とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

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第11話 記憶

「ステイル!」

 

 神父を撃破した直後。後ろから聞こえるその声の方を向くと、そこには日本刀を持った女性が立っていた。

 

「まさか……また魔術師かよ。」

 

 俺はうんざりとして言う。

 

「話から推測するが、お前らは同僚なんじゃあないのか? ならなぜインデックスを襲った? いやそもそもなぜインデックスはお前たちから逃げる?」

 

 ステイルは回収、と言っていた。しかしその言葉とは裏腹に、心の奥に何かショックを受けたような感情があるのを、わずかに感じさせられていたのだ。

 

 インデックスとこの2人には何かがある。単に『敵』という感じではないと思うのだ。

 

 俺の言葉にその女、神裂の感情が爆発した。

 

「しょうがなかったんですよ!あの子は、そうしないと死んでしまうんですから」

 

 神裂は語る。彼女に無理やり背負わせた荷物の重さを、魔導書を守るために一年おきに記憶を消さなければ死ぬことを。自分達のそのときの思いなどを。

 

 確かにこいつらも辛かったんであろう。だけど、

 

「ハハハハハハハハ」

「何を笑っているのですか!あの子はもうすぐ死んでしまうのですよ!?」

「絶対記憶能力者が一年で脳の十五パーセントを使うだと?それは嘘だ」

 

 神裂は絶句する。今まで信じてきたものが完全に否定されたのだから。当麻は訳が分からないという顔をしている。

 

「人間の記憶は三つに分けられる。魔道書の原典は『意味記憶』運動の慣れなどは『手続記憶』思い出などは『エピソード記憶』といったように分かれていて、それらは互いに干渉しないんだよ。記憶喪失でも体が覚えてるとか言うだろう? 簡単に言えば、図書館でジャンルの違う本はそれぞれ別の本棚に入れられているようなものだな」

 

 それに、と俺は続けて言う。

 

「そもそも人間の頭は百四十年分の記憶を保有できるんだよ」

 

 その言葉に神裂は力を失う。

 

「でも、ならなぜ彼女は一年周期で苦しむのですか!」

 

 彼女は、最後の手札を出す。組織が言っていたことなのだから間違いが無いと信じていたのだろう。だが、

 

「そう考えると簡単な話だ。インデックスの頭の中には正しく使えば世界を捻じ曲げるモノが入っているんだろ? そんな危ないモノ、首輪もなしに所有するわけが無いだろう。変な細工でもインデックスに仕掛けたとしか思えない」

 

 俺はそう言って

 

「ついてきてくれ。インデックスを助けに行くぞ……三人とも」

 

 結構遅い時間だがこの際は仕方がないな、と万象再現(リプロダクション)でインデックスの応急処置をしながら思った。傷が予想外に深く、応急処置にすら時間がかかっていることに焦りながら。

 

 

 

「はいはーい。新聞はお断りですよ~」

 

などと、成人女性でも高い声で返事をしたのが、俺たちのクラスの担任。月詠小萌だ。どこからどう見ても、小学生にしか見えない容姿をしているが。

 

「あら?上条ちゃんに神谷ちゃんはどうしたんですか? こんな時間に」

「緊急なんです。ホラ」

「キャー! どうして真っ赤な女の子が!」

「すみません。説明の暇はないんです。小萌先生、協力してください!」

 

 とりあえず、初めに小萌先生に協力してもらいながら、インデックスの指示に従って魔術で傷を完全に治す。

 

「で、結局二人はどうするんだ?俺はコイツにかかってる魔術を解きたいんだが」

 

 二人は上条を見る。驚愕を顔に浮かべて。

 

「ん? あぁこの右手は『幻想殺し』つって異能の力なら何でも殺せるんだ」

「ちなみに俺には異能の力を”創る”、『幻想創造』って力があるぞ」

 

 二人はなんて非常識ななどといった類の視線を俺たちに向ける。

 

「で、どうするんだ?」

「私は協力します。この子の記憶はもう消したくない」

「僕も、協力するよ」

 

 非常に不本意だけどね、などと言っているあたり嫌われているみたいだ。まあ、とりあえず今は優先事項がある。

 

「じゃあ始めるから二人は入り口を見張っといてくれ。誰か来たら大変だからな」

 

 子萌先生には席を外してもらい、人払いは張っているが、それでも完璧ではないのだ。

 

 そして他に誰もいない部屋で、俺たちとインデックスは対峙する。

 

「じゃあ行くぞインデックス」

 

 俺はAIM拡散力場を感じるのと同じように、『力』を感じ取ることに集中する。

 

 科学的な能力とは違う、異質の力。それがステイルと、神崎と、インデックスと。そしてもう一つ。

 

「インデックスののど(・・)だ」

 

 そこに、高い濃度の力を感じられた。

 

 当麻は彼女ののどを確認すると、何か記号のようなものがあるのを見つけた。当麻は迷うことなく右手でそれに触れる。その戒めを解くために。

 

 そして、それに右手が触れた瞬間。すさまじい力で俺たちは壁に叩きつけられた。

 

 部屋に機械的なインデックスの声が響く。

 

「――警告、第三章第二節―禁書目録の『首輪』第一から第三まで全結界の貫通を確認。再生準備……失敗。『首輪』再生は不可能、現状、十万三千冊の『書庫』の保護のため、侵入者の迎撃を最優先にします」

 

 禁書目録を助ける最後の壁『自動書記』が立ちふさがった。

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