僕はマーリン。趣味は人間観察さ!   作:ゼルガー

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エピソード7「国は滅びた。けど、物語は続いた」

 

 

母さんはきっと、こうなる事を知っていたんだ。

 

ブリテンは・・・・・・キャメロットは・・・・・・アルトリアの国は亡びる運命だったって。

 

さあ、語ろうか。彼女の人生の幕引きを。

 

 

 

 

アルトリアは王としてとても優秀だった。でも同時に仕事で忙しい日々を過ごした。

 

民の声を全て聞き、隣国との交易に敵対国との対立。

 

更に騎士の訓練や円卓の会議。

 

上げるならまだまだたくさんあるけど、彼女の疲労は募る一方だった。

 

そんな彼女を支える為にケイとアグラヴェインは文官として、僕は彼女の補佐として政治を支え続けた。

 

そんなある時だった。敵国の侵攻で村が一つ犠牲になったのは。知らせを受けた時には既に手遅れだった。

 

気が付けば村は全滅し、女は犯されてから、男や老人子供と共に皆殺しにされていた。

 

アルトリアは間に合わなかったことを後悔していた。それでも王として、泣き言は許されず、直ぐに敵国の対策を練ることにした。

 

だが、それを何を勘違いしたのか、村を見捨てたとトリスタンは判断したのだ

 

もちろん、彼以外の騎士には彼が何を言ってるのかわからなかった。王は見捨ててはいなかったのを知っていたからだ。

 

 

「王は人の心が分からない」

 

 

それだけ言って、彼は円卓を抜け、国を去った。これには僕たち全員が激怒した。ふざけるな!わかっていないのは貴様ではないか!ってね。

でも、アルトリアにはショックだった。信頼していた騎士にそんなことを言われてしまったのだから。

 

そして次の悲劇が起きた。突然、ランスロットとギネヴィアの二人が何も言わずに城を去り、別の国に逃げてしまったからだ。

 

驚いたよ。円卓の中でも最強の夫婦と言われ、僕はともかくみんなが信頼していた騎士と聖女があっさり裏切るとは思わなかったからだ。

 

でも僕には一種の予感があった。トリスタンはともかく、ランスロットに関してはね。彼はヴィヴィアンが生み出した人造人間だ。彼女か彼に何かしらの処置を施してもおかしくない。

 

そう、例えば・・・・・・ある時期が来たら本人の意思とは無関係にアルトリアを裏切るとか・・・・・・ね

 

もし。そう、もしこれが全て歴史通りにしようとする世界の意思だとするならば・・・・・・・僕たちは抗えない。

 

それを思い知ったのは、モードレッドの叛逆だった。

 

 

彼女の叛逆も唐突だった。三人の仲間を失い、落ち込んだアルトリアに追い打ちをかけるかのように、モードレッドは国を裏切った。僕がアルトリアの為に作ったクラレントを含む多くの武器を盗んでね。

 

最初に殺されたのはガレスとガヘリスだった。裏切った妹を止めるべく二人はモードレッドに立ち向かった。でも、モードレッドは二人を殺して逃げた。そして追いついたアグラヴェインとガウェインもまた殺された。まるで世界が彼女を味方しているかのようにあっさりとね。

 

実に最悪だった。モードレッドは血の繋がった実の兄弟を全員その手で殺してしまったのだから。

 

でもよく考えれば、モードレッドは何時裏切ってもおかしくはないんだ。

 

モルガンはモードレッド以外は愛する夫との間から生まれた子供だった。

でもモードレッドは違う。アルトリアの遺伝子から産んだクローンだ。

モードレッドはモルガンが自分の意思で生み出したわけじゃない。怨霊と化したウーサーが自分の思い通りにならないアルトリアを殺すために意思を乗っ取って作らせた兵器だった。

 

尤も、その後すぐにウーサー王の怨霊はウォーティガーン共々母さんに滅ぼされたけどね。

 

それでも、モルガンは自分が生んだ責任としてモードレッドを愛して育てたんだ・・・・・・

 

くそ、こんな事なら例えモルガンに恨まれても僕が殺しておくべきだった。

 

逃げたモードレッドは敵国に組し、キャメロットに侵攻してきた。それも僕たちの軍の十倍以上の量でね

 

こんな時でも僕の胃にダメージを与えてくる聖剣二本には本当に腹が立った。まあ、それが逆に冷静さを取り戻させてくれたけどね。

 

母さん曰く、コレはやはり抑止力の影響だと言っていた。決して変えられない人理。

 

誰がどう死のうが、歴史という流れが矛盾を消し去るという。

 

 

 

そこからは歴史通りさ。モードレッドの手で円卓は全滅し、アルトリアはロンの槍を持ち出してモードレッドを殺した。でも、彼女もまたクラレントで致命傷を負ってしまった。

 

伝承ではベティヴィエールがエクスカリバーをヴィヴィアンに返却したってあるけど、本当は違った。何故なら彼も戦死したからね。

 

アーパーとアヴァロンは主であるアルトリアが死にかけている事を嘆いた。

 

そして、世界に対して怒りを抱いた。彼女が何をした。彼女は国を救い、人類を救ったではないか。その対価がこれか!

 

同じくして死にかけていた僕もアルトリアがいる場所にたどり着けた。ケイと共に敵国の軍を相手にしてたからね。でもケイは先に逝ってしまったよ。

 

僕はアルトリアの傍に行くとエクスカリバーとアヴァロンが僕にこう進言した。

 

彼女を死なせたくない。彼女の死後をこんな世界に渡したくないと。

 

だけど、死にかけだった僕にはどうすることもできなかった。ああ、僕はなんて無力なんだろうかって嘆いたよ。

 

そんな僕とアルトリアを救ったのは、他でもない母さんだった。

 

母さんは自身の魂を代価に僕とアルトリアを楽園の塔・・・・・・本当の意味でのアヴァロンに押し込めたんだ。ただし、その場に閉ざされてしまえば僕たちは死ぬことは無くなり、世界が滅ぶまで生きることになる。

 

僕は迷った。僕だけならいい。でも、アルトリアを連れて行っていいのだろうか?

 

 

 

ケイ。モルガン。僕は・・・・・・・

 

そして思い出す。二人との約束を。アルトリアをどんなことがあっても守るって約束を。

 

ああ、そうだったね。これは僕の罪でもある。彼女を王にしてしまい、普通の少女としての人生を奪っただけでなく、これからの人生すらも奪おうと言うのだから。

 

 

 

 

ならここに誓おう。未来永劫、例えアルトリアに恨まれようと

 

僕は彼女の為に生き続けよう。この僕の魂を彼女に捧げよう。

 

そして僕たちは楽園に閉ざされた。のちに気が付いたアルトリアは大泣きしたが、僕を責めなかった。それどころか、逆に慰められてしまったよ。

 

 

 

 

仕方ない人ですね、でも私は貴方を許します。

 

だから、貴方も泣かないでください。

 

 

 

 

ホント、自分が嫌いになってくるよ。

 

アレから世界を見続けたけど、やっぱりモルガンは泣いていた。そりゃ、愛する子供を全員失い、兄弟や幼馴染の僕を失ったのだから。

 

でも、彼女はしっかり前を見つめて最後まで生き続けていた。

 

うん、それでこそ僕の初恋の人だ。

 

 

それからは大して語る事じゃないね。僕達は世界をずっと観察していた。

 

途中からは眠りから覚めたキャスパリーグも加えてね。力を失ってからは小動物みたいな姿になってたけど。アイツ、僕が嫌いなのか噛みついてくるんだよね。

 

ダブル聖剣からはいつも通りストレスを与えられて胃が傷つき、たまに来るヴィヴィアンとは殺し合った。

 

え?ヴィヴィアンからの謝罪?アルトリアにはしてたよ?世界の意思には逆らえなかったと泣きながらアルトリアには頭を下げてたね!僕には拳だったけど!

 

 

世界を見続けると、様々な悲劇を目にするんだ。アルトリアは何度も塔から出ようとしてた。でも、塔からは出ることが出来ない。それが規則だったからね。

 

僕もまた世界の悲劇を目の当たりにしても見捨てて行った。手が出せないのもそうだけど、手を出してはいけないと理解しているからだ。

 

それから長い長い時間が流れると、感情がマヒしていくんだ。人が死ぬのは当たり前って感じにね。塔の中にいるから魂が腐っていくことは無い。でも、感情が薄れていくんだ。

 

そんな僕の唯一の愉しみになっていたのが、人間観察だった。

 

稀にいるんだ。とても美しいって思えるような生き方をする人たちがいたんだ。

 

人間らしく、もがき足搔き、苦しみながらも必死になって生きていく姿。生きる為に戦っていく彼らは、まるで昔の自分たちを見ているかに思えた。

 

アルトリアも同じだったらしく、そんな彼らを共に見守っていた。

 

 

 

 

 

 

だが、そんな世界に異変を感じたのは日本の冬木で行われた聖杯戦争だった。

 

そう、そこからまるで複数の世界に分岐していく。そんな違和感を覚え、調査を始めたのは。

 

そして調査を進めて僕らは知った。2016年以降の未来が無いという事実を。

 

 

 

 




マーリン「取り敢えずトリスタンは許さん。絶対にだ」

アルトリア「正直、ショックでした」

ギネヴィア「気が付いたら夫と共に国を出てました」

ランスロット「気が付いたらいつの間にか国を裏切ってました・・・・・・何故だ」

モードレッド「正気に戻ったら我が王に斬り殺されてたぜ・・・・・・俺、最低だ」

ケイ「マーリン、妹を頼むぞ」

モルガン「ええ、貴方になら任せられるわ」

4兄弟「末の妹に殺された・・・・・・」

その他円卓「モブとしてすら出番がなかった・・・・・・」
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