半欠けの月の最後の夢 作:ティフアナ・フェアガンゲンハイト
私は人族ではなかった。もちろん、亜族でも魔族でもない。逆に考えると人族でも亜族でも魔族でもあった。一般的に混ざりモノや、
私の周りは不思議な者たちの集まりだった。人族も居たし亜族も魔族も平然と居た。私と同じ半欠も居た。
皆、平然と私と暮らしていた。文句はあったかもしれないが、それでも反発せず私なんかと一緒に居てくれた。
それが何となく楽しくて、悲しくて、それとなく幸せだった。
そんな幸せを私は自ら壊した。皆を裏切り、全てを滅ぼそうとまでした。
だけど皆はそんな私を信じていてくれた。私を助けるために何でもやってくれた。それでも私は抗った。
その為か分からないが私は生命力の半分を失い、もう半分は一部を残し封印された。今いる私はその一部だったりする。
私と共に居たナカマは、私が封印という名の停滞となると、ちりじりに別れた。
私はそれ以来、皆に会っていない。会おうとはしたが見つからないし、そもそも会っても話す理由がなかった気がする。
私は何百年もの間、自らの罪を戒めながら生きてきた。私が償える範囲を見ながら。
◇
遥か昔、太古の大地に一つの生命が誕生した。
それは創造神が作り出した最初の生き物だった。
その一つの生命は次に五つに分かれた。
一つは人族、一つは亜族、一つは魔族、一つは神族。最後の一つはそれら四つの特性を合わせ持つ種族だった。
五つの種族は、互いに協力しあいながら生活してきた。
ある出来事を境にその均衡は崩れた。
その出来事は『最初の崩壊』と呼ばれている。
その出来事を見たものは少ない。そもそも、その時代に生きていたモノが今も生きている事が異常なのだから、少ないのは必然である。
そんな事はさて置き、『最初の崩壊』は五つの種族をバラけさせた。五つの種族は互いにいがみ合い殺し続けた。
それが今の異族との戦いの元となる出来事である。
ただ、この歴史には偽りがある。五つの種族ではなく四つの種族である事と、四つの特性を合わせ持つ種族ではなく四つの種族にさえ成ることが出来なかった生き物であることが真実なのだ。
◇
年は6つ程の少年はニコニコと走りながら近付いてくる。
「テウ姉ちゃん遊ぼー!」
「ごめん、今ちょっと忙しいから遊べない…」
少年の目の前に居る見た目から8つ程の少女は、手元にある木の棒を弄りながら断った。
「そっか…分かった、またねテウ姉ちゃん!」
少年は一瞬寂しげな表情を見せたものの直ぐに笑顔になり、来た道とは反対の方向に走っていった。
ごめんね、アナタ達のような人族とは違うから……遊べないのは本当だよ。
さてと、この木にも術式を書き込めたし、他の事をするかな。