もし織斑一夏がアリー・アル・サーシェスみたいな奴だったら 作:ナスの森
今回の注意事項
・全力の舐めプ
・セッシーを苛めるためだけのワンオフ・アビリティ
・ガンブレードと化した雪片弐型
この話書いて決意した事
・アンチ・ヘイトタグ付けます。
ピットから漆黒の機体が飛び出してくる。
「あら、逃げずに来ましたのね」
セシリアはまたふふんと鼻を鳴らしながら、腰に手を当てたポーズを取って立ちはだかったアインを見下した。
そんなセシリアを前にしても、アインはまったく動ずる事はなくセシリアのIS――――ブルー・ティアーズを観察した。
「其方が貴方のIS――――ブルー・ティアーズですか。いいですねえ、その王国騎士のような気高さ……まるで貴方そのもののようだ」
「ふふん、お分かりで? そういう貴方のISは随分と禍々しいですわね。まるで獣みたい……金でしかモノを聞かない傭兵風情にピッタリですわ」
「ハハハ……こいつぁ辛辣な事で……」
試合開始の鐘が鳴っているにも関わらず、そんな他愛のない会話を始める2人。
傲慢な態度でアインを罵倒するセシリアと、それを軽く流すアイン。
そんなアインの態度にセシリアは眉を曇らせつつも、その傲慢な態度を保ったまま口を動かし続けた。
「最後のチャンスをあげますわ」
セシリアは腰に当てた手をビシッとアインの方へ人差し指を突き出す。貴族であれば他人に指を差す事は失礼である事くらいは教わっている筈であろうに、その動作だけで彼女がアインという男を見下している事がありありと伝わってきた。
「チャンスとは、一体?」
「わたくしが一方的な勝利を得ることは自明の理。ですから、ボロボロの惨めな姿を晒したくなければ、今ここで謝るというのなら、許してあげない事もなくてってよ?」
そう言ってセシリアは目を笑みに細める。
【警戒、敵IS操縦者の左目が射撃モードに移行。セーフティロックの解除を確認。速やかに『戦争』の用意を、
ISから送られてくる情報を整理したアインは、コチラに六七口径レーザーライフル《スターライトmkⅢ》を向けるセシリアに返答を返した。
「残念ですが、それはできません。あれだけ可愛いお嬢ちゃん達の期待を背負って自分はここに立っているんです。
「……ッ」
そんなアインの返答を聞いたセシリアは、今度こそその余裕な笑みから一転して口を歪ませた。
代表候補生である自分が他の生徒から他薦で立候補されなかった事が、彼女の中で何よりの屈辱であったようだ。
(どうして、こんな男が……)
小さく歯軋りしながら、セシリアはアインを見据える。
この一週間、いつもそうだった……周りから聞こえる人間の名前はいつも「アイン・ゾマイール」、「アイン・ゾマイール」と、ただ珍しい男性操縦者というだけで周りから期待されて……
あの時だって、クラス代表の立候補の時だって、周りの女子たちは皆彼を他薦し、自分を他薦する者は誰一人としていなかった。
(どうして、このような男が……)
今回の勝負だって、周りがセシリアが勝つであろうと言われてはいるものの、それは当然だ、当たり前だと受け止められて、大して注視はされていなかった。
これからの期待という意味では、セシリアに向けられる視線よりも、アインに向けられる視線の方が圧倒的に多かったのだ。
(どうして……!!)
しかし、セシリアは肝心な所に気づいていなかった。
こんなにも自分に期待の目線が送られていないのは、他ならぬセシリア自身の自業自得であるのだと。
あの時、自分が他薦されない事に腹が立って、代表候補生の身でありながら世界初の男性操縦者である彼を猿と見下し、果てにはこの地……日本さえも後進的な国と罵倒したのだ。
対して、アインに期待の目線が寄せられているのは、単に世界初の男性操縦者だからというだけではない。彼はその巧みなコミュニケーション能力を活かして、男一人の身でありながら女の集団の中に溶け込む事ができた故、そんな彼女たちからの『信頼』があるが故に期待の目線を注がれているのだ。
その事に、今のセシリアが気付く筈もなかった。
……それさえもが、アインの計算尽くであるという事も。
「そう。残念ですわ。それなら――――」
(どうしてわたくしではなく、貴方のような男が……!!)
嫉妬の感情が篭ったエネルギーが、エネルギーライフルへと装填される。
「お別れですわね!」
耳をつんざくような独特の音と共に、エネルギーライフルの銃口から放たれた閃光がアインへと迸る。
その閃光をアインは、機体をほんの少し横にずらし、紙一重で回避した。
自動姿勢制御に頼らず、己の意思で機体を完璧に制御し切った動きでその閃光を避けていた。
「まだまだですわ! さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる
射撃、射撃射撃射撃射撃。
アリーナ中を飛び回るアインの白式をセシリアは的確に狙いながら、その銃弾の嵐を浴びさせる。
しかし、当たらない。
全て紙一重で躱されていく。
そして閃光をまた紙一重で躱すと同時、アインは武装を何のタイムラグもなく取り出し、セシリアのISへと撃ち返した。
「なっ!?」
咄嗟の事に驚くセシリア。
武装を
どう考えても初心者や素人ができる芸当ではなかった。
(あの武装の形状は……銃? いえ、
アインが呼び出した武装は片刃の近接ブレードと拳銃が一体化したような形状を持った銃剣だった。
そして、その銃口が、セシリアに向けて正確に連射されていた。
「くっ!?」
咄嗟の事に驚きを隠せないながらも、スラスターを吹かして回避行動を取る。
射撃のエキスパートであるセシリアは勿論、敵の弾丸の回避だって造作もない……筈だった。
しかし、回避行動を取ろうとするセシリアを、銃剣の銃口から吹かれた弾丸は的確にセシリアへと、しかも全弾が
セシリアの持つライフルに比べれば遥かに口径が小さいその銃弾も、アインの正確な射撃能力によってセシリアの装甲のない生身の部分へと命中し、彼女のISのシールドエネルギーはガリガリと削れていった。
(なんて正確な射撃ですの!?)
セシリアは先程から驚愕を隠せなかった。
向こうはこちらの射撃を正確に回避し、そして、回避行動をするこちらに向けて正確に当ててくる。しかも白式の機動力を用いて、必死に回避行動をするセシリアのISに張り付き、セシリアの回避行動に合わせて銃口を移動させて的確にセシリアの生身へと当てているのだ。
これが成す意味とは――――セシリア・オルコットの射撃能力よりも、アイン・ゾマイールの射撃能力の方が遥か上を凌駕しているという事実に他ならなかった。
「ッ! そんな事――――」
認められない、と頭の中で思いつつも、セシリアは己のISの主武装であるBT兵器『ブルー・ティアーズ』を四機展開し、多角方面からの射撃でアインを押そうとした。
どうせ早く動いたところで彼の正確な射撃によってこちらのシールドエネルギーは削られていく、ならばいっその事立ち止まって複数のビットで押し切った方が良いという、彼女なりの英断だった。
「
BT兵器《ブルー・ティアーズ》――――本機と同じ名前を冠した四つの移動砲台が、上下左右を移動しながらアインの白式を狙い撃つ。
しかし、当たらない。
掠りもしなかった。
そもそも、流れ弾が飛び交う戦場で戦い続けてきたアインにとっては、四人のライフルを持った兵士が移動しながら自分を撃ってくるのと同じような感覚だった。
その移動速度こそ段違いであるものの、今回は自分もISに搭乗しているのだ。避けられぬ道理がある筈もなかった。
やがて。
「チョイサーッ!」
そんな掛け声と共に、BT兵器の発射間隔の間に、一機のブルー・ティアーズに接近したアインが、その砲身を
エネルギー弾を発射される直前であったその砲身は、セシリアのIS本機へと向けられ。
「ッ!?」
BT兵器を操って動けないセシリアに、ビットの銃口から放たれた閃光が直撃した。
咄嗟の衝撃で体制を崩してしまうセシリア。
すぐに体制を立て直すも、眼前には既に銃剣を振りかぶって接近していたアインの姿があった。
「きゃあっ!?」
白式の機動力も相まって、回避は間に合わないと判断して咄嗟にライフルを下げて腕でガードをするも、装甲の一部をすれ違いざまに切り飛ばされた。
切り飛ばされた装甲の破片を目にするのも束の間、更なる銃撃がセシリアへと襲いかかる。
「くっ!?」
すれ違いざまにセシリアのISの装甲を切り裂いたアインは、その速度を保ったまま急旋回、そのまま銃剣の銃口をセシリアへと向けて発砲していた。
咄嗟にビットを本機へと戻して、回避行動を取るセシリアだったが、無意味だった。
元より、中~遠距離向けのブルー・ティアーズの機動力が近距離特化の白式の機動力に敵う筈もない。
しかも相手はその機動力に振り回されることなく、機体を完全制御していた。
回避行動のために機体を動かすも、持ち前の機動力で張り付かれ、先程と同じように
――――いつの間にか、セシリアの機体は中破レベルまでに追い込まれていた。
ついにライフルの砲身の長さ以下の間合いまで接近されたセシリア。
またもや銃剣を振りかぶるアイン。
回避は不可能と判断し、防御行動を取ろうとするが――――
セシリアに襲ってきたのは、斬撃ではなく、衝撃だった。
「くっ!?」
アインはセシリアに向けて銃剣を振りかぶって斬撃をお見舞いすると見せかけ、スラスターを吹かしてその衝撃でセシリアのISをアリーナの地面へ蹴り落とした。
咄嗟に受身を取り、セシリアはそれでも戦意を滾らせながら、此方を見下す漆黒のISを纏った男を睨みつけた。
『クハハハハハッ、どうしたどうしたぁ!? 機体がよくても
突如聞こえてきた声に、セシリアは耳を疑った。
「声――――
この声は、間違いなくあの男の物だった。
しかし、今までのような穏やかな感じの声ではない。
その口調や態度は正に粗暴そのもの。今まで自分や周りの女子生徒に接していたような気品と礼儀を感じさせるようなあの態度とは似ても似つかなかった。
『これならあのニーアって嬢ちゃんの方がまだマシだったかぁ!?』
言って、漆黒のISを纏った男は銃剣の切っ先をセシリアに向けたまま急降下してくる。
このままでは敗けると思ったセシリアは咄嗟に機体を動かして回避し、再び空に飛び上がってライフルを連射しようとするが、遅い。
それに反応するように張り付いた白式がセシリアのエネルギーライフルの砲身を蹴り上げ、照準が逸れてしまう。
その隙をついたアインは、再び切っ先をセシリアへと向け、突進攻撃を行う。
何とか機体を下に逸らすことで肩の装甲に掠るだけにとどめたセシリア。
すれ違ったアインの方へ振り向き、言い放った。
「それが……貴方の本性というわけですわね!? この、野蛮人っ!」
またもや急接近してくるアイン。
セシリアはそんなアインを待つ。
もう、容赦などしない。
セシリアの間合いに入ったアインは、再び展開されたビットを切るのではなく回避し、残り一つのビットを
ライフルの砲口は間に合わず、確実に一撃が入るタイミングで、彼女はニヤリと笑った。
「――――かかりましたわ」
セシリアの腰部から広がるスカート状のアーマー。その突起がはずれ、動いた。
「お生憎さま、ブルー・ティアーズは六機あってよ!」
至近距離からミサイルが発射される。
しかし、驚愕したのは黒の鎧を纏いし『戦争屋』ではなく、青き鎧を纏った貴族の少女の方だった。
「なっ――――」
その光景に、セシリアは今度こそ度肝を抜いた。
至近距離からのミサイル……アインはそのミサイルを難なく躱してのけたのだ。
まるで宙返りをするような動作で機体を一回転させながら後退し、紙一重でミサイルを回避した。
(なんて、反応速度……!?)
しかもそれだけではない。あれだけの動きをしてみせながら、その完璧な機体制御を以てあっという間に元の体勢に戻っている。
だが、これだけで驚くにはまだ早かった。
咄嗟に後ろに振りかぶったアインは、背後に向けて銃剣の銃口から弾丸を二発発射した。
一体何を、と思ったセシリアだったが、その時――――
彼の後ろで、ミサイルの爆発音が起こった。
「う、そ――――」
セシリアが発射したミサイルは二発。彼が発砲した弾丸も二発。
そしてミサイルは二発とも爆発四散した。
呆然となるセシリア。
そんな彼女を嘲笑うかのように、彼のプライベート・チャネルがかかる。
『よく聞こえなかったなぁお嬢ちゃん! ブルー・ティアーズが何だって!? えぇおい!?』
「……っ! ブルー・ティアーズ!」
激昂したセシリアは六機のビット全てをフル稼働してアインに攻撃を始めた。
四機のビットからレーザーが、二機のビットからはミサイルが飛び出す。
(許しませんわ……)
セシリアはかつてないほど激昂していた。
(許すものですかっ!)
ここまでコケにされて、彼女はもう退くわけにはいかなかった。
彼女はこれまで、彼に一発も弾丸を喰らわす事は敵わなかった。
それは自分が出し惜しみして四機のビットだけで攻めていたからだ、だから六機ならもう負けない――――そんな思いが、彼女の心の最後の支えとなっていた。
ミサイルとレーザーの包囲弾幕を軽々と避けていくアイン。その反応速度と操縦技術はセシリアのそれなど比べ物にならない……そんな事くらい、セシリアも十分に理解していた。
(ですが、隙は必ずありますわ!)
事実、セシリアのその考えは正しかった。
いくらISに乗っていようが、乗り手は所詮人間である。
そして、セシリアは捉えた。
(ここですわ!)
彼の一番反応が遅い角度に一機のレーザービットを設置する事に成功したセシリアはニヤリと口角を釣り上げ――――
「――――え?」
そして、敵にレーザーを当てる筈だった
レーザーやミサイルの発射音が飛び交う中、それらと変わらない一発のレーザーが、セシリアに迸った。
「――――っ!」
ビットの制御に集中している中で、回避をする余裕を持たなかったセシリアは、そのレーザーをそのまま受けてしまった。
「どう……して……」
かつてないほどのショックを受けるセシリア。
それも当然だった。
何せ、今まで共に走ってきた相棒……その一部に裏切られたのも同然の事態だったのだから。
信じられないと思い、セシリアはもう一度眼前の光景を見直して……絶句した。
「……なん……で……?」
次に目撃したのは、先程自分を攻撃したブルー・ティアーズが彼に向けられて放ったミサイルを撃ち落としている姿だった。
その隙に彼はもう一機のブルー・ティアーズに接近し、その砲身を
そしたら、彼が掴んだもう一機のブルー・ティアーズがまた他のブルー・ティアーズを一機落としていくではあるまいか……。
「まさか、うそ、そんな……」
信じられない、これは夢だと思った。
だが夢ではない――――これこそが闇に落ちた白式が発現した
本来、他のISの武装はそのISの操縦者の『
この能力はそれを無理やり行い、相手からその武装を奪うというものである。
戦場で生き残るため、その場にある物全てを利用するというアインの特性を、白式が理解し、発現させたものだった。
「ブルーティアーズの制御が……奪われ……た……?」
――――何時だ? 何時奪われた?
先程の一個は掴まれた事によって奪われたものだと仮定して、最初に自分に攻撃をしてきた方のブルー・ティアーズは何時奪われたのか、セシリアは必死に思い出す。
そして、思い出した。
(あ……あの時!?)
そう、自分が彼にミサイルで奇襲しようとする前、彼は四つのブルー・ティアーズの内の一つを
その時に……奪われたのだ。
(じゃ、じゃあ……私が彼の一番反応が遅い角度のところに設置していたブルー・ティアーズは最初から彼の手にあったって事に……え? え? どういう事ですの?)
セシリアは気づいていないが、アインには分かっていた――――彼女が敵の一番反応が遅い角度に設置する時に、彼女がどのビットをよく使う
そして自分の反応が遅い角度に
ふと、セシリアは、再び眼前の光景を見つめる。
そこには――――自分から奪った二つのブルー・ティアーズを従えた、漆黒の鎧があった。
「き――――」
それで、セシリアの何かがプツンと切れた。
「キサマぁあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁあああああぁああッッッ!!!!?!!?」
セシリアはもう何がなんだか分からなくなっていた。
何も考えれなくなった。
己がなんだったのか、どうしてここにいるのか、何故今戦っているのか……そんな思考さえも破棄した。
「ブルー・ティアーズぅッ!!!」
残りの制御下にあった三機のブルー・ティアーズ――――ミサイルビットが二機と、レーザービットが一機。
それら全てを総動員して、ありったけの弾幕をアインにぶつける。
しかし、アインに奪われた二機のブルー・ティアーズによってミサイルは次々と落とされ、レーザーもまた紙一重で躱される。
それを見て、セシリアは更にその怒りの色を濃くした。
「返せ! 返せ還せ返せ返えせ変えせ孵せ替えせ代えせ飼えせ換えせカエセかえせッッ!! 返しなさいぃッ! わたくしの誇りをッ!! わたくしのプライドをッ!! わたくしの『ブルー・ティアーズ』を返しなさいぃッッ!!」
『知らねえなあ! 気が付いたら動かせるようになってたもんでよぉ!!』
「ふざけるなぁッ!!」
棒読みでそう答えるアインに対し、セシリアは更に吠えて残りのブルー・ティアーズを使ってアインを必死に攻撃するが、当たらない。
アイン自身が紙一重でレーザーを回避し、残り二つのミサイルビットから発射されるミサイルも、アインが奪ったビットによって撃ち落とされる。
「返しなさいぃッ!! 貴方のような野蛮な男が、ブルー・ティアーズをぉッ!!」
『ハッ! テメエの許可がいるのか、よっ!』
瞬間、漆黒の鎧は動いた。
……セシリアから奪ったブルー・ティアーズを
「う……そ――――!?」
その光景に、先程の怒りが打ち消されてしまう程の衝撃を、セシリアは受けた。
ブルー・ティアーズを遠隔で動かす場合、その制御に集中力を割かなければならなくなるため、本体は自然と他の行動ができなくなってしまう。
なのに、この男は何だ?
――――どうしてブルー・ティアーズを制御しながら、先程と遜色ない動きで此方に近づいて来るのだ?
『隙ありぃ!』
「くぅッ!?」
ビットの制御に集中力を割き、動けないセシリア。
ビットの制御をしているにも関わらず、高速で動くアイン。
――――この時点で、どれだけの差がある事か。
セシリアは移動のために制御下にあったブルー・ティアーズ三機を本機へ戻そうとするが、それさえも遅かった。
アインが奪った二機のブルー・ティアーズが、セシリアの下へ戻ろうとしていた二機のミサイルビットを、レーザーで的確にそのクリスタル状のコンデンサパーツを撃ち抜き、撃ち抜かれたブルー・ティアーズは奈落へと落ちていった。
そして、残り一機のブルー・ティアーズも、咄嗟に旋回したアインによって真っ二つに切り落とされた。
それらは一瞬かつ、
「あ……あぁ……」
もはや、泣き崩れるように、震えるセシリア。
射撃能力でも負けた。
ISの操縦技術でも負けた。
そして――――ビットの操作技術でも、負けた。
彼が自分から奪った二機のブルー・ティアーズは、自分が操っていた時よりもすごく活き活きしていて、動きのキレもあった。
ブルー・ティアーズを制御している時はそれ以外の行動ができなかったセシリアとは違い、彼に奪われた
ただ
二つのブルー・ティアーズを従えながら、黒き鎧が迫り来る。
もう、どうでもよくなってしまった。
だって――――もう自分が彼に優っているところなど、何処にもなかったのだから。
アインの手に握られていた銃剣の刀身が、眩い光を放出しながら、セシリアへと迫った。
そして。
『これでお陀仏!!』
眩き光を放出した銃剣が、彼女のISのシールドバリアを切り裂き、そのシールドエネルギーを根こそぎ持っていく。
『試合終了。勝者――――アイン・ゾマイール』
試合終了のブザーが、アインの勝利を淡々と告げた。
せっかくなので白式――――白式オルタのスペック説明をば
基本的なデザインは原作の白式と変わりませんが、カラーが反転しています(白い部分が黒へ、青い部分が赤へ、赤い部分が青へ)
あとデザインがより鋭角的になっています。
ACで言うならばホワイト・グリントに対するN-WGIX/vのようなもの。
基本スペック自体は白式と変わりませんが、サーシェス一夏の精神に汚染されたせいでその戦闘スタイルは大きく変化。
兵器として原作より実用的なISとして生まれ変わりました。
武装
・雪片弐型
原作では近接ブレードだが、黒化によってガンブレードと化した。
『零落白夜』を用いて切りつけたり、または弾丸に零落白夜を纏って撃ち出す事もできる。
その変わり『零落白夜』の威力自体は原作より低いものの、燃費もよくなったので兵器としての実用性はこっちが上。
まあ、原作一夏は射撃センスがあまりよくないので、原作一夏が使っても劣化するだけです。
・強制使用許諾
零落白夜が千冬と繋がりの深い白騎士のコアが暮桜のコアとコア・ネットワークを介して情報をやりとりし、「零落白夜」を自らの能力として開発したならさ、一夏自身の単一使用能力がなきゃおかしいよね!、というくだらない理由でもう一つ追加された単一使用能力。
本来、他のISの武装はそのISの操縦者からの「使用許諾」を必要とするが、これはそれを強制的に行って我が物にするという邪道を体現したかのような単一使用能力。
作中でガンダムを盗んだサーシェスにはぴったりの能力かと(単にセッシーを苛める為だけに作った能力とか口が滑っても言えない)