とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

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閑話
第13話 ヒント


 悩んでいても進まないので、俺はヒントになるものがないか探すために街に出た。とりあえず、雑貨屋あたりからでも探すか。

 

 しかし、そう考えて大手の雑貨屋に来てみたのだが、なかなか良いものが見つからない。

 

「うーん、スライム状のものならいいかなぁ……。でも、それだと水を操った方が簡単だと思うしな」

 

 そんなことを呟きながら、俺は商品を手に取っては元の場所に戻していく。

 

 それからああでもないこうでもないと考えていると、後ろから「神谷さん」と声をかけられた。

 

 振り向くと、佐天さんと……なんというか、頭がお花畑になっていてちょっと痛い感じのする女の子がいた。

 

「あの、佐天さん。この人と知り合いなのですか?」

「あ、初春には話さなかったっけ? わたしのレベルを上げてくれた人」

 

 佐天さんがそういうと、

 

「えっ、この人なんですか? もっと研究者っぽい人を想像していたんですけれど……。というか、高校生……ですよね?」

「ああ。神谷駿斗。第7学区の高校に通っている。ちなみに1年生だ。よろしくな」

「柵川中学1年生の初春飾利です。佐天さんとはクラスメイトで、友達です」

 

 とりあえずは自己紹介をした。

 

「それで、神谷さんは何の用事でここに?」

「ああ。ちょっと能力の使い方で、アイディアのもとになるものがないかと思ってね」

 

 うーん。結局いいものは思いつかないなあ。

 

「そういえば、結局神谷さんの能力って何だったんですか? 今までにえっと……人を吹き飛ばしたり、怪我を治療したり、他の人の能力を上げたり……関連性がなくて、よく分からないんですけれど」

「それは秘密ってことで。それに俺は無能力者(レベル0)だって言っただろ?」

「それで納得しろっていう方が無理だと思うんですけど……」

 

 まあ、そうだよな。さっきも思いっきり”能力の使い方”って言っちゃったし。そうだ。せっかくだからこの二人に聞いてみようかな。

 

「ねえ、ちょっと質問いいかな? 攻撃されたりしてもすぐに元の形に復活するものって何があると思う?」

「復活するものですか? うーん。炎や水、気体とかだったらそもそも形を崩されないと思うんですけれど」

「そうですね」

「そうなるよな、やっぱ……」

 

 うん、そうだよね。

 

 俺が再び考えようとすると、初春さんがあっ、と声を上げた。

 

「形状記憶合金だったらどうですか?」

「あ……なるほどな」

 

 形状記憶合金。超弾性という、ある温度(変態点)以上では変形を受けてもすぐさま元の形状を回復する性質を持つ。チタンとニッケルの合金が一般的であるが、その他にも鉄-マンガン-ケイ素合金などがある。最初に見つけられたのは確か、金とカドミウムの合金だっけ?

 

「形状記憶効果は、えっと……合金の変形が通常のものとは違うんです。変形がマルテンサイト変態による双晶の形成によるものであるため、加熱によるマルテンサイトの逆変態によって元の形に戻る。たしかそういうものでしたね」

「ああ。合っていると思うぞ」

 

 そんなことなんで中学生が知っているんだよ、とか言わないでください。学園都市の教育水準は高いのです。

 

「まあ、とりあえず材料で手に入りやすいのは鉄-マンガン-ケイ素だろうな。ありがとう、二人とも」

「いえ、そんな。こちらこそ迷惑をかけっぱなしですから。結局幻想御手のことでも、何もお礼できていませんし」

「いや、まだ中学生なんだから。高校生には迷惑かければいいのさ。野郎どもはそれだけで喜ぶしな」

 

 クラスの連中を思い出しながら言う。こんな美少女たちから頼まれたら、あいつらの場合ものすごく喜んで引き受けそうだ。たとえその内容が何であったとしても。

 

 俺は早速材料を集めることにした。

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