エンドワールド ~転生者は最強剣道少女達と共にVR世界を席巻す~   作:RipoD

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今やってる大河ドラマは京都の動乱時期で殺陣とかとても参考になります


h ttps://www.youtube.com/watch?v=gOqnQnlii78&list=PLmbe7SqTj59NyZabNsdvCNI-OH50W9NMx&index=9
戦闘BGM ストラガーデンより
たまに聞きたくなる曲
10年以上続いていたMMOでさえサービス終了すれば今は跡形もなく消えるのみ・・・




91話 2024.12.12 絶剣

2024.12.11 20:10

アスカ・エンパイア 愧園(ぎおん)繁華街

 

 

 

「第六天魔王っと、これでいいか?」

フブキは差し出された色紙に筆ペンで達筆にサインを書く。

 

「Thank you!」

色紙を受け取った海外からの観光プレイヤーは嬉しそうに受け取って走り去っていった。

 

「まさか拙者が王と間違えられるとは」

「フブキは大名行列の先頭になってますからね。知らない人から見ればギルマスと思われても仕方ありません」

隣にいるサナエが言う。

侍ジョブのフブキ、サナエ、セリーヌ、イルマーナの四人が夜で賑わう愧園の通りを歩いていた。

 

毎日定時で行われる大名行列は海外のサイトで話題となり、運営の狙い通り観光プレイヤーがアスカエンパイアにログインしだし、京の都はリアルの京都同様観光ブームで人が溢れかえっていた。しかし、あまりにも海外ログインが集中しすぎていたためサーバー強化に運営は追われているありさまだった。

行列の主役となっているエンパイアワールドのメンバーも通りを歩いていれば時折外国人プレイヤーから記念撮影やサインを求められていた。時間を取られ、レベリングや生産に支障がでるので本部は追加報酬を運営に請求することを検討している最中である。

 

 

「なぜフブキは土方のような洋装を選んだのですか。先祖の信長のような鎧兜を用意するものと思っていましたが」

サナエは気になっていたことを聞く。

 

「これこそ侍の最新のスタイルだったからだ。重い甲冑から解き放たれ、俊敏性を得る。サナエも戦闘の時はサラシになるだろう」

フブキが答える。

 

「わたしの場合は動いてると暑くなるので薄着にしているんです。都は夜冷えるので今はちゃんと着てますよ」

サナエは個人装備の剣道着の上からダンダラ羽織をかけていた。

 

 

そんな四人の前に浪人笠を被った小柄なプレイヤーが立ちはだかる。

 

「お姉さんたち、エンパイアワールドなんだよね?」

笠の中からは少女の声が発せられる。

 

「そうだとしたらなんだ?」

フブキが聞き返す。

 

「この前のイベントで一位だったから強いよね。だからボクと決闘してみない?」

少女がウィンドウを操作してフブキにデュエル申請をする。

 

「フブキ、あまり得体のしれないプレイヤーとの接触はやめたほうがいいわよ。レッドの件も解決してないし」

「案ずることではない、この世界では死ぬことはなかろう。逆に逃げては武士の恥。このフブキ、受けて立つ!」

セリーヌが制止に入るがフブキは聞く耳持たずにデュエル申請を承諾してしまう。

 

「いいねえ、そうこなくっちゃ」

少女は刀を抜く。

 

「いざ、尋常に勝負!」

デュエル開始とともにフブキは斬りかかった。

 

 

 

 

 

───

 

「で、負けたと」

 

「申し訳ない、主」

 

 

2024.12.12 10:00

六条院 夏の御殿 

 

フブキ達が襲撃にあったことは夜間にギルドのSNS連絡網でまわり、翌朝ヴァイリが事情を聞きに来ていた。

 

(辻斬りの正体って、聞いた感じユウキだよな。まだアスカ・エンパイアにいるのか)

ヴァイリは思案する。

 

「啖呵切って負けたフブキ……すごいカッコ悪かった」

「ぐふっ」

イルマーナの呟きがフブキにグサッと刺さる。

 

「わたしも戦ってみましたが負けました。クロンより強いかもしれません」

「む」

ヴァイリについてきていたクロンはサナエの言葉を聞いて不機嫌そうに眉間に皺を寄せる。

 

「これはどういうことだ!」

聴取をしているところにミルローゼがものすごい形相でやってくる。

 

彼女が手にしている瓦版の一面には《エンパイアワールドギルマス、辻斬りで死亡》と大見出しになっていた

 

「ヴァイリ、件の辻斬りとやらを見つけ出して始末しろ!」

 

「いやー、無理でしょ。例の記録文書にも書いたとおり相手はユウキだし」

 

「何人がかりになってもいい。これではギルドの面目丸つぶれだ。それにお前の戦力はあてにしてない。クロンだ、我がギルド最強のクロンなら勝てるだろ」

 

「ギルマス、辻斬りを見つけました。場所は三条昂倉(さんじょうたかくら)、近くの団員が向かっています」

辻斬りの警戒網を張っていたイナーシャが報告に来る。

 

「よーし、尻尾を掴んだか!出陣だ、賊を必ず切り捨てろ」

ミルローゼの指示で六条院に残っていたメンバーも駆け出す。

 

「なんかここぞと悪代官ムーブしてるぞ、このギルマス」

 

「ほら、ヴァイリ達も行け」

 

「へいへい、行くかクロン」

「うむ」

二人は現場へ出発した。

 

───

 

 

 

ユウキを取り囲んだエンパイアワールドのメンバーはデュエルを挑んでは次々と敗退していた。

 

「うーん、昨日のお姉さんたちのほうが強かったなー」

紺色の装束を纏うユウキは、短髪の頭に両手を添えながら不満を漏らす。

 

「なんだと!?」

決闘に負けたヘルミナは逆上していた。

 

「ヘルミナ、おさえておさえて」

今にもユウキに掴みかかりそうになっているヘルミナをソラナとアーチが両側から取り押さえる。

 

「はぁー、始末しろって言うけどあんなのどうすれば勝てるのよ」

「私たちじゃ無理ね。っていうかあの子が強すぎるし」

包囲を作っているミヅキとレンが言う。

 

 

「次の試合は辻斬りちゃん1.3倍、エンパイアワールド4倍だよ!さあ乗った乗った!」

傍らでは賭博が開かれて、観戦者はどんどん増えていっていた。

 

 

「どうするのこれ、収拾つかないわよ」

「今ヴァイリとクロンが来るから辻斬りが飽きていなくならないように引き止めとかないと。あの二人ならなんとかしてくれるでしょ」

包囲から距離を取って監視していたレイルとカーラが話し合っていた。二人は周辺に溶け込むためにギルドの羽織は外していた。

 

 

「どうだ、状況は」

遅れて到着したヴァイリがカーラの隣に来て聞く。

 

「真打ち登場ってところね」

ヴァイリの後ろからついてきたクロンを見たレイルは言う。

 

「良くないわよ、あの紫の子にみんなやられてるわよ」

カーラは顎で指し示す。

 

「私が行こう」

クロンはユウキの方へ歩いて行った。

 

 

 

「えーと、エンパイアワールドのみなさーん、これで終わりですかー?」

包囲してるメンバーとデュエルを終えてしまったユウキは呼びかける。誰も手に負えずお互いに困惑した顔を見合わせるばかりだった。

 

「次は私だ」

包囲を割ってクロンがユウキの前に出る。

 

「よしっ!クロンきたー」

「みんなの仇討ち頼むよー」

包囲から声援がかかる。

 

「んーと、ルールはどうする?」

「なんでもいい」

「じゃあこれまで通り制限時間付き半減決着で」

 

ユウキがデュエルの設定をするとカウントダウンが始まる。

 

(先手必勝、一撃で仕留める)

クロンは腰の刀に手をかける。

 

カウントがゼロになり、デュエルが始まると同時にクロンは一閃する。

 

キィン!

しかし、ユウキは見切って受け止める。

「っと!すごいおねえさん早いね」

ユウキはバランスを崩しながらもすぐに構え直し、楽しそうに言う。

 

(受け止められた)

必殺を確信した刃を止められたクロンは動揺していたが悟られないよう顔色は変えない。

 

その後は斬り合いの応酬が続いていた。お互い肩や腕などにかすり傷をつけていく。長年剣道経験を積んでいるクロンが優勢で戦況は傾いていた。ユウキのHPバーのほうが減りが早かった

 

ユウキはチラリと残り時間を確認するとクロンから一旦距離を取る。

 

(このソードスキルは、大技!)

残り時間とユウキの足の運びからクロンは判断して自らもソードスキルの準備をする。

 

「九龍擊!」

クロンが叫んだ言葉。家の秘伝の技を元に作成した9連撃のオリジナルソードスキルだった。東洋龍のようなエフェクトとともにしなった斬撃がユウキへくってかかろうとする。

 

「イクス・ロザリオ!」

クロンに一拍子遅れながらもユウキもオリジナルソードスキルを発動する。

 

二人のソードスキルはぶつかり合い、斬撃が相殺される度にあたりに土煙が舞った。

 

ビーッ!

デュエルの戦闘終了のブザーが鳴る。

両者ともHPはまだ半分を割っていないがクロンのほうが僅かに少なかった。ユウキの放ったイクス・ロザリオは10連撃、1連撃の差によるダメージが最後にユウキを逆転させた。

 

「負けるとは、あと一撃が足りなかったか」

クロンの目の前にはLOSEの文字が出ていた

 

「うーん、一番いい試合だったかも」

ユウキは充実したように身体の伸びを取る。

 

 

「何やってんだよ、ユウキ!」

大声を出してユウキへ駆け寄る赤毛の少年と、後ろから数人のプレイヤーが来た。

 

 

~~~

 

六条院 春の御殿

 

騒動の後、スリーピングナイツ一行は六条院に出頭していた。

 

「ウチのユウキがお騒がしてすみませんでした!」

ノリという少女がユウキの頭を押さえつけながら自らの頭も下げる。

 

「フン」

クロンがユウキを打ち負かすことに期待していたミルローゼは機嫌が悪いままだった

 

「あはは、まおーさまは拗ねていますが、ユウキさんが力試しで勝負を挑んでいただけでしたのはこちらも承知しましたし、お互い遺恨はなしということで」

ミルローゼの代わりにカスミが話す。

 

エンパイアワールドとスリーピングナイツはひとまず和解していた。

 

「ユウキ、今は(・・)あなたがリーダーなんです。トラブルを起こさないように気をつけないと」

「ッ!ごめんなさい」

スリーピングナイツで一番年が上のシウネーが言うと、ユウキはシュンとして反省していた。

 

 

「あっ、クロンだ!」

話し合いに飽きていたユウキはクロンを見つけると駆け寄る。

 

「クロンって強いね。ボクが開発中の技を成功できなかったら負けちゃってたよ」

ユウキは笑顔で言う。

 

「ッ!」

デュエルで負けたクロンは複雑な顔をする。そして何も答えずに踵を返す。

 

 

「ヴァイリ、クレムリンの私の部屋に」

 

「お、おう」

ヴァイリとすれ違ったクロンは口早に言うとログアウトする。ヴァイリも後を追うようにログアウトした。

 

 

 

───

クレムリン クロンの部屋

 

「クロン・・・瑠希入るぞー」

ヴァイリは明かりのついてないクロンの部屋に入る。

 

「コウ・・・」

クロンは横長のソファの端に座っていた。両手に抱き抱えて顔をうずめていたクッションは濡れているのがヴァイリには見えた。

 

「部屋、遮音しとくぞ」

「頼む」

クロンの小さい返事にヴァイリはウィンドウで環境設定してからクロンの隣に座る。

 

ヴァイリが隣に座ると、クロンはクッションに顔をうずめたまま彼の膝に倒れこむ。

 

「私より年下に負けた。」

クロンがぼそっと呟く。

 

「うん」

 

「剣技は瑠希が勝ってた。OSSの差はゲームシステムのせいもある。」

 

「それでも、悔しい」

 

(これは、今までで一番の重症だな)

クロンが人一倍の負けず嫌いであることはヴァイリは知っていた。

ヴァイリはリアルでもクロンが剣道の試合で負けたときに人知れずところで泣くクロンを慰めていた。だいたいは年長者相手に負けるのが常だったが今回のような年下に負けるのは初めてだった。

 

 

「次は必ず勝つ。」

 

「俺も絶剣の攻略法一緒に考えるよ」

 

クロンが泣き止むまでヴァイリは頭を撫で続けていた。

 




ユウキをどこぞの親衛隊第四席みたいに暴れさせたかった
短き生涯に爪痕残すため奮闘した共通点
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