リリカルマジカル、イノセントでガンナーがんばります   作:rockless

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グランツ研究所でもがんばりまーすぅ・・・

浩一視点

 

「雨、か・・・」

 

「雨、ですね・・・」

 

放課後、掃除当番を終えてシュテルと合流し、学校から出ると、雨が降ってきた。どうやら夕立のようだ

俺とシュテルは、とりあえず雨宿りで、近くの屋根のあるところに身を寄せる

大粒の雨が降る空を見上げるシュテルを他所に俺はカバンから折り畳み傘を出す

 

「夕立ですね。どうしま・・・用意がいいですね」

 

「ま、この時期だしね」

 

実は去年夕立でずぶ濡れになって風邪をひいたから、とは恥ずかしくて言えない

ホントお勉強以外は失敗からしか学べないバカなんだよなぁ・・・俺って

 

「傘自体が小さいから、肩ぐらいは濡れるだろうけど、ここにいても仕方ないし・・・」

 

傘を広げて屋根の下から一歩外へ出て告げる

 

「そうですね、ではお言葉に甘えて」

 

彼女はそう言って傘の下に入ってきた

よくよく考えたらこの場合、俺が傘を出した時点でシュテルは断れんよな・・・?断ったらじゃあどうすんのって話になるんだし・・・

 

 

「少し待っててください。今拭く物を持ってきます」

 

目的地のグランツ研究所というところに着き、ブレイブデュエル用の一般開放エリアから奥の関係者エリアの一室に通されたところでシュテルにそう言われ、彼女はさらに奥へ・・・

少ししてタオルを首にかけた彼女がもう一枚タオルを持って戻ってきた

 

「どうぞ」

 

「ありがとう」

 

差し出されたタオルを受け取って、傘からはみ出て濡れた右肩を拭いていく

シュテルも濡れた左肩を拭き始める。なんだかその光景を見てるのは悪い気がして彼女を視界から外す

 

「夕立にしては長く降ってるけど、予定は変わらず、なのかな?」

 

カッターシャツの水分をタオルに吸収させながらシュテルに質問する

今日はアリシアとアリシアの妹、妹の友達、はやてと、昨日イベントバトルで戦ったヴィータという少女、あとクローディアさんやラッセルさんで、ここグランツ研究所でイベントバトルをする予定だった

種目はスカイドッジという5対5のチーム戦競技をするはずだったのだけど・・・

 

「それでしたら、先ほど携帯に中止のメールが入ってました。どうやらこの雨で皆濡れてしまって、服を乾かすためにT&Hの5人と迎えに行ったレヴィがテスタロッサ家に、同じく八神堂に行ったディアーチェがはやての家に行って濡れて帰ってきたヴィータとお風呂に入っているそうです」

 

「あぁ、そうなんだ・・・」

 

中止の決定に内心ホッとして返す

だって俺以外みんな小学生相当の年齢の女子だぜ?俺何で呼ばれた?人数だって11人だし・・・

 

カチャ・・・

 

「ん?」

 

何かを置く音が聞こえ、再び彼女のほうを見る。どうやら眼鏡を外したようだ。近くのテーブルに眼鏡が置かれていて、彼女は髪を拭いていた

安い折り畳み傘だから多少雨漏りして髪も少し濡れたのだろう。俺も髪が少し湿っているし・・・まぁ短いからすぐ乾くだろうけど

 

「・・・なにか?」

 

「い、いや・・・」

 

視線に気づかれ、俺は慌てて目を逸らす

言えない・・・眼鏡を外して髪を拭いている姿に見蕩れた、なんて死んでも言えない

ちなみに言うと髪を拭いてる動作がいいのであって、シュテルがいいわけではない・・・っと心の中で自分に言い聞かせる

 

「さて、予定が流れたなら今日は・・・」

 

帰ろうかな、と言いかけたその瞬間、窓の外が真っ白になった。続いて一瞬の間を置き轟音が轟く

 

「雷か・・・夏って感じがしてきたねぇ・・・」

 

雷ってなんかワクワクするよね。ネットやってるときは恐ろしいけど・・・停電とか回線落ちとか・・・

なんてどうでもいいことを言いつつ、タオルを返そうと彼女のほうに三度向くと彼女がいない

 

「え?」

 

「~~~っ!」

 

訂正、いた。しゃがんでいただけだった

それで、なんか耳を押さえてカタカタ震えているんだけど・・・

しゃがんで声をかけようとした瞬間、また雷が鳴った

 

ビクッ

 

雷の音に反応するように体が小さくはねる。ナニコノカワイイ生き物・・・

 

「あー・・・シュテルさんや?もしかして雷が・・・?」

 

彼女の肩に手を置き、そう尋ねた瞬間、また雷が・・・

 

「ッ?!」

 

「ゴフッ?!」

 

若干パニックになってるシュテルが俺に飛び込んできた。シュテルの頭が俺の鳩尾に直撃し、俺は尻餅をつく、さらに倒れそうになったので咄嗟に左腕を後ろに出して体を支えた

鳩尾への直撃で一瞬息が吸えなくなり、声にならない声が漏れる

 

死、死ぬ・・・

 

彼女は俺の背中に腕を回し、頭を俺の鳩尾に押し付けている。火事場の馬鹿力が出ているのか、結構グリグリときていて、右手一本では剥がそうにも剥がせない。うぅ、正直かなり苦しい・・・

 

「シュテル、落ち着いて・・・」

 

「~~~ッ?!」

 

声をかけて落ち着けようとしても、雷が絶えず鳴り、ますます我を失っていくシュテル

とりあえず落ち着けようと、剥がそうとする手を止め、彼女の頭に置き、撫でる

 

「大丈夫・・・怖くない怖くない・・・」

 

苦しいのを我慢し、できるだけ普段どおりの声で安心させるように声をかける。心の中では、もう意識が飛ぶから助けて!っと信じてもいない神に祈りつつ・・・

その祈りが通じたのか、シュテルは徐々に落ち着いてくる。鳩尾への圧力も無くなり、俺はホッと胸をなでおろす

 

「落ち着いた?」

 

「はい、すいませんでした・・・」

 

背中に回されていた腕の力が完全に抜けたあたりで、擦るのを止めて声をかけると、涙交じりの声で返事と謝罪の言葉が返ってきた

 

「いや、別に気にしてないから、誰だってまぁ、怖いものの一つくらい・・・」

 

「うぅ・・・」

 

励ますつもりで言った言葉にシュテルは恥ずかしそうに上げかけていた頭をまた俺の鳩尾に押し付けた。先ほどよりは力が弱いので苦しくは無いけど、正直落ち着いたのなら離れてほしいんだけどな・・・

 

「あの、もう少しだけ、このままでいいでしょうか?」

 

「え?・・・まぁいいけど・・・」

 

できればもう少し上に頭を置いてほしい・・・とは言えないか・・・変な意味は無いよ

心の中でため息をつきつつ、彼女に胸、というか鳩尾を貸す。右手の置き場に困ったので、なんとなくで彼女の頭を再度撫でる

 

なんだ・・・10歳ちょっとで留学してきて、しかも飛び級で中学に編入してくるような天才少女も、こうしてみれば普通の歳相応の少女じゃないか・・・

 

なんか今まで特別視していた自分がバカみたいに思えてきた

 

ハァ・・・にしても左腕がそろそろ限界なんだけどな・・・がんばれ左腕!プルプルよ、もうちょっとでいいから来ないでくれ・・・

 

 

「本当にすいませんでした・・・」

 

「アハハ・・大丈夫、うん、大丈夫・・・」

 

ようやく離れてくれたシュテルは心底申し訳なさそうに謝罪してくる

それに軽く笑いながら返し、シュテルに見えないように背中の後ろで左腕を揉んでマッサージする。よくがんばった左腕・・・

 

「それじゃ予定も流れたし、雷も止んだみたいだから、俺は帰るよ」

 

「はい。あ、少し待ってください」

 

シュテルはそう言うとポケットから携帯を取り出す

 

「たぶん明日か明後日の土日のどちらかで、今日する予定だったスカイドッジをすると思うのですが、場所ははやてや姉氏と相談して決めるので、今日とは別の場所になるかもしれません」

 

それ俺参加しないといけないの・・・?

でも断れない・・・下手に断って泣かれたら、俺社会的に死亡確定・・・というかさっきの一件でシュテルは目元が微妙に赤い。この状況でもすでにレッドとまではいかなくてもイエローカードもんだろう

仕方なく俺もポケットから携帯を取り出し、赤外線通信でアドレスを交換する

 

ガチャ

 

「あーもうビショビショだよー、ん?」

 

「結構振られちゃったねぇ~、お?」

 

「え?」

 

まるで図っていたかのようなタイミングで入ってくる2人・・・なんと、かの有名なフローリアン姉妹ではないか・・・

雨で濡れたのだろう全身びしょ濡れで部屋に入ってきて、部外者である俺を見て固まる

俺も携帯を出したまま固まる・・・

 

部外者の俺が、半泣きで目元が赤いシュテルの前にいる・・・この状況なら普通俺が泣かしたと思うわな・・・そして濡れて帰ってきた2人・・・制服のシャツが濡れて、その下の・・・ゲフンゲフン

 

結論、俺、今すげーまずい状況

 

「おかえりなさい、アミタ、キリエ。今タオルを持ってきます」

 

シュテルだけが1人平然と2人に対応をしている

ちょっと待ってシュテル・・・この状況で俺を1人にするとかあんた鬼か

そうだ、1人にならなければ・・・撤退だ

 

「あ、じゃあ俺も用は済んだし帰るよ」

 

できるだけ2人のほうを見ないようにしつつカバンを取り、撤退を図る

この部屋さえ出られれば・・・あとはダッシュで一般開放エリアに行く。そうすれば追って来れまい

 

ガシッ

 

「ちょっと待つよろし、少年」

 

「?!」

 

「逃がさないわよ、少年」

 

「デスヨネー」

 

左右の肩を掴まれドスの利いた声で迫られる。2人とも顔が赤く、空いた手で胸元を隠している・・・バレてる、青とピンクのアレを見たことバレてるよ!ちなみに姉が青だなんて言えないよ!社会的に俺が死んでしまう

どうやらラッキースケベの代償はかなり高くつくようだ

 

 

 

 

シュテル視点

 

「タオル持ってきました・・・?」

 

タオルを持って部屋に戻ると、彼が床に正座をしていた。帰ると言っていたはずなのになぜ?

 

「ありがとー」

 

「ありがとねん」

 

とりあえずアミタとキリエにタオルを渡すと、2人はなぜかご機嫌斜めのムスッとした表情でタオルを受け取った

触らぬ神になんとやら、私はその疑問はすぐに捨て置いた

 

「レヴィたちは?」

 

「まだ帰ってきてません。レヴィはT&Hに向かっている途中で雨に降られて、ディアーチェも八神堂に向かう途中で同じく雨に・・・それぞれ服を乾かしてから帰るそうですからもう少しかかると思います」

 

「そう、そういえばシュテルはあんま濡れてないみたいだけど?」

 

「私は彼に送ってもらいました」

 

アミタの質問に私は浩一さんに視線を向けて答える

 

「へぇ・・・そうなんだ・・・」

 

「ひっ?!」

 

アミタが彼に視線を向けると彼はなぜか怯えたような声を上げる

うん、これも気にしてはいけないようだ。捨て置こう

 

「そっかぁー・・・そっかそっかそっかぁ・・・」

 

アミタは髪を拭きながら楽しそうに言葉を繰り返し、何かを考えている

 

「よし、それじゃー暇つぶしに一勝負といこうか。ちょうど4人いるし、2対2のタッグマッチでどーよ?」

 

「え?いや、俺は帰りますんで・・・」

 

「濡れ透け」

 

「うぐぅ・・・」

 

気にしてはいけない、うん、気にしてはいけない・・・

 

 

 

 

浩一視点

 

グスン・・・不可抗力なのに・・・マジコエーよ

にしてもあれが去年と一昨年の天央中の卒業生で伝説級に有名なフローリアン姉妹か・・・バレンタインに誰にもあげていないのにホワイトデーに大量にプレゼントをもらったとか、それ以前にバレンタインに逆チョコで下駄箱や机の中がいっぱいになっていたという・・・うーん確かに美人なんだけど、さっきのことで正直恐怖心がマッハだ・・・

 

「それじゃーモードはフリーバトルで、人数は4人の2対2のチーム戦、場所はランダムでいっか」

 

「そだねー」

 

ブレイブデュエルのステージ選択前の待機ルームで姉のほうの人がテキパキと設定を入力していく

お姉さんの青ブラさんこと、アミティエ・フローリアン先輩・・・熱血系で行事系ではいつも中心にいた人だとか。俺とは入れ違いで卒業した人だからよくは知らないけど、去年は妹さんの様子を見に何度か天央に来てたらしい

そしてその妹さんこと、ピンクブラさん・・・もといキリエ・フローリアン先輩。クールでシニカル、そして噂では年下好きという情報がある。なんでも中学3年のとき、中学1年だったとある男子生徒に言い寄っていたとか・・・相手の名前は忘れた

とりあえず姉先輩、妹先輩と心の中では呼ぶことにしよう

 

「チーム分けは・・・そっち2人と私たちでいいね?」

 

「はい」

 

姉先輩の確認にシュテルが頷いて答える。どうやら姉妹対俺とシュテルのようだ

あれー?それってつまり先輩方2人で俺をボコるってことでOK?泣いちゃうぞー?

 

「あとは乱入を拒否にしてっと・・・よし、OK」

 

設定を入力し終わり確定ボタンを押す

ハァ・・・憂鬱だ・・・

 

「「「カードリリース!カードドライブ!レディ!リライズアーップ!!」」」

 

はいはい、リライズアーップっと、みんなテンション高いな・・・

 

 

バリアジャケットへの換装が終わり、戦闘ステージに飛ばされる

戦闘ステージはどうやら廃都市のようで、俺はビルの屋上に飛ばされた。出現位置はランダムなので周りに他のキャラはいない。このまま誰とも出会わなければいいな・・・

 

『セットレディ・・・GO』

 

バトル開始が告げられ、とりあえずレーダーモードで他キャラを索敵しつつ、屋内に逃げ込む

索敵スキルを使わないとそこまで広範囲の索敵ができないようで、レーダーには誰も引っかからなかった

まずい・・・敵が近くにいないことはいいことだけど、味方も近くにいない・・・シュテルを探しに行ったほうがいいのか・・・?いや、でも敵に見つかることを考えれば・・・でもそれはここに留まってもいずれレーダーモードで見つかるわけで・・・というか先にシュテルを落とされたら最悪だから・・・よし行こう

 

意を決し、屋上に戻り、空に飛び立つ。

さぁどうやってシュテルを探そうか・・・

 

《4時方向に敵反応》

 

「ちょ・・・」

 

即効で敵に見つかった!

なんで?!偶然なの?!全く偶然ってのは恐ろしいっZE!

 

《攻撃、来ます》

 

「嘘でしょ?!」

 

こっちのレーダーに引っかかったらもう射程圏とかどんだけだよ?!

デバイスが示す方向から射撃弾が6発連続で飛んできて、俺は慌てて飛行軌道をずらして回避する

 

逃げるか・・・?まずはシュテルと合流することを優先したほうがいいな・・・

 

「クラスターバレット」

 

とりあえず足止め兼目晦ましで拡散弾を撃っておこう。左のデバイスをレーダーモードにしたまま、右のデバイスでスキルを起動し、敵のほうに向ける。どうやら撃ってきた敵は姉先輩のようだ

次にイメージ・・・拡散する弾殻の広がり方・・・進路を塞ぐように満遍なく。拡散のタイミング・・・相手と弾丸の相対速度から考えて3秒くらいか?

 

「ショット!」

 

トリガーを引き、弾丸を撃ちだす。頭の中で3秒数えるとその弾丸が破裂し花火のように綺麗に弾殻をばら撒いた

視界が塞がれてる隙に進路を変更し、姉先輩の視界から消えるべく動く。とりあえずビルを利用して死角から離脱を・・・

 

ズドーン!

 

「?!」

 

背後で轟音がした。俺はとりあえず音のほうを見る。あぁ面倒なことになったなぁとか、そういえばまだおやつを食べてなかったなぁとかボケている暇は無かった・・・ていうかもうすでに面倒なことには現在進行形で巻き込まれているし、3時におやつを食べる習慣は学生の俺には無い

ビルに大穴が開いている。なんということでしょう・・・ボロボロだったビルには風通しのよい大きな穴が・・・そしてその向こうで姉先輩が・・・射撃姿勢で陣取っていた

えぇー・・・開けたの?ありえねぇー

 

「みーつけたー♪」

 

ニコニコと目が笑っていない笑顔を向けられ、背筋が凍る

怖いっす!メッチャ怖いっす!!月曜日を擬人化して「来ちゃった」って言わせた並みに怖い!!

 

「アクセラレイター」

 

「?!」

 

姉先輩はスキルをコールすると一瞬で間合いを詰めてきた。高速移動魔法か、初見殺しだろ・・・

そしてデバイスの銃を片手剣に変化させ、斬りかかってくる。デバイス変形とか羨ますぃーなぁー

 

「ダガーブレード!」

 

こちらも魔力刃で対抗して剣を受け流す。ホントCQCを教えてくれたお兄さんには感謝だね。でも相手のほうが巧いみたいだ、攻めに回れない

 

「よいっしょ~っ!」

 

「おわっ?!」

 

剣だけに注意してたら回し蹴りが飛んできた。腕で防御するも、受けきれず蹴り飛ばされてしまう

蹴りって・・・魔法のバトルで格闘とか・・・情け容赦ねぇー

 

「そんでもって、ロック!」

 

「?!」

 

蹴り飛ばされていた体が、手足を魔力の輪で拘束されて静止する

なにこの魔法?拘束魔法って趣味の悪いなぁおい・・・

 

「さらにアクセラレイターからのバルカンレイド」

 

ちょっとちょっと・・・これまずいんじゃねーの?これって所謂コンボってやつじゃないか?最初っからクライマックスってか?!

姉先輩は高速で俺の周りを回って弾丸をばら撒いていく・・・それも前後左右上下、全方位にだ。これ終わったな・・・やっぱりカードゲームはコンボが使えないとこうも呆気なく勝負がつくもんなんだな・・・

 

「シュートォォエンドッ!!」

 

全方位にばら撒かれた弾丸が一斉に俺に襲来する

俺は諦めて目を瞑った・・・流石に迫る弾丸を見続けられるほど肝も据ってないし・・・

 

ズドドドドドーン

 

落ちたな・・・じゃシュテル、あと任せた

着弾音が鳴り止んだところで目を開く

 

「ん?」

 

本来なら死亡判定で待機ルームに戻されたはずなのだけど、目の前の光景はなぜか真っ暗・・・なんだこれ?

 

「ふぅ・・・何とか間に合いました・・・」

 

頭のすぐ上から発せられた声にドキリとする

やがて視界の端から光が差し込み、自分が黒い何かに押し付けられていたことを認識する

 

「シュテル・・・?」

 

「はい、浩一さん」

 

そして周りの状況が目に入ってくる。押し付けられていた黒い何かはシュテルのバリアジャケットで、俺を守るように抱きかかえていたようだ。シュテルは爆煙の中、防御魔法のバリアを展開している。まさかあの弾丸の中をここまで突っ込んできて、俺を助けたのか?

 

「なんで・・・?」

 

「なんでとは心外ですね。チームメイトを助けるのに理由がいるのでしょうか?」

 

「いや、でも・・・」

 

ここまで無茶して助けるのは割に合わんでしょ・・・

 

「私、負けず嫌いなんです」

 

「は?負けず嫌い?」

 

「はい、だからこの勝負も負けたくありません。でも、私1人ではあの2人には勝てません」

 

俺がいても変わらないと思うんだけどな・・・むしろ足を引っ張ってるし・・・

 

「それに私は、貴方にも負けてほしくないと思っています。昨日のあの勝負は私が負けたも同然です。いつか私が貴方を負かすそのときまで、他の誰かに負けるなんて許しません」

 

ツンデレライバルかよ・・・ったくもーこっちは完全に心折れてたってのに・・・

 

「なぁシュテル、お前さんはあれだ、俺を買い被りすぎだ。昨日も言ったが俺はカードゲームは苦手なんだよ。コンボがどうとか戦略の組み立てとかできる頭は俺には無い」

 

ぷ○○よだって3連鎖までしかできないしな。4連鎖以上は頭が回らん。小学校時代の友達は適当に積めばできるって言ってたが、あんなの嘘っぱちだ

 

「・・・そうですか」

 

シュテルが失望したような表情で俺を見る

あーもうそんな目で俺を見るな・・・罪悪感と情けなさでヤバイ、死にたくなる

 

「あぁそうだ。だからそういうのは諦める。要はコンボ無しで勝てばいいだけだ」

 

「!」

 

シュテルの表情がポカンとなった

普通のカードゲームなら不可能だろうけど、このブレイブデュエルならできるはず

 

「時間が無いから、とりあえず1つ教えてくれ、あの拘束する魔法はどう対処すればいい?」

 

「あのバインドは指定空間にあるものを拘束するものです。指定範囲が狭く、不規則に動き回っていれば捕まることはありません」

 

爆煙が晴れていく中、必要な情報を聞き出す

なるほど、さっきは蹴られた先を指定してタイミングを合わせて発動、そんで拘束したってわけか

 

「捕まった場合は?」

 

「解く方法はありますが、口で言っても難しいと思います。だから捕まらないでください」

 

そら、レベルの高い要求だ

 

「わかった。それで作戦なんだけど、連携じゃインスタントタッグの俺らに勝ち目は無いから各個撃破でいきたいんだけど、どう?」

 

「わかりました。それでは私は引き続きキリエと戦います」

 

「任せた」

 

爆縁が完全に晴れ、シュテルは妹先輩を見据え、俺は姉先輩を正面に捉え、構える

 

「あぁそうだシュテル」

 

「はい?」

 

「その、ありがとう・・・助けてくれて」

 

「・・・クス、どういたしまして」

 

あーくそ、年下に助けられてお礼を言うとか屈辱だな。年上のプライドがズタズタだ

こうなったら絶対勝って名誉挽回してやる

 

 

 

アミタ視点

 

もうっ!あとちょっとで少年を落とせたってのに、まさかシュテルがあんな無茶するとは思わなかった。あんな無茶、レヴィやディアーチェ相手じゃやらないのに・・・

シュテルとマッチアップしていたキリエを見ると、キリエもその行動に驚いている様子だった

 

煙が晴れ、少年とシュテルは再度私とキリエに向かって構える。連携じゃ姉妹の私たちに分があるから各個撃破でいく作戦なのかな?無難な判断か・・・面白みは無いけど

 

シュテルがキリエに仕掛け、戦闘が始まった。少年もこちらに射撃弾を撃ちながら突っ込んでくる。さっきのコンボで魔力が少なくなっているので、私はデバイスを片手剣にして射撃弾を切り落とした。すると少年は進路を明後日の方向に変えて私から遠ざかり始める。追って来いってことなのかな?キリエのほうを見ると、あちらもシュテルを追ってこの空域から離れ始めている・・・うまく分断されちゃったか・・・にしてもあの子一人で、シュテルに勝てるかな・・・?

 

ま、それなら私がさっさと少年をボコって・・・もとい撃墜してフォローに向かえばいっか。連携戦じゃなくたって私たちは強いんだからね!よーし、お姉ちゃんがんばっちゃうよ!

 

追っ駆けっこ第2ラウンド、スタート

 

 

 

浩一視点

 

「バルカンレイド!」

 

「おっと・・・」

 

姉先輩とのドッグファイト、俺を追いかける姉先輩が連射射撃魔法を放ち、危ないコースで射撃弾が俺を掠めていった

追いかけっこが始まって数分、俺は戦闘ステージの外縁をグルッと一周回る感じで逃げている。もうすぐ俺がコンボを食らった場所に戻る

始めは射撃が少ながったけど、魔力が回復したのか、今はバカスカ撃ってくる。連射射撃だけでもきついのにそれを連発とか容赦なさ過ぎ・・・まぁこっちも時々後ろ向きで飛んで撃ち返してるけど・・・

 

「いい加減逃げるのやめておとなしくボコられなさい!バルカンレイド!」

 

「全力で拒否します!」

 

無茶苦茶な要求とともに飛んできた射撃弾を高度を上げて回避する。空戦では上を取るべしってこのゲームでも当てはまるんだね。このゲーム、水平飛行するときはみんなうつ伏せの状態で背中が上になるように飛ぶ、そうなると上にいるものは狙いにくい。向きを変えればいいだけだけど、背中を下に向けて飛ぶのは何か違和感があって長くは続けていられない・・・慣れてない人が背泳ぎをする感覚か?

 

俺が高度を上げたことで、姉先輩も俺に合わせて高度を上げる。もう何度もこのやり取りを繰り返している。今の高度はちょうどこのステージの一番高いビルと同じくらいの高さか・・・

 

そうこうしているうちに、前に姉先輩が大穴を開けたビルが見えてくる

よし、あとちょっと・・・

 

「シュートバレット!」

 

速度を維持したまま仰向けになり、後ろにいる姉先輩に射撃弾を放つ。まぁその射撃弾は簡単に回避されるんだけど、牽制目的だからいいや・・・

 

「クラスターバレット」

 

射撃弾の回避で一瞬視線が外れた隙に俺はスキルを起動、一気に高度を下げて速度を稼ぎつつ姉先輩が大穴を開けたビルのその穴を通る

 

「逃がさないよ!」

 

U字を描くような軌道で穴の入り口と出口の辺りで天井ギリギリを通り、そこに拡散弾を撃ち込んでおく。たぶん上にいる姉先輩には見えていないはずだ・・・よし準備完了

俺の軌道変更にワンテンポ対応が遅れた姉先輩は、離されないようにと迂回することなく俺と同じようにビルの穴を通る。よしタイミングバッチシ!

 

ドドーン!

 

「きゃっ!」

 

姉先輩が穴の中にいる間に撃ち込んだ拡散弾が破裂する。拡散弾が天井を砕き、瓦礫が姉先輩の進路に降り、進路を塞ぐ。姉先輩は急停止して穴の中に留まったようだ。うし、かかったぁ!

 

「右ディバインバスター!左レーダー!」

 

レーダーで姉先輩の位置をモニタリングしつつ砲撃をチャージ。同時に付近に妹先輩がいないことを確認・・・OK、いない

銃に弾丸を込めるようなイメージで魔力を集める・・・発射のイメージは昨日と同じ戦車の主砲のような大口径徹甲弾・・・最近のは120ミリが多いんだっけか?ちなみに口径といっても砲身内径を指す口径と砲身長を指す口径があって・・・っとそれは今はどうでもいいな

 

レーダーに映る姉先輩の位置を基に照準を合わせ、斜め上から撃ち下ろすように砲撃姿勢をとる。左手に持っていたデバイスはホルスターに戻し、両手でしっかりと狙いを定める

 

《ロックオン完了。撃てます》

 

「往生せいやぁああっ!」

 

今までの鬱憤を晴らすように叫び、引き金を引いた

瞬間、チャージしていた魔力がギュッと圧縮され、勢いよく発射される。ビルの外壁や床はゲートクラッシャーズの壁ほど強度はなく、砲撃はあっさりとビルを斜めに貫通した

 

《反応ロスト・・・撃墜しました》

 

どーだ!

 

誰に見せるわけでもなくドヤ顔をしていると、空に向かって炎を纏った砲撃が放たれた

うむ、あっちも決まったようだ

 

『ゲームセット』

 

 

「あ゛~疲れたー」

 

シミュレーターの操作カプセル(?)から出て、肩を回しながら気の抜けた声を出し、近くの段差に座る。本来ならすぐに退かないと邪魔になるのだが、雨のせいで客は少ないし、他の操作カプセルが空いてるからそれを使えば問題ないだろう

 

「お疲れ様です、浩一さん」

 

「おー、お疲れー」

 

声をかけてきたシュテルに、軽く右手を上げつつ返す

 

「大丈夫ですか?」

 

「うん、大丈夫・・・」

 

ちょっと頭を使い過ぎただけだから・・・糖分ほしい・・・

 

「やっぱガチの勝負は疲れるね」

 

「クス・・・そうですね」

 

俺の言葉にシュテルは少し笑って返す

慣れればそうでもないのか?それとも俺が普段頭を使わなさ過ぎなだけか?

まぁそれはそれとして・・・

 

「シュテル」

 

「はい?」

 

俺はシュテルの名前を呼んで右手を出す。シュテルが意図を理解して手を出し、俺の手を打った。パンッという小気味よい音は出ず、ペチッて感じの音が鳴り、締まらないなぁと2人で苦笑した

 

 

 

アミタ視点

 

「あーもう!悔しい!」

 

「アハハー負けちゃったねぇ」

 

操作カプセルから出た私は悔しさを隠しもせず声をあげ、キリエに宥められる

キリエはまだ相手がシュテルだっただけ仕方がないと言える。なぜならシュテルはロケテの全国1位なのだし、私たちよりプレイ時間も長いからだ。でも私と戦っていたあの少年は昨日のシュテルたちの話を聞いてた限りじゃロケテにも参加してない超初心者・・・そんな少年に一応ロケテにも参加した私が負けたのだ。悔しくないわけがない

 

まぁ、負けは負けだからそれはおとなしく認めよう。こちらが年上だし、負けて不貞腐れるのは流石にみっともないから・・・

 

だが、だがしかし!

やっぱり、こっちも恥ずかしい思いをしたのだから、憎まれ口の一つを言ってもバチは当たらんだろう

っということでアリーナを挟んだ向こう側にいる少年の下へ行くことに・・・

 

「ん?」

 

アリーナの反対側の操作カプセルを出た辺りの場所にシュテルを見つけた。そしてその傍に少年の姿もあった。お互い労うように手を打ち合わせ、笑い合っていた。それを見ていると、なんか邪魔をしてはいけないような気がしてきて、足が止まる

 

「お姉ちゃん?どうしたの?」

 

後ろにいたキリエがそんな私の様子に疑問の声をあげ、私は指でチョンチョンと少年のほうを静かに指した

 

「何々~?・・・へぇーなんかいい感じ。邪魔したら馬に蹴られそうだね」

 

「だね。行こ」

 

2人を置いて私たちは関係者エリアに向かって歩き出した

 

「ふふ・・・久しぶりにクロノに連絡入れてみようかしら」

 

「あんたまだ諦めてなかったの?お姉ちゃんびっくりだよ・・・」




相変わらずスカイドッジのルールはわからないのでスカイドッジはスルー。たぶん主人公がスカイドッジをすることはないだろうと思う

シュテルの雷嫌いはパニくるシュテルもカワイイかなと思って・・・

フローリアン姉妹が天央中出身は勝手なオリ設定。シュテルたち留学生組みがフローリアン家にホームステイしてて、天央中に編入したという点から、ホームステイが先か編入が先かはわからないが、まぁ辻褄が合うかなと(編入が先なら学校がOGであるフローリアン姉妹の家をホームステイ先に薦めたとか、ホームステイが先ならグランツが娘の通っていた天央中を編入先に薦めたとか)、でも女子高って大抵私立だよな・・・私立なら中学からエスカレーター式の可能性も・・・うーん・・・まぁエルトリア女子高が高校だけの私立校であることを祈ろう

基本1話1デュエルを目標にして書いてるからフローリアン姉妹とデュエル。アミタのスキルはなのはウィキのGODのところを参考に、でもやったことなくてよくわからないからアクセラレイターを高速移動魔法と、ロックオンをバインド魔法とそれぞれ勝手に解釈しました。コンボもフルドライブバーストを参考に、高速移動魔法と射撃魔法に分解してフィニッシュのとこだけを再現したつもり。関係ないけどアミタの「E.O.D.行きますよ!」が好き

シュテルのツンデレライバルはそうじゃないとこの物語は成立しないのでご理解を

コンボが使えないおバカな主人公は、とにかくカード1枚1枚を使いこなす方向で。デッキ構成を組み立てる頭はないけど、1枚のカードを徹底的に使い込む方向には頭が回るんです。そういう設定なんです。
ぷ○○よでいうなら『3連鎖までしかできないが、こまめに消してるから全消しならよくできる』そんな人。でも結局全消しできても連鎖ができないから勝てないという・・・

キリエのクロノ好きはピク辞書に書いてあったから。ところでクロノといえば奥さんのエイミィだけど、無印などの年齢設定ならクロノ2つ上、つまり16歳で飛び級してないなら高校生、っでT&Hのバイトチーフ、チーフって高校生でもできるもんなの?あとキリエとエイミィが同い年、あれ?キリエにもチャンスあるんじゃね?単行本1巻時点でエイミィはフルネームが出てないから、もしかして姓がハラオウンでクロノの姉とかになってたりして・・・キリエちゃん大勝利~


ふと思ったんだけど、留学生組みの故郷(国籍?)はどこなんだろうな・・・?

シュテル・・・シュテルという言葉自体がドイツ語らしいからドイツ?

ディアーチェ・・・ミドルネームのキングスからイギリス?クローディアはクラウディアの英語読みらしいから英語圏ではあるはず?

レヴィ・・・なのはウィキに載ってる名前の由来だとスペイン語で稲妻を意味するレビンから取られたんじゃね?ということからスペイン?オリジナルのフェイトのテスタロッサ姓がイタリアのものではないか?というA’sコミックスでのすずかの意見からイタリアという線も?

ユーリ・・・エーベルヴァインという姓がゲルマン系らしいので、たぶん北欧のほう?だから日本の夏は辛くて学校には通わず自宅学習に切り替えている?(単行本0話でユーリだけ私服だから。体も弱いって設定らしいし・・・)でももしそうだったなら留学なんてさせるなよと思ってしまう・・・体弱いのに留学とかコイツの親はまじで鬼か?

まぁ勝手な予想だけど、見事にバラバラだなぁ・・・グランツが研究のために各国を回っていたときにそれぞれの親と知り合ったとかって設定なのだろうか?



さて例によって次は考えてません。このまま終わりかもしれません
もし続きを書くとしても、T&Hに八神堂、グランツ研究所と一通り回ったけど、次はどうしようか・・・?いい加減なのはたちやレヴィたちと会わせる展開も考えないとな・・・レヴィたちはともかくなのはたちには会わせないまま終わるという手もあるけど

最後に、自分がリリカルなのはシリーズで一番好きなキャラはアルフです。次はリーゼ姉妹と使い魔がドップスリー独占です。だがリニス、テメーはなんか違う。ちなみに4位はすずかです。5位は色々浮かんだけど、アスティオンで。だって猫だぜ?しかもデバイスだからエサやトイレの世話はいらないし、病気にもかからない。でも猫・・・最高だ。マジ飼いたい
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