰り返し八岐大蛇の討伐を積極的に行っていた。
クローバーズリグレット本文では幼体の頭ひとつが列車くらいの太さ、イベント向けに実装されたのは大きさが幼体の10倍以上で蛇一匹が河川くらいの太さなので50メートルどころじゃないはず
ゲームだと大神や仁王あたりの八岐大蛇のイメージが強い