世界観としては3rdを基準として4からXまでが含まれています。
1人の男が軽い足取りで、雨の降る渓流を駆ける。
身に着けているものとは裏腹に、男が出す速度はかなりのものだった。
その身に着けたものは、男が動く度にガシャガシャと音を立てる。
見る者が見れば男の正体は一目瞭然であろう。
ハンターだと。
だが同じハンターから見たら、男は異質な存在であった。
何せハンターが扱う全14種類の武器の内、どれにも当てはまらない武器を背負っていたのだから。
「ふむ、ここではない…か。」
そんな男は、地面に残る足跡と虫の死骸を追いながらあるモンスターを探していた。
生半可な力では敵わず、ハンターからも
雷電狼ジンオウガ。
「或いはこの地域から抜けたか。」
男は足跡を見ながら思考を巡らせる。
昨日今日付いたとは思えないその足跡は、既にこの近辺に居ないことを物語る。
「どう思う?チャシャ。」
「どう思うもにゃにも、これじゃあ1週間は経っているんじゃにゃいかにゃ?追跡は厳しそうにゃ。」
それに答えたのは、1匹の猫であった。
ハンター達の間ではアイルーやメラルー等と呼ばれるその猫、中でも装備を着用してハンターに着いていく猫はオトモアイルーと呼ばれる。
チャシャと呼ばれた猫は、まさにオトモアイルーであった。
「まあ良い、どうせ急ぎの用じゃないしな。無理に深追いする必要もない。」
「まあ、アレクに任せるにゃ。」
「なら帰るぞ。収穫が無い以上、ここに居るだけ無駄だからな。」
そう言うと村へと引き返す。
その足取りは、来たときより少し速くなっていた。
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雨が降りしきるなか、ガーグァが引く荷車がガタゴトと音を立てて走る。
ただ荷物を運搬する為だけの荷車のため、荷台はかなり荷物が飛び跳ねている。
そんな中荷台で、一際動かない荷物があった。
否、人が1人乗っていた。
藁笠を被った、まだあどけなさが残る1人の少女が積荷と共に居た。
雨の為、少しでも寒くないよう体を縮ませる。
笠で防げる雨にも限界はあり、跳ね返る雨水が体を濡らす。
そして、それは訪れた。
前触れも無く変わった突然の雷雨。
放電する虫が所々を飛び、落ちる落雷の数。
そして……
街道の直ぐ脇で吠える1匹の獣。
『アオォォオオォォン!!!!!』
その咆哮と共に周囲に落雷が生じ、荷車の直ぐ脇にも落ちる。
「にゃにゃ、ジンオウガ!?にゃんでこんな所にいるのにゃ!?」
荷車を引いていたアイルーが、驚愕を露わにしながら口を開く。
だがその咆哮を聞き、ガーグァがびっくりして通常以上の速度を出す。
その結果荷車が先ほど以上に揺れる。
「にゃにゃ、確り掴まっているにゃ!村まで飛ばすにゃ!」
「は、はい!」
先ほど以上の速度を得た荷車は、ジンオウガに見つかることなく目の前を通り過ぎる。
雷雨であることが幸いして、ジンオウガの耳には荷車の音が入らなかったのだ。
それにちょうど小高い丘のヘリだった下部分に街道があるため、丘の上に居たジンオウガの死角になっていたことが幸いした。
そして通り過ぎてから幾分か経ち、雷雨だった空は晴れ間が見えてきた。
晴れ間と同時に、自身が目指す村『ユクモ村』も見えてきた。
遂に始まるのだ、ユクモ村での初めてのハンター生活が。
自分が憧れていたあのハンターに、自分がなる時が。
ーーーー△ーーーー
「では捜索の結果、それらしき姿は見つけられなかったと。」
「俺が通ったところには既に居なかっただけだがな。正直1週間位経っているであろう足跡で何処に行ったか割り出すとか、流石に俺でも出来ねぇよ。」
「まあ、それもそうですね。ありがとうございますアレックスさん、調査代20000zです。」
その後2、3雑談をしたあと、アレックスは村長の元を後にした。
今回アレックスが受けたクエストは渓流の近辺調査。
特に急務と言われて居たこのクエストは、近場でジンオウガの目撃情報があったからだ。
何も無いならないで安心出来るが、もし本当にジンオウガが居るならばそれは脅威となる。
縄張りに入る者を襲うジンオウガは、時々街道を跨ぐように縄張りを作る時がある。
そう言う場合、行商人などが襲われるのだ。
狩人の異名を持つジンオウガは、手練のハンターですら時には返り討ちにする。何の力もない行商人では到底太刀打ちできないのだ。
だが今回は発見することが叶わなかった。
だが近辺調査は発見しないことが、クエスト達成条件とも言える。
安全が確認出来ればクエスト達成なのだ。
諸々の報告を終え、自身の家へと帰ろうとして…
ふと、1人の少女が目に映った。
全身をユクモ装備で飾る、まだ初々しさが抜けきらない少女。
武器も支給品の太刀が見える為、駆け出しのハンター見習いと容易に分かる。
傷1つ無い武器と防具に懐かしさを覚えつつも、その少女の横を素通りする。
「良いのかにゃ?彼女はきっとこの村の選任ハンターを担うと思うけどにゃぁ。」
「だがそれは俺とは違うだろう?俺から関わるつもりは無い。」
その少女は、自身とは違う目的で動いているのだから。
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「これはこれはハンター様、よく来て下さいました。」
「あ、はい!セツナと申します!」
勢いよく頭を下げるその先には、ピンク色の浴衣を纏った女性が居る。
「あらあら、自己紹介がまだでしたね。
わたくしが、この《ユクモ村》の村長『シオン』と申します。以後、よしなに。」
「よ、よろしくお願いします!」
自身よりも大人の対応をする女性を前にし、セツナは緊張を隠せない。
「ふふ、そんなに緊張しなくて良いのよ。肩の力を抜いて、深呼吸ね。
さて、ここに来る前に聞いていると思うけれど…貴方にはこの村のハンターになっていただきたいの。
この村に現在居るハンターはたった1人。それでも何とかなっていたのだけれど、彼も忙しい身。常にこの村に居るという訳にもいかないのです。」
「それって…さっき見かけた男の人…ですか?」
セツナがそう聞くと、シオンはビックリしたように笑みを浮かべながら口を開く。
「ええ。ここに定住して早5年といった所かしらね。クエストも受けてもらっているけれど、そんなに頻度が有るわけではありませんわね。ですから貴女にこの村の専属ハンターになって頂きたいのです。」
そこで一旦会話を途切り、シオンはセツナのちょうど真後ろにある家を刺す。
「そこに家がございますしょう?
あそこを自由に使ってくれて構いません。
ベッドや一通りの武器や防具など、ハンターとして必要なものは揃っているはずですわ。そして来るときに登ってきて頂いた階段を下りた
ところには、お店があります。
アイテムなら雑貨屋、武器や防具なら鍛冶屋を
ご利用くださいね。」
「はい!何から何までありがとうございます!」
そしてシオンはセツナに見えるよう、羊皮紙を差し出す。
「セツナ様にお願いするクエストについては、わたくしにご相談ください。
手近なところから、お願いしますわ。
あとこちら、何かと入り用でしょうから支度金をお渡ししておきます。
お話は以上です。
ではそうですね、村の中を一通り見て回られてはいかがですか?
村の人達も貴方に興味があるようですから。」
「はい、そうさせて貰います。」
そう言ってセツナはシオンと別れて、来た道を少し戻る。
自身が教わったハンター教訓として、アイテムが何より重要と。
アイテムを買うために雑貨屋へと向かうのだった。
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「マナ、今戻ったぞ。」
「お帰りにゃさいにゃ!食事は出来ているにゃ!」
アレックスが自身の家へと戻ってくると、1匹の猫がアレックスの前へとやってくる。
この猫はアレックスのオトモアイルー、戦闘を苦手とするが家事が得意なマナだ。
「フィア、異常は無かったか?」
『ええ、平和そのものね。正直暇だったわ。』
アレックスの問いに答えたのは、庭に寝そべり首だけを向けたナルガクルガがそこに居た。
ただ他のナルガクルガ種と大きく違う点がそこに見られる、通常種は紅い眼をして居るが、フィアと呼ばれたナルガクルガは碧い眼をしている。
「まあ良い、飯にするか。」
『ええ、そろそろお腹空いたわ。』
「にゃ!もう準備出来てるにゃ。今から広げるにゃ。」
そう言うとマナは、庭に備え付けられたテーブルへと料理を広げていく。
「今日はガーグァのステーキにゃ。フィアが丸々太って、すごく脂が乗ったガーグァを取ってきてくれたにゃ。」
『私は食べたいと思ったから狩っただけよ。』
「それでもにゃ。そのお陰で私もアレクも助かっているのにゃから、すごく助かるのにゃ。」
「そうだな、ありがとうフィア。」
そう言いながら、アレックスはフィアの顔を撫でる。
それに眼を細めて、嬉しそうに喉を鳴らすフィアは、まるで猫のようだった。
キャラ設定
アレックス
HR6
元はポッケ村のG級ハンターであったが、流れに流れここに居る。
ユクモ村選任ハンターでありながら技術者である。
村の危機に陥った場合に駆り出される、謂わば最後の砦としての役割を担う。
普段は狩りに出ながら、自宅で武器の改造を行っている。
家はユクモ村から少々離れた高台を丸々所有しており、アイルー達や半ばペット化しているナルガクルガと一緒に生活している。
チャシャ
オトモアイルーであり、ポッケ村からの戦友。
最近の趣味は料理らしく、単独で狩猟に出掛けることはあまりない。
マナ
ユクモ村に来てから雇い入れたオトモアイルー。
戦い自体が得意では無い為、もっぱら家事をするだけになってきている。
雇われた当初からの最初の仕事がフィアの世話という、割と恐怖を感じる仕事であった。
現在のフィアとの関係は良好。
フィア
人語を解し、喋ることが出来る。
恐らく唯一無二のナルガクルガ。
卵の時からアレックスに育てられ、どんな時でも共に生きてきた。
ペットというより最早家族である。
現在はアレックスの家の隣にある洞窟が寝床である。
セツナ
ユクモ村へと新たに配属となった、新人女ハンター。
常に村に居ることが出来ないアレックスの、有り体に言えば変わりである。
シオン
ユクモ村村長
設定
因みにこの世界はゲームとは違う。
どんなに堅牢な防具を身に纏っていようとも、一撃でも喰らえばその防具は意図も容易く引き裂かれる。
そしてハンターだとしても、一撃を貰えば当然死を招く。
死ねば報酬金が減るだけ?
キャンプからスタート?
制限時間?
そんな物は一切無い。
狩るか狩られるか、弱肉強食の世界。
負けたら強くなってもう一度なんて効かない、負けたら即ち死を意味する。
そのかわりモンスターも、弱点を上手いこと潰せれば一撃で殺すことも可能である。